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【実名リスト】 50歳、60歳をすぎて「得する会社」「損する会社」 全国の就活生とその親必読
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49989
2016.10.28 週刊現代
就職人気ランキングではわからない会社人生「終盤」の実態
【50代】
●メガバンクは53歳までに役員以外は出向、転籍
●日本生命は55歳で出向、その2年後に転籍
●全日空は50歳から「転身支援制度」で転職先を探す
●50歳で辞めれば「退職金4000万円」のテレビ朝日
●日産自動車は50歳、日本テレビは55歳、NECは56歳で役職定年
●日本IBMでは50歳から「転籍強要」
【60代】
●三菱商事は60歳すぎると「再雇用で年収500万円」
●パナソニックの再雇用は契約社員で月収20万円
●65歳までバリバリ働く信越化学工業、東ソー
●企業年金だけで月額20万円の博報堂
●サントリーは65歳定年、60歳から給料が6~7割程度になる
●東京海上日動火災は定年後、時給制の嘱託社員に
50歳がサラリーマン人生の分かれ道。入社案内ではわからない実態を、現役・OBたちの証言から明らかにする。
■50代で給料3割減のメガバンク
「ついに俺も、黄昏(研修)がきちゃったよ……」
40代半ばのみずほ銀行の行員は、自嘲気味にこう呟いた。
黄昏研修—。表向きは能力開発のためのセミナーのように言われているが、実質はその後の人生設計について考えさせる研修だ。3メガバンクに共通で、45歳前後で受けることが義務づけられている。研修を受けた冒頭の行員が話す。
「収入について、50歳前半で3割くらい減り、60歳以降の雇用延長を選ぶと、そこからまた3割減ることを想定して準備するように、と説明されました。つまり、60歳以降は今の給料の半分になるということ。
たしかに今の年収は高いほうだと思いますが、住宅ローンが残っていて、子供の教育費がピークになる50代前半で大きく収入が減ると、生活にまったく余裕がなくなってしまう。不安です」
まだバブルの雰囲気を残した'91年に就職試験を受けて、旧行に合格。いずれは頭取、とまで思わなくとも、取締役にはなれると思っていた。だが、バブル崩壊で銀行の経営環境は激変。再編に次ぐ再編で、都市銀行はわずか3つのメガバンクに収斂してしまった。
「51~52歳で同期から最年少役員が誕生すると、出世レースに敗れた人たちは53歳をメドに出向になります。現在の50代前半はバブル入行組で人数が突出して多く、ポスト争いは熾烈です。
一昔前のようにメインバンクからの出向を快く受け入れてくれる取引先も多くありません。出向できたとしても、1年後には転籍となり、給与体系はその会社の水準になる。ほとんどの場合で年収は半減します」(50代の元三井住友銀行行員)
もちろん、銀行にも60歳の定年まで勤める人もいる。それは一部のスペシャリスト、顧客の資産運用のプロや住宅ローンの専門家だ。
ただし、彼らも55~57歳で出世の道が絶たれる「役職定年」となり、60歳以降、再雇用制度で銀行に残った場合も、専門性を活かせる職場につけるとは限らない。
「支店の窓口でお客様の案内やATMの管理をしている年配の方の多くは再雇用組です。週3~4日の勤務で月収は20万円程度」(40代・三菱東京UFJ銀行行員)
3メガバンクは各種就職人気ランキングでトップ10に入ることも多い就職先だ。だが、50代、60代を通してみれば決して「得する会社」とは言いがたいだろう。
「技術大国」ともてはやされた日本経済の屋台骨を支えた電機メーカー。しかし、近年は中韓の企業に押され、栄光はもはや過去のものだ。
たとえばパナソニックはかつて松下幸之助流の「家族的経営」で知られたが、巨額赤字に陥り、'12年に大リストラを断行した。その当時、早期退職に応じた元社員(60代)が後悔する。
「退職前の年収は1000万円を少し下回る程度。退職金が10%割り増しされたため、57歳で早期退職しました。希望者には提携する人材斡旋会社から再就職先を紹介すると言われましたが、まだ決まっていません。紹介される仕事は、倉庫の仕分け係や工事現場の警備といったものでした。
定年まで残れば65歳まで雇用延長できたことを考えると、しがみつけばよかった。少なくともパナソニックに勤めているというプライドは守れたでしょうね……」
元社員が言うように、パナソニックでは60歳を過ぎても希望すれば5年間の雇用延長制度がある。その実態は—。
「定年後も会社に残れることになっていますが、ごく稀です。理由は、会社が残ってほしい人材しか再雇用しないからです。
たとえば特別な技能を持っている人に対しては『ネクストステージパートナー制度』が適用されて契約社員として残れます。しかし、給料は月額15万~23万円に激減します」(50代社員)
■生保は恵まれている
不正会計問題に揺れる東芝は50代の社員が現在進行形の「災難」に巻き込まれている。同社は1万人規模のリストラに着手。定年退職まで勤められると考えてきた社員が、次々と早期退職に追い込まれた。
「経営側がリストラを急いだために、一説には退職金が5000万円になった人もいたと言われています。唯一の収益事業だった半導体部門の技術者は再就職先で引っ張りだこ。サムスンなどのアジア企業や、自前で半導体技術を確保したいトヨタ自動車など自動車メーカーからも声がかかった。
ただ、そんな社員は一握り。下請けの部品メーカーに出された人は給料が7割減になった人も。最悪のケースでは再就職先で折り合わず、ハローワークで再々就職先を探す羽目になった人もいた。
経営不振前は65歳までの雇用延長が明文化されていましたが、大リストラの前で事実上の空文化。多くの社員が早期退職か再就職活動を迫られました」(40代・東芝社員)
同じ製造業でもNECとリコーの社員は「恵まれている」と答えた。
「56歳で役職定年になりますが、それまでの給与体系がほぼ維持されるので、2割程度しか給料は下がりません。子会社への転籍もありますが、会社から弾き出すという形は取らない。『先輩のポストが空いたから』と先方に望まれていくことも多い。いい会社ですよ」(50代後半・NEC関連子会社勤務)
「リコーは創業者・市村清が唱えた『三愛精神』(人を愛し、国を愛し、勤めを愛す)がまだ生きているのか、本体の社員には優しい会社だと感じます。たしかに'11年には大規模なリストラがあり批判もされましたが、それ以降は無理な出向はほとんどなくなりました。
60歳からはシニア契約があり、65歳まで社内に残れます。時給は1000~2000円と高くはありませんが、居心地がいいので、多くの人が利用しています」(40代半ば・リコー社員)
業界として「得する」ように見えるのが生命保険だ。日本生命、第一生命、住友生命などの大手は横並びで、50代半ばで年収のピークを迎え、その額は1500万円を超えるという。
「55歳から57歳で役職定年を迎え、年収が減りますが、それでも1割程度。私は55歳で関連会社に出向しましたが、やはり年収は1割減っただけ。出向先で定年退職を迎え、約4000万円の退職金をいただきました。昔はメガバンクの給料が高くて羨ましかったのですが、これで生涯賃金では並んだと思います。
その後は本体に戻って再雇用され、別の関連会社に勤務しています。給与は月額25万円程度ですが、すでに老後資金のメドは立っています。家にいても退屈なので、週に3日くらいは仕事をしたいだけです」(60代前半・大手生保OB)
総合商社の雄、三菱商事も恵まれた50代、60代を過ごせるようだ。
「50代の管理職になると、年収は1700万~2500万円。60歳以降、希望者は1年ごとの契約で再雇用されます。年収は3分の1以下になりますが、元が高いですからね。年収500万円程度で、総合職の約7割が再雇用を選択しています。
年金も手厚いですね。私は公的年金と企業年金を合わせて月額40万円くらいもらっています」(60代・元三菱商事社員)
'20年の東京五輪に向けた建築ラッシュに沸く建設業界では、50代からの働き方に如実に変化が現れ始めた。
「以前は50代後半で転籍になって給料激減。65歳までの雇用延長もありましたが、給与は半分以下になりました。ところが現在、ゼネコン業界はどこも人手不足ですから、待遇は改善されています。3割減程度で再雇用されるケースもあるといいます」(60代半ば・大成建設元社員)
■日本航空とANAはどっちが得?
インバウンド(訪日観光客)需要で活況を呈する航空業界。日本航空では機長職に対して雇用延長が導入されたという。
「LCCの台頭で世界的にパイロットが不足しています。そのため、今年の春から機長職は希望を出せば65歳まで乗務延長されることになりました。賃金は以前の給与の6割程度。ただ、客室乗務員にはこの制度はありません」(日本航空・現役機長)
ライバル会社であるANAホールディングスには一風変わった「転職」制度がある。「管理職転身支援制度」と呼ばれるものがそれで、50歳以降、転職・独立をするためなら、最長5年間休暇を取れるというもの。その間、基本給の約3割程度を支給するという。転職を現実的に考えるなら、もってこいの仕組みだ。
50歳をすぎてもバリバリ第一線で働き続けられる企業もある。それがともに化学業界の信越化学工業と東ソーだ。
「うちは90歳を超える金川千尋会長が健在で実権を握っている会社ということもあり、特殊です。今年6月に退任した森俊三前社長も78歳という高齢でした。
そんな会社だけに60歳を過ぎている部長も普通にいますし、50歳どころか、60歳を過ぎてもガンガン働いている。人事システムが謎なのですが(笑)、年齢で区切らずに仕事ができる人には活躍してもらう会社なんだと思います」(40代・信越化学工業社員)
「東ソーは50代での出向もありますが、行き先はグループ会社で給料が下がることはありませんし、むしろキャリアは上がっていく印象です。
福利厚生についても他社さんより手厚い。『アクティブ50』という制度があり、50歳になると10日間の連続休暇と30万円相当の旅行券がもらえます。少し羽を伸ばして、またどんどん働いて欲しいという意味合いがあります。もちろん、本人の希望があれば、65歳まで全員雇用で残れます」(40代・東ソー社員)
■50代でも降格があるユニクロ
50歳を過ぎれば、「悠々自適」の生活を送れる稀有な会社もある。広告代理店の二大巨頭、電通と博報堂だ。
「電通は20~30代の非常に辛い時期を乗り切れば、あとは天国のようなものです。40代のうちに部長になれて、定年までそのまま居座れる。昼前に出勤して何をするわけでもなく、夕方には映画を見に出かける。会議には参加しますが、部下の作った資料を見て一言話すだけ。それで2000万円弱の給料をもらい続けることができるんです」(30代・電通社員)
「営業部門は熾烈な競争を強いられますが、出世レースから下りて非営業部門にいけば、こんなにラクな会社はありません。営業部門と待遇がさほど変わるわけでもなく、仕事にやりがいを求めていない人にとっては最高の環境でしょう」(40代・博報堂社員)
一方、50代になってますます過酷になると嘆くのが、日本IBMの40代社員だ。50代になると、転籍を「強要」されるのだという。
「朝、会社に行ったら、いきなり上司から『あなたの部署は部門ごと出向になったから』と言われるんです。その後、出向先に転籍するか、会社を辞めるか、どちらかを選ばなくてはいけない。転籍したら給料は半分になる。バカバカしくて辞める人がほとんどです」
創業者がまだオーナーとして君臨する、歴史の浅い企業の50代はどう働いているだろうか。
ファーストリテイリングの子会社、ユニクロの40代社員が言う。
「50代の店長がいたのは、もう何年も前の話。その方は初代のスーパースター(SS)店長になった社員でした。SS店長には店舗の価格決定権が与えられ、裁量が大きいことで知られます。ところが、店舗をうまく回すことができず、精神を病み、どんどん降格されていきました。
年功序列ではない会社の恐ろしさが身にしみましたね。そういう意味では50代を過ぎたら『損をする』でしょう」
携帯キャリア大手のソフトバンクもまた、年功序列を採用していない。
「仕事の結果がすべてなので、年齢はまったく関係ありません。一応65歳までの再雇用制度はあるようですが、50代、60代の処遇がどうなるか、明確な指針は出ていません。その分、チャンスはあると思っています。僕は転職する気はありません。トップダウンで新しい試みがポンポン決まって、仕事に飽きませんから」(40代半ば・ソフトバンク社員)
今の大学生が50歳を迎えるのが、約30年後。その時、日本経済はどう変わっているのか。子供が就職して得する企業はどこになっているのか。本文で紹介できなかった企業は表に掲載した。じっくり検討してほしい。
「週刊現代」2016年10月29日号より
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