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日本経済、トランプの政策で「好循環が逆回転」のシナリオ
http://diamond.jp/articles/-/107770
2016年11月14日 週刊ダイヤモンド編集部
「まさか」のトランプ新大統領の誕生に、直後の日本株は下落で反応した。円高による企業の業績悪化も警戒される中、市場の目は、新たなリスクを見極める段階に移り始めた。
「先進国の政策への信頼性がこれほど疑われた局面は過去になかった」。三井住友トラスト・アセットマネジメントの三澤淳一チーフファンドマネジャーは嘆息する。資産運用業界に身を置き約30年。長い経験を持つプロでも、先が全く読めない不透明な局面が到来しているのだ。
米大統領選の結果が伝わった9日、東京市場は「トランプショック」に見舞われた Photo:PIXTA
当初は泡沫候補にすぎなかったが、投票の結果、米国の大統領就任が決まった共和党のドナルド・トランプ氏。「まさか」の悲観シナリオが現実化し、市場は大きなショックに見舞われた。
米大統領選挙の行方を世界で最も早く映すことになった9日の東京市場。現地で開票が進み、トランプ氏優位が判明するにつれ、日本株に強烈な売り圧力がかかった。
リスク回避姿勢が強まり、日経平均株価は前日比の下げが一時1000円超に到達。同919円安(5.4%安)の1万6251円で取引を終え、下落幅は英国の欧州連合(EU)離脱が決まった6月24日以来の大きさだった。
外国為替市場では一時1ドル=101円台前半まで円高・ドル安が進み、朝方より4円程度も円相場の水準を切り上げた。
対照的だったのが9日の米株式市場だ。不安も残る一方で、新政権の政策に対する期待が関連銘柄の株価を押し上げ、ダウ工業株30種平均は一時最高値を更新し、ひとまず楽観論が広がった。
その流れを受け、10日朝の東京でも日経平均株価は前日の下げを吸収。短期的な値動きだけ見ると、不安の芽は引っ込んだかのように映る。
確かにトランプ氏は、9日未明の勝利宣言で「インフラ投資が最重要課題」などと述べ、経済成長加速への決意を示してみせた。打ち出した政策を見ても、金融規制やエネルギー開発関連規制の緩和、大型減税など、米国経済の上振れに寄与しそうな項目が散見される。
とはいえ、市場が完全に落ち着きを取り戻せるのか、予断を許さない。市場関係者がリスク回避の姿勢を崩しにくいのは「先行きにあまりにも不確定要素が多過ぎる」(国内投資信託のファンドマネジャー)からに他ならないからだ。
何しろ、建国240年の歴史上、行政経験も軍歴もない米大統領の就任は、今回が初めてだ。しかも、過激で奔放な発言を繰り返し、共和党の議員からも次々に支持を失った人物が大国のトップに立つという異例の事態。直後の米市場が株高で応じたとはいえ、いずれの政策も確約されたわけではない。
■円高リスクを警戒
こうした先行き不透明感の強い環境下では、リスク資産からマネーを逃避させるのが投資の定石だ。市場関係者の間では、不確実性の高まりから、連邦準備制度理事会(FRB)が12月は利上げに踏み切れないとの見方が増えており、これは円高・ドル安の圧力となる。
日本政府はこれまで、企業収益の改善を設備投資や雇用拡大、さらに賃上げや消費拡大につなげていく「経済の好循環」の実現を目指してきた。その“起爆剤”こそ、日本銀行の大規模な金融緩和を受けた円安の進行だった。
だが、英EU離脱決定後に急激な円高・ドル安が進み、今後も警戒感から円高基調が続くと、企業収益に逆風が吹く。
円高が日本企業の業績に与えるインパクトは看過できない。
例えば輸出企業の本丸たるトヨタ自動車の場合、1円の円高・ドル安で営業利益に年400億円ものマイナスの影響が出る。トヨタなど完成車メーカーのほか、精密機械、電機などの輸出企業にとって、円高は収益の重荷となる。
日系証券会社の試算を総合すれば、対ドルで1円円高が進んだ場合、主要上場企業の経常利益を、0.5%程度押し下げる。
12月の米利上げの公算が小さくなることを折り込み、100円割れの水準まで円高が進行、株価は下落し年末までの日経平均株価の下値は1万4000円との見方もある。
日本経済が円安という“動力源”を失いつつある中では、大企業が来年の春闘で賃上げに前向きにはなりにくい。
となれば個人消費も盛り上がりを欠く。
何かと先行きの視界が晴れない中で、今後市場が注視するのは、来年1月の大統領就任後の振る舞いだ。
「イスラム教徒は入国禁止」「中国製品の輸入関税を45%に」「メキシコとの国境に壁を造る」……。トランプ氏は選挙期間中から常識外れな政策の数々をぶち上げてきたが、そうした発言が実は米国民の“本音”を代弁し、大統領選勝利につながった面は否めない。
前述のような政策が、そのまま議会の賛同を得るのは難しい中で、トランプ氏がどのように現実と向き合い、“落とし前”をつけるのか。あるいははちゃめちゃな言動を繰り返すのか。仮に現実路線に歩みだせば、市場は落ち着きを見せるだろうが、選挙で国民の支持を受けた主張や破天荒な気質と相反する自己矛盾に陥りかねず、政治上の混乱を招くだろう。
一方、トランプ氏の政策がそのまま実現すると、米景気や世界経済に暗い影を落とす公算が大きい。
特に懸念されるのが貿易政策だ。トランプ氏はTPP(環太平洋経済連携協定)撤回などを掲げ、保護主義的な姿勢を鮮明にしている。
米ピーターソン国際経済研究所は、トランプ氏が主張する中国やメキシコへの関税引き上げは、米国に景気後退を招くほどの悪影響を及ぼすと警告している。また米国の保護主義を起点に、世界各国でも保護主義的な動きが加速するシナリオを懸念する向きもある。
そうなれば、市場はリスクオフに傾き、円高が加速するだけでなく、世界貿易低迷などを通じて世界経済が下振れし、日本の企業業績に悪影響を及ぼす。当然、日本の株式相場にも下落圧力がかかる。
市場は当面、先々のシナリオを描きづらい「見えぬリスク」との神経戦を強いられそうである。
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