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アベノミクスはリスクか
メディアが円高警戒報道するのは「スポンサーが困るから」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161121-00010000-moneypost-bus_all
SAPIO2016年12月号
アベノミクスで一時(2015年6月)は1ドル=125円台まで円安が進んだが、今は100円近くまで戻し、マスメディアを中心に円高を警戒する声が喧しい。だが、自国通貨の価値が下がるのを歓迎するのは世界で唯一、日本だけだ。投資銀行家のぐっちーさんこと山口正洋氏が解説する。
* * *
ビッグマック指数(※注)をはじめとする購買力平価で見れば、現在の1ドル=100〜103円程度の水準は妥当な為替レートだ。
【※注:その国のマクドナルド「ビッグマック」の価格が購買力を反映するという指数】
メディアは円高局面になるたびに、株価が下落するとか、輸出・外需依存度の高い日本経済は失速するなどと、不安を煽る。だが、それは大間違いだ。
日本企業のうち、円安で輸出が増え、業績が伸びて株価も上がる、というシナリオが当てはまる企業がどれほどあるというのか。
全売上高のうち、海外売上高比率が50%を超えるところを輸出企業と定義すれば、東証上場企業の中で輸出企業はわずか8%程度というのが実情だ。実際、アベノミクスがもたらした円安によって、輸出量が大きく増えたわけではない。
すでに日本からの輸出品は円高でも競争力のある、高度な技術が求められる製品しか残っていない。一方で、価格が下がったら売れるような雑貨的製品の輸出はほとんどない。つまり、円安効果は限定的なのだ。
それに対して、円高になれば日本国民の購買力はどんどん上がる。資源や食料などの多くを輸入に頼っている日本では、円高で消費が減退するどころか、消費増になる。GDPの約6割を占める個人消費が伸びる結果、どんどん経済が成長することになる。
現実には、円高になって大変なのは輸出企業だけだ。しかし、それを日本のメディアが正しく報じないのは、輸出企業には広告宣伝費をたくさん払える大スポンサーが多いからだ。スポンサーが困るようなことは口が裂けても言わないということだ。
【PROFILE】1960年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。大手総合商社や欧米の金融機関を経て、ブティック型投資銀行を開設。「ぐっちーさん」のペンネームで経済金融評論家としても活躍中。『ぐっちーさんの 政府も日銀も知らない経済復活の条件』(朝日新聞出版刊)ほか著書多数。
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