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「中銀は頼れない」―世界で高まる財政支出拡大への期待
かつて予算削減を支持していたIMFは今、各国政府に支出拡大を求めている
世界中で財政支出の拡大を求める声が高まっている
By JON SINDREU
2016 年 10 月 25 日 17:39 JST
中央銀行に世界経済を回復させる力はないとみて、財政支出の再拡大を支持する投資家や政策立案者が増えている。
景気てこ入れを中銀主導の政策ではなく、政府の課税・支出能力に頼るようになれば、数十年続いた経済の一つの時代が終わり、金融市場の大混乱を引き起こす恐れがある。
「債券王」の異名を持つビル・グロス氏をはじめ、一部の投資家はかつて、政府の浪費がソブリン債の終焉(しゅうえん)の前兆になることを危惧していた。グロス氏は2011年、米国債を処分するとともに、英国債は「ニトログリセリンのベッドの上に」横たわっていると述べた。
そして今は、政府支出の拡大を求めている。
マイナス金利の導入という初めての試みに深入りしている欧州と日本を中心に、景気てこ入れ手段の変化が世界に広がっているかどうかははっきりしない。だが、そうなりつつあるかすかな兆しが見える。
英国は、欧州連合(EU)からの離脱決定が市場や経済に及ぼす影響と闘っている。メイ首相は今月、金融緩和策を批判。ハモンド財務相はインフラと住宅への財政出動を実施すると表明した。他の欧州諸国は、長年に及ぶ欧州債務危機への対応を定めた緊縮政策を緩めている。
また、かつて予算削減を支持していた国際通貨基金(IMF)は現在、各国政府に支出拡大を求めている。
各国政府はここ数年、支出拡大のために債務を膨らませることを恐れている。その代わりに、中銀に借り入れコストの低減や、家計・企業に対する支出促進を任せている。
極めて積極的な金融政策は、債券を含む資産価格を押し上げ、市場のボラティリティー(変動率)を低下させている。たまに「かんしゃくを起こす」こともあるが、株式と国債の価格は上昇基調を維持している。
しかし、家計と企業は支出をあまり増やしておらず、中銀の政策が迫力に欠けることを示す証拠が増えている。さらに重要なことに、この政策は市中銀行に犠牲を強いている。多くはすでに体力が弱っているなかで、各行の利益が圧迫されている。
そのため、政策立案者らは政府に財政出動させるという古い考えを持ち出している。たとえこれが実現したとしても、株式や債券に対して、金融資産の価格上昇に依存する中銀の刺激策と同じ良い影響を与える可能性は低い。
ロンドンのサラシン・アンド・パートナーズで約20年、最高投資責任者を務めているガイ・モンソン氏は「こうした極めて確実で快適な投資環境が遠ざかり、新しい世界に入りつつある」と語った。
その最初の兆候は債券利回りに表れている。英国では、メイ首相とハモンド財務相が上記の発言をした後、債券利回りが急上昇した。
他の債券利回りも過去最低水準から徐々に上昇している。ドイツの10年債の利回りは現在、0.007%と極めて低いものの、今夏はほとんどマイナス圏で推移していた。
確かに、債券は金融刺激策の大きな恩恵を受けている。バンクオブアメリカ・メリルリンチのデータによると、世界の債券価格は年初来で6.5%上昇している。一方MSCIによると、株価の上昇率は4.5%にとどまっている。
財政政策が緩和されれば、債券利回りは上昇する可能性がある。なぜなら、中銀は利上げ、または少なくともそれより小幅な利下げによって政府支出のインフレ効果を相殺するとみられるからだ。
財政刺激策で世界の需要が高まれば、商品(コモディティー)、輸出業者、建設会社にはプラスになる。金利上昇が重しになる株式にとっては影響はまちまちだ。
英銀大手スタンダード・チャータードのエコノミスト、ジェフ・ケンドリック氏は「財政支出が大幅に拡大すれば、世界の成長ダイナミクスを極めて劇的に変えられる可能性がある」と述べた。
ブラックロックのファンドマネジャーらは、政府支出が拡大されれば、来年は世界の債券市場にとって厳しい一年になるとみている。
ルー米財務長官は9月、政策立案者らは「もはや成長か財政緊縮かではなく、景気を下支えするためにいかに最も上手に財政政策を用いるかについて議論している」と述べた。IMFも、10年に支持した「拡張的な緊縮策(expansionary austerity)」の先に進んでいる。
欧州当局は財政支出が多すぎることを理由にスペインとポルトガルに制裁を科すことを検討していたが、7月にこれを見送った。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのファンドマネジャー、マイク・リデル氏は「刺激策は害を及ぼすという考え方が薄れている」と語った。
金融政策は、生産活動とインフレ誘導の効果を疑問視されている上、銀行に与える影響に関する責任を引き受けている。中銀は金利をマイナス圏に引き下げ、長期金利を押し下げることで、民間金融機関の収益性を悪化させている。
ユーロ圏と日本では、銀行株が年初来でそれぞれ約20%、29%下落している。財政刺激策はこうした状況を変えるかもしれない。
ベアリングスのマルチアセット運用責任者、マリノ・バレンシス氏は「その変化が最初に表れるのは日本だろう」と述べた。
投資家も、インフラ関連の公共事業から直接恩恵を受ける企業に目をつけている。例えば、S&P500種指数の構成銘柄で建設・エンジニアリング関連株は14年以降、大きく後れを取ってきたが、今年は18%上昇している。
この2年、不振が続く商品(コモディティー)も、世界的な需要増加の恩恵を受けそうだ。ドル高と先進国への資金流出がさまざまな問題をもたらす恐れがあるが、コモディティー輸出国が多い新興国にはプラスだ。
JPモルガン・アセット・マネジメントの欧州市場チーフストラテジスト、ステファニー・フランダーズ氏は、「利上げ見通しと利回り曲線が急に元へ戻ったら、短期的に新興国市場のボラティリティーがやや高まる可能性があるが、全体的に見れば、このような動きは世界経済の成長にとって追い風になるだろう」と述べた。
それでも一部の投資家は、リスク資産が打撃を被る恐れがあると警鐘を鳴らしている。なぜなら、金利が上昇すると、これらの資産が約束するリターンの魅力が薄れるように見えるからだ。
アナリストの大半は、大規模な財政政策の実施は今も激しい政治的抵抗に遭っているため、中銀は長期にわたり金利を低水準に維持すると予想している。
カルミナックの投資委員会のメンバー、ディディエ・サンジョルジュ氏は、公的債務が積み上がっていることから、「財政出動の規模は限られるだろう」との見方を示した。同氏は万一に備えて債券へのエクスポージャーを減らしているが、超緩和的な財政政策に賭けるのはやはりリスクが大きすぎると考えている。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj41Ki6vPbPAhVLHZQKHR_5AC4QFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11104639269023523859604582395653633465744%3Fmod%3Drss_Japan_Technology&usg=AFQjCNH4MSbkxr3uwqImk3tBfOf5hn_GvQ
米主要20都市住宅価格指数:8月は前年比5.1%上昇、着実な伸びが継続
Patricia Laya
2016年10月25日 23:37 JST
米主要20都市の8月の住宅価格は引き続き着実なペースで伸びた。S&P・コアロジック/ケース・シラーが25日発表した。
米20都市住宅価格指数(前月比を除き季節調整前)は8月に前年比5.1%上昇。ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は5%上昇だった。前月は5%上昇。
全米ベースでは前年比5.3%上昇。20都市の住宅価格指数は前月比では季節調整後で0.2%の上昇。
S&Pの指数委員会のデービッド・ブリッツァー委員長は発表資料で、「緩やかな経済成長の継続に支えられ、住宅価格は上昇が続いた」と指摘。「一戸建て中古住宅販売や住宅着工許可件数など他の住宅関連データもそこそこ健全な住宅市場を示唆している」と述べた。
住宅価格指数は20都市全てで前年比で上昇。上昇率が最も大きかったのはオレゴン州ポートランドの11.7%。シアトルでは11.4%伸びた。上昇率が最も小さかったのはニューヨークで1.7%。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Home Prices in 20 U.S. Cities Continue Rising at Steady Pace (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-25/OFLWFM6KLVS101
米ケース・シラー住宅価格指数、8月は前年比5.1%上昇
[25日 ロイター] - スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が発表した、8月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は、主要20都市圏の住宅価格動向を示す指数が前年同月比5.1%上昇、市場予想(5.0%上昇)を上回った。
7月は5.0%上昇していた。
前月比でみると季節調整済が0.2%上昇、市場予想(0.1%上昇)を上回った。季節調整前は0.4%上昇、市場予想と一致した。
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空売りリポートで日本株の「ぬるま湯体質」にメス
荒井裕樹氏、不透明な会計処理批判の調査リポートで存在感
調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチの荒井裕樹氏(写真)は日本企業の会計処理やバリュエーションを批評する調査リポートを発表してきた ENLARGE
調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチの荒井裕樹氏(写真)は日本企業の会計処理やバリュエーションを批評する調査リポートを発表してきた PHOTO: KIYOSHI OTA/BLOOMBERG NEWS
By MIA LAMAR AND JULIE STEINBERG
2016 年 10 月 25 日 18:02 JST
【香港】弁護士として物議を醸す案件に対応した経歴を持つ荒井裕樹氏は、昨年から株式市場に目を向けるようになった。
荒井氏はシンガポールに上場する資源専門商社ノーブル・グループが不透明な会計処理を行っている可能性を警告した調査リポートに目を留め、日本でも同様のリポートが書けないか考えるようになった。
その10カ月後、荒井氏の調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチは、丸紅を含む日本企業3社の会計処理やバリュエーション(投資尺度)を批評する調査リポートを発表してきた。こうして、荒井氏は広範なアジア企業をターゲットに声を上げる輪の中に加わったのだ。
企業の会計やバリュエーションを疑問視する公開リポートがアジアで初めて注目されたのは、5年前に米調査会社マディー・ウォーターズが中国の製材会社、嘉漢林業の攻撃に成功した時だ。現在、こうしたリポートは地域全体に広がり、一部の規制当局者から怒りを買っているほか、友好的な投資家との緊密な関係に浴していたアジア企業の神経を逆なでしている。
今年に入ってから日本企業に空売りが仕掛けられた回数は8回。これは英投資情報会社アクティビスト・インサイトが記録した中で過去最多となる。2015年1月以降、香港に拠点を置く企業が空売りの対象となったのは13回で、アクティビスト・インサイトによるとこれも過去最多だという。
荒井氏はインタビューで、日本銀行と公的年金マネーによる株式購入が増えている点を指摘し、市場に流入する納税者のお金が大量にあると述べた。また、同氏は市場の効率性が日本全体にとって極めて重要だとも話した。
荒井氏は、丸紅が海外投資資産から発生した1000億円以上の減損損失を過年度に計上していなかった疑いがあると指摘。荒井氏が12月にリポートを発表して以降、丸紅の株価は16%下落した。これに対し丸紅は、個別リポートにコメントする立場にはないと述べている。
投資家が大量の株式を市場で購入し、企業に変革を迫るという米国流のアクティビスト(物言う株主)に懐疑的なアジアの人々は、同地域では空売りリポートの方が効果的かもしれないと話す。米国流のアクティビスト活動はコストがかかる場合が多く、一族や政府が支配する企業と心地よい関係を築く地元投資家を打ち負かす必要があるからだ。
それでも、精密な調査を受けるに値する企業はたくさんある。アジア企業は透明性と情報開示において欧米企業に後れを取りがちだ。投資家が短文投稿サイトのツイッターやブログなどで株の話題を取り上げる中、これまで以上に企業攻撃に弾みがつく環境が整ってきている。
荒井氏の調査会社を含むいくつかの組織は、調査で分かったことを顧客であるヘッジファンドに販売している。この他、空売り投資ファンドの米グラウカス・リサーチ・グループ(カリフォルニア州)などもリポートを発表したり、自社で空売りを仕掛けたりしている。
グラウカスが日本企業を標的にしたのは、伊藤忠商事に不正会計の疑いがあると指摘した7月のリポートが初めてだ。これを受けて伊藤忠の時価総額は一時的に急減したが、その後は回復。同社は「適切な会計処理」を実施していると説明している。
アジア企業の幹部の中には、空売り投資家の戦略に不意を突かれた経験があると話す人もいる。筑波大学発のロボットベンチャー、サイバーダインの幹部らは、今年の夏に荒井氏が(その後、米空売り投資家のアンドリュー・レフト氏が)同社の株価に目を付けるまで、そうした空売りリポートについてあまり聞いたことがないと述べた。サイバーダインはレフト氏のリポートについて、「全体の文脈を無視した一部の情報だけの強調」が含まれていると主張。荒井氏の7月のリポートが発表されて以降、同社の株価は26%下落した。
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【社説】中国本土に似てきた香港の市場規制
アクティビスト、影響力拡大も資産は減少
アリババも調査、企業会計ごまかし見抜く2人
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj2xJn4u_bPAhXEKZQKHapHAdsQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11740957682223234214304582395500589523084&usg=AFQjCNFDdIyP4vasPssEcfogxncrz679iA
2050年の日本:高齢化を逆手に世界リード
起業家は高齢者の潜在力を解き放つため、ロボット工学などのイノベーションを模索
高齢化が進めば経済が縮小するという言葉通り、過去に例を見ないペースで進む高齢化が日本に厳しい未来を突きつけている
By JACOB M. SCHLESINGER AND ALEXANDER MARTIN
2015 年 11 月 30 日 15:18 JST
【東京】東京都心のオフィスビル建設現場で、斉藤健一さん(67)は重さ約20キロの板を、まるで年齢が半分若返ったかのように軽々と積み重ねていた。
その秘密はロボットスーツだ。腰回りと太ももを囲むように外骨格型のロボットスーツが装着され、肌にはセンサーが取り付けられている。このセンサーは斉藤さんが筋肉を動かし始めるのを感知し、その動きをアシストするよう機械に命令を出す。これで斉藤さんが実際に感じる重さは8キロほど軽くなる。
ヘルメットをかぶった斉藤さんは「まったく10年前と同じだ」と話した。
斉藤さんのロボットスーツは、この建設プロジェクトを請け負う大林組が行う実験の一部だ。それは同社だけでなく、日本が直面する最大の問題の1つ、つまり急速な高齢化による慢性的な労働力不足に取り組むためのものだ。ロボットスーツのおかげで、斉藤さんの働ける期間は延び、大林組も建設を続けることができる。
高齢化が進めば経済が縮小するという言葉通り、過去に例を見ないペースで進む高齢化が日本に厳しい未来を突きつけている。このロジックに従えば、高齢者は非生産的で年金や医療の資源を浪費する存在であり、一方で労働や収入、消費、納税を通じて成長にほとんど貢献しないことになる。
現在、日本の人口の25%が65歳以上だ。この割合は米国では13%にとどまる。日本では、高齢者と15歳未満の子どもからなる「従属人口」1人を支える生産年齢人口は1.6人にすぎない。
この割合はすでに持続不可能なほど低いと考えられている。2050年までに、日本では従属人口1人を生産年齢人口1人で支えるようになる。1980年代の高度成長期、日本では2人以上で1人を支えていたが、これは現在の米国の割合とほぼ同じだ。
悲観論者らは、容赦ない破滅への道から日本を救う唯一の方法は、急激かつ大規模な移民受け入れなどの劇薬しかないと指摘する。ただ、日本が世界でもまれなほど同質性の高い文化を維持してきた歴史を考えると、これは実現しそうにない。
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人口高齢化と出生率低下で、日本の人口動態は破滅の道に向かっている。ただ、日本全国で負担を恩恵に変えるかもしれない実験が進行中だ。
人口高齢化と出生率低下で、日本の人口動態は破滅の道に向かっている。ただ、日本全国で負担を恩恵に変えるかもしれない実験が進行中だ。
しかし、高齢化の課題に取り組む日本の経営者や政治家、学者の数は増えている。彼らは緩やかな適応が高齢化社会の痛みを緩和するのか、負担を恩恵に変えさえするのか、見極めようとしている。
楽観主義者の場合、増え続ける健康な60代や70代の人々を職場に戻すことから始める。これにより生産的な社会構成員が増えるばかりか、人口減少で手が回らない現場の仕事を手助けすることにもつながる。
また楽観主義者らは、高齢化に関連する新たな成長エンジンにも言及する。例えば、労働力減少を見込んだオートメーション化(自動化)への投資ブーム、あるいは現役時代の勤労と倹約で積み重ねた貯蓄を使う高齢者をターゲットとした「シルバー市場」の成長などだ。日本のシルバー市場はすでに100兆円以上の規模に達しており、年間1兆円の成長が見込まれている。
ビジネスコンサルタントで「シニアビジネス:『多様性市場』で成功する10の鉄則」などベストセラー書籍の執筆者である村田裕之氏は、「『アンチエイジング』から『スマート・エイジング』に発想を転換する必要がある」と指摘する。
巧妙な高齢化戦略を作り上げる日本の能力は世界にも示唆を与える。他の国々もすぐに日本と同じ道をたどるからだ。国連の予測によると、2050年までには32カ国が、現在の日本よりも大きい割合の高齢人口を抱えることになる。
先陣を切って高齢化社会に対処することをチャンスと捉える日本人もいる。ちょうど前の世代が、まずは日本国内で磨きをかけてから輸出した自動車や電化製品で世界的リーダーになったようにだ。
ただ、現時点で日本から見えてくるのは、人口動態の変化による利益よりも痛みの方だ。
安倍晋三首相によって打ち出された公共事業計画は、若い肉体労働者の不足で行き詰まっている。大胆な金融緩和で急速な円安をもたらした経済政策「アベノミクス」のおかげで、世界展開する日本の大企業は過去最高益をたたき出しているが、これら企業は利益を国内投資に向けるのをためらい続けている。人口縮小による長期的な成長余地の限界を嗅ぎ取っているからだ。こうした状況すべてに暗い影を落としているのは、年金負担で膨張する日本の巨額債務だ。
それでも、この悲観的見通しは、その通りにはならないかもしれない前提条件に依拠している。つまり、65歳に達したら、社会を支える側から支えられる側に退かなければならないという前提だ。いまの60代や70代は、そして80代でさえ、前の世代に比べると活力があり、社会的負担も小さいことは明らかだ。こうした中、日本は「高齢化」を再定義している。
千葉県柏市にある特別養護老人ホーム「柏こひつじ園」でパートタイム勤務する高齢者のひとり、大橋知行さん(72、写真中央)は労働力不足の解消に一役買っている。大橋さんは「アドバンテージができたかなという感じ」だとした上で「将来はここでお世話になれるかな」と話す ENLARGE
千葉県柏市にある特別養護老人ホーム「柏こひつじ園」でパートタイム勤務する高齢者のひとり、大橋知行さん(72、写真中央)は労働力不足の解消に一役買っている。大橋さんは「アドバンテージができたかなという感じ」だとした上で「将来はここでお世話になれるかな」と話す PHOTO: JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL
出生率の低下が日本の高齢化の一因ではあるが、体に良い食事や健全なライフスタイルの重視、国家的な医療制度を通じた著しい健康の増進もその要因のひとつだ。専門家は、予防治療を強調することで医療コストの削減につながっていると指摘する。
日本人の平均余命は女性で87歳と世界で最も長く、米国人より5年長生きだ。男性は81歳で世界3位、米国人よりも4年長い。医学専門誌ランセットによると、人がひとりで生活できる期間の推計値である「健康寿命」は日本人が男女ともに世界最長で、それぞれ71歳、75歳だ。
2年前には、日本人の登山家が80歳でエベレスト登頂を果たした最初の人物になった。また、高齢者の競技大会では日本人アスリートが圧倒的な強さを見せることが少なくない。
日本の医療費は現在、対国内総生産(GDP)比で10%となっている。最も医療費の高い年齢層に人口が集中しつつあるにもかかわらず、この割合は先進国の中でほぼ平均に近く、米国の17%を大きく下回る。
日本では高齢者の約5人に1人が働いているが、これは経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国の平均の2倍近くだ。65歳から69歳までの日本人男性の半分以上が仕事を持っているが、10年前は約4割だった。
英金融大手バークレイズの6月のリポートによると、これに働く女性の人数を合わせれば、過去10年間における労働力の縮小は1%未満にとどまることになる。伝統的な定義での「労働力人口(15〜64歳)」が8%減少しているにもかかわらずだ。
株式会社「高齢社」は75歳までの労働力を派遣する人材派遣会社だ。この仕事の中にはつまらないものもある。高齢社から人材を採用したある装置メーカーは、この人物を東京で修理工の車に同乗させ、修理中も車にとどまらせて違反切符を回避する役割を担わせていた。
過去1年間に複数の建設会社が6万人の高齢者を現場要員として追加採用した。国土交通省は4月、パイロットの年齢制限を67歳に引き上げた。
長野県の曲がりくねった狭い道の外れにある会社「小川の庄」では、高齢者に「おやき」の製造を任せている。かつて、同社の退職年齢は78歳だったが、今は好きなだけ働いてもいい。
ある日の午後、85歳の女性が小麦粉を練った皮でナスと味噌を包んでいた。76歳と91歳の男性2人がそれをトングでつかんで天井からつるされた大きな鉄板にのせ、時折ひっくり返していた。
小川の庄で週に3日働く松本藤子さんは、「おやきを作るのは百姓仕事と違って手の先を使う仕事だから、身体への負担も少ないし、続けられる」と語る。
高年齢労働者は、さらに高齢な人の介護という日本で労働力が最も不足している仕事を埋めるのにも重要な役割を果たしている。すでに日本の失業率は低いが、厚生労働省は労働者が足りないセクターの約14%を介護セクターが占めると試算している。こうしたミスマッチは介護需要が拡大するにつれて大きくなるだろう。
柏こひつじ園で働く井内英子さん(74)は昼食時にコーヒーやお茶を入れたり(写真)、入浴後に入居者の髪を乾かしたりしている。「自分ももしかしたら、いつなんどき倒れて、ここのお世話になるかもしれない」 ENLARGE
柏こひつじ園で働く井内英子さん(74)は昼食時にコーヒーやお茶を入れたり(写真)、入浴後に入居者の髪を乾かしたりしている。「自分ももしかしたら、いつなんどき倒れて、ここのお世話になるかもしれない」 PHOTO: JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL
このミスマッチは雇用されていない高齢者がより多く参入すれば埋められるかもしれない。介護職に就く約3割の人が今や60歳以上で、10年前の2割から増加している。
藤塚二三男さん(73)は、自身が経営するゴム製品メーカーが破綻した後、介護サービスを手がけるセントケア・ホールディングスに入った。藤塚さんは週5日勤務で、時には朝7時半に出勤し、そこから自転車で近くの家庭を訪問して顧客である80代や90代の高齢者を入浴させたり着替えさせたりする。
日本はますます高年齢労働者に頼るようになっているが、必ずしも良い側面ばかりとは限らない。高齢者の多くが喜んで働くと言う一方で、年金受給額の少なさやその他の経済的事情で働かざるを得ない人もいる。65歳以上の日本人の25%近くが貧困ラインを下回る生活を送っているが、これは全人口で測った割合を約40%上回る。
雇用主は高齢者を安価な労働力とみなしており、退職した正社員を賃金の低い非正規社員として再雇用することもある。これは、賃金低下が続いた悪夢の10年間に終止符を打とうとする日本政府の努力を根底から揺るがしている。
千葉県で高齢者就農支援組織を運営する関根勝敏さんは「若い人にくらべて、少し賃金を抑えられる」と話す。同氏の農園では20人近くの高齢者が果物や野菜の収穫に携わっているが、彼らに支給される賃金は現行賃金の8割だ。
高年齢労働者にできることは、若い労働人口の縮小分を埋める程度でしかない。自分で選んだにしろ身体的な理由があるにしろ、高年齢労働者の多くは週に数時間しか働かない。千葉県柏市にある特別養護老人ホーム「柏こひつじ園」の幹部は、そこで働くパートタイムの高年齢労働者40人の労働時間が正社員の3〜4人に相当すると見積もっている。
また、施設入り口の暗証番号など重要な情報を突然忘れた高年齢労働者にどう対処するかという、複雑な問題と格闘する雇用主もいる。
時には、大林組が建設現場に導入したロボットスーツのように、高年齢労働者の足りない部分を補うテクノロジーが解決策になる場合がある。都心から車で1時間ほど走った場所にある特別養護老人ホーム「藤沢愛光園」は6月、筑波大発のベンチャー企業サイバーダインからロボットスーツ「HAL」を導入した。
北海道ではジャガイモを栽培する60歳の農業従事者らが、かがむ負担を軽くするゴム製の「スマートスーツ」を着用していた。羽田空港で荷物を扱う作業員も同様のアシスタントスーツを着ている。
単に高齢者がその仕事をできない場合、あるいは人手が見つからない場合、日本のメーカーはロボットに活路を見いだし、コストを抑えるばかりか持続的な成長にもつなげようとする。
三菱東京UFJ銀行は受付係として19カ国語を話す小さなロボットを配置した。また、長崎県ではスタッフの大半がロボットというホテルが7月にオープン。コマツは建設現場に導入する自動運転車両を開発中で、産業用ロボットのファナックは互いに修理しあう機械を設計中だ。
トヨタ自動車は「生活支援ロボット」の実用化を目指している。これはテレビ電話やリモートコントロール機能が搭載されたアンドロイドで、家族や友人が遠く離れた場所から、まるで家にいるかのように年老いた親の世話をすることを可能にする。あるデモンストレーションでは、息子がタブレット端末を使って寝たきりの父親の部屋を見回し、ロボットにカーテンを開けて父親に飲み物を持っていくよう指示していた。
ソフトバンクグループは今年6月、日本国内でヒト型ロボット「ペッパー」の販売を開始し、世界から注目を浴びた。同社によると、ペッパーは感情を理解できる世界初のロボット。当初、この身長120センチの白いロボットは介護ヘルパーなどの用途に使われていた。
介護施設でのデモンストレーションで高齢者と触れ合うヒト型ロボット「ペッパー」。介護職員不足に悩むこの施設ではペッパーを導入し、レクリエーション活動を引っ張ってもらうことが検討されている ENLARGE
介護施設でのデモンストレーションで高齢者と触れ合うヒト型ロボット「ペッパー」。介護職員不足に悩むこの施設ではペッパーを導入し、レクリエーション活動を引っ張ってもらうことが検討されている PHOTO: JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL
神奈川県内での実演で、ペッパーは80代から90代の高齢者30人を40分間楽しませた。ペッパーはそこで軽い運動の指導を行ったほか、高齢者が色や文字を認識できるかを試した。女性たちは孫であるかのようにペッパーの頭をなでていた。
開発者のひとりである居山俊治氏は、別の機会で認知症患者と触れ合ったときのペッパーのビデオを流しながら、このロボットが時には人間より良い仕事をするかもしれないと話した。「このおじいさんは認知症だが、ペッパーに同じことをずっと話しかける。人間だとちょっと嫌な顔をすると思うが、ロボットはずっと『そうですか』って話を聞いているのだ」
居山氏が経営するフューブライト・コミュニケーションズは、急成長する高齢者向けIT市場に照準を定めた社員3人の新興企業だ。社名のフューブライトは「フューチャー(未来)」と「ブライト(明るい)」を組み合わせて縮めたもの。居山氏は「日本の未来は暗いとイメージされていると思うが」と前置きした上で、「考え方によっては、こういうフィールドとこの技術を試せる場所はここ(高齢者向けIT市場)しかない」と話した。
新たな労働形態と技術が日本経済の供給サイドを変質させているが、次第に重要性を増す「シルバー市場」が成長を後押しする中で、これに並行して進む展開が需要サイドも変化させている。
日本の高齢者が人口全体に占める割合は依然として3分の1以下にすぎないが、彼らは1700兆円に上る家計金融資産の約6割を保有している。また貯蓄の必要がなくなった人も多いため、高齢者は国内消費の約半分を占めている。
日本全体における消費支出の増加ペースは弱いが、UBS証券のエコノミストらはシニア市場の拡大が、少なくとも一時的には、人口縮小から生じる悪影響を埋め合わせる以上の効果をもたらすだろうと信じている。
東京で開催された「終活フェスタ」の各ブースでは人生の最終章に備える商品やサービスが紹介された。左の写真は火葬後の遺灰を天まで届ける風船、右は葬儀用のつぼを持つ男女 ENLARGE
東京で開催された「終活フェスタ」の各ブースでは人生の最終章に備える商品やサービスが紹介された。左の写真は火葬後の遺灰を天まで届ける風船、右は葬儀用のつぼを持つ男女
高齢者はすでに日本の消費市場の姿を変えている。政府が今年、消費者物価指数に採用される588品目を見直した際、補聴器やサポーターが追加される半面、お子様ランチやテニスコート使用料などは廃止された。
一方、企業は高齢者の消費を取り込む新製品や新たなマーケティング戦略に投資している。
パナソニックは昨年秋、シニア層向けに使い勝手が良く軽量な「Jコンセプト」と呼ばれる家電ラインナップを立ち上げた。この中には取り出す負担を最小限にし、見やすいコントロールパネルが搭載された洗濯機や冷蔵庫が含まれる。同社は今年、傘下のパナソニックエイジフリーサービスの従業員数を最大で10倍となる2万人に増やす計画を明かした。
味の素は2013年、「サクセスフル・エイジング」をスローガンにした「アクティブシニア・プロジェクト」を発足させた。ここでは病気の早期発見につながるとされる医療診断の実施だけでなく、筋肉や骨の衰えを防ぐ健康サプリメントが販売された。
同社の西井孝明社長は「国内マーケットは縮小していくと思うが、利益成長していくことはできる」と述べた。
また、シルバー市場は高齢者が住みやすくするための増改築ブームを引き起こした。
宅配サービスも重視されるようになった。セブンイレブンは現在73万世帯に食品を配達しているが、同社はこの事業が毎年2倍のペースで拡大するとみている。日本郵政は米アップルおよびIBMと組み、月額1000円で「みまもりサービス」を開始した。これは郵便配達員が高齢者の家を訪問する際に生活の様子を確認し、専用の「iPad(アイパッド)」を使って結果を家族に知らせるという内容だ。
イオン葛西店で高齢者を楽しませる歌手の高島レイラさん ENLARGE
イオン葛西店で高齢者を楽しませる歌手の高島レイラさん PHOTO: JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL
葛西店には「グランド・ジェネレーションモール」と呼ばれる高年齢顧客の要求に応えるフロアがある ENLARGE
葛西店には「グランド・ジェネレーションモール」と呼ばれる高年齢顧客の要求に応えるフロアがある PHOTO: JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL
イオンは2013年、「グランド・ジェネレーション(最上の世代)モール(GGM)」に店舗をリニューアルさせる事業に取りかかった。GGMの食品売り場では半分のブロッコリーが用意されるなど、1人暮らしの高齢者向けに生鮮食品が小分けにして売られている。GGMでは編み物やパソコン教室、アマチュアミュージシャンのためのレコーディングスタジオなども組み込まれ、活動的な高齢者を引きつけるのに役立てている。
現在、高齢者が店舗にいる時間は50%延び、使うお金も40%増えた。
「お見合いサービス」という潜在市場すらある。越川玄さん(72)は首都圏に住む独身高齢者をつなぐ「三幸倶楽部」を16年間運営している。この事業は越川さんの趣味と言ってよく、利益は度外視されている。同氏は来年、全国6都市にサービスを拡大させる計画だ。
シルバー市場の成長が認識されるにつれ、日本で最も注目されるようになったビジネス流行語のひとつが「終活」だ。これは人生の最終章に備える人々をターゲットにした商品やサービスが爆発的に増えたことからも明らかだ。
ある9月の週末に開かれた「第3回 終活フェスタin東京」には宝飾店や旅行会社など50の企業や組織がブースを構え、会場には3400人が訪れた。イベントでは猫のようなマスコット「シュウキャッツ」が頭に「いきいき」と書かれた赤いはちまきを巻き、カメラの前でポーズを取っていた。
「終活」という新市場を狙え
シルバー市場の成長が認識されるにつれ、日本で最も注目されるようになったビジネス流行語のひとつが「終活」だ。
「終活フェスタ」で桜のシーズンに撮影された墓の映像を説明する證大寺の僧。
「終活フェスタ」でハワイをモチーフにした棺を試す来場者。
「終活フェスタ」の医療機器販売ブースに登場したマスコットの「シュウキャッツ」。頭には「いきいき」と書かれた赤いはちまきを巻いている。
「終活フェスタ」のブースで葬儀や墓参りサービスの説明をする證大寺の僧やスタッフら。
「終活フェスタ」に展示された墓石のサンプル。
「終活フェスタ」にブースを出した、買取事業を手がけるMARUKAの従業員ら。同社は最近、高齢者をターゲットにアウトレット展開する方向に方針転換し、退職後の副収入を得るための持ち物の売却を顧客に勧めている。
「終活フェスタ」に参加したある企業は、顔をスキャンして胸像を製作するサービスを提供している。
来場者に「終活」関連サービスの説明をする買取専門店「おたからや」の女性従業員。同社は資金準備を整えるため宝飾品を買い取るなどのサービスを展開している。
「終活フェスタ」で桜のシーズンに撮影された墓の映像を説明する證大寺の僧。
「終活フェスタ」でハワイをモチーフにした棺を試す来場者。
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「終活フェスタ」で桜のシーズンに撮影された墓の映像を説明する證大寺の僧。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」でハワイをモチーフにした棺を試す来場者。JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」の医療機器販売ブースに登場したマスコットの「シュウキャッツ」。頭には「いきいき」と書かれた赤いはちまきを巻いている。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」のブースで葬儀や墓参りサービスの説明をする證大寺の僧やスタッフら。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」に展示された墓石のサンプル。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」にブースを出した、買取事業を手がけるMARUKAの従業員ら。同社は最近、高齢者をターゲットにアウトレット展開する方向に方針転換し、退職後の副収入を得るための持ち物の売却を顧客に勧めている。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」に参加したある企業は、顔をスキャンして胸像を製作するサービスを提供している。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 来場者に「終活」関連サービスの説明をする買取専門店「おたからや」の女性従業員。同社は資金準備を整えるため宝飾品を買い取るなどのサービスを展開している。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」で桜のシーズンに撮影された墓の映像を説明する證大寺の僧。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL 「終活フェスタ」でハワイをモチーフにした棺を試す来場者。 JEREMIE SOUTEYRAT FOR THE WALL STREET JOURNAL
イベントに参加した朝日新聞は自伝の執筆を手助けするサービスについて説明した。このサービスは、99万9000円で記者が最初から自伝を書き起こしてくれるという内容だ。ある着物メーカーは火葬の際に身につける着物を宣伝していた。
イベント会場では多くの人がハウスボートクラブの従業員から、あるクルージングの説明を聞いていた。このサービスでは、最終的に自分の遺骨を海にまいてほしいかを確認するため、乗客が偽物の遺灰を東京湾にまくことができるのだ。近くには散骨クルージングを提供する競合2社の関係者もいた。バルーン宇宙葬は26万円で、遺灰を彩り豊かな熱気球で天まで届けてくれる。
企業はこうした商品やサービスを積極的に市場投入しているが、その一因は人口減少で家族が伝統的な墓を守るのがますます困難になってきたからだ。
一般社団法人、終活カウンセラー協会の創設者で代表理事を務める武藤頼胡氏は商談のざわめきの中で、「単純に(考えて)、もちろん若い人がたくさんいた方がいい社会だとは思う」と指摘。
「ただ、日本はもうこれだけ超高齢社会になっているのが現状だ。これを暗い社会だと思わないで、すごくネガティブにとらえない。そこにビジネスチャンスがあるかもしれない」
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http://jp.wsj.com/articles/SB11911181872401054173104581386862970522784
2016 年8月26 日
各 位
当社に関する米国シトロン・リサーチによるレポートについて
2016 年8月25 日付(米国時間)発行の米国シトロン・リサーチ(以下、「シトロン社」)によるレポート
(以下、「当該レポート」)で、当社が 2016 年8月 19 日に開示した「当社に関する調査レポートについて
の見解」および2016 年8月24 日に発表した「アナリスト対談:CYBERDYNEの未来開拓への挑戦」
に関する独自の見解が示されております。
シトロン社の当該レポートは、同社が2016 年8月15 日(米国時間)に発行した調査レポートと同様、
投資家をミスリードしかねない煽情的な表現や、事実誤認や全体の文脈を無視した一部の情報だけの強調
といった不適切な部分が含まれており、誠に遺憾です。当社としては、当該レポートに対する当社として
の見解を本日中に公表すると共に、事実と異なる情報を殊更に発信する行為には、市場を惑わすものとし
て毅然として対応して参りたいと考えております。
株主の皆様及び投資家の皆様におかれましては、今後の当社からの発表を注視して頂きますよう、何卒
宜しくお願い申し上げます。
以 上
会社名 CYBERDYNE株式会社
代表者名 代表取締役社 長 山海 嘉之
(コード: 7779 東証マザーズ)
問合せ先 取締役コーポレート
部門責任者 宇賀 伸二
(電 話: 029?869?9981)
https://www.cyberdyne.jp/company/download/20160826_tekijikaiji.pdf
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/news/2016/__icsFiles/afieldfile/2016/08/31/160727report5_jR.pdf
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