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「稼ぐ力」が人生の大きなリスクヘッジになる。(写真はイメージ)
超高齢化社会が到来、ますます「稼ぐ力」が必要だ 高まるリスクと人生のリスクヘッジ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48399
2016.11.21 安田 修 JBpress
私は、サラリーマンが自由になれないのは、自分で「お金を稼ぐ力」がないからだと考えています。でも、もしかしたら大企業で働いているサラリーマンや公務員の方には、「そもそも自分で稼ぐ力なんて必要ないでしょ」と思っている方も多いのかもしれません。
今回はそこを、説明しましょう。
■大企業が安全だというのは昭和時代の神話
「寄らば大樹の陰」という言葉があります。日本を代表するような大企業に就職さえすれば、人生は安泰。少々辛いことがあっても、我慢して滅私奉公をすれば悪いようにはならない。誰でも遅かれ早かれ課長になり部長になり、退職金と年金をもらって悠々自適。かつてはこの国にも、そんな時代があったのかもしれません。
逆にお聞きしたいのですが、「今でもそれは変わっていないし、これからも変わらない」と本当に思っているんですか?
もしそうだとしたら、かなり洗脳されていると思っていただいた方が良いと思います。世に溢れるニュースなどの情報を普通に見てさえいれば、とてもそういう風には思えないはずなので。
まず、大企業は安全ではありません。日本を代表する家電大手の経営が軒並み破綻寸前まで追い込まれ、ナショナルフラッグシップと呼ばれた航空会社は一度実質的に経営破綻し、電力最大手は原発事故で悪者扱い。
といっても、これは最近というわけでもありません。名だたる金融機関が淘汰されたこともありましたし、リーマンブラザーズもあっけなく倒産しました。大企業が安全だというのは「護送船団方式」といって、今や昭和の時代の神話ですよね。
■年金をもらって悠々自適は昔の話
そもそも、右肩上がりの成長時代との一番大きな違いとして、人口ピラミッドが崩れているんです。
太平洋戦争では、日本のある年齢以上の成年男子が大幅に減りました。それから戦後のベビーラッシュということで一気に若い人が増えて、戦後復興もあいまって、黙っていてもモノは売れ、経済は成長したんです。高度成長ですね。
ところが今は少子高齢化で経済が成長できなくなったことで、大企業であっても儲からなくなってしまっています。若手を育てる余裕もありませんし、会社が成長しないのでポストもありません。もちろん例外はありますが、平均を取ると必然的にそうなります。
年金制度も経済成長期に作られたものなので、今のような高齢化は想定していません。自分の年金を自分で賄う積立方式ではなく、賦課方式といって若い人がお年寄りを支える仕組みなので、高齢化には耐えられない設計です。
高齢化が進むのは随分前から分かっていたのですが、その恩恵を受ける人たちが選挙権の過半数を握っているので、その制度を抜本的に直すことができなかったんですね。「老害」なんて言われたりもします。
だから、既に受給をしている年齢の人は収めた金額よりも多くの年金をもらえるのでしょうが、今の若い人たちは完全に「払い損」です。
年金制度が破綻する、とまでは私は言いません。ただ、貰える時期が大幅に後にずれて、もらえる金額が大幅に減るだけです。年金だけで生活するというのは、これからかなり難しくなるでしょうね。
■国家財政は破綻する
人口ピラミッドの影響により、国家財政も破綻します。
これも厳密には、国債が完全な紙切れになる(デフォルトを起こす)ということではありません。国家には徴税権があり、アベノミクスのように紙幣を大量に刷ってインフレを起こすこともできるので、大増税かハイパー含めてインフレになるかで「実質的に」破綻するということです。
国の借金は1000兆円を越えていると言われますが、これに対して税収は60兆円程度です。単純に考えて、もう返せませんよ。税収60兆円に対して年度予算が100兆円という段階で、もう返すつもりがないのですが(笑)。
さらに大型の補正予算、日銀もETF買い入れの大盤振る舞いと、今は国も借金を返すことはすっかり諦めて、何とかしてインフレを起こそうとしているんですよ。それがだめなら、大増税です。いずれにしても、負担するのは国民です。
「借金はあるが、対応する資産もあるので大丈夫だ」とか「国債は借金ではなくて資産だ」みたいなトンデモ理論を振りかざす知識人(これが、大学教授だったりします)もいますが、そんなわけありませんよね。
普通に考えましょう。借金を返すことができないので、どの世代であれどういう形であれ、最終的には国民が負担します。国家が破綻するわけではなく、無防備な国民の大部分が大損をするんです。
■平均寿命は100歳になる
さらには、一説によれば今後、平均寿命は100歳になります。
平均寿命が高まれば、税収が高まらない一方で、年金や医療などの負担は大きくなりますから、ますます国家財政は逼迫します。企業からも国家からも十分な保障が受けられないまま、寿命だけが伸びる、と考えると不安ですよね。
「そうなったら自分は死ぬから、良いんだ」なんて言う人もいますが、それは今だから言えることです。実際にそうなったら、苦しいながらも何とか長く生きたいと思うのではないでしょうか。
そのときに「国は何をしているんだ!」と怒っても仕方ありません。そうなることは、随分前から分かっていたのですから。
■会社を辞めるリスクは高まっている
日本のシステムはいまだに終身雇用なのですが、大企業への転職や再就職が難しい中で、会社を辞めることになる可能性は高まっています。倒産まで至らずとも業績不振によるリストラや、苦しい業績や成長をしないことによるストレスの増加、人間関係の悪化、不本意な仕事や突然の異動、病気、介護などの家庭の事情などによって、会社を辞めることになるリスクは昔に比べ、高まっています。
致命的なことが起こらなくても、サラリーマンは変な上司が1人来るだけでつぶされる、か弱い存在なのです。働き盛りであればともかく、その会社でしか通用しない年齢になって退職せざるを得ないとすれば、人生が詰んでしまいます。無事に定年まで勤め上げたとしても、100歳を越えて生きることになったら?
したがって、会社に依存することなく自分でお金を稼ぐ能力を付けることは、最大のリスクヘッジです。
資産があるなら資産運用も良いでしょう。しかし、資産運用で救われる人はごくわずかです。大多数の人は好むと好まざるとに関わらず、稼ぐ力が必要になるのです。
私の場合は会社を辞めて、稼ぐ力をすぐに伸ばすのが一番安全と考えました。人によっては、定年までは会社に勤めて、それから稼ぐのが良いと思う人もいるでしょう。突然の解雇に備え、稼ぐ力だけは身につけるという手もあるでしょう。いずれにしても稼ぐ力、言い換えると「人生を選べる力」は必要だと思いませんか?
それでは、また。人生計画で夢を目標に変えて実現する、シナジーブレインの安田修でした。
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