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サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火実験(写真:ロイター/アフロ)
「爆発企業」サムスン、洗濯機も爆発続出で企業「分割」危機…韓国経済危機に直結も
http://biz-journal.jp/2016/10/post_17044.html
2016.10.29 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
韓国経済に、いよいよ「終わり」が見えてきた。
まずは、サムスン電子だ。8月にアメリカや韓国で発売されたスマートフォン「ギャラクシーノート7」が発火問題でリコール後、生産・販売停止になったことは、すでに広く報じられている。
携帯電話が大規模な改修を行う際には、電波や無線などに関する利用許可を再度クリアする必要がある。いわゆるグローバルモデルの場合は、それぞれの国で再び取得することになるわけだ。当初は、原因と見られていたバッテリーの交換によって問題は収束すると思われていたが、交換後の製品でも発火が起きており、バッテリー以外にも不具合があった可能性が高い。
これによって、サムスンのフラッグシップモデルは年末商戦から姿を消した。アメリカの小売業は11月下旬からクリスマスまでの約1カ月で、年間の約3分の1を売り上げるともいわれており、サムスンにとっては大きな痛手に違いない。また、アメリカでは8月末から新学期が始まるが、サムスンはその商機も逃したことになる。新型スマホが新学期と年末という2大商戦で売れないという大失敗を犯してしまったわけだ。
これは、サムスンおよびギャラクシーのイメージを大きく毀損することになった。さらに、アメリカではサムスン製の洗濯機が爆発する事件が複数起きており、米国消費者製品安全委員会が警告を発している。サムスンの洗濯機といえば、13年にはオーストラリアで爆発事故が相次いでリコールを実施しているが、その二の舞いになりかねない状況だ。
■米ファンドが狙うサムスンの分割
サムスンの売り上げは韓国の国内総生産(GDP)の20%以上を占めるといわれるが、その収益の約70%を稼いでいるのが携帯電話事業だ。そのため、今回のノート7の問題およびサムスンの凋落は、韓国経済全体の悪化に直結するものといえる。
また、サムスンを成長させてきたイ・ゴンヒ会長は健康問題で床に臥しており、実質的にリーダー不在という問題もある。同時に、相続の問題も発生するなど、サムスン内部は混乱を極めているのが実情だ。
さらに、今回の騒動に乗じて、米ファンドのエリオット・マネジメントがサムスンの企業統治構造を「不必要に複雑」と批判、持ち株会社と事業会社に分割し、事業会社は米ナスダックに上場することなどを提案している。
これまで、サムスングループは外資に資本を握られつつも、循環出資などによって創業一族がグループ全体を支配する構図を維持してきたが、いよいよハゲタカが食いついてきたわけだ。仮にサムスンが分割されれば一族の影響力は一気に低下すると同時に、韓国企業としての位置付けも失う可能性がある。
ノート7の問題は、今まで隠されてきたサムスンの暗部を明るみに出したといえるだろう。
■サムスンに訪れた「二番手商法」の限界
サムスンの最大の問題は、経営者のみならず商品においても「次がない」ということだ。サムスンは、いわゆる「選択と集中」によって規模を拡大してきた。しかし、これまで得意としてきたビジネスモデルが、もはや成立しなくなりつつある。サムスンは、いわゆる「二番手商法」によって業績を大きく伸ばしてきた企業だ。
つまり、他国の製品を徹底的に解析し、コピーや模倣によって安価な製品を生産、その販売によって世界シェアを伸ばしてきた。特に、日本のメーカーの後追いをするかたちで、家電製品からコンピュータ、液晶、メモリ、携帯電話とシフトしてきたが、日本企業と違って行き詰まりを見せてしまっている。
日本の電機メーカーは、確かにガラパゴス化した部分もあるが、当初のB to CからB to Bに転向してキーパーツや特殊部品などの輸出で強みを見せてきた。さらに、最近ではB to G、つまり政府向けのインフラ輸出でも存在感を発揮している。
サムスンもB to Bに乗り出していたが、主要取引先であったアップルとの関係が悪化するなど、その雲行きは怪しい。たとえば、11年にアップルが知的財産の侵害を理由にサムスンを提訴、今年10月には米連邦控訴裁判所がサムスンに対して1億1960万ドルの損害賠償を再び認める判決を下した。
また、iPhone 7に搭載されている次世代プロセッサ「A10」の製造に関して、サムスンが蚊帳の外に置かれたことも大きな話題になった。サムスンと業務提携を結んでいた半導体メーカーの米グローバルファウンドリーズは、サムスンとの提携を解消して、今後は独自に技術開発を進めていく意向を明らかにしている。それは、A10の製造だけでなく、アメリカの半導体事業からサムスンが外されたことを意味する。
また、輸出不振が顕著なサムスンは多くの不良在庫を抱えている。韓国金融監督院によると、在庫資産額は15年9月末の時点で22兆8410億ウォン(約2兆4000億円)と史上最高額を記録しているのだ。
バランスシート(貸借対照表)で考えたとき、在庫は資産としてカウントされるため赤字にはならない。しかし、その在庫を仮に安値で処分すれば、売り上げは立つが同時に損金が出て赤字が発生する。すると、一気に財務バランスが崩れてしまう。
とはいえ、いつまでも在庫を抱えていても手元資金が不足してしまうため、倒産のリスクを高めてしまう。サムスンを世界的企業に押し上げた二番手商法も、いよいよ終焉が近づいているのではないだろうか。
■現代自動車もリコール隠し疑惑が問題に
また、サムスンと並んで韓国を代表する企業の現代自動車も、輸出の急激な悪化が大きな問題になっている。労働組合のストライキによって9月上旬は輸出が半分近くに減少しており、改善のめどが立っていない。さらに、エンジンの不具合によるリコール隠しの疑惑も発生しており、業績不振の加速度はある意味でサムスンよりも厳しいといえる。
ちなみに韓国の労組だが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代の左派政権下で大きな力を得ており、司法も労組側に寄りがちなため、企業にとっては非常に厄介な存在になっている。
いずれにしても、韓国経済を両輪で支えてきたサムスンと現代という2社の不振は、輸出で成長してきた韓国経済の終わりを意味するといっても過言ではないだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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