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トランプ“怪相場”の危うい今後…円安株高どこまで続く
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194559
2016年11月25日 日刊ゲンダイ 文字お越し
ダウ平均は市場最高値を更新中(C)AP
市場関係者は「トランプ大統領」に足を向けて寝られないのではないか。
3本の矢はどこへやら、黒田バズーカも弾が尽き、ジリ貧だった株式市場がにわかに活気づいている。
大統領選でドナルド・トランプの勝利が決まった直後こそ、先行き不安から株が暴落したが、翌日から日本株は一気に反発。ドル買いが進み、ニューヨーク株式市場でダウ平均が高騰した影響だ。
24日の外国為替市場は、約8カ月ぶりに1ドル=113円台まで下落。心理的な節目の110円をあっさり超え、大統領選からの2週間で一気に10円以上も円安が進んだ。つられるように、日経平均も6日続伸である。
「トランプ氏が提唱する財政出動や大型減税といった政策がインフレ観測を呼び、長期金利が上昇したことがドル高の要因です。いわば期待先行相場の様相で、何かのきっかけで失望売りが入りやすい状況ではあるのですが、今の段階では止まる気配がない。インフレ期待からのドル高=円安ということですが、それにしても、ちょっと円安の進行スピードが速すぎる。この調子だと、115円を超えるのも時間の問題です」(マネーパートナーズのチーフアナリスト・武市佳史氏)
ちょっと前まで、自由貿易を崇拝するエコノミストたちは、保護主義のトランプが大統領に選ばれれば「円高地獄だ」「いや世界恐慌だ」と騒いでいた。現実は反対のことが起きている。“自称”専門家の見立てがいかにアテにならないかという見本みたいな展開ではあるが、異端の大統領誕生によって、パラダイムシフトが起きたとも言える。トランプ前とトランプ後では、世界が一変したわけだ。
■経験則が通用しない異端の大統領
渦中のトランプは現在、感謝祭の休暇をフロリダの別荘で過ごしているが、休暇入りの直前にビデオメッセージを発表。選挙公約通り、大統領就任初日に「TPPから離脱する意思を表明する」とあらためて宣言した。
TPPの発効が事実上、消えたわけで、「TPPこそ経済成長の要」という安倍政権の説明通りなら、日本企業には大打撃になる。ところが、TPP破談のニュースもどこ吹く風で、日経平均は1万8000円台をキープ。大発会でつけた今年最高値(1万8450円98銭=1月4日終値)に迫りつつある。
もちろん、ダウ平均も連日の最高値更新だ。自由貿易で経済が活性化し、国が豊かになるなんて、幻想だったということだ。
「トランプ氏は経済政策について、両極端なことを言ってきました。TPPを離脱して保護貿易主義を取るなら、ドル安に向かうはずですが、今は財政出動と減税によるインフレ期待の方が上回っているため、強力なドル高志向になっている。マーケットは本来、不安定要素を嫌います。まだ財務長官も決まっていないし、トランプ氏が具体的な政策を公表したわけではない。それでも、何をしでかすか分からないトランプ氏の存在をマーケットが歓迎しているのは、閉塞感からの脱却を求める気持ちがトランプ大統領を選んだ経緯と似ているのかもしれません。政策の方向性が不確実でも、『何かやってくれるんじゃないか』という期待感が過熱している。ただ、期待が膨らんだ分、突然、反転することは十分あり得ます」(武市佳史氏=前出)
時に愚鈍な大統領はいても、トランプのようなメチャクチャな人物が大統領になるのは初めてで、これまでの経験則は通用しそうにない。マネーの動きも予測不能だ。
日銀に余力はない(黒田総裁)/(C)日刊ゲンダイ
最大の問題は自国経済をコントロールできなくなったこと
すでにドル独歩高の影響で、世界中に金融不安が広がっている。資金が米国に還流し、新興国では通貨安・株安・債券安の“トリプル安”に見舞われているところが少なくない。
メキシコの通貨ペソは、トランプ勝利によって、対ドルで10%以上も急落。中国の人民元も8年5カ月ぶりの安値をつけた。ブラジルのレアルやマレーシアのリンギットも約6%下落。各国は一斉に、市場介入や利上げといった通貨防衛策に乗り出している。自国通貨が大幅に下落し、手放しで喜んでいるのは日本だけだ。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「金融緩和で世界中にバラまかれたマネーが、ものすごい勢いで新興国から米国に逆流しています。一般的に、資金が抜かれれば株安になるし、通貨防衛で政策金利を引き上げれば国内経済が冷え込む可能性もある。資金流出が長引けば、新興国経済の不安定さが増し、金融危機を引き起こすリスクが高まります。ちょうど97年のアジア通貨危機と似た状況です。当時よりグローバル化が進んだ現在では、新興国の危機が一気に世界中に伝播する。そうなれば、米国も日本も無傷ではいられません」
リーマン・ショック以来、日米欧の中央銀行は金融緩和策で危機を封じ込めてきた。無理を重ねてきたから、次にハジければ傷口はより大きくなる。これ以上、風呂敷を広げる余力がなく、日銀がマイナス金利にまで踏み込んだ日本なんて、ひとたまりもないだろう。
■いつ反転してもおかしくない
「日本の場合、『円安=株高』という刷り込みが出来上がっていて、円安なら無条件に株が買われる傾向にある。しかし、今回は国内発の政策的な円安ではなく、完全にトランプ効果だけの外因です。アベノミクスの行き詰まりは誰の目にも明らかで、国内には何ひとつ買い材料がない。そういう危ういバランスの中で、日本だけがグローバル化の流れにこだわり、自国通貨安に浮かれている。足腰が弱まっている中、この先は市場が注目するイベントが目白押しで、今回の円安と同様に海外発の要因に翻弄されることになるでしょう。トランプ氏の勝利で一気に資金の逆流が起きたように、円安のトレンドがいつ、何をきっかけに反転してもおかしくありません」(斎藤満氏=前出)
まずは今月30日のOPEC総会だ。原油の減産で合意できるのか。今年1月、1バレル=約26ドルまで下落した際は、産油国のファンドによる日本株売りが急増した。原油も株式もリスク資産という点では同じ。
12月2日には、11月の米雇用統計が発表される。堅調なら利上げ観測が高まるが、13日からのFOMC(連邦公開市場委員会)で本当に利上げに踏み切るかどうか。
「日米の金利差が拡大すれば、ドル買い・円売りで円安が進むなど、今は金利上昇のいい面だけしか語られていません。しかし、トランプ次期大統領が公約通りの政策を実行して、財政赤字を拡大させれば、どうなるか。米国債が将来デフォルトしてしまう可能性だってあるのです。目先の動きに一喜一憂していると、大きなトレンドを見失ってしまいます」(株式アナリストの黒岩泰氏)
もちろん、株は下がるより上がった方がいいが、異常な円安・株高の陰では地味に深刻な事態が進行している。日本でも金利がジリジリと上昇しているのだ。
大統領選前はマイナスだった10年国債の利回りがプラスになり、0.03%程度にまで上昇。日銀は17日、初の「指し値オペ」を通知したが、応札はゼロだった。翌日から金利は再び上昇している。これだけ借金を積み上げた日本で国債暴落なんて、想像するだけで恐ろしい。こうなると、マイナス金利政策は何だったのかという話にもなってくる。
逆に、休暇から戻ったトランプの発言ひとつで超円高に振れる可能性もある。
最大の問題は、すべてがトランプ次第になってしまったことなのだ。この先どうなるのか、誰にも分からないが、確かなことが2つだけある。グローバリズムに毒された従来の価値観のままでは、先を見通せないということ。そして、日本はもはや自国の経済をコントロールできなくなったということだ。
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