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私たちは日銀にお金を貸している? 意外と知らない「お金」の話(写真=Thinkstock/GettyImages)
私たちは日銀にお金を貸している? 意外と知らない「お金」の話
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161114-00000018-zuuonline-bus_all
ZUU online 11/14(月) 17:10配信
読者のみなさんは「お金」は好きですか?
どれくらい好きですか?
財布に入っている「お金」を真剣に見たことがありますか?
お金には、紙幣(お札)と貨幣(硬貨)があります。では、紙幣と貨幣にはどんな違いがあるのでしょうか。
紙幣は紙で、貨幣は金属で造られています。それは素材の違いですね。ちなみに、オーストラリアのお札などは、プラスッチックを使っているそうです。でも、ここで取り上げるのは素材の話ではありません。
今回は、一般の人には難しいと敬遠されがちな「お金の話」を分かりやすく紹介しましょう。
■紙幣は日本銀行が発行する「借用書」です
紙幣と貨幣は、発行体が違います。1万円札を良く見ると「日本銀行」と書かれていますね。さらに大きく「日本銀行券」と書いてあります。紙幣の発行体は、日本銀行です。
日本銀行券とは、つまり債権のことです。
読者のみなさんの目の前にある1万円札は、日本銀行がみなさんから1万円を借りたことを証明する「借用書」ということができます。
一方、貨幣はどうでしょうか?「日本国」と書いてあります。もうお分かりですね。貨幣は、政府が発行しているのです。
それにしても、日本銀行にお金を貸していることを意識している人は意外と少ないのではないでしょうか。もう少し詳しく「お金」について見てみましょう。
■日銀が供給する「お金の量」はどんどん増えている
具体的に「お金の流れ」を追ってみましょう。
紙幣、つまり「日本銀行券」は独立行政法人国立印刷局がつくり、金融機関が日本銀行の当座預金から引き出しています。
まず、政府が国債(国が出している債券で、国がお金を借りるための借用書)を発行します。金融機関は国にお金を貸して、借用書(国債)としてそれを受け取ります。
次に、その借用書(国債)を日本銀行が買い取ります。その買い取りの際に日本銀行券(紙幣)を使います。このようにして市場にお金が供給されるのです。
日本銀行が国債をどんどん買っているので、市場に供給される「お金の量」もどんどん増えているということになります。
■「信用創造」と呼ばれる手品のカラクリ
ちなみに、日本銀行が発行している「日本銀行券」の残高は、2015年末で98.4兆円(155.6億枚)です。一方、「家庭の金融資産残高」は1700兆円あります。
あれっ? ここで疑問を持たれた読者も多いかと思います。「日本銀行券」の残高と、「家庭の金融資産残高」があまりにもかけ離れていますね。なぜでしょうか?
家庭の金融資産残高には、株式や外貨などの資産も含まれているので「日本銀行券」の残高と違ってきます。でも、それだけが理由ではありません。
たとえば、Aさんが1000万円持っていて、銀行に1000万円預けました。銀行は、預かった1000万円のうちの900万円をBさんに貸しました。Bさんは、300万円を手元に残し、残りの600万円を銀行に預けました。また、銀行は預かった600万円のうち、500万円をCさんに貸します。
Aさん、Bさん、Cさんのお金を合計すると、Aさんの1000万円+Bさんの900万円+Cさんの500万円で、合計2400万円になります。元の1000万円が2400万円に増えました。まるで手品のようですね。
これを経済学では「信用創造」といいます。
このように、お金というのは実際に手でさわれる現金だけではありません。そもそも、お金には実体がなく「信用」で成り立っている側面が大きいのです。
もし、発行体である国や日本銀行の「信用」がなくなったら……そう考えると少し怖いですね。
長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
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