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量の政策の誤りを認めた浜田内閣官房参与  久保田博幸(金融アナリスト)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/702.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 16 日 11:13:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

量の政策の誤りを認めた浜田内閣官房参与
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20161116-00064487/
2016年11月16日 9時45分配信 久保田博幸 | 金融アナリスト


15日の日経新聞に浜田宏一内閣官房参与とのインタビュー記事が掲載された。このなかで浜田氏は次のような発言をしていた(以下、日経新聞朝刊より引用)。

「アベノミクスの『第1の矢』では岩田規久男日銀副総裁のインフレ期待に働きかける政策が効いた」

「国民にとって一番大事なのは物価ではなく雇用や生産、消費だ。最初の1、2年はうまく働いた。しかし、原油価格の下落や消費税率の5%から8%への引き上げに加え、外国為替市場での投機的な円買いも障害になった」

「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」

2012年11月にスタートしたアベノミクスと呼ばれた大胆な金融緩和を中心とした政策は、インフレ期待に働きかける政策が効いたものの、原油価格など外的要因の障害により物価上昇が阻まれたかのような分析である。このあたりは日銀の主張と一致する。しかしである。少なくとも一時的には効いたとした量による政策効果をここにきて否定してきたのである。

学者があらたな事実が発覚したことで、考え方をあらためるということは通常であれば、当然あってもしかるべきということになろう。しかしである。浜田氏はその間違っていた政策を政府に提言した上で実行に移されてしまった。いわば実証もされておらず、むしろ以前の日銀を中心にリフレ政策は誤りであると認識されていたものを、アベノミクスというかたちで実行に移してしまった。それが4年経ってやっと浜田氏がその誤りを認める事態となった。浜田氏は次のような発言もしている。

「(著名投資家の)ジョージ・ソロス氏の番頭格の人からクリストファー・シムズ米プリンストン大教授が8月のジャクソンホール会議で発表した論文を紹介され、目からウロコが落ちた。金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ。もちろん、ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない」

いまさら目からウロコもないであろう。そもそも金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるというのもおかしい。政策金利がゼロ近くになってしまったのでその代替手段として出てきたのが量的緩和ではなかったのか。ただし、量を増やせば物価が上がるという波及経路に関しての認識が誤っていたことも、ある意味立証されたということになる。

しかし、だから減税も含めた財政の拡大が必要だという理論も本当に正しいのか。リーマン・ショックや欧州の信用不安に対して、日米欧の中央銀行が大胆な金融緩和を実施したのは、財政出動に限界が来ていたためである。金融緩和がダメなら財政出動という考え方はあまりに安易すぎる。

浜田氏がデフレはマネタリーな現象だとの説の誤りを認めても、日銀が踏み込んでしまった異次元緩和は簡単に止めることはできない。ブレーキすらも掛けることが難しいことで、それとなく買入額の縮小も可能となる「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という絡め手を打ち出した。しかし、これにも「オーバーシュート型コミットメント」を付けないとリフレ派の賛同は得られなかった。「オーバーシュート型コミットメント」とは安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するというものであり、これは浜田氏が認めた間違った政策を強く押し進める姿勢を示してしまったものである。


久保田博幸
金融アナリスト
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。
 

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コメント
 
1. 2016年11月16日 12:54:10 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3251]

>「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」

異次元緩和を開始した時点では、こうしたモデルの前提として需給関係の安定性がほぼ成立していたから、そう間違ってはいなかった

ただし、その後の、世界的な金融・政治危機、資源価格の急落や、反グローバリズムの拡大は、

特に日本や中韓など輸出依存国で大きく需給バランスを変化させ、一国の金融政策だけで物価をコントロールできるものではないという結果になったわけだ


>金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要

こんなことを浜田が知らなかったとは思えないが、金融政策の威力を過大評価していたことは間違いない

ただし、GDPの2倍の赤字国債を日銀が買い続ければ、インフレになると思うのが普通で、

マスコミなど世間一般ではハイパーインフレになると叫んでいたわけだから、これも非難はできないだろう


>浜田氏が認めた間違った政策を強く押し進める

ここは久保田の理解が間違い

金融緩和政策は、当然、方向として正しかったが、それだけでは不十分であり、

国債など買い入れ資産の枯渇や、金融機関の経営リスク増といった副作用が増加し

限界に到達したというのが現実


そして財政なしのリフレ策の限界が、まさにYCCへの転換をもたらしたと言える。

ただし財政ファイナンスとしてのQE政策はいずれにせよ必要だから、今後も続くことになるだろう

ま、何度も言うように、

金融政策のみでは、金融危機を抑制し、金融安定性を維持できても、景気やインフレ率をコントロールはできない

それに財政政策が加われば、景気(雇用・企業利益)とインフレ率は改善でき、再分配強化で底辺層を救済はできるが、

国民全体の実質生活水準は上がらない(少子高齢化が進めば、当然、下がる)

だから

そこにイノベーションや生産性、消費効率を改善する構造改革が加わらなければ国民生活は上昇しないということだ


2. 2016年11月16日 22:14:47 : tgB3pTnIXY : TFFrMssdVpA[44]
>(著名投資家の)ジョージ・ソロス氏の番頭格の人からクリストファー・シムズ
>米プリンストン大教授が8月のジャクソンホール会議で発表した論文を紹介され、
>目からウロコが落ちた。金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、
>マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。
>今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ。
>もちろん、ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない

目からウロコじゃねーよ、それを勉強不足というのだ。
ケインズがもう70年以上前に行ってたことなんだが。今頃何言ってんだ。

「ジョンブル(イギリス人のこと)は、たいていのことは我慢するが、2分の利子率には我慢できない」
この仮定では、2パーセントの利子率を下回るような債券は、売れ行きが極端に悪くなり、流動性の罠が発生する。これは、投資家の貨幣に対する取引需要を名目金利が下回ってしまうためである。低すぎる利子率水準のもとでは、人々は後の金利の上昇を予想して貨幣で資産を保有するようになり、貨幣供給が増しても貨幣保有が増すだけで、資金は債券購入に回らず、市場利子率はそれ以上低下しようとはしなくなるためである。


流動性の罠(りゅうどうせいのわな、英: Liquidity trap)とは、金融緩和により利子率が一定水準以下に低下した場合、投機的動機に基づく貨幣需要が無限大となり、通常の金融政策が効力を失うこと。


3. 2016年11月16日 22:21:48 : mZCVWXPtBk : uFp4kbMfdWY[14]
>国民全体の実質生活水準は上がらない(少子高齢化が進めば、当然、下がる)
ここは間違っている。

>そこにイノベーションや生産性、消費効率を改善する構造改革が加わらなければ国民生活は上昇しないということだ

効率化や構造改革はデフレを助長するだけだから、経済学の文脈で語るものではない。
財政学か経理学の分野で語ってくれ。


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