★阿修羅♪ > 経世済民115 > 519.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
それを「想定外」と呼んだ全ての人の敗北 政策転換リスク 米12月利上げ観測再燃 円高は? OECD、主要新興国で成長加速
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/519.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 10 日 01:20:37: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

それを「想定外」と呼んだ全ての人の敗北

もしトランプが大統領になったら…

トランプの米国:「米国」「世界」「日本」はこう変わる
2016年11月10日(木)
池田 信太朗
 「想定外」という言葉を聞く時、私たちは、その言葉を発した組織や人物が時代の変化に対応できなくなっていることを知る。ドナルド・トランプ氏という人物が次代の米大統領に選出されたという結果が示すものとは、その事実を前に「想定外」という言葉をつぶやく他ないすべての人の「敗北」だった。

 英国の国民投票がEU(欧州連合)脱退という民意を世界に示した時にも感じていた。フィリピンのロドリゴ・ロア・ドゥテルテ大統領の発する言葉にも、インドのナレンドラ・モディ首相の政策にも感じていた。その違和感に対してそれぞれ世界史上の稀有な「例外」だと自らに言い聞かせて来た人々は、しかし、世界最強の国家で生まれたこの新しいリーダーを前に、どうやらこれらの現象が民主主義のエラーによるものというよりも、世界の大きな変化の表れと考えた方がいいのではないかと悟り始めている。

 「金の総量」という世界の富の総量を奪い合うゼロ・サムゲーム――誰かが豊かになれば誰かが貧しくなるゲーム――が強要された金本位制の時代を超えて、20世紀後半以降、世界は、自由貿易の輪を広げることで「全員が豊かになれる」という夢を共有することができた。その利害が一致していることが、各国に最善の安全保障をもたらす。2度の世界大戦と冷戦を経て、世界はその「結論」に収斂するかのように思えた。いわば「経済は政治を超える」。その20世紀における最大の実験がEUであり、21世紀のそれが環太平洋経済連携協定(TPP)だったと言えるだろう。

 英国と米国の民意は、それぞれに「否」を突きつけた。

 「オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐」の中で、篠原匡・ニューヨーク支局長は、産業の転換に取り残されながら、新たな仕事を探すことも、その地を去ることもできない「白人の町」の困窮と、その原因を他国の経済成長や移民に帰する排他主義の台頭を描いていた。その姿は、英国が決別した欧州で、失業したギリシャの人々が、生まれた地から離れようとせず、経済成長を謳歌するドイツに怨嗟の声を上げる姿と重なって見える。

 ヒトやモノの往来の障壁を引き下げれば、より豊かな生活を求めて人々は「最適な場所」に移動していく。自由貿易主義のそんな仮説が幻想に過ぎず、どうやら人間とは、やはり土着的なナショナリズムにその心を縛られ、自由になれない存在なのではないか。そんな懐疑が「全員が豊かになれる」という理想を破り、「あの国が豊かになったせいで自分たちは苦しくなった」というゼロ・サムゲームの心理にまで時代を後退させつつある。

 「『トランプ大統領』、Brexitに意外な追い風」の中で蛯谷敏・ロンドン支局長は「フランスの極右政党である国民戦線のマリーヌ・ルペン党首はすぐにツイッターでトランプ大統領誕生を祝っている。反EUを掲げる欧州の極右政党にとっても、トランプ氏の大統領就任は追い風となる可能性がある」と指摘している。

 トランプ大統領が世界を変えるのではなく、世界が変わったからトランプ大統領が生まれたと言うべきかもしれない。

 日経ビジネスは、その変化を「例外」と捉えずに大きな変動の兆しと見て、かねて特集「もしトランプが大統領になったら」と題して「トランプの時代」を占って来た。同氏の当選を受けて、新たに3つのテーマで識者や現地に取材して記事を配信する。

その1:米国の変容

 1つ目は「米国の変容」。トランピズムを生んだ土壌、廃墟のような「白人の町」を訪ね歩いた「消去法のアメリカ」シリーズに、当選確定後に大統領選挙戦を振り返った「オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐」を配信。フィナンシャル・タイムズからは、反トランプの米国人による手記「トランプ勝利 睡眠薬が必要だ」を翻訳掲載した。熱烈にトランプを支持する層と、「明日、ニュージーランドに飛ぼうと思う。筆者は本気だ。とにかく今は、米国から可能な限り遠く離れるのがよさそうだ」と記事を書き出す記者。この両者の断絶の深さを、改めて比べてお読みいただきたい。

本日配信の記事から
オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐
トランプ勝利 睡眠薬が必要だ
米国から移住するしかないかもしれない
金融関係者には「冬の時代」が続く
日本郵政・長門正貢社長に聞く
議会と手を握れるか、接点は「減税策」
トランプ氏の米国:みずほ総研の安井明彦氏に聞く
その2:震える世界

 2つ目は「震える世界」。トランピズムが顕在化させた世界の変容が、各地にどんな変化をもたらすかを考えた。「経済政策の分かりにくさ以上に分からないのが、トランプ氏が外交で何をやってくるかだ。トランプ大統領の誕生で起きる最も大きな変化は、地政学リスクの高まりではないか」と「これから大きくなるのは地政学リスク」の中で指摘するのは笹川平和財団特任研究員の渡部恒雄氏。ほか、英国のBrexit(EU離脱)に与える影響を蛯谷支局長が取材した「『トランプ大統領』、Brexitに意外な追い風」、サイバー空間におけるリスクを慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授の土屋大洋氏が解説する「サイバー空間の不安定化に拍車」などを配信した。

本日配信の記事から
「トランプ大統領」、Brexitに意外な追い風
英国とEU、離脱交渉で形勢逆転?
これから大きくなるのは地政学リスク
中国は尖閣問題で米国の出方を探ってくる
トランプ氏、真の姿は柔軟なビジネスマン
思想界の気鋭、萱野稔人氏が斬る大統領選
「トランプ当選」しか書けない中国SNSの闇事情
「ウチにも公安が来た」と主婦が震える言論統制
サイバー空間の不安定化に拍車
日本と韓国で始まる「核保有」議論
その3:身構える日本

 最後に「身構える日本」。世界で先進国が試みて来た自由貿易の実験の末端で、日本は、内需の伸びが止まりつつあることでようやくその重い腰を上げてTPPに参加を決めた。政府が進めるこの起死回生の決断が、米国に覆されるかもしれない。だが、「そこまで心配ない」と状況を冷静に見守るのが元・防衛大臣の石破茂氏。「選挙期間中に言ってきたことと、大統領になってから実際にやることは大きく変わるなんて、よくあります。例えばロナルド・レーガンは大統領選挙のときに、中国に対抗して台湾と国交を回復すると言いました」と、トランプ氏の理解と変化に期待する(「石破氏:「トランプ大統領」は豹変する」)。一方で、企業経営者からはTPPの実現を注視する声が聞こえてきた(「TPPの成否で船舶需要に影響も」、ジャパンマリンユナイテッドの三島愼次郎社長)。

 日本経済に対する短期的なインパクトについては、エコノミストや企業経営者に聞いた。「日本の経済成長率はゼロ%台半ばに落ちる」(第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏)、「為替は1ドル90円台前半へ」(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト・唐鎌大輔氏)、「日銀は苦しい立場に追い込まれる」(東短リサーチ チーフエコノミスト・加藤出氏)など悲観論が多数を占めたが、中には「ご安心を、日経平均の底値は1万6000円」(SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリスト・藤本誠之氏)といった声も上がった。

本日配信の記事から
日本株の命運は、今週金曜に決まる
三菱UFJモルガン証券・古川真ストラテジストに聞く
為替は1ドル90円台前半へ
すべての動きがドル安につながっていく
石破氏:「トランプ大統領」は豹変する
自民党も民進党もパイプ作りはこれから
日銀は苦しい立場に追い込まれる
マイナス金利深掘りは意味がない
日本の経済成長率はゼロ%台半ばに落ちる
円高から所得減は避けられない
サントリー新浪社長「日米経済の現実直視して」
新政権への要望
TPPの成否で船舶需要に影響も
ジャパンマリンユナイテッドの三島愼次郎社長に聞く
 トランプ的なるものが世界を覆いつつある今、その行く末を「想定外」と呼ばずに対応していけるかどうか。この時代を生きる国や企業それぞれが問われている。


このコラムについて

もしトランプが大統領になったら…
米大統領選の投票日、11月8日まで、レースは秒読みの段階に入った。
共和党の候補、ドナルド・トランプ氏には女性蔑視発言という新たな“逆風”が加わった。
共和党の重鎮たちの間で、同氏を見切る発言が相次いでいる。
だが、トランプ氏はこれまで、いくつもの“試練”を乗り切ってきた。
米兵遺族を中傷する発言をした時にも、「タブーを破った」として評価を下げたが、いつの間にか、民主党のヒラリー・クリントン候補の背中が見える位置に戻ってきた。
クリントン氏が再び体調を崩すことがあれば、支持率が逆転する可能性も否定できない。
「もしトランプが大統領になったら…」。
この仮定は開票が済む、その瞬間まで生き続けそうだ。
日経ビジネスの編集部では、「もしトランプが大統領になったら…」いったい何が起こるのか。
企業の経営者や専門家の方に意見を聞いた。
楽観論あり。悲観論あり。
「トランプ氏の就任が米国の『今』を変える」との意見も。
百家争鳴の議論をお楽しみください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/101200023/110900037


 

オピニオン:
トランプ次期大統領の政策転換リスク

安井明彦みずほ総合研究所 欧米調査部長
[東京 9日] - 来年1月に始動するドナルド・トランプ共和党政権の特徴を一言で分類すれば、「known unknown」すなわち「分からないことだけが分かっていること」だと、みずほ総合研究所の安井明彦・欧米調査部長は指摘する。

選挙中も公約は二転三転しており、政治経験の欠如、スタッフ不足、共和党議会の分裂リスクなど波乱要因は山積し、政策の不透明性が高水準となるのは必至だと見る。

同氏の見解は以下の通り。

<大きな政府への傾斜>

今回の米大統領選は、政治経験のない実業家ドナルド・トランプ氏が共和党候補者指名争いを勝ち抜いたうえに、本選でも勝利するという、異例の展開で幕を閉じた。後講釈にすぎないが、現状に対する米国社会の不満はそれだけ強く、トランプ氏が勝ったというよりも、政治のプロの象徴的存在であるヒラリー・クリントン氏(民主党候補)が負けたということなのだろう。

現状に対する不満の解消(真の変化)を約束して船出するだけに、トランプ政権は世論に振り回されながら常に迷走する恐れがある。そもそも、選挙期間中もトランプ氏の公約は二転三転しており、次期政権の特徴を一言で分類すれば「known unknown」、すなわち「分かっていないことだけが分かっていること」だ。政治経験の欠如、スタッフ不足など波乱要因は山積し、政策の不透明性が高水準となるのは必至である。

それでも過去の言動から政策運営をあえて予想すれば、次の3つの方向性は高い確率で追求されそうだ。まず「大きな政府」へのシフト、第二に、それにも関連するが、財政赤字の拡大容認、さらに米国第一主義に基づく閉鎖的・保護主義的な政策への転換である。

米国では「大きな政府の民主党」「小さな政府の共和党」と言われてきたが、そもそもトランプ氏の経済政策はその伝統的な共和党の路線から外れている。象徴的なのは、年金・医療保険だ。共和党はそれらの分野の予算削減を主張してきたが、トランプ氏は2015年6月の演説で「削減せずに、年金と医療保険を救う」と表明している。

注目すべきは、トランプ氏だけでなく、共和党の支持者においても、「大きな政府」志向が強まっていることだ。世論調査によれば、年金の削減に反対する割合は、民主党支持者と同じくらい高水準だ。かつて保守派運動「ティーパーティー」の躍進もあり、「共和党は小さな政府への傾斜が進んでいる」との論調がよく聞かれたが、そうした解釈の正しさが問われる状況となっている。

とはいえ、オバマ政権が導入した医療保険制度改革法(通称オバマケア)が廃止を免れるかは不透明だ。トランプ氏は、年金・医療保険の削減には反対しているが、民間保険業界主導の新たな仕組みの必要性を主張している。

現在、複数の州で保険料が高騰していることが社会問題となっており、それに対する政策的な手当てが足元で必要な点はトランプ政権も理解するだろう。だが、「クリントン大統領」ならば、恐らくはテクニカルな修正だけで済んでいたところ、オバマケア廃止までにらんだ大手術に乗り出す可能性もある。その場合、共和党は、オバマケアに代わる新たな仕組みを自ら提示する必要があり、混乱の長期化は必至だろう。

<共和党の分裂リスク>

トランプ政権で予想される政策方向性の第2のポイントは、財政赤字の容認だ。実は、クリントン氏も同様の政策方向性を示していたが(インフラ投資拡充の考えも同じ)、自然増を超えた財政赤字拡大の度合いや中身に関しては、大きな違いがあった。

特に歳入面では、クリントン氏の場合、富裕層増税が盛り込まれており、自然増を超えた財政赤字拡大の度合いはかなり小さかったが、トランプ氏の場合は、増税をせず、大型減税のみを提案していたことから、赤字拡大の度合いは格段に大きかった。

上下両院で過半を維持したとみられる共和党は、前述したように「小さな政府」志向とはもはや必ずしも言えない状況だが、民主党に比べて財政規律へのこだわりがいまだ強いのは事実だ。トランプ氏の計画通りに行くのか、共和党議会との綱引きとなろう。

最後に、対外的な関わりについて言えば、そもそもこれまでは民主党が保護主義的で、共和党が開放的な政策志向が強いと考えられてきた。ところが、今回の選挙戦では、むしろその逆で、トランプ氏の方がより強く閉鎖的な姿勢を前面に押し出した。「メキシコとの間に(移民流入を防ぐ)壁を築く」「環太平洋連携協定(TPP)は最もひどい通商合意」「日本は(在日米軍経費について)全額負担すべきだ」といったトランプ氏の発言はその象徴だ。

むろん、そうした言動は選挙戦を勝つための戦術だったのかもしれないが、トランプ氏の場合は、本気で言っている可能性も懸念される。後者ならば、トランプ氏を阻止できるのは、共和党議会だけという構図になる。トランプ氏が持論にこだわれば、共和党が大きく割れてしまうリスクも浮上するだろう。

*安井明彦氏は、みずほ総合研究所・欧米調査部長。1991年東京大学法学部卒業後、富士総合研究所(当時)入社。在米日本大使館専門調査員、みずほ総研ニューヨーク事務所長などを経て、2014年より現職。主な著書に「アメリカ 選択肢なき選択」などがある。

*本稿は、安井明彦氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

(聞き手:麻生祐司)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「米大統領選」に掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/opinion-trump-akihiko-yasui-idJPKBN1341S1

9月OECD景気先行指数、主要新興国で成長加速
[パリ 9日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)が発表した9月の景気先行指数(CLI)で、ブラジルやロシアなどの新興国に加えて中国やインドなどで成長が加速していることが示された。

米国や日本および、フランスやイタリアなどのユーロ圏では安定成長が見込まれるという。OECDによると、短期的には英国も安定的に成長する見通しだが「欧州連合(EU)離脱をめぐるEUと英国の合意内容に対しては根強い不透明感がある」もよう。

ドイツ、カナダでも成長は加速しているという。
http://jp.reuters.com/article/economy-oecd-idJPKBN13423N

 

米12月利上げ観測再燃、トランプ氏勝利でも予想確率67%に上昇

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米短期金利先物相場は、米大統領選で共和党ドナルド・トランプ氏の勝利を受けた当初の上げ幅を縮小、米連邦準備理事会(FRB)による12月利上げ観測が再び高まっている。

米短期金利先物12月限は1.5ベーシスポイント(bp)高の99.51。CMEのフェドウォッチによると、市場は12月利上げを約67%の確率で織り込んでいる。オーバーナイトの取引では約50%まで低下していた。

想定外のトランプ氏勝利で、世界の金融市場が混乱する中、12月利上げ見送りとの見方がいったん高まったが、FRBはそれでも利上げに踏み切るとの観測が再燃している。

8日時点では、市場は76%の確率で12月利上げを織り込んでいた。
http://jp.reuters.com/article/us-moneymart-see-dec-rate-hike-even-afte-idJPKBN1342TD

 

コラム:
「トランプ勝利」で円高はどこまで進むか

村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト
[東京 9日] - 日本時間11月9日朝から開票が始まった米大統領選挙では、共和党のドナルド・トランプ候補が、大方の予想を覆す形で民主党のヒラリー・クリントン候補を僅差で破り、第45代大統領に就任することになった。同時に実施された米議会上下両院選でも、共和党が事前予想通り下院の過半数を確保するだけでなく、上院も予想に反し過半数を確保した。

トランプ氏が大統領選に勝利するとの見方が強まるにつれ、為替市場はリスク回避姿勢を強める展開となった。

ドル円は、大統領選の開票序盤に105円台半ばと10月28日以来の高値を付けたが、トランプ氏が激戦州の1つであるフロリダ州で優勢であると伝えられると、ドル売り・円買いが始まり、別の激戦州であるオハイオ州でもトランプ氏が優勢と報じられると、一時101円台半ばと、数時間で高値から4円も下落した。

午後に入り、トランプ氏がミシガン州やペンシルバニア州といった民主党の牙城と言われていた州でも優勢であることが伝わると、101円台前半へと一段安になった。

トランプ氏の勝利は、リスク回避姿勢の強まりに脆弱とされる豪ドル、カナダドル、新興国通貨を売る動きを加速させた。豪ドル円は、豪ドル安に円高の動きが加わったことで下落が続き、82円近辺から77円ちょうどと5円も下落。メキシコペソは対ドルで12%近く下落し、過去最安値を更新した。メキシコペソは、トランプ氏が選挙期間中、メキシコ系の合法移民や不法移民による母国への多額の送金を強く批判し続けていたことで投機的な売りも加わった。

株式市場は世界的に全面安となった。日経平均株価は後場開始直後に800円安を記録。いったんは持ち直しの動きも見られたが、終盤にトランプ氏が勝利する可能性が高まったことで下落幅は一時1000円を超えた。米株式先物市場ではS&P500Eミニ先物とナスダック100先物がともに値幅制限いっぱいまで下落した。一方、リスク回避姿勢が強まると買い優勢になる金は、一時1オンス=1337ドルと9月26日以来の高値を記録した。

<日本経済のリスク回避姿勢が強まる可能性>

英国民が欧州連合(EU)からの離脱を選択し、環太平洋連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)を否定するトランプ氏が米大統領選に勝利したことで、グローバリゼーションの深化を続けてきた世界経済は転換点を迎え、保護主義(反グローバリゼーション)に傾きつつあると認識すべきだろう。

12月にはイタリアで憲法改正の是非を問う国民投票が実施されるが、憲法改正が否決されれば、イタリアで解散・総選挙を求める声が高まると予想される。来年には3月にオランダで総選挙が、4月にはフランスで大統領選が実施され、9月にはドイツでも総選挙が実施される。ユーロ圏各国で反EUを主張する政党が勢力を拡大し、一部の国では政権を担うこととなれば、保護主義の流れはより強まることになる。

グローバリゼーションの恩恵を長期にわたり享受してきた日本経済にとって、トランプ氏の米大統領選での勝利は決して喜ばしいものではない。保護主義的な考えが強いトランプ氏が米大統領に就任することで、日米の貿易環境は悪化する可能性が高く、日本企業が米国への投資意欲を低下させることも考えられる。

トランプ氏が日米安保体制に対し否定的な見方を抱いているのは多くに知られたことであり、中長期的には日米安保体制が弱体化する恐れもある。この場合、中国など周辺国と日本との間での地政学リスクが高まることは避け難く、日本経済におけるリスク回避姿勢がより強まることも考えられる。

<FRBへの信認も低下か、対ドル95円台も視野>

為替市場では、トランプ氏の勝利が確定すると、ドルを買い戻す動きが強まり、ドル円は103円台半ばまで反発したが、このままドル買いの動きが続くとは考えにくい。トランプ氏の大統領就任で米政策運営の先行き不透明感は高まり、米債利回りの上値は重くなるだろう。

今後の金融市場の反応次第とはいえ、市場が織り込みつつあった12月連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げが見送られ、米金利上昇を背景としたドル高の動きが後退する可能性もある。

トランプ氏が大統領に就任することで、減税やインフラ投資が拡大し、米景気が拡大するとの思惑もあるようだが、財政規律の順守を目指す共和党が上下両院で多数派を維持したことで、大規模な財政刺激策によるドル高も期待しにくい。トランプ氏の保護主義的な経済政策で米景気の拡大が仮に加速したとしても、世界経済全体で考えればゼロサムゲームの一環でしかなく、国際金融市場でリスク回避姿勢が大きく後退すると期待するのは早計だ。

中長期的には、トランプ氏の大統領就任でドル高局面がドル安局面に変わる展開も視野に入れておくべきだろう。TPPやNAFTAの否定だけでなく、移民の抑制、輸入関税の引き上げなどを主張するトランプ氏が、過去の連続性を無視し、ドル高政策を放棄する可能性は否定できない。

トランプ氏が2018年2月に任期を迎えるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長を再任しない意向を示していることも忘れてはならない。共和党を中心とした超党派議員団は、FRBの金融政策の適切性を米議会の監査対象とする法案を検討しているが、トランプ氏は同案に賛意を示している。トランプ氏の大統領就任でFRBの独立性が脅かされることも考えられ、FRBへの信認低下を通じ、ドル安が常態化する可能性もある。

保護主義の強まりを背景に、金融市場のリスク回避姿勢が続く展開も想定すべきだろう。購買力平価(PPP)で見た円は割安感が依然として強く、トランプ氏の今後の発言をきっかけに円買いの動きが強まる場面も多々ありそうだ。

9日の値動きを参考に、ドル円が今後も下げたとしても、100円ちょうど近辺で止まるとの見方もあるようだ。確かにドル円は8月中旬や9月下旬に100円ちょうど近辺に下落したものの、その後は下値の堅い動きを見せた。しかし足元の動きは、トランプ氏が勝利演説で具体的な政策運営について言及しなかったこともあり、一気に強まったドル売りの自律反発でしかない。

今後、トランプ氏が保護主義的な政策運営実施の意向を示すことで、ドル売りの動きが再び強まれば、ドル円は2012年9月の安値(77.1円)から2015年6月の高値(125.9円)の61.8%戻し水準である95円台後半くらいまで下げ幅を広げても不思議ではない。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。著書に「名門外資系アナリストが実践している為替のルール」(東洋経済新報社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-masashi-murata-idJPKBN13422I


 

欧州委、17年ユーロ圏成長率予想下方修正 政治的不透明感高まる

[ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、ユーロ圏の2017年の経済成長率見通しを1.5%とし、5月に示した1.8%から下方修正した。英国のEU離脱問題を含む政治的な先行き不透明感が高まっていることに加え、世界的な貿易が軟調になっていることが理由としている。

欧州委は16年の成長率見通しは1.7%とし、前回予想の1.6%から若干上方修正。18年は1.7%に回復するとの見通しを示した。15年の成長率は2.0%だった。

欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)は「欧州の17年の経済成長は春の時点と比べ、一段と困難な状況に置かれる」と述べた。

欧州委は、英国のEU離脱決定のほか、欧州大陸全体で欧州懐疑主義(ユーロスケプティシズム)を唱える政党の支持拡大を受けた「政治的な先行き不透明性」が成長率鈍化の主な要因となると指摘。ただ8日投開票の米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことについては言及しなかった。

このほか、EU域外の成長鈍化、および世界的な貿易が軟調となっていることも欧州経済の重しになると予想。欧州経済は18年までの数年間は内需にけん引されるとの見方を示しながらも、エネルギー価格の上昇により内需が圧迫を受ける可能性もあるとした。

ユーロ圏のインフレ率については、16年は0.3%と、前年のゼロ%から上昇すると予想。17年と18年は1.4%に上昇するとの見通しを示した。16年予想は若干の上方修正となるが、17年予想は据え置きとなる。欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏のインフレ率を中期的に2%をやや下回る水準とすることを目標としている。

英国の成長率については、16年は1.9%になるとし、従来予想の1.8%からやや上方修正。ただ17年は1.0%に鈍化するとし、従来予想の1.9%から大幅に下方修正した。

英国のインフレ率は17年は2.5%になると予想。5月に示した見通しの1.7%から大きく上方修正した。英ポンドの下落に伴う輸入価格の上昇が主な要因としている。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-growth-rate-revised-down-amid-p-idJPKBN1342TZ


9月OECD景気先行指数、主要新興国で成長加速
[パリ 9日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)が発表した9月の景気先行指数(CLI)で、ブラジルやロシアなどの新興国に加えて中国やインドなどで成長が加速していることが示された。

米国や日本および、フランスやイタリアなどのユーロ圏では安定成長が見込まれるという。OECDによると、短期的には英国も安定的に成長する見通しだが「欧州連合(EU)離脱をめぐるEUと英国の合意内容に対しては根強い不透明感がある」もよう。

ドイツ、カナダでも成長は加速しているという。
http://jp.reuters.com/article/economy-oecd-idJPKBN13423N  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2016年11月10日 01:22:02 : Aq7FRm7SXc : 6l4hCxMsuTk[2]
誰が大統領になっても、経済は理論通りに動くしかない。

FRBの金融政策と金融政策に追随した財政はすでに経済破綻している。米国はドル安に戻して過剰消費から脱却するために、やり直しが必要だ。

やり直しにはそれなりに資金が必要になる。金融逼迫が世界規模で起こる確率がどんどん高くなっていくだろう。

日米の経済の飛躍には物理学が参考になる。人はジャンプするとき足で地面をけるために、大きく腰を下げなければならない。立ったままの楽した姿勢ではジャンプは絶対にできないのだ。楽が先行する立ったままの飛躍は不可能だから、物理経済も本当に飛躍したいなら、いったんは大きく落ち込むだろう。

トランプ政権には暗雲だらけだ。その理由は

企業の業績が好転しない限界の壁ができたことと、米国は過剰消費国だと世界が認識できていないこと


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民115掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民115掲示板  
次へ