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[ポジション]黒田日銀は「死に体」? 緩和観測、大きく後退
年末以降が正念場に
日銀の追加緩和観測が後退している。10月31日〜11月1日の次回会合で物価見通しを下方修正する方向だが、物価目標2%を時間をかけて達成する姿勢に転じたばかりの日銀が、積極的に動くとみる市場関係者は少ない。金融政策の限界が迫るなか、牙を抜かれたようにもみえる黒田東彦総裁が再び立ち上がる日は来るのか。
「もうレームダック(死に体)だな」。9月の総括的な検証の直後、日銀内からもこんな声が漏れた。政策の軸足を資金供給量(マネタリーベース)から金利へと切り替えたことを受け、政策の失敗を自ら認めた結果との見方が広がった。
黒田総裁の任期切れまであと1年半、日銀はもはや大胆には動けないとの声が増えている。総裁は17日の日銀支店長会議で「経済・物価・金融情勢を踏まえ、必要な政策の調整を行う」と語ったが、有力な緩和手段であるマイナス金利政策の深掘りは金融機関の反発が強く、ハードルはかなり高いといえる。
QUICKが17日公表した10月の外為月次調査では、金融機関の外為関係者のうち、89%が「年内追加緩和なし」と答えた。善しあしは別として、日銀の金融政策決定会合のたびに緩和期待が高まり、相場が大きく動いていたこれまでの状況とは一変している。
2013年4月に異次元緩和政策を導入して以来続いてきた日銀の大胆な緩和姿勢が、金融政策の限界に突き当たって揺らいでいる。本来であれば、足元を見透かした投機筋が大規模な円買いを仕掛けてもおかしくない局面だが、なぜか今のところ「大人の対応」に終始している。
「日銀はうまく表舞台から姿を消した」。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は、市場参加者の関心が米大統領選挙や米利上げに向かう時期に、日銀が政策転換に動いた点に注目している。さらに、投機筋の円の持ち高が歴史的な高水準に膨らみ、円買いを仕掛けにくくなっていたことも、円高回避につながったとみている。
昨年末以降に円が急伸した背景には、ヘッジファンドなどの投機筋による大規模な円買いがあった。政府・日銀はその教訓もあって投機筋の動きに目を凝らしており、9月であれば、持ち高からみても円買いの仕掛けを受けにくいと見極めていた可能性がある。
政策変更への初期反応をうまく乗り切った日銀だが、正念場になるのは年末以降だ。米大統領選挙と米利上げを巡る騒ぎが収まれば、市場参加者は新たな材料を探し始める。持ち高調整を終えて身軽になった投機筋が、その時どう動くのか。
「先の経済など、誰も見通せない」。ある日銀幹部は黒田総裁が「死に体」になったとの見方に疑問を示す。今は経済が落ち着いているから日銀も動きを止めているようにみえるが、問題が生じれば、黒田日銀は再び果敢に動くとの立場だ。
日銀は9月会合の声明文で、今後の追加緩和の選択肢の4番目に量の拡大を掲げた。当初は入れる予定はなかったが、ある幹部がねじ込んだという。金融不安を伴うような局面であれば、バズーカ復活もあながち否定できない。
(石川潤)
[日経新聞10月18日朝刊P.]
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