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[ポジション]劣後債 崩れた暗黙の了解
英銀が期限前償還を見送り 投資家に動揺、投信も急落
劣後債市場で、ある「事件」が波紋を広げている。英スタンダードチャータード銀行が1日、2006年に発行した劣後債の初回の期限前償還を見送ったのだ。経営状態が極端に悪化した場合を除き、初回の期限前償還はこれまで暗黙の了解だった。この慣例が崩れて「償還されないリスク」が浮き彫りになり、関連する金融商品は大きく値下がりしている。
スタンダードチャータードが期限前償還を見送ったのは、06年に発行した償還期限のないドル建ての永久劣後債。償還して同様の社債を発行するよりコストが安いのが見送りの理由だ。新興国経済の不振で収益が低調なスタンダードチャータードにとっては至極、当たり前の選択ではある。
だが、債券市場の受け止め方は違った。同銀の永久劣後債の初回の期限前償還は17年1月に設定されており、市場はこのタイミングでの償還を前提にしていた。つまり、投資家にとっては「10年債」だったのだ。
慣例に背けば市場の信頼を失い、次回以降の社債発行時の調達金利が跳ね上がるリスクがある。このため、金融機関は目先のコストより市場での評判を優先してきた。
それだけに、償還見送りは「大きな驚き」(大手生命保険会社)だった。発表を受け、この劣後債の価格は3日時点でそれまでに比べて約14%も下落した。英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドや仏クレディ・アグリコルなどの類似の債券にも売りが広がった。
日本の投資家にとっても「対岸の火事」ではない。スタンダードチャータードの債券を保有する「パインブリッジ金融機関ハイブリッド証券ファンド2014―07」や「グローバル金融機関ハイブリッド証券ファンド2013―11(三菱UFJ国際投信)」など複数の投資信託の基準価格が急落した。
さらに「国内の劣後債市場にも冷や水を浴びせかねない」(BNPパリバ証券の中空麻奈氏)。期限前に償還される可能性のある劣後債の発行は今年に入って急増し、すでに3兆円を超えた。継続的に劣後債を発行する必要性が低い事業会社を中心に「コスト削減効果を優先し、期限前償還見送りに動く可能性もある」(りそな銀行の杉浦公彦氏)という。
超低金利の昨今では、どうしても利回りの高さに目が向かいがち。投資家は劣後債のリスクを適正に評価できているのか。もう一度、冷静に見直してみる必要がありそうだ。
(松本裕子)
[日経新聞11月5日朝刊P.19]
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