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日銀会合と、黒田氏の会見
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52871308.html
2016年11月01日 在野のアナリスト
日銀の金融政策決定会合が開かれ、現状維持が決定しました。しかし展望リポートでは、16年度の物価見通しを+0.1%から-0.1%に、17年度は+1.7%から+1.5%に、18年度は+1.9%から+1.7%に、それぞれ下方修正。GDPの見通しは16年度は+1.0%、17年度は+1.3%、18年度は+0.9%と7月のリポートを維持しています。物価が下がっても成長が維持できる、というのですから、日銀も物価と経済成長には相関がない、と認めたかのようでもありますが、リポートの中ではやたらと「海外経済の下振れリスク」を強調し、それさえなければ潜在成長率を上回って成長する、と自信を示します。しかしその前提は政府による大規模な財政出動と、日銀による金融緩和で国内は安泰、というのですから、これまで達成できていないのに、同じことをしていたらいつの間にか達成、と些か都合よい結論に逃げています。
しかも幾つかウソもみられる。雇用者所得の改善がつづき…、消費は緩やかに増加…、(マイナス金利で)金融機関の積極的な貸出スタンス…、社債・CPの良好な発行環境…など、景気指標もみていなければ、実体もみていない。それで「フォワードルッキングな期待形成」で、中央銀行の物価安定目標に収斂する、とこれまでくり返した物価目標の先送りなどなかったかのように「収斂する」という態度には、もう頭を抱えるしかありません。
さらに「財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する…将来不安により…経済の下振れ」としますが、マイナス金利により年金運用が困難となり、将来不安につながり、経済の下振れ…というシナリオには目を瞑ります。マイナス金利の悪影響はまったくこのリポートに出てこないのですから、手前味噌といった感じは拭えないのでしょう。
今回も政策委員の多数決では、佐藤氏と木内氏が反対しています。イールドカーブコントロールでは、佐藤氏は「10年物の国債まですべてマイナスになる」、木内氏は「短期金利は+0.1%が妥当」とし、資産買い入れでは、佐藤氏は「市場の価格形成や日銀の財務に悪影響」、木内氏は「資産買入れ額を操作目標とし、減額を」と主張します。反対派のいうことが尤もなのに、賛成側が7人と多数だから誤った政策をつづけてしまう、こんなところにも民主主義の限界が垣間見えます。上記のような展望リポートをだすぐらいですから「僕たちは間違ってないもん!」というイイワケをしたい、賛成した7人は小池都知事を応援した『7人の侍』に因んで、言葉は悪いですが『7人の詐術士』とも呼べるのでしょう。
そんな7人の内の1人、黒田総裁が会見していますが、ETF購入に関して「東証の時価総額は500兆円で、日銀の購入は6兆円にすぎないから、市場を歪めていない」とします。しかし年間で1%強も買う主体は日銀をおいて、他には値上がり益を狙ったときの外国人投資家ぐらいで、その外国人投資家も今は買っていませんし、そうした主体は上がったら売る。つまり買い切りしているのは昔も今も日銀しかいない。そんな主体が突然現れて、撤退することもできなくなっているのですから、歪みきっているのです。その歪みを、歪んでいる方からしか見ていないから真っ直ぐに見える、というに過ぎません。
黒田氏はまた、物価目標の先送りは「欧米も同じ」と、責任を回避する発言をくり返します。18年4月の任期についても再任論がでていますが、これまで「強いコミットメント」が「収斂」に結びつく、などとしてきた黒田氏が「欧米も同じ」という「強いコミットメント」を出せば、物価が上がらなくて当然、といった認識を広く与えたことにもなるのです。「長年続いたデフレマインドを変えるのは難しい」とも語りますが、そもそも手法が間違っているのであって、デフレマインドが変わるはずもありません。「デフレの方がいい、などということは絶対にない」としますが、今年に入って物価が下がり、実質の賃金が上がってきたことも、また事実です。雇用が逼迫、と言いながら賃金傾向に変化のないこともまた、「欧米も同じ」であるなら、インフレをつづける米国でも賃金への波及が小さい点をみても、インフレになったから景気が改善した、とは言えないのででしょう。
デフレマインドどころか、日本において最大の病巣は、政策担当者によるブレブレマインドなのでしょう。間違った政策を打っているので、改善するはずも無いのですが、そのことを認めず、イイワケばかりをして政策の本質をみていない。再任どころか、黒田氏は一刻も早く逃げ出したい、と考えているのかもしれません。最近のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のタイトルをみて、黒田氏も「これだ!」と思っているかもしれませんね。
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