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「消される年金」問題で国相手の訴訟も
64歳11か月で退職した人の「消される年金」で国相手に訴訟も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161112-00010000-moneypost-bus_all
週刊ポスト2016年11月11日号
政府はこれまでサラリーマンが加入する厚生年金の「所得代替率」を100年後でも50%を維持すると公約してきた。
所得代替率は「将来の年金受給額÷現役時代の平均給料」という単純な計算式で求められ、「所得代替率50%以上」とは、将来もらえる年金水準が現役時代の平均給料の50%以上になることを保障するという意味だ。
ところが、厚労省は分母の現役時代の平均収入は税金や社会保険料を除いた手取り額、分子の年金額は税・保険料を引かれる前の支給額面で計算していた。分母を小さく、分子を大きくすれば、数字が大きくなるのは自明である。
どちらも支給額で正確に計算し直すと、所得代替率は2013年時点で公約ギリギリに近い50.9%で、2043年には40%台に下がる。「所得代替率50%」の政府公約が守れないことを隠すための水増しだ。
さらに制度の詐術は全体の仕組みだけでなく、個々の年金にもかけられていた。現在、全国で静かに進行しているのが「消される年金」事件だ。翻訳会社のサラリーマンだったS氏は5年前の2011年8月30日、65歳の誕生日の1か月前に退職した。
「これから年金生活だ」
翌日、年金事務所を訪ねて年金支給額を計算してもらった。年金オンラインの端末は、厚生年金加入期間41年間(492か月)で年金見込額を約210万円(年額)とはじき出した。ところが、10月になって届いた厚労大臣の年金決定通知書を開くと、加入期間433か月で支給額が約185万円と書かれている。25万円も少ない。
S氏は何度も年金事務所に足を運んで説明を求めたものの、厚労省と違うシステムのオンライン端末を使っている年金事務所では何度入力しても25万円多い数字(正確な算出額)が表示されるから、年金事務所の窓口担当者たちも困惑した。
■4年11か月分が消された
原因は年金決定額を計算するコンピューターの“プログラムミス”だった。厚生年金は65歳までは特別支給という制度で、働きながら受け取る在職老齢年金は60歳までの加入期間で年金額が決定される。退職後に、改めて計算が行なわれ、60歳以降の加入期間を加えた満額の年金額になる。
年金決定額を計算するコンピューターは「64歳10か月」までに退職した人には満額が計算されるが、「64歳11か月」で退職したケースだけ60歳以降の5年分の加入期間を除いた金額が算出されていた。
年額25万円の差は大きいが、低い年金額が支給されるのは65歳になる月の1か月分だからS氏の実害は約2万円だった。ややこしいことに、65歳以降は年金額が再々計算されて満額が支給される。それにしても年金算出に2つのシステムを並行して使用していたとは開いた口が塞がらない。
2万円といえども、泣き寝入りはしたくない。S氏は年金事務所に大臣決定額の訂正と未払い額の支払いを求めた。
ここから年金官僚たちは醜い保身に走りだした。年金コンピューターの計算プログラムにミスがあったということは、「64歳11か月」で退職した人すべてに送付された厚労大臣の年金決定額が間違っていたことになる。1人の金額は2万円でも、被害者がどれだけ出てくるかわからない。
実際、S氏と同じ64歳11か月で退職したIさんも、年金事務所で伝えられた年金見込額(約204万円)より約25万円減額された大臣通知(約179万円)が送られていた。
折しも、厚労省や日本年金機構は消えた年金記録の照合作業を行なっていた時期だ。そこに新たな年金未払いが発覚すると、厚労省は一層批判を浴びて窮地に追い込まれる。
年金官僚たちは信じがたい対応をとった。年金の細かい法解釈を変更し、「64歳11か月」で退職した人たちだけ年金が減額される年金コンピューターの大臣決定額が正しく、年金オンラインの年金見込額が間違っているという見解を年金事務所に通知したのだ。
それまで長い間、年金窓口で相談者に年金オンラインの見込額を説明していた各地の年金事務所はパニックに陥った。S氏とIさんは国(厚労省)を相手に訴訟に踏み切った(裁判は別々)。
■国は敗訴しても上告
〈不合理な法解釈により不利益が生じるのは、その額の大小にかかわらず看過できない〉
東京地裁は判決文で厚労省のやり方を厳しく批判し、S氏は勝訴した。国は控訴したが、2審の東京高裁でもS氏が勝訴した(判決は昨年9月)。それでもなお、厚労省は最高裁に上告して「64歳11か月退職者の年金減額」という過ちを改めようとしない。
公判では呆れる事実も発覚した。厚労省はわずか2万円の年金未払いをS氏に返金したくないがために、年金額を正しく計算していたオンラインのシステムを、年金コンピューターの間違った計算式に合わせるようにこっそり改変させていたのだ。国が裁判所に提出した控訴理由書には、そのシステム変更が「1億円以上の多額の費用をかけて行われた」と記載されている。
投じられた1億円以上の国民のカネは、年金官僚の保身ための無駄金以外の何ものでもない。
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