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体を張るリスクがあるからこその高給、だったはずの風俗嬢は、今や「普通のOL」と大差ない稼ぎしか得られない職業となった
風俗嬢にもデフレの寒風「18歳でも客が付かず40歳で路頭に迷う」
http://diamond.jp/articles/-/105477
2016年10月22日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
タブーを冒し、体を張るリスクを取りながら高給を得る、というのが風俗嬢だったはずが、今やタブーやリスクはそのまま、しかし給料は激減という事態に陥っている。現役風俗嬢や風俗経営者に話を聞いた。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)
■ただ働くだけでは稼げない!風俗嬢に求められるセルフプロデュースとは
かつて、風俗といえば、女性が自分の体を元手に大金を稼ぐことのできる職業だった。短期間でお金を稼ぎ、貯蓄をした後は昼間のOLに戻るか、もしくは自営業に乗り出すか、結婚するか――。いわば、貧困人生をリセットし、女性たちが再出発するための場として機能していたはずの風俗は今、「働けど稼ぎは頭打ち」という、“普通”の仕事と変わらない苦境に陥っている。
「性は人が生きる上で大事なことです。その性に携わるのが風俗嬢です。だから風俗嬢はもっと誇りを持っていい筈です。私は誇りを持って風俗嬢をしています。いけませんか?」
大阪市内にあるSMクラブでS嬢として働くレイさん(37)が熱く語る。
レイさんが風俗業界と関わりを持つようになったのは、大学卒業の年、海外旅行に行く資金調達のため、「覗き部屋」でアルバイトをしたことがきっかけだった。以来、途中に何年かのブランクを挟みながらも、男性の自慰行為を見たり、手で手伝うサービス「オナニークラブ」を経て、現在のSMクラブへと辿り着いた。どれも「体を使わない」風俗業という点で、そのキャリアは一貫している。
「一番最初の覗き部屋がいちばん怖かったです。大勢の男性が酔って団体で来ることもあります。だから、もしかすると知り合いが来るのではないかと。それで3ヵ月ほど働いて卒業旅行の費用が貯まったら、すぐに辞めました」
こう語るレイさんだが、風俗業界との縁は切れなかった。就職した会社から関西での勤務を命じられたが、休日は何もすることがない。仕事は毎日、定時の出退勤だ。慣れない土地での1人暮らし、彼氏もできなかった。実家や母校の大学に遊びに行くにも交通費が嵩む。経済面でも余裕を持ちたい、前々から関心のあった心理学やカウンセリングも学びたい。これらを同時に満たす何かはないものかと探していると、「オナニークラブ」の求人が目についた。
「風俗店に来る男性は、奥さまや彼女にはとても見せられない素の姿を晒すためにやってくるものです。そこから心の闇というか心理を学ぶきっかけにはなりました。でもお給料が安すぎました。8時間拘束でついたお客様はたった1人ということもありました。それで体力的には厳しいですが、今のSMクラブに移ったのです」
レイさんが語るように、オナニークラブでは、一般に「女性に見てもらうだけ」のコースは、客は30分あたり5000円から6000円という価格設定だ。風俗嬢の取り分は、「どの業態でも客が支払う額の半分くらいが相場」(大手風俗チェーン店社員)である。
1日に客1人だと、30分コースで2500円から3000円だ。今、SMクラブでは毎週土日の出勤で1日当たり3人の客がついて3万円弱ほどの収入を得ている。「副業風俗嬢」としては満足のいく額だという。
レイさん本人が「誇りを持っている」と語るように、その仕事ぶりや働き口の見つけ方は、かなり戦略を練ったもの。「(風俗業界で)何をしたいのか」「何ができるのか・できないのか」「いくら稼ぎたいのか」という自己分析に基づいている。
■技術と容姿が優れていても月収40万円が平均
だが実際には、明確なキャリアプランを持っていない風俗嬢の方が遥かに多い。また、レイさんのような本業を別に持つ副業風俗嬢に比べ、専業風俗嬢のほうが、無策ぶりが目立つという。その理由について、これまで数多くの風俗嬢のマネジメントを行ってきた風俗チェーン大手社員は次のように語った。
「最後の働き口として行き着いたという理由で、風俗業界にやってきた子が多いからです」
バブル崩壊後の「失われた20年」以降、日本経済はデフレの波に呑まれた。風俗業界も例外ではない。かつては、風俗で働けば借金も完済でき、そこそこ優雅な暮らしを送れたものだったが、デフレにより客単価が大きく下がった今、専業、副業を問わず風俗嬢という職業は、もはや女性の「セーフティネット」として機能しなくなった。
それでも、働き口が見つからない女性たちは、風俗業界の門を叩かざるを得ない。そこで彼女たちを待っているのは、驚くほど「稼げない」現実だ。風俗チェーン大手社員が、その実情を次のように明かす。
「18歳の若さで風俗業界に飛び込んできた子でも、体を開いて、ただ寝ているだけの“マグロ”だと、とてもお客さまからのリピートは望めません。業界で生き残れるのは、専門性の高いきめ細かいサービスと、優れた容姿を併せ持つ子です。そんな子でも平日1日8時間拘束しても客がつかなければ、その収入額は1日2万円に満たないこともあります。週5日稼働で月40万円も稼げれば御の字。ほとんどの子は月20万円から30万円くらいの稼ぎです。しかもこれは、客入りが比較的多いソープランドでの話です」
もちろん中には、都市部の高級ソープランドやファッションヘルス、SMクラブといった業態で10日間で300万円も稼ぐ風俗嬢もいる。だがそれは、ほんの一部の「プロ野球でいえば、メジャーリーガー級の逸材」(前出・風俗チェーン大手社員)だけだという。「そうした稼げる子は、開業資金が貯まると、飲食店や、最近ではエステといった店を開いて、(風俗業界を)卒業します。結婚する子もいます」(同)
では、稼げない風俗嬢はというと、「早々に業界から足を洗って結婚、もしくは昼間の仕事に就ければラッキーでしょう。そうでなければ、中堅どころとして風俗嬢を続けるしかない。昼間の仕事に就いても、収入面ではさほど変わらないはずです。年収にすれば300万円から450万円くらいではないでしょうか」(同)。
体を張り、タブーを承知の上で仕事するからこその高給、だったはずなのだが、今や多くの風俗嬢は一般OLと大差ない収入に甘んじている。しかも、その収入すら、たゆまぬ努力の賜物なのだという。
年収300万円から450万円程度の「ミドルクラス」ともいえる風俗嬢のうち、経験年数10年以上というベテランの多くは、18歳から20代前半で“激安”を売りにしたファッションヘルスやセクキャバで経験を積んだ人が多いといわれている。ソープランドと違い、「体を使わない分、よりきめ細かいサービスが求められる」(前出・風俗チェーン大手社員)業態だ。
彼女たちは、容姿がほんの少し、大勢の顧客が求めるニーズと合っていなかったことから激安店でのデビューを余儀なくされたというだけで、サービス面では「むしろ超売れっ子よりも丁寧」(風俗ライター)だという声もある。
そして、結婚や転職で足を洗えず、こうした努力もできない風俗嬢たちは、食うや食わずで病気がちになるなど「絶対的貧困層」として生きて行かざるを得ない。
■風俗嬢に立ちはだかる「40歳の壁」の絶望
「ミドルクラス」の風俗嬢たちが長きに渡って風俗業界で活躍しているのは、ひとえに徹底した自己分析と、セルフプロデュース力の高さにあるという。前出・風俗チェーン大手社員が語る。
「20代前半までは『若い娘』をウリとする店で。20代後半以降は容姿に合わせて『お姉さん』『人妻』を前面に出す店に移籍する、あるいは男性向けマッサージやSMクラブといった専門性に特化した業態に転じるなど、上手に進化を遂げている。だから彼女たちは浮き沈みの激しい風俗業界で生き残っているのです」
しかし、そんなたゆまぬ努力をしても、食えなくなる時が訪れる。業界で言われる「40歳の壁」だ。40歳を超えた風俗嬢の需要は、めっきり減るのだ。“熟女”店で働けるのは30代まで生き残った風俗嬢のなかでも、ごく少数に過ぎない。今年、その40歳の節目を迎えるという大阪の現役ファッションヘルス嬢・ナナミさんは、こうした自らを取り巻く状況に危機感を露わにする。
「この歳まで、ずっとこの仕事一本なんです。さすがに40歳を超えてこの仕事はきついです。でも、風俗の経験を活かせるお仕事なんてそうそうあるとは思えませんし。婚活するにしても、ハローワークに行くにしても、どう説明すればいいのか…」
事実、風俗嬢だった女性が、自らの職歴を他者に話すことはほとんどない。専業風俗嬢の場合は、「接客業」「サービス業」といった言葉を用いることが多いという。
さて、こうした風俗嬢のセカンドキャリアについて、厚生労働行政はどう考えているのか。「風俗嬢という特定の職業を対象とした政策はありません。ただし、フリーターということであれば、正規雇用や職業訓練の相談も受け付けています」(厚生労働省安定局)。
ニート、フリーターを正規雇用すると、企業に助成金が出る制度も充実化しつつある。ただ家で引き籠っていたニートや、職業に結びつく専門性を持っていないフリーターを雇い入れるよりも、長年、「接客のプロ」として働き、40代まで生き残ってきた元風俗嬢を正規雇用したほうが、余程、企業にとって有益ではないだろうか?
とは言え、やはり風俗の世界をタブー視する風潮は世の中の大勢を占める。特に40代ともなれば、一般企業に就職できる元風俗嬢は一握りもいないだろう。結局、コツコツと努力をしても40代に突入すれば行き場がなくなる—そんな絶望感が、多くの風俗嬢たちを苦しめている。
※本文中、カタカナ名は仮名です。
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