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[ビジネスTODAY]ニコン「自前」執着が裏目
名門・半導体装置の合理化発表 先端技術の開発縮小
ニコンは8日、1千人規模の人員削減を柱とする構造改革を発表した。目玉は半導体製造装置事業のリストラだ。かつて隆盛を誇った「日の丸半導体」の製造技術をけん引した「名門」の面影はもうない。自前主義に執着し、世界の技術潮流の変化を捉えきれなかった。
「財務が健全な今だからこそ改革を断行する」。牛田一雄社長は都内での決算説明会で強調した。構造改革は市場が縮小するカメラ事業にも及ぶが、本丸は半導体回路を形成する露光装置だ。
この事業は日本産業史の金字塔だ。日本の半導体産業は1970年代後半に発足した官民プロジェクトが礎となり飛躍した。微細加工を可能にする国産初の露光装置を開発し、この事業を後押ししたのが日本光学工業(現ニコン)だった。以降は米インテルなど世界の半導体企業から引く手あまたの存在となった。
だが、2000年前後に変調が起きる。台頭したのはオランダのフィリップスから84年に独立したASMLだ。技術を開放して外部の研究機関やレンズなど部材企業と連携する「オープンイノベーション」の手法で、機動的に製品を投入した。
対するニコンは技術を「ブラックボックス」にして、自前主義を貫いたが、結果ははっきりと表れた。ASMLに逆転され、15年のシェアは10%余りまで落ち込んだのだ。岡昌志副社長兼最高財務責任者(CFO)は記者会見で「挽回は不可能」と白旗をあげた。
世界の電機産業はデジタル技術の進歩で参入障壁が下がった。家電や半導体では先進国の開発・設計会社とアジアの受託製造会社の水平分業が進み、自前主義にこだわった日本企業は開発のスピード感を欠き、激しい価格競争にも巻き込まれ、競争力を失っていった。
日立製作所やソニー、パナソニックなどは事業構造改革を経て立ち直りつつある。だがニコンのように「光学」と「精密」という日本のお家芸といえる高度な技術を持っていても、自前主義の落とし穴にはまってしまうことがはっきりした。
岡副社長は「露光装置事業の売却や清算も検討した」と明かしたが、当面は開発費を削減し、利益が見込める案件に絞って受注活動をするという。その上で「18年3月期までに露光装置事業を黒字にする」と強調した。
だが身を縮めるだけでは持続的な成長は見込めない。精密業界を見渡しても、キヤノンは露光装置の先端品の開発から手を引き、医療用の画像診断装置や監視カメラの分野で大型買収に踏み切った。富士フイルムはヘルスケア分野を強化し、構造転換に成功している。
8日のニコンの株価は前日比21円高の1647円で引けた。株式市場では「業績や財務基盤が深刻に悪化する前に手を打ったことは評価できる」(シティグループ証券の芝野正紘ディレクター)との声が出ている。
ニコンは来年創業100周年の節目を迎える。今後は医療機器や産業機器を成長分野と位置づけるが、その具体策を早く示すことが今の経営陣に求められている。
(新田裕一、押切智義)
ニコン、今期7年ぶり最終赤字
ニコンは8日、2017年3月期の連結最終損益が60億円の赤字(前期は182億円の黒字)となる見通しと発表した。従来予想から360億円下方修正し10年3月期以来、7年ぶりの赤字となる。人員削減などに伴う構造改革費用を480億円計上することが響く。
改革費用には希望退職者募集に伴う割増退職金、半導体製造装置事業での在庫の廃棄・評価損が含まれる。これまで未定だった年間配当の予想も発表。前期から2円減配の16円とする。
売上高は2%減の8000億円、営業利益は55%増の490億円となる見通し。売上高が従来予想を200億円下回る一方、営業利益は30億円上回る。半導体装置やカメラの売り上げが想定を下回るが、中国での需要増で液晶パネルの製造装置の販売が増えるため。
一連の改革で18年3月期に200億円のコスト削減効果を見込む。
岡昌志副社長は「今後も世界で開発や生産、販売の最適化を検討していく」とし、追加の構造改革について含みを残した。
[日経新聞11月9日朝刊P.11]
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