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日本経済は「テツノミクス」で元気になる!? 鉄道による経済効果を試算してみたら凄かった
http://nikkan-spa.jp/1234003
2016.11.27 日刊SPA!
鉄道は国家の大動脈。リニア中央新幹線開通が現実味を帯びてきた現在、ついに田中角栄が構想した「日本列島改造論」が完成するのか? そこでSPA!は鉄道による日本経済活性化策を「テツノミクス」と命名。その実現度を探る。
◆鉄道が日本経済発展のカギを握る!
東京〜大阪間の全線開通になった場合、年間の経済効果は約7140億円、建設工事の経済効果は約19兆3500億円にも
今後の明るい材料に乏しい日本経済。そんななか景気回復の起爆剤としてSPA!が注目したのが鉄道による経済活性化、名付けて“テツノミクス”だ。その効果は、@切符購入や駅売店の利用など旅客の直接的な消費効果、A移動時間の短縮による労働時間の増大、B間接的な消費効果に大別できる。特に@とAの効果を最も期待されているのがリニア中央新幹線だ。
関西大学の宮本勝浩名誉教授のグループは、「東京〜名古屋間の開業(’27年予定)後の経済効果は年間5260億円」と試算。
「同区間の新幹線で旅客の消費効果は証明されており、早く到着することで出張ビジネスマンの働く時間も増えて生産性も向上。あと、競合区間の飛行機の減便に伴い、国際線が増便となる可能性が高い。経済効果としては間接的なものですが、この増便された国際線の乗客の消費効果も含まれます」
そして、これとは別に建設工事にかかる経済効果として、11兆8250億円が推定できるという。ところが、ここにきて政府が建設費の一部を資金支援するという案が浮上。これに懸念を示すのは、鉄道アナリストの川島令三氏だ。
◆リニアの開通が景気を回復させる!?
リニアの高い経済効果を認めつつも「政府の支援を受け入れると政治的な理由でルート変更の可能性がある」と語る。確かに、その場合は時間短縮による生産拡大効果は期待したほど得られない。
櫛引素夫氏
一方、東京〜名古屋という大都市間だけでなく、大都市〜地方の路線でもテツノミクス効果が確認できる。今春開業の北海道新幹線は、東京〜函館間が約1時間短縮。函館を訪れる観光客は、例年の3割増で、新幹線開業による北海道内の経済効果は136億円(日本政策投資銀行発表)にも及ぶ。しかも、函館だけでなく「乗降客数の少ない中間駅の木古内を訪れる観光客が急増している」とは、地域振興に詳しい青森大学の櫛引素夫教授。
「新幹線開業に合わせ、木古内駅前に誕生した道の駅の来館者は7か月半で40万人。新幹線の利用客は一部ですが、これも新幹線開業の効果です」
地方では鉄道駅と道の駅が隣接、または一体化した駅が増えており、「鉄道利用客以外を呼び込み、閑散としていた駅周辺の再活性化に繋がる」と話すのは鉄道ジャーナリストの梅原淳氏。
こうした駅周辺の再開発はBの「間接的な消費効果」が期待できるが、やはり動くカネと規模で比べれば都市部のほうが盛んだ。
「山手線の品川〜田町間では、新駅だけでなく街ひとつを造るほどの巨大事業が進行中です。これ以外にも首都圏では多くの駅で再開発が行われています」(梅原氏)
宮本勝浩氏
いずれも結果的に鉄道以外の事業で駅や沿線の利便性を高めるという点からもテツノミクスの成功ケースと言えそうだ。
その鉄道会社にとっての顧客はもちろん乗客だが、なかでも通勤・通学以外にも鉄道を利用する“鉄オタ”と呼ばれる鉄道ファンは、@の「直接的な収入」が見込めるお得意様。野村総合研究所の調べによると、熱心な鉄道ファンは14万人、そのうちコアなファンが2万人と決して多くはないが、「内閣府発表の『全国産業連関表』を用いて試算した経済効果は年間464億円になります」(宮本氏)とその規模は予想以上に大きい。
【宮本勝浩氏】
関西大学名誉教授。専門は理論経済学。著書に『「経済効果」ってなんだろう?』(中央経済社)など
【川島令三氏】
鉄道業界の諸問題に精通した鉄道アナリスト。『全国鉄道事情大研究 青函篇』(草思社)など著書多数
【櫛引素夫氏】
青森大学教授。著書に『地域振興と整備新幹線―「はやて」の軌跡と課題』(弘前大学出版会)がある
【梅原 淳氏】
交友社月刊『鉄道ファン』編集部などを経て、’00年から鉄道ジャーナリストとして活動を開始する。著書に『鉄道の未来学』などがある
― 鉄道進化論[テツノミクス]は到来するのか? ―
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