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研修や面談で「価値」再認識(画像=PIXTA)
「出世しなかった人」がなぜ? 大企業に広がる50代前半社員の「価値」見直し
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161101-00010005-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 11/1(火) 17:10配信
50代前半、盛り上げよう!
50代でもペースダウンせずに働いてほしい。65歳までの再雇用や定年延長が定着。就労長期化により、50代前半の社員の士気向上を狙った研修や面談に力を入れる大手企業が増えている。今の50代前半といえばバブル期に入社した世代を含む。その活用が「待ったなし」になってきた。中高年社員は昇進・昇給へのこだわりを捨て、会社人生を振り返り「なぜ働くのか」を改めて問い直し始めた。
6月半ば、東京都内のオフィスビルの建設現場。「機器の配置や配線はアートです。美しく配置することが隠れた不具合を防いでくれるんです」と快活に、作業する下請けの人たちに丁寧に指導する小宮山寛さん(50)。NTTコミュニケーションズのソリューションサービス部でシステムエンジニアとして働く。オフィスビルやマンションに通信設備を入れる業務だ。
今は楽しんで仕事をする小宮山さんだが「研修と面談を受けるまで、日常業務を淡々とこなす感じだった」と明かす。変わったきっかけは昨年の研修で見せられた自社の人員構成のグラフ。48〜52歳と41〜44歳の社員数が、他の年代に比べ飛び抜けて多い。多い年の社員は500人近く、その1年で全社員の約1割を占めることを知った。
管理職になれば当然こういった数値を元に経営方針を議論する輪に加わる。だが通常、現場の社員がこの種の情報を気にすることはほとんどない。「自分たちの世代が、定年間際だからと仕事のペースを緩めたら会社は持たないと危機感すら覚えた」と小宮山さん。
◇ ◇
同社は昨年後半に非管理職で50歳の社員全員の230人を対象に、研修と社内キャリアコンサルタントによる1人30〜45分の面談をした。小宮山さんは面談で漠然と感じていた今後の仕事への不安なども話した。じっくり話し「50歳までと同じ職務だが、昇格・昇級とは別の次元で、現場でいい仕事に取り組もうと思いを新たにした」と話す。
「システムは試験をして基準を満たせば合格」だが、そこで満足しない。従来システムに加え「あらゆるモノがネットでつながるIoTや人工知能など、新しい技術を取り入れた提案を積極的に始めた」と小宮山さん。「顧客からの信頼も厚くなった」と実感している。
博報堂DYアイ・オー(東京・江東)の取締役常務執行役員を務める薗部真志さん(54)は障害者を採用し、グループ企業の事務などを請け負う。「2年前に広告営業の仕事から離れ、博報堂から今の会社へ出向を命じられたときは残念で仕方なかった」。だが昨年、研修を受け「これでよかったのだと意を強くした」と語る。
博報堂は42歳を対象とするキャリアデザイン研修「CD40s」に続き、54歳向けの「CD50s」を導入。全員参加で外部の講師に加え、自社の先輩社員による公開討論会があるのが特徴だ。再雇用で会社に残った人、転職した人、起業した人という3パターンの話が聞ける。
50歳を過ぎての仕事内容の変化に戸惑っていた薗部さん。話を聞き「キャリアは予期しないことに対してベストを尽くすことで作られると気づいた。好奇心や柔軟性を失わなければ好機となる」と確信したという。
「健常者と障害のある人が混在する今の会社は人事管理が難しいが、これぞ多様な人材をうまくまとめる力を生かすことができる道」と話す。精神保健福祉士の資格も取ろうと勉強を始めた。
サントリーホールディングスのコーポレートコミュニケーション本部企画部部長の椎名武伸さん(54)は、53歳全員を対象にした「キャリアワークショップ53」に参加。同社は65歳に定年を延長したのに伴い53歳の研修を強化。研修では会社人生の棚卸しをしてもらい「自分の強みや興味は何か」を考える。各自に何をしたいか描くよう促すのが狙い。
椎名さんは営業部、宣伝部、国際事業部、海外酒類事業部、ワイン企画部、環境部、エコ戦略部など様々な部署を経験。企業の社会的責任(CSR)や環境が担当の今の部署は海外子会社も含め様々な部門との連携が欠かせない。「配属当初はこれまでの仕事の何が生かせるのか不安だったが、様々な仕事で社内人脈を広げたことこそが生きてくる」と研修で気づいた。
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中高年層の人材開発に詳しい日本マンパワーの秋本暢哉氏は「1988年から92年に新卒で入社したバブル期入社の社員の人事管理の相談が増えている。母数が多い上にポスト削減で管理職になれない人も多く、士気を維持していくのが難しい」と話す。
「どうせ研修に経費をかけるなら若い社員に」という企業も多く、中高年社員は放置されがち。給与やポストで処遇できない以上、しっかりと話を聴き「自分が満足することは何かなどを引き出し、働くモチベーションを上げてもらうしかない」と指摘する。
損害保険ジャパン日本興亜でも、この夏から50代前半向けの研修を開始。「検討中」という企業もあり、対応は広がる。
■厚労省、助成金で支援
厚生労働省は、仕事内容が変わるなどの節目で、会社員が自分のキャリアについて相談できる機会を作る「セルフ・キャリアドック」制度の普及に乗り出した。取り組む企業に助成金を支給する。今年度中に民間企業と協力して、導入の手引書を作る。
従来は昇進や給与・賞与が士気向上の原動力だったが、近年は社員自身に充足感や成長実感を持ってもらうことを目標にする企業が増えている。特に、役職定年や再雇用後で賃金低下が避けられない中高年層にとっては、納得いくキャリア像を描くことが急務だ。
明治大学大学院の野田稔教授は「50代のスキルは高いが、年齢制限などが厳しい日本の転職市場では価値のない存在とされ、自信を失い、士気も低下しがち」と指摘する。50代を元気にさせるには「中高年自身が自分の価値を信じ、専門性を高めていくことが重要」と説く。
(相川浩之)
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