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[けいざい解読]減反・飼料米で「コメ不足」 高値で消費減、悪循環に
家庭でご飯を食べる機会が減るなか、コメ消費を支えてきたのがレストランやコンビニのお握りや弁当だ。そのコメが不足し始めている。
東京都豊島区にある日本炊飯協会の事務局に10月21日、一本の電話が入った。「コメ卸が新米の値上げを通告してきた。状況を調べてほしい」。電話の主はスーパーやコンビニにご飯を販売している会員企業だ。
事務局が会員にヒアリングしたところ、直近の安値の2014年と比べ、卸が提示する値段は20〜25%高かった。値上げのわけを「コメを家畜のエサにしたから」と説明した卸もあった。
もし値上げ分を売値に転嫁すれば、最終的にはお握りなどに波及する。「コメを家畜のエサにしたので値上げします。そんな説明に消費者が納得するはずがない」。日本炊飯協会の福田耕作会長は表情を曇らせる。
下落基調の米価が昨年から反転した理由はコメの生産調整(減反)にある。エサ用のコメをつくるよう補助金で誘導し、2年続けて目標以上に減反を達成した。その影響でコメが不足し、価格にはね返ったわけだ。
日本は飼料穀物を輸入に頼っており、飼料米の支援には一定の合理性がある。ただその際も「収量が増える栽培方法で、専用の多収性品種をつくった農家に絞る必要がある」(岐阜大の荒幡克己教授)。エサは値段の安さが大事だからだ。
実際、そういう取り組みをしている地域もある。稲敷農業協同組合(茨城県稲敷市)で今年、10アール当たりの収量が600キロ台と、平均を大幅に上回る農家がたくさんいた。専業農家が中心の東部地域のグループで、多収性の品種を工夫してつくった成果が出た。
問題は農林水産省が、栽培が楽な主食のコメまでエサに回すのを認めたことにある。15年の飼料米の作付けは、主食用が多収性品種を7割上回った。その結果、米価の上昇が響いて15年産の主食のコメの需要は前年より18万トン減った。今年も一段と減る恐れがある。
米価が上がれば消費が減ることを農水省は十分わかっている。昨年、需要見通しを下方修正したときも「値段が上がったため」と説明した。補助金で米価を上げて外食業界から悲鳴が上がり、消費減に拍車をかける。こんな長期的な展望を欠く政策で、稲作が強くなると思うのだろうか。
事態を打開する糸口はある。現在、飼料米に補助金を出すための収量の基準は10アールで約530キロ。これに対し15年産の飼料米の収量は平均555キロで、多収性品種に限れば567キロだった。
財務省は「飼料米への支援は多収性品種を基本にすべきだ」「基準は収量のアップに応じて見直す必要がある」と主張する。条件を厳しくすれば意欲のある農家しか対応できなくなり、主食のコメを必要以上に減らす事態も避けられる。
農水省はコメをつくる量を農家に指示する減反を18年にやめる予定だが、飼料米の補助金は残す方針。どんなコメ政策で減反廃止に臨むのか。来年度予算案をめぐる財務省と農水省の調整は、それを占うカギになる。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞10月30日朝刊P.3]
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