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JR北海道を救うには「値上げ」こそが重要だ 利用者のためを考えるなら路線廃止よりいい(東洋経済)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/836.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 20 日 08:31:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

            経営危機にあるJR北海道。全線のおよそ半分の線区について「単独での維持は困難」と発表した(写真:CRENTEAR / PIXTA)


JR北海道を救うには「値上げ」こそが重要だ 利用者のためを考えるなら路線廃止よりいい
http://toyokeizai.net/articles/-/145757
2016年11月20日 梅原 淳 :鉄道ジャーナリスト 東洋経済


 JR北海道は11月18日、利用者数の減少などにより「単独では維持することが困難な線区」10路線13線区を正式に発表した。

 13線区の合計は1237.2キロメートルで、全線のおよそ半分にあたる。同社は、輸送密度が200人未満の3線区についてはバスなどへの転換について、200人以上2000人未満の8線区については上下分離や運賃値上げなどの方法により鉄道を維持する仕組みについて、地元との協議を開始したい意向だ。地元が廃止に合意している石勝線新夕張ー夕張間と、災害で不通となっている日高線鵡川ー様似間については、すでに協議を行っている。

■毎年90億円の返済は可能か

 まさに、JR北海道は経営危機の真っ只中にある。前期(2016年3月期)決算で鉄道事業から生じる営業損失は482億8000万円となった一方、鉄道事業の営業損失を補てんする目的で民営化時に設定された経営安定基金からの運用益は349億1800万円に過ぎず、会社全体の経常損失は22億2400万円に達した。

 国が支援装置を講じた設備投資助成金の72億1100万円を特別利益として計上した結果、55億8100万円の当期純利益が生じている。しかし、JR北海道の経営陣にとって、うれしいはずもない。2020年度まで実施される国の支援措置は総額1800億円に上る予定だが、そのうち900億円は無利子ながらも返済しなければならないからだ。

 返済条件は10年据え置いた後、10年間で均等に返済していくという内容である。要するにJR北海道は2030年度以降の10年間、少なくとも90億円の経常利益を確保するか、または資産を取り崩すほか選択肢はない。後者の資産取り崩しは最終手段であり、存続のためには年間90億円以上の経常利益が必須となる。

 鉄道事業で経常利益を生み出すには2つの方策しか存在しない。収入である営業収益を増やすか、もしくは支出である営業費用を減らすかだ。一般に、まずは支出削減だろう。JR北海道の鉄道事業における2015年度の営業費用は1251億2700万円であり、「8%程度の100億円くらい削るのは簡単ではないか」と思うかもしれない。

 しかし、それは早計だ。

 実はJR北海道の営業費用は、ほぼ限界まで削減し尽くされている。鉄道事業に関する国のデータがそろっている2013年度で比較してみよう。

 この年、JR北海道の営業費用は1159億5968万9000円だった。営業キロは2499.8キロメートルなので、営業キロ1キロメートル当たりの営業費用は4万6388円ということになる。

 これに対してJR東日本・JR東海・JR西日本のJR本州3社は合計で営業費用が3兆1226億7427万2000円だった。3社合計の営業キロが合計1万4499.1キロメートルなので、営業キロ1キロメートル当たりの営業費用は21万5370円だ。JR北海道の営業キロ1キロメートル当たりの営業費用は、JR本州3社と比べると5分の1に過ぎないわけだ。

 無理をすれば、さらに減らすこともできるだろうが、軌道の保守は必要最小限になるため、安全のためには列車の速度を落とさなくてはならないだろうし、路線によっては雪が降っても除雪ができず、冬季運休も検討せざるをえないだろう。

 もちろん、18日に会社側が正式に発表したように、利用者が少ない区間の営業廃止や上下分離はきわめて有効だ。とはいえ、沿線自治体からの反対にも直面するだろう。確実に実施できるかどうかは不透明である。

■運賃の値上げも必要だ

 つまり、JR北海道が存続していくためには営業廃止や上下分離だけでなく、増収、それも利用者増ではなく運賃の値上げによる増収がきわめて重要な手段と言っていいだろう。

 だが、運賃の改定は非常に評判が悪いうえ、現実にはJR北海道の営業収支を均衡させる運賃を国が認可することはまずない。JR旅客会社の運賃は総括原価方式の下での上限価格制を採用し、基準となる単価やコストはJR旅客会社同士で比較するヤードスティック方式を採り入れているからだ。

 とはいえ、運賃を改定できなければJR北海道の明日はない。では、JR北海道にとって適正な運賃とはどのような水準であろうか。2013年度の国のデータをもとに試算してみたい。

 JR北海道の旅客運輸収入(2013年度)は670億7006万1000円、そして営業収益は759億1990万8000円、営業費用は1159億5968万9000円。営業損失は400億3978万1000円と巨額に上る。

 ここで注目すべきは、旅客1人当たりの旅客運輸収入の内訳。料金(特急料金や特別席など)を含む定期外運賃が1003.0円あるのに対し、定期運賃は143.3円に過ぎない。そして輸送人員で41.5%に過ぎない定期外運賃の利用者による旅客運輸収入が全体の83.2%に達しているのだ。

 「定期運賃の少なさ」はJR北海道の苦境を語るうえで欠かせない。「地域の足」とはいうものの、実質的には観光客といった一見さん頼みの鉄道事業であることが明らかだ。

 ちなみに、定期外運賃の利用者の平均乗車キロは50.5キロメートルで、札幌-新千歳空港間の46.6キロメートルとほぼ同じだ。この区間の運賃は1070円(46〜50キロメートルの930円に特例で140円を加算したもの)と、料金を含めた定期外運賃の1003.0円という数値に酷似している。

 極論ながら、JR北海道の収入の過半数はこの区間から得られたものだと言っていい。

■現在の1.22倍の運賃で収支均衡

 今回の試算では運賃を定期外、定期の別に分け、それぞれの輸送人員の比率に注目した。求められる旅客運輸収入をこの比率で運賃の種類別に分配した結果、求められた旅客1人当たりの旅客運輸収入が適正な運賃だ。

 なお、わかりやすいように旅客運輸収入は営業収益と等しいと考えたが、実際には営業収益の部には手小荷物運賃、鉄道線路使用料収入、運輸雑収が含まれる。それからもうひとつ、国土交通省の統計には料金を支払って乗車した旅客の輸送人員や旅客人キロについては記載されていない。従って、定期外運賃とは料金を含めた定期外運賃と見なした。

 営業収支を均衡させるに当たって、まずは経営安定基金の運用益を考慮した適正運賃を求めてみよう。

 2013年度の経営安定基金の運用益は341億7300万円であった。したがって、営業費用の1159億5968万9000円から341億7300万円を差し引いた817億8668万9000円が目標とする旅客運輸収入となる。

 輸送人員などほかの要件が変わらないという前提だが、この目標を達成するには、運賃を1.22倍に引き上げればよい。定期外運賃を例に挙げると、札幌-新千歳空港間は現行の1070円から1223.1円になる。

  しかし、収支均衡だけでは、まだ足りない。前述のように、2030年度以降は毎年90億円を国に返済しなければならないからだ。そこで今度は、目標とする旅客運輸収入も、さらに90億円増やした907億8668万9000円として試算してみよう。

 この試算では、1.35倍の運賃値上げが必要になる。つまり、札幌-新千歳空港間の定期外運賃は1357.7円になる。

 さらに過酷な条件として、運用難により経営安定基金の運用益はゼロとし、そのうえで毎年90億円返済することを仮定してみよう。このケースでは、営業収支を均衡させるための旅客運輸収入は1249億5968万9000円となる。その場合に必要な運賃は現行の1.86倍だ。札幌−新千歳空港間の定期外運賃は1868.8円にハネ上がる。

■安い運賃を残すのか、JR北海道を残すのか

 試算を振り返ると、定期外運賃は最初に挙げた1.22倍でも相当に上昇したように感じられるはずだ。一方で、定期運賃は通勤定期、通学定期とも、ほかの交通手段と比較すれば十分に割安だろう。

 現行の運賃制度の場合、通勤定期乗車券で幹線に16.5キロメートル乗車したときの定期運賃は1カ月で1万1520円である。16.5キロメートル乗車したときの幹線の定期外運賃は360円で、360円×30日×2回=2万1600円と比較すると割引率は47%と極めて高い。

 3番目の運用益を期待しない条件の場合、幹線に16.5キロメートル乗車した際の1回当たりの通勤定期の運賃は、現行の1.86倍である294.7円となる。この金額をもとにした1カ月の通勤定期乗車券の運賃は1万7682円だ。定期外運賃(現行の1.86倍で計算した場合の1カ月分は4万176円=360円×1.86倍×30日×2回)に対する割引率は56%にもおよび、現行の運賃制度よりさらにおトクになってしまう。

 バス事業者の場合、通勤定期運賃の割引率は25%程度である。3番目の条件はJR北海道にとって、もはや緊急事態だ。通勤定期運賃の割引率は25%もあれば御の字だろう。

 定期運賃にも手を付けなければならないことは明らかなのではないか。しかも、この試算では利用者数は2013年度と同じであることを前提としており、人口減少や運賃値上げによる影響を考慮していない。状況は、もっと深刻だ。

 今後は18日に明らかにされた通り、路線廃止や上下分離が地元との交渉の軸になるだろうが、運賃値上げを組み合わせることで存続できる路線もあるはずだ。現行の運賃認可制度のもとで改定が難しければ、冬季割増料金や、設備の改修が必要な線区に対しては鉄道整備料金といった各種料金の導入も検討されていいのではないか。いずれにせよ、JR北海道の営業収支均衡化に向けての議論が活発に行われることを期待したい。

 

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コメント
 
1. 2016年11月20日 08:56:58 : BrD3U4nArU : iH1hTOj5NMI[22]
過疎地で旅客と貨物を分けるのが間違いのもと。

2. 2016年11月20日 10:59:28 : eosRIioHnw : 505BUYVZnVQ[11]
このような方式で分社化したのが間違いのもと。
再統合してしまえ。
そしたら、金が余りすぎてリニアなどやろうなどと思わないだろう。

3. 2016年11月20日 12:20:10 : wf4bUBNj8A : p4HqGOPF9yI[3]
北海道を荒れ地にするのか? 必要なインフラだから鉄道を敷いたんじゃないのか?

北海道だけを分社化したのがそもそもおかしいんだろう。


4. 2016年11月20日 12:20:44 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3302]

ま、いろいろ、トライするのは悪いことではないが

単にさらに自動車へと需要が流れるだけで、値上げしても潰れるのは変わらないし

潰れても問題はない



5. 2016年11月20日 14:03:51 : GZW6gLWW1V : bwASXJ3WbLE[2]
「経済」と名の付くメディアが載せるレベルの文章じゃないな

既にローカル線はサービスの質に対する対価で考えれば非常に
高いものになっている、これ以上値上げしても収入が減るだけ


6. 2016年11月21日 01:09:37 : C4nhwMcfAc : pXB8iz5IT_Y[89]
当方は最近、このようなコメントを書きました。

<JR北海道>赤字235億円 収益100円に費用155円(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/349.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 05 日 12:35:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU

●当方の投稿です。
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/349.html#c1

運賃値上げと言いますが、これをやったらJR北海道の命取りになりますよ。この文章を書いた梅原とやらは、1978年の国鉄運賃50%値上げを知らないようですね。国鉄の財政は危機的状況に至り、やむなし国会で通したものの、それの結果は旅客、貨物輸送量の大幅落ち込みでした。貨物は有蓋車が多かったが、中身はすっからかんで走っていた。多くの貨物がトラックに移行したんだ。旅客もブルートレインが当時ブームになったものの、値上げが響いて航空機への移行が本格化。

50%もの大幅値上げを行なったにも関わらず、経営は悪化するばかりの状況に、国鉄再建法が1980年11月に成立。その中で国鉄路線を「幹線」「地方交通線」に分けて、輸送密度が4,000人/日未満である路線は「バスによる輸送を行うことが適当である」として「特定地方交通線」に指定し、廃止対象になりました。

特定地方交通線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%9C%B0%E6%96%B9%E4%BA%A4%E9%80%9A%E7%B7%9A

註 今日では、この特定地方交通線の廃止と、国鉄の分割・解体を同一に思われている人が多いのですが、本来これらは別個の問題です。当方は国鉄の分割・解体に強硬に反対していますが、特定地方交通線の廃止は「必要」だと断言します。

●もし仮に国鉄が今日まで続いていたとしても、先ほど当方がコメントした記事の表にある「輸送密度2,000人未満の路線」と言うのは、国鉄の基準では完全に廃止してバス転換しなければならない輸送量です。そのために国鉄は「国鉄バス」を運行していた。有名な例が、福島県の白棚線(はくほうせん)です。

白棚線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%A3%9A%E7%B7%9A

国鉄は戦時中のレール供出でなくなった「白棚線」を、国鉄バスで復活させたのです。この手法で日本中のローカル線をバス転換する予定であった。ところが、「金権腐敗汚職政治屋」の田中角栄が、土建屋の仕事を確保するために日本鉄道建設公団なるものを設立した。これにより高規格のローカル線が次々と建設された。

更に1960年代末期に国鉄が「赤字83線」を廃止しようとしたところ、田中角栄が首相の権限を使って、これに介入した。これにより赤字ローカル線の廃止が出来なくなった。これが国鉄の命取りになったのです。全ての元凶は、田中角栄にある。

赤字83線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%AD%9783%E7%B7%9A

●当方が尊敬する、かつての九州・小倉工場長だった元国鉄職員・久保田博先生も、赤字ローカル線を廃止するよう、著書の中で書かれていました。

久保田博
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%85%E4%BF%9D%E7%94%B0%E5%8D%9A

久保田先生は、にわか鉄道評論家の川島令三氏を批判していましたが、当方も元国鉄・JR職員として、梅原氏の主張に反論します。
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/349.html#c1

当方は上のコメントで、ニュージーランドの南島の鉄道事情についても触れていますが、旅客輸送は限られた区間でしか行なわれておらず、それも「観光列車」としての性格が強い列車です。

日本では世界の趨勢と違い、鉄道を旅客中心に考えていますが、本来、鉄道は貨物中心です。北海道では、その傾向が特に強く、石炭や木材や農産物の発送が多かったのです。国鉄分割・解体の過程で旅客と貨物を分割したことが、今日まで響いている。

●北海道の主力産業は農業です。その農産物は、鉄道輸送に頼っているのだから、貨物輸送だけを残し、鉄道維持のための費用は農業関連予算から出してはどうかと当方は提案しました。もう、これしか北海道の鉄道を残す理由はないと思います。


7. 2016年11月21日 09:15:35 : aapBFm8DC2 : cdeVqmUZIYw[3]

利権政治が、横行する日本!
「地方創成」を宣うなら、何兆円?もかかる「リニアモーターカー」を中止して、地方に投資しろ!
少子高齢化の時代に「リニア」等必要なし!
「リニア」等、既存の新幹線と客を奪い合うだけではないか!

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