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自由貿易の旗を下ろす?
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52886105.html
2016年11月28日 在野のアナリスト
後3日と迫った国会会期が、12月14日まで延長されることが与党会談で決定しました。年金改正法案の行方をにらんだ、とされますが、TPP関連法はどうするつもりなのか。参院本会議ではポカンと俯瞰でもめていますが、問題は安倍氏の答弁で、TPPのみあたかも自由貿易だ、とする論調にあります。二国間のFTAやEPAも自由貿易ですし、米国が多国間交渉であるTPPを否定し、二国間の交渉に移すことも、別に自由貿易の旗を下ろしたわけではありません。安倍氏の答弁を修正すると「多国間交渉の旗を下ろしていいのか?」というだけの話です。自由貿易、などというよく知らない人にとってはそれが良い選択であるかのように誤解を招く表現にはならない。分かって安倍氏が嘘をついている点にあります。
仏大統領選の予備選で、中道・右派の統一候補にフィヨン元首相が選ばれました。日本では普段、見向きもされない仏大統領選が注目されるのも、トランプ現象が欧州でも拡大するのではないか? との見方が多いためです。しかしトランプ現象を、ただの大衆迎合主義と批判するのは大きな誤りです。民主主義ですから、より多くの意見を代弁した者が選ばれることは、ごく自然です。逆にこれまでの世界は、多くの国が一部の政治家とその取り巻きで決められていたエリート主義だったのであり、その崩壊を世界が怖れていることになります。
そんな中、イタリアで12月4日、憲法改正の是非を問う国民投票が行われます。その前に予算案が通過したり、伊銀のモンテ・パスキが債務を証券化できるよう承認をうけたり、と慌しく動いています。予算案には年金支出を拡大したり、販売税増税を阻止する条項が含まれていたり、とにかく国民ウケのいいものが含まれていますし、破綻が意識されるモンテ・パスキが市場から資金を調達できれば、一先ず安定します。そうやって国民投票前に不安を解消しているのです。
では伊国の国民投票で何が変わるか、というと上院の議席を315から100に減らし、ほぼ名誉職的な位置づけとし、下院に権限を集中させることを狙います。ただし、憲法改正に反対するのがポピュリズム政党を標榜する五つ星運動が、伊国では力を増しており、憲法改正が否決されるとレンツィ政権が崩壊する可能性もある。もし仮に五つ星運動が政権をとるようになれば、EUからの離脱などを強力に押し進める可能性もあり、EUすら崩壊させかねないのです。なので、これまで債務の圧縮を求められてきた伊国が、先に予算案を通したり、モンテ・パスキの経営を安定化させるなど、EU側からの改革要求を現政権でも受け入れてません、と示す必要がありました。
仏国のフィヨン氏が政権をとったら、どういう政策になるのか分かりませんが、独国のメルケル氏も来秋の選挙で勝利し、続投する意向を示したものの、かなり苦しいと言います。先にEU離脱を決めた英国からはじまったEU崩壊の流れ、どのピースが外れても、選挙で予想外の結果になってもそれが起きる状況です。その最初のピースが12月4日、どうなるか決まります。
来年はこうした不透明な年だからこそ、今の市場はそうなる前の束の間の上昇を演じている、とも言える状況です。EU崩壊にでもなったらどんな影響があるか分からない。独、仏、伊、どこもEUの主要国であり、インパクトはかなり大きくなる。しかし国民がそれを選択する以上、止めようがありません。むしろ、EUを存続させることのメリットを国民に説得しきれなかった、既存の政治の失敗という見方すらできるのです。
そして、来年はEUという、まさに自由貿易を掲げて統合した市場が、その存否を試される1年ともいえるのです。安倍氏が旗を下ろす、そんなことに一切関係なく、世界はその旗を下ろしてしまうのかもしれません。そして日本だけが旗振り役として残り、高い代償を払い続けて、それでも推進していくのかどうか、がまさに今国会でTPPを通すか、通さないかにかかってくる、といえるのでしょう。自由貿易という言葉をはき違え、自縄貿易ともなれば、もう泥縄にしかなりません。多国間交渉をめざしていた日本が、いつの間にか一国だけとり残される。今でさえすでにトランプ米国、プーチン露国から突き放され、そうなりつつある中で、来年の日本は極めて厳しい状況を覚悟しないといけないのでしょうね。
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