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米大統領選挙の結果が日本銀行の今後の金融政策に大きな影響を与えそうだ Photo:REUTERS/アフロ
追加緩和は様子見の日銀に誤算 「トランプ大統領」誕生の衝撃
http://diamond.jp/articles/-/107778
2016年11月17日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
9月に発表した「総括的な検証」を経て、現時点で日本銀行は今後の追加金融緩和策の選択肢四つを次の順番で説明している。
(1)マイナス金利(現在マイナス0.1%)の深掘り、(2)10年物国債金利(長期金利)誘導目標(現在ゼロ%)の引き下げ、(3)上場投資信託(ETF、現在年間6兆円購入)などの資産購入策の拡大、(4)マネタリーベース拡大ペース(現在年間80兆円)の加速、である。採用される場合の優先順位も、この順番と考えられる。
今月の「展望レポート」で日銀は、物価動向について「注意深く点検していく必要がある」と述べた。以前であればそれは追加緩和のサインだったが、「総括的な検証」後の日銀はなるべく追加緩和を避けたがっている。政策の弊害を無視できなくなっているからだ。
7月までの声明文で日銀は、金融政策を判断する際は「経済」と「物価」の二つを点検すると述べていた。しかし、9月以降は「金融情勢」を加えた3点を考慮していく姿勢に転換した。
国債の買い入れやマイナス金利政策によって市場金利を押し下げ過ぎると、銀行や証券・保険会社、年金ファンドなどに深刻な打撃を及ぼしてしまう。その結果、金融仲介機能の悪化や国民の不安を招いてしまえば、何のための緩和策なのか分からなくなってしまう。
日銀は公式には言及していないが、引退した団塊世代の消費に元気がないのは、マイナス金利政策が及ぼす心理的悪影響が理由のように思われる。日銀もそれを意識しているからこそ、実施中の政策のタイトルから「マイナス金利」の言葉を9月に取ったのだろう。
インフレ率に関しては、原油価格下落による下押し圧力は、来年1〜3月に消えると日銀はみている。また、実質所得が伸びている割に現役世代の消費が弱い状況がいつまでも続くはずはなく、来年はインフレ率が緩やかに上がっていくはずだと期待もしている。
黒田東彦・日銀総裁の任期である2018年4月までに、インフレ率2%の目標に達することは無理とはいえ、緩やかながらもインフレ率が上昇するのならば、当面様子を見るべき。日銀幹部はそんなスタンスに傾いていた。ただ、その前提としては、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利上げを決定し、為替レートが円高方向に向かわないことが必要だ。
11月4日に発表された米雇用統計を見て、スタンレー・フィッシャー・FRB副議長は「今年の労働市場の状況はかなり良い」と評価した。12月の利上げ確率が高まっていることを事実上示唆していた。しかし、日本時間11月9日に結果が出た米大統領選挙でドナルド・トランプ共和党候補が当選。このことで世界経済が不安に包まれれば、FRBは利上げを見送る可能性がある。
円高を和らげようと、日銀が選択肢(1)マイナス金利の深掘りを実施すれば、銀行など金融機関の経営はより心配な状況になる。一方、選択肢(2)長期金利誘導目標の引き下げは、保険会社や年金ファンドの資金運用を悪化させてしまう。
(1)を実施して(2)は見送る場合、長期金利をゼロ%近辺に維持するには国債買い入れオペの減額が必要だ。しかし、それでは為替市場から「日銀はテーパリング(量的緩和策の縮小)を始めた」とみられ、円高阻止の効果が弱まってしまう恐れがある。そもそも、マイナス金利の深掘りが為替レートに効くか疑わしい面もある。
日銀は世界経済が落ち着きを取り戻すよう切に祈っているだろう。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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