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MUFGなど世界の再生エネルギー融資で存在感−マイナス金利背景
渡辺千咲、Gareth Allan、河元伸吾
2016年10月31日 09:32 JST
• 邦銀が欧州洋上風力などの案件獲得でリード−1、2位独占
• 収益力強化で海外貸し出しに注力、国内低金利を補完
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など邦銀大手3行が世界の再生可能エネルギー関連事業向けの融資で存在感を増している。背景には日本銀行によるマイナス金利政策の下で、各行が利回りの高い海外での融資案件獲得を積極化させていることがある。
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)がまとめたデータによると、MUFGや三井住友フィナンシャルグループは、2016年1−10月期のプロジェクトファイナンスによる再生可能エネルギー事業向け融資額で昨年首位だったスペイン最大手サンタンデール銀行を上回った。MUFGが18億8000万ドル(1977億円)と首位。これに三井住友Fが15億2000万ドルと続き、サンタンデール銀行が3位、みずほフィナンシャルグループは6位だった。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i_e32w1aCdeY/v2/1200x-1.png
欧州では温室効果ガスの排出削減のための取り組みが活発で、政府もこの動きを補助金など政策で支援。北海の洋上風力発電事業などへの融資で得られる安定的な利回りは、国内の大手銀行にとっても魅力的な水準にある。日銀の統計によると8月の国内銀行の貸出約定平均金利(新規)は0.703%と過去最低水準にあり、国内での低金利による収益性の伸び悩みを補う役割を果たしている。
気候変動リスクと金融などについて研究している日本総研ESGリサーチセンターの村上芽マネジャーは、多くの先進国が2050年までに温室効果ガスの80%削減を目指しており、邦銀の海外案件向け融資は「政策が弱まらなければ続く」とみる。一方で、銀行側にとっても融資を「強くしたいという意欲がある」と指摘する。
MUFG傘下の三菱東京UFJ銀行電力インフラグループの柳田陽子次長は、同行が首位になったことについて「それだけの規模の案件があるということと、私どもが特に欧州、北米中心に長く再エネ市場をけん引してきたため」と話す。
また、12年に日本国内で再生可能エネルギー由来の電力を固定価格で買い取る制度が導入されるよりも前の「約15年前から再エネ向けのファイナンスをやってきた自負がある」とし「マーケットとしてのファイナンスの需要がある中、結果的にわれわれに声がかかりやすくなっている」と述べた。今後は、マレーシアやタイ、インドなどアジア域内の事業向け融資を強化する方針だ。
グローバルに追う高収益
BNEFのアナリストアリ・イザディ氏は、MUFGだけでなく三井住友Fや、みずほFGの国内大手3行について「これまでも欧州や米国での再生可能エネルギー案件の融資に積極的だった」と指摘する。2月に日銀がマイナス金利政策を導入した後には「さらに高い収益をグローバルに追う傾向となっている」とし、同政策導入のタイミングが「英国での洋上風力案件への投資機会の好機と重なっており、邦銀3行による再エネ融資の最も大きな割合を占めている」と話した。
三井住友F広報担当の氷室祐一郎氏は、同社の融資先に風力発電事業が多いことの背景について「欧州では近年洋上風力の導入が進んでおり、大規模かつ優良スポンサーの案件が多い」と指摘した。みずほFG広報担当の塩野雅子氏は「再生可能エネルギーなど環境配慮型インフラ事業向けプロジェクトファイナンスは、戦略的重要分野として先駆的に取り組んでいる」と述べた。
原題:Japan’s Negative Rates Prod Megabanks Into Offshore Wind Loans(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-31/OFQFGQ6S972901
三菱東京UFJ銀行の頭取に課された「訓練」
サイバー無策 企業を滅ぼす
村林聡・専務CIO(最高情報責任者)に聞く
2016年10月31日(月)
小笠原 啓
顧客が使うパソコンまで保護しなければ、金融システムは守れない──。こう指摘するのは、三菱東京UFJ銀行のCIO(最高情報責任者)を務める村林聡専務。セキュリティー対策には相当の費用がかかるが、インターネットによるコスト削減効果と比較すれば安上がりだと話す。同行では、頭取になる前にシステム障害時の記者会見の訓練まで実施するという。サイバーセキュリティーに対する覚悟をCIOに聞いた。
(聞き手は小笠原 啓)
村林 聡(むらばやし・さとし)氏
三菱東京UFJ銀行専務取締役コーポレートサービス長兼CIO(最高情報責任者)
1981年三和銀行入行。UFJ銀行を経て、2006年に三菱東京UFJ銀行システム部部長(特命担当)。銀行における情報システムの企画・設計・開発に一貫して携わる。2015年6月より現職。三菱UFJフィナンシャル・グループのグループCIOも兼務する。(写真:陶山 勉)
サイバー攻撃により金融システムの信頼性が揺らいでいます。今年2月、バングラデシュ中央銀行が米ニューヨーク連銀に保有している口座が攻撃され、約8100万ドルが盗まれました。国際銀行間通信協会(SWIFT)のソフトウエアに脆弱性があった可能性が指摘されています。
村林:全容の解明はまだされていませんが、極めて深刻な事件だと思います。SWIFTは全世界の銀行が関係する国際送金ネットワークの基盤です。ここがサイバー攻撃の標的になり、不正送金を許してしまった意味は非常に重い。
幸いなことに、日本の銀行自体はバングラデシュ中央銀行のような事態には陥っていません。しかし日本でも、多くの預金者が「不正送金」の被害に遭っているのは事実です。パソコンを乗っ取られて不正にお金を引き出されるケースが、国内で4〜5年前から顕在化しています。
金融システムは堅牢なイメージがありますが、サイバー攻撃の進化に追随できなくなってきたのですか。
村林:金融システムの範囲が広がってきたことの裏返しでしょう。インターネットにつながる顧客のパソコンも、今や広義の金融システムの一部です。銀行本体だけを守っていればいい時代ではないのです。
金融機関がインターネットバンキングを提供している限り、顧客が不正送金の被害に遭わないよう手を尽くさないといけない。ウイルス対策ソフトやワンタイムパスワードを提供したり、注意を喚起したりといったことは、銀行の責任だと考えています。攻撃の手口は巧妙化していますが、対策を進めたことで実際の被害件数はかなり減ってきました。
セキュリティー対策にはコストがかかります。投資に見合うリターンは得られているのでしょうか。
村林:インターネットの登場以降、銀行のサービスは大きく変わりました。例えば振り込み。以前は店舗に足を運び、窓口やATMで手続きする必要がありましたが、今ならネットで完結します。セキュリティー対策をしてきたからこそ、こうしたサービスが実現したわけです。
極論ですが、もしインターネット「以前」に戻るなら、振り込みのためだけでもATMの数や窓口人員を増やさないと対応できません。それにかかるコストは、セキュリティー対策のコストよりもはるかに高いはずです。
インターネットバンキングをあきらめるのか、それともサイバーセキュリティーにお金を投じるのか。こう考えれば、投資対効果は明らかです。
銀行の存続に関わるリスク
村林:「信頼」で商売している銀行にとって、レピュテーション(評判)リスクは無視できません。「あそこの銀行に預けると不正送金の被害に遭う」といった風評が立つと、顧客への影響は大きい。そうした意味では、セキュリティ対策を怠ると銀行の存続に関わるリスクが生じかねないのです。
CIO(最高情報責任者)が投資の必要性を訴えても、最終的に資金を投じるかどうかを決めるのはCEO(最高経営責任者)です。
村林:よほど理不尽なことを要求しない限り、セキュリティーに関する投資は全て認められます。逆にCEOから「それで十分か」と聞かれるぐらいです。(米国の中央銀行にあたる)FED(連邦準備制度)は、金融機関の経営にとっての最重要課題の一つはサイバーセキュリティーだと断言しています。日本の金融庁も同じ認識を持っています。
セキュリティー対策に取り組むうえで、最優先すべきテーマは何でしょうか。
村林:まずは組織、体制でしょう。それがないと始まりません。起きている事象を理解し、脅威を判断しなければ技術的な対策は取れません。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2015年、グループ横断組織の「サイバーセキュリティ推進室」を設置しました。三菱東京UFJ銀行だけでなく信託銀行や証券会社、海外子会社などグループ全体で数百人いるセキュリティー担当者の連携を深めるのが狙いです。
推進室が中心となり、国内外の業界団体との連携を強化。脅威を察知して調査し、対策を取るという一連の流れを整備しました。経営会議への報告体制も改善しました。
村林:三菱東京UFJ銀行について言えば、同じような取り組みは以前からやっていました。しかし、金融システムの範囲が広がるにつれ、銀行だけでは対応しきれないことが増えてきました。関連会社のDDoS攻撃(大量のデータを送りつけてサーバーをダウンさせる攻撃手法)対策が不十分だと、グループ全体に影響が及ぶケースが出始めたのです。提携先も含めて対策に漏れがないか、改めて管理しないといけません。
情報の共有が、セキュリティー強化につながる
金融業界ではグループの垣根を越えて、各社が情報共有に積極的です。
村林:前述のSWIFTや全銀システムを通じて、あらゆる銀行はネットワークでつながっています。どこかの銀行が狙われたら、次は自分たちが同じ被害に遭うかもしれない。「インテリジェンス」と呼びますが、脅威の情報をできる限りシェアして、業界をあげて対策を強化するのが重要になります。
そうした観点で2014年に設立されたのが一般社団法人、金融ISAC(Information Sharing and Analysis Centerの略)です。国内金融機関で情報を共有するだけでなく、米国の同様組織であるFS-ISACとも連携。ベストプラクティスを学んでいるところです。攻撃側はどんどん新しい手法を編み出しており、「いたちごっこ」が続いています。金融機関全体で協力しなければ、押さえ込むのは難しいでしょう。
他の業界に目を転じると、情報共有を躊躇する日本企業はまだ多い。ネットで「炎上」することを恐れて、サイバー攻撃を受けたことを可能な限り隠そうとする企業もあります。
村林:非常に難しい課題です。じっと隠しているのは問題ですが、無用な混乱を与えてはならない。マスコミ報道のあり方も含めて、コンセンサスが必要だと思います。
三菱東京UFJ銀行では経営トップが「記者会見」の訓練をするのが通例になっています。サイバー攻撃によるシステム障害が原因で、サービスが提供できなくなったと想定し、適切な情報発信ができるよう準備するためです。幸いなことに現実化していませんが、サイバー攻撃を受けたらその事実はきちんと伝えるようにしています。
現頭取の小山田(骼=jは副頭取だった昨年9月、担当者から質問攻めに遭いました。MUFGグループCEOの平野(信行氏)も同様の訓練を受けています。
株主総会でサイバー関連の質問が出る時代です。世の中が本当に変わってきたと思います。セキュリティーに完璧はあり得ない。常に最新の情報をインプットして、対策を取り続けないといけません。
このコラムについて
サイバー無策 企業を滅ぼす
サイバー空間に巣くう犯罪者集団が、日本企業をターゲットにし始めた。
手にする武器は「ランサムウエア」。データを人質にとって身代金を求める。
あらゆるものがインターネットにつながると、電力システムや自動車にも魔の手が迫る。
もはやインターネットを抜きに、ビジネスを継続できる企業は存在しないのが現実だ。
にもかかわらず、多くの経営者はサイバー攻撃を「他人事」としか認識していない。
「サイバー無策」は日本を滅ぼす。次に狙われるのはあなたの会社だ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/102100010/102800008
孫社長、「1兆のIoTが人類の進化を加速」
シリコンバレーNext
買収したARMのカンファレスで講演
2016年10月31日(月)
中田 敦
「1兆のIoTが人類の進化を加速」――。ソフトバンクグループの孫正義社長は2016年10月25日(米国時間)、9月に買収した英ARMがシリコンバレーで開催した「ARM TechCon 2016」の基調講演に登壇し、ARMを買収した意義やIoTの未来像を語った(写真1)。
写真1●ソフトバンクグループの孫正義社長
ARM TechConはイギリスに本社があるARMが、シリコンバレーの半導体技術者を対象に毎年開催しているカンファレンス。孫社長は基調講演の冒頭、「ソフトバンクによるARM買収後も、ARMとパートナーとの関係は変わらない。ARMは誰もが信頼できるプラットフォームとして維持する。どうか心配しないでください」と語り、「ARMアーキテクチャー」を半導体メーカーにライセンスするARMのビジネスモデルや、ソフトバンク子会社としてのARMの独立性を維持していくと強調した。
IoTは「カンブリア爆発」の再来
続いて孫社長が言及したのは「カンブリア爆発」だ(写真2)。5億年前のカンブリア紀に生物は飛躍的な進化を遂げた。それをカンブリア爆発と呼ぶが、孫社長は生物の進化が爆発的に発生した原因として「生物が『目』というセンサーを手に入れたこと」を挙げる。「目があることで生物は、ほかの生物を追いかけて食べてしまえるようになった。これはとても重要なことだが、より重要なのは、目というセンサーから大量のデータを集められるようになったこと。データの量が増えることで、脳の学習サイクルが加速し、その後の生物の進化をさらに加速させた」(孫社長)。
写真2●今回のテーマ「カンブリア爆発」を語る孫社長
それと同じことが今、人類が作り出した人工物にも、IoTという形として起きているというのが孫社長の主張だ。孫社長は2035年までに1兆個を超えるIoTデバイスが、センサーデータをクラウドに蓄積できるようになるという見通しを語る。そしてクラウド上の人工知能がセンサーデータを機械学習して、さらに賢くなると主張した。
「IoTとAIの関係は、目と脳の組み合わせが生物の進化を加速させたのと同じだ。カンブリア爆発のように、IoT爆発(エクスプロージョン)が起こる」。孫社長はそう述べ、「IoT爆発が起ころうとしている今だからこそ、ARMを買収した」と説明した。
孫社長はIoTが集めるデータを機械学習してAIが賢くなっていく先に、AIが人間の知性を上回る「シンギュラリティ」が到来すると主張(写真3)。冒頭に紹介したように「1兆のIoTが人類の次の進化を加速させる」と述べた。しかしシンギュラリティに至る革命は「1社では成し遂げられない」(孫社長)と述べ、会場に集まるARMのパートナーに対して協力を訴えかけた。
写真3●IoTとAIが「シンギュラリティ」をもたらすと語る孫社長
基調講演で孫社長がもう一つ強調したのは、IoTのセキュリティだった。「1兆のIoTがネットワークにつながる時代にあっては、プロセッサの動作周波数が2倍になることや、メモリーの容量が2倍になることよりも、セキュリティが重要になる」(孫社長)。
自動車は「ノーセキュリティだ」と孫社長
しかし現在のIoTは、セキュリティが非常に脆弱だ。その象徴として孫社長は、自動車を例に挙げた。「今の自動車は、数千の半導体チップが搭載され、数百のARMコアが稼働している(写真4)。しかしこれらのチップは暗号化されておらず、ノーセキュリティだ」と孫社長は主張。「(ネットにつながっていない)ノンコネクテッドな自動車では問題にならなかったが、コネクテッド(ネットに接続)されると状況は全く異なる。あなたの自動車をハックするのは非常に簡単だ」(孫社長)とした。
写真4●自動車は「ノーセキュリティ」と語る孫社長
その上で孫社長は「自動車に搭載されるチップは、全て暗号化機能を搭載すべきだ」と主張。ARMは現在、ARMプロセッサへの暗号化機能の搭載を進めている。セキュリティへの懸念の高まりも、ARMのビジネスにとって追い風になることを示唆した。
このコラムについて
シリコンバレーNext
「シリコンバレーがやってくる(Silicon Valley is coming.)」――。シリコンバレー企業の活動領域が、ITやメディア、eコマースといった従来の領域から、金融業、製造業、サービス業などへと急速に広がり始めている。冒頭の「シリコンバレーがやってくる」という言葉は、米国の大手金融機関、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)が述べたもの。ウォール街もシリコンバレー企業の“領域侵犯”に警戒感を隠さない。全ての産業をテクノロジーによって変革しようと企むシリコンバレーの今を、その中心地であるパロアルトからレポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/102600155/
ソフトバンクの「ペッパー」、孫社長のロボットの夢実現には道険し
Pavel Alpeyev、天野高志
2016年10月28日 09:48 JST
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文化の衝突やAIめぐる認識の違いが開発の障害に
面白いが実用的でないヒト型ロボットの仲間入りか
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日本企業は何年も前から、目に見える生活空間でのロボットの普及を目指してきたが、成功と言うにはほど遠いものだった。
ソフトバンクグループのヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」には、局面打開が期待されていた。世界初の感情認識ロボットと銘打ったペッパーを、ソフトバンクは2014年に発表後、積極的にマーケティングしてきた。接客や受付業務、翻訳などの仕事がこなせるという触れ込みだった。
ペッパーを導入している静岡県藤枝市の市役所企画経営課の西淳一氏は、「基本的には、会話ではなく、タブレットを使って紹介する」と説明する。「市役所1階のロビーに設置しており、庁舎を案内するほか、市内の特産品や観光名所を案内する」という。
ヒト型ロボット「ペッパー」(2016年5月19日)
ヒト型ロボット「ペッパー」(2016年5月19日) Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
ペッパーは、面白いが実用的ではない日本製ヒト型ロボットとして、ホンダのアシモとソニーのキュリオの仲間入りしそうだ。開発に関わった技術者らによれば、成功に必要な要素はそろっていた。しかし、意思決定のまずさで機会をつかみそこねたという。
ソフトバンクはフランスのロボット開発会社、アルデバラン・ロボティクスを12年に買収したが、両社の文化はかみ合わなかった。日本人社員らはアルデバランの従業員が休暇で何週間も不在となることに腹を立てたし、フラットな組織に慣れたアルデバラン社員は何層にも積み重なる管理職たちに決定を覆されるのに不満を抱いた。
ソフトバンクはソフトバンクロボティクスを設立し、事業部門と技術部門の責任者を指名したが、同社で1年間、人工知能(AI)研究に携わったアンドルー・ギャンバーデラ氏は「基本的に、ロボット工学やAIについて理解していないプロジェクトマネジャーが会社を率いていた。ビジョンと方向性が完全に欠けていた」と話した。
ソフトバンクはアルデバランを迎え入れるのに伴う難しさがあったことを認めるが、試作品を商品に変える過程で生じた意見の違いの大半は予想されていたものだと指摘する。ペッパー投入後に収集したデータに基づき、ハードウエアとソフトウエアに数多くの改善を加えたという。
同社のロボット事業推進室の蓮実一隆室長は、「ロボットと接する時、ほぼ無限の可能性がある」と指摘し、そうした側面をやや甘く見ていた可能性があると説明。データが大量となった時には当然ながら分析の手法としてディープラーニングが必要だが、現在はその手前の行動パターンを集めるフェーズにあると語った。
ソフトバンクは、言語や視覚、音声からの感情分析など重要部分の多くを外注し、アルデバラン出身社員を開発の中心から外した。15年6月にペッパーの最初の1台が出荷されるころにはアルデバランの創業者のブルーノ・メゾニエ氏は当初の開発メンバーだった幹部とともに同社を去っていた。
都内のソフトバンク店舗で「ペッパー」を撮影する女性(2016年7月19日)
都内のソフトバンク店舗で「ペッパー」を撮影する女性(2016年7月19日) Photographer: Akio Kon/Bloomberg
ペッパーの最大の売りポイントである感情エンジンについてもソフトバンク側とアルデバラン技術者は対立。開発が遅れ15年10月から出荷された法人向けバージョンでは同機能が停止されていたと事情に詳しい関係者2人が述べている。
CLSAアジア・パシフィック・マーケッツでファナックを担当しているモルテン・ポールセン日本部長は、「感情を読み取れることがサービスに役立つのかどうかは分からない。当社のオフィスビルにはいまペッパーが何台かあるが、人が集まっているところは見ない。本質的にヒト型をしたiPadだ」と述べた。
それでも、ペッパーが極めて優れた機械であることは確かだ。人間のようなボディーランゲージを駆使し視線を合わせたり触れられた時に反応したりもできる。休止モードの時には眠っているような呼吸のまねまでする。ソフトバンクの赤字覚悟の姿勢のおかげで、一体1800ドル(約19万円)という手の届く価格設定だ。
「ロボットにできること、できないことを考えた時、ペッパーは信じられないほど野心的なプロジェクトだ」とポールセン氏が述べた。
ペッパープロジェクトの存続はソフトバンクの孫正義社長にかかっていると言える。ブルームバーグが入手した電子メールによると、同社長は昨年後半の社内会議でホワイトボードに絵を描いてみせた。掃除ロボットのルンバに似ていて、クマの耳とタブレットが付いた「クーマン」というニックネームのそのロボットが、ペッパーの後継機なのかもしれない。
原題:SoftBank’s Struggles With Pepper Keep Son’s Robot Dreams on Hold(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-28/OFLQU06JIJUS01
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