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コラム:
市場を怯えさせる米大統領選の「テールリスク」
Jeffrey Goldfarb
[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国で8日に行われる大統領選と議会選を総合的に考えた場合、確率は低いが、実際に起きた際には投資家が資産配分モデルを根底から修正せざるを得なくなるようなリスクが存在する。民主党のクリントン候補が当選した上で、同党が上下両院の過半数議席を制するというシナリオだ。
これは政策面で市場を怯えさせるほどの大きな変化につながる。言うなれば、民主党のシンボルであるロバになぞらえた「ドンキー・テールリスク」だ。
ドンキー・テールリスクの確率は低下してきている。数週間前、共和党のトランプ候補の過去の女性蔑視発言が話題になった場面で、選挙結果の予測で変動するアイオワ電子取引市場(IEM)の先物は、民主党が大統領と上下両院を同時に制する確率が25%程度あると見込んでいた。しかし足元ではこの確率が5%程度まで下がった。
一方で連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の私用メール問題の捜査再開を決めたことなどをきっかけにトランプ氏当選の可能性が上向くと、議会選でも共和党の追い風になった。FBIのコミー長官がクリントン氏の訴追を求めない方針を再確認したのはようやく今月6日になってからだ。こうした中で、IEMの先物は共和党が上院と下院の双方で過半数を確保できる確率は50%近くあるとみている。同党の現有議席は上院が100議席中54、下院が435議席中246だ。
世論調査結果や市場の見立てがいかに当てにならないかは、最近の英国の欧州連合(EU)離脱問題やコロンビアの政府と左翼ゲリラの和平に関する国民投票の結果が物語っている。
それを踏まえれば今回の米国の場合は、クリントン氏の優勢が伝えられていてもトランプ氏の当選の事態にも備えておくべきだということになる。だが民主党が大統領、上下両院で全勝する可能性という反対方向のリスクに向けられている配慮ははるかに乏しい。
市場は大統領候補の所属とは逆の政党が議会を制してブレーキ役となる事態を好ましいと考える傾向がある。オバマ大統領の下で議会でも民主党が多数派だった局面においては、医療制度改革や金融規制改革などを実行できた。もしクリントン氏が当選し、議会も民主党が制すれば、銀行や製薬会社への締め付けは一段と強まり、国防費が削られてインフラ整備などの支出拡大が進む可能性が出てくる。つゆほども疑うことを知らない投資家にとっては、そんな展開は寝耳に水となるだろう。
http://jp.reuters.com/article/usa-election-congress-breakingviews-idJPKBN1330FE
コラム:
「ヒラリー大統領」が日本に求めること
熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト
[東京 8日] - 米大統領選挙を目前に控え、多くの金融機関関係者が6月の英国ショックを思い出して身をすくめている。直前のメール問題で民主党のヒラリー・クリントン候補が共和党のドナルド・トランプ候補に逆転を許すのではないかという恐怖感からである。
仮にそれが現実となると、あの時と同じように選挙直後は為替も株価もオーバーシュートして、そこが底値となるだろう。
本稿は、逆にクリントン候補が以前の予想通りに当選することを前提に書いている。
<次期米大統領に吹く4年周期の追い風>
まず、なぜクリントン候補が大苦戦したのか考えよう。米国通の人は何と説明するかは知らないが、筆者は2015―16年の米経済が不安定だったことが理由だと見る。
この米経済の不安定さは、力量に乏しい雇用に象徴的に表れている。失業率が5%を切っても、中間層の厚みは戻らず、賃金上昇率は最近まで鈍かった。
過去10年間の米経済を振り返ると、大統領選の前年と当年は荒れている。オバマ大統領が当選した2008年は、リーマンショックの年。その前はサブプライム問題があった。2011年と2012年は欧州経済の波乱である。今回は、2015年に中国の人民元切り下げがあり、2016年は新興国が揺らいだ。
この経験に沿って考えると、リーマンショックからの立て直しを期待されてオバマ大統領は就任したが、その対応が不十分だったから、2012年は苦戦した。2016年も同じ民主党のクリントン候補が大苦戦するのは当たり前に見える。
しかし、4年ごとのサイクルでは、その次の大統領の就任年は景気が改善している。2016年も後半になって再加速となっているから、2017年はクリントン候補には比較的恵まれた経済環境になろう。日本経済も米国の追い風で、景気改善に向かうと予想される。
<円安容認は望み薄、内需拡大を要求か>
クリントン候補の外交姿勢は、中国とロシアに対して厳しく、日本など同盟国との連携強化に傾くと思える。オバマ政権の外交姿勢が甘すぎたという反省を色濃くにじませるだろう。
その点で環太平洋連携協定(TPP)推進となっても何ら違和感はないが、クリントン候補には、それができない可能性がある。不支持が高いと不人気政策が取れないという図式からである。
日本にとってクリントン候補の同盟強化は好都合に見えるが、微妙なのは通貨政策だろう。日本の為替介入や日銀の円安誘導は簡単に許しそうにない。これは他の国々に対してもそうだから、日本だけに甘い顔をしないということだろう。新政権の下で、円安が進むとしても2015年までの1ドル120円台とはならないと見る。
リスクとして、クリントン候補が保護主義に走るとの警戒感もあるが、筆者はそれはないと考える。TPPが試金石となって、自由貿易の枠組みには推進姿勢が戻ると見る。TPPに新たな条件を付けて「私が反対したTPPではない」と言って、2017年中にTPPをまとめる可能性もある。米国はプラグマティズムの国だから、戦略的に有利なことは最後に決断すると思う。
新政権が日本政府に要求してくるのは、日本経済が存在感を増すことだろう。米国の肩代わりをできるように、経済力を強化してほしいと望む。財政拡張に対して、より寛容になるという見方もできる。そして成長戦略の推進を支持し、内需拡大を求めるだろう。
オバマ政権の反省は、アジアにおける米国の威光の低下だろうから、新政権はもっと強硬になってもおかしくない。そのとき成長戦略がいつまでも成果を上げないことへの批判が起こると考えられる。
*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。
――関連コラム:次期米大統領にレームダック化の恐れ=安井明彦氏
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*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKBN1320O9?sp=true
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