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高齢者は資産運用を金融マンの「人柄」で決めてはいけない(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/780.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 26 日 10:19:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

高齢者は資産運用を金融マンの「人柄」で決めてはいけない
http://diamond.jp/articles/-/105822
2016年10月26日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] ダイヤモンド・オンライン


 10月24日(月)のNHK総合テレビ「あさイチ」では、高齢者のお金の問題を取り上げていた。

 筆者は、番組内のVTRで、投資信託や外国債券を証券会社に頻繁に売買されて運用資産を大きく減らした高齢者の売買記録にコメントしたが、そもそも高齢者には理解不能と思える商品(複雑な投資信託や外貨建て債券など)を明らかに手数料稼ぎのために頻繁に売買された酷いものだった。

 この方ほど酷いケースは稀だとしても、明らかに不適切な運用商品に投資して大きな損を被った高齢投資家は筆者の周りにも複数いるし、この方よりも酷い目に遭っている高齢投資家もいないではない。

 日本の金融資産の圧倒的に大きな部分を高齢者が持っている以上、高齢者が金融機関のリテールビジネスのターゲットとなることは自然だが、高齢者には高齢者特有の判断ミスの癖が幾つかあるように思われる。

 本稿では、高齢者がお金を運用する上で特に気をつけておきたいポイントを3つご説明する。もちろん読者の役に立ちたいとも思っているが、読者の親御さんや知り合いなど、身近に高齢でお金を持っている人がいる方は、ぜひ拙稿のポイントを彼らに伝えてあげていただきたい。

■<ポイント1>お金の問題を「人」で判断しない

 高齢者のお金の運用にあって、最も深刻な癖は、商品やマーケットの内容・状況によってではなく、金融商品を勧める「人」に対する判断によって、運用行動を決めることだ。

 非常に多いのは、金融機関の営業担当者個人に信頼を寄せて任せきりにしてしまうケースだ。例えば、「私は、米国のリートとか、ブラジルレアルとかのことは、正直言ってよく分からないけれども、○○銀行の××さんは、とっても真面目でいい方なので信用している。難しいことは専門家に任せるのが一番だ」と思って、××さんに勧められるままに、退職金を全額投資信託に投資するようなケースだ。

 例えば、通貨選択型の投資信託の仕組みを他人に説明できるほど理解している高齢者は稀だろう。しかし、高齢者は、自分は他人の人柄を判断できると思っており、金融マンが親切に接してくれることも相俟って、自分のお金の運用を全面的に任せてしまう。

 同様のことは、企業では、技術やビジネスの詳細が分からない高齢経営者が、「俺は細かいことは分からないが、人を見る眼はある」と自認して、人事権を手放さずに、愛想がいいが能力のない部下の言うままに経営を決めるようなかたちで起こる場合がある。

 人間一般を観察してみるに、本来自分で判断できなければならないことを、他人の人柄の判断に置き換えて決めようとしだすと、その人の老いは相当に進行している。自分で気づくことが難しいし、自分で認めたくないかもしれないが、「他人を信用したがるようになったら、自分は老いた」ということだ。セルフチェックの一つのポイントだ。

 先の企業のケースでは、仮に部下が無能だとしても、基本的には企業や高齢経営者個人の利益に対して善意であるから、こうした判断が常に拙い結果につながるわけではない。だが、相手が金融マンの場合は、先方は手数料を稼がなければならない一方で、手数料を余計に払うことは顧客の運用パフォーマンスの悪化につながるし、手数料の大きな商品を勧める結果、顧客が過大だったり、内容的に不適切だったりするリスクを取ることになりやすい。

 通常なら好ましい人物像である「真面目で、仕事熱心な人」ほど、顧客にとっては危険な存在となるのだが、特に高齢な顧客の側ではこういう人物を「いい人」と評価して信頼してしまいがちなのだ。

「難しいことは、専門家に任せるのがよい」という方針は、任せる相手と自分との利害が対立しない場合には概ね有効な分業の原理だ。しかし、利害対立のある関係に他人任せを持ち込むことは危険だという原則を知っておきたい。

 問題は、金融機関と顧客の利害関係の対立について、十分に周知されていないことだろう。加えて、金融機関や広告メディアの「相談に乗る親身な専門家」というソフトイメージの訴求がある程度成功しており、心細かったり、構ってほしかったりしがちな高齢者がつけ込まれているという構図だ。

■「悪徳3商品」を勧める金融マンとは距離を置け

 金融機関のセールスマンに接する場合、相手の人物を評価しようとして上手く行かないとすれば、どのような判断基準を持ったらいいのだろうか。着眼点としては、利害の対立しやすいポイント、特に、金融商品の選択に注目すべきだろう。

 端的に言って、(1)分配金が毎月支払われる投資信託、(2)ラップ口座(「ファンドラップ」を含む)、(3)外貨建て個人年金保険のいずれかの商品を勧める金融マンは「遠ざけるべき人」である。これらの3商品は、金融庁が「金融レポート」(平成27事務年度版。平成28年9月刊)で、長期的資産形成に不適切であるとしたり、手数料が高いことを問題視したりしている商品カテゴリーだ(詳しくは9月21日付本連載「金融庁がダメ出しする運用商品ワースト3」(http://diamond.jp/articles/-/102234)をご参照いただきたい)。

 これらの3つのカテゴリーに属する商品を勧める金融マンは、いかに「真面目」・「親切」・「有能」に見えても、信用してはいけない。

 運用について理解し、自分で正しく判断できるようになるのが一番いいが、他人に相談したい場合は、運用商品(投資信託、生命保険など)を仲介していたり、金融機関の広告に出ていたりするアドバイザーではない、独立したアドバイザーに相談料を払って相談することが大切だ。

■<ポイント2>インカムゲインにこだわらない

 一般に、高齢者にとっては、利息・配当・分配金などの収入(総称して「インカムゲイン」)が支払われる、なるべく安定した運用商品が向いているとのイメージがあり、金融機関側はビジネス上これを利用している。

 しかし、まず、金融商品の優劣は、インカムゲインとキャピタルゲイン(株式、投資信託などの「値上がり益」のこと)を合わせて判断するのが大原則だ。

 また、株式などリスクが大きく見える運用対象も、これを少額買うのであれば大きなリスクをもたらさない。金融論的には、リスクに対するリターンの効率がいい同じもの(組み合わせ)に適正な額投資するのが、年齢や投資経験など投資家のタイプに一切関係なく「誰にとっても」最善の投資だ。

 そもそも「高齢者向け」の運用があるという先入観を持つことが間違っているのであり、この先入観を利用しようとする相手を警戒すべきなのだ。

 警戒すべき典型的な商品は、分配金を大きく設計してかつ定期的な分配金が支払われるようにした毎月分配型の投資信託だ。

「金融レポート」では、毎月分配型投信を長期の資産形成に適していないと指摘する、やや遠慮した書き方になっているが、はっきり言って運用効率が悪いと言っているのであり、長期・短期何れの運用にあっても選ぶべきでない劣等商品なのだ。

 もちろん、商品だけでなく、「運用にあっては、インカムゲインが大事です」と言うセールスマンも遠ざける方がいい。

■<ポイント3>自分の劣化に備える

 前述のように、高齢であることによって、ハイリスクな商品への投資を控えるといった、特別な運用は必要ない。判断力が明晰である限り、ポートフォリオにまで歳を取らせる必要はない。ちなみに、米国の有名投資家で大富豪として知られるウォーレン・バフェット氏は86歳だが、現在も現役の投資家だ。

 しかし、一方で、高齢な個人が自分の資産を管理する場合、自分の判断力や健康が急に失われた場合にどうするかという対策を取る必要がある。

 例えば、認知症の症状が出始めた段階で、金融マンに過剰な売買を繰り返す形で手数料稼ぎをされてしまうケースは少なくない。

 自分のお金の状況を、家族その他に共有させることは気が進まない方が多いだろうし、金融機関・金融マンとの接触を楽しみにしている高齢者も多く、家族といっても他人に口出しされたくない方が多かろうが、自分の判断力が鈍って金融機関につけ込まれた時にストップが掛かるような情報共有を、ぜひ家族の誰かと行っておくべきだ。

 単身者の場合などに、後見人を付けることができるので、この利用を考えることが有益な場合もあるが、後見人が金融機関と内通していわゆるグルになる場合もあるので、気をつけたい。

 また、休眠預金(資金に動きのない預金)は期間が10年に及ぶと、支店から本部に移されるのと同時に、銀行の取引記録の保管期限が10年であるため、本人が命や記憶を失うと、家族にも見つけられなくなる場合がある。

 お金の「置き場所」くらいは、後日に家族が分かるようにしておくべきだ。ただし、相続人が複数いる場合には、特定の誰かだけと情報を共有することが、後の相続を巡る争いの種になることもあるので、微妙な問題になるケースもあるだろう。

「お金に関しては他人を信用してはいけない」というのが、概ね大原則なのだが、人生の最終盤にあっては「信用できる他人を確保しておくこと」が同時に大切になる。人生とは難しいものだ。
 

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コメント
 
1. 2016年10月26日 21:13:50 : oCrAJL4UVg : BSkALVEdcgY[204]
親切な 笑顔の陰に 潜む邪気

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