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3回目の米大統領候補者TV討論会も終了。マーケットはクリントン大統領も織り込みつつ堅調だが、筆者は「ドル高は続かない」と読む(写真:UPI/アフロ)
米国がドル高を避けるために打つ「秘策」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161021-00141423-toyo-bus_all
10月21日(金)10時0分配信 江守 哲 東洋経済オンライン
筆者が「Xデー」と設定した10月14日までの間に、マーケットには何かが起きると考えていた。だが、いまのところ、ほとんど何も起きていない。20日の日経平均株価は1万7235円で終了、約半年ぶりの高値となった。現地時間19日に行われた米大統領選候補者のTV討論会も、マーケットでは大きくは材料視されなかった。
■日経平均は1万7000円台後半まで戻す可能性も
テクニカル分析では、しばしば「黄金分割比率」が用いられるが、昨年6月の高値2万0952円(A)と今年6月の安値1万4864円(B)をもとに考えると、一つの重要な節目の価格は1万7190円だった。それを抜けてきたことで、次は落ちた分(A-B=6088円)の「半値戻し水準」(B+3044円=1万7908円)が次の視野に入って来そうだ。
市場とは面白いもので、「ドイツ銀行が倒産しそうだ」「米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、株価は暴落する」などという見方が広く浸透すると、それをすぐに織り込んでしまい、実際には「すぐには何も起きない」ことも珍しくない。今回は、市場関係者の多くが、これらを材料に株価の下落リスクを声高に叫んだことが、急落回避の背景にあるのだろうと考えている。しかし、それは、あくまで「今の時点」であり、今後何かがおきれば、「やっぱり起きたか」となる。それも、市場がこれらのリスクを忘れたころに起きるのが常である。
今の市場は、現時点で知り得る材料をかなり織り込んでいるように見える。12月の米当局の利上げまでも織り込んでいるといえそうだ。ドルは直近でかなり上昇しているが、米長期金利の上昇が背景にあると考えるのが普通である。
しかし、米ドルの上昇の裏には、欧州通貨の大幅下落があることを忘れてはいけない。米国はこれ以上のドル高を受け入れるとは考えにくい。欧州通貨の下落は、いわば「米国のコントロール外」のところで起きているが、このような動きを是正する動きがいずれ出てくるだろう。
例えば、ドイツ銀行問題が再浮上したのは、直接的には、米国司法省が賠償金を要求したからだが、これこそ、米国が欧州に仕掛けた見えない圧力である。米国はドイツ銀行の問題をきっかけに、金融市場の構造の整理・再編を仕掛けているようにもみえる。現在のように、市場参加者の多くがドイツ銀行の問題を材料視しなくなっていることで、将来この問題がひどい結末を迎える可能性はかえって大きくなっているように思われる。
■クリントン大統領誕生なら円高へ
これは、ドル円についても同じである。過去のドルの動きを見れば、ドル高に行きづらいことは明白である。一部には円安期待があるようだが、110円手前まで戻せば十分すぎるだろう。大局的にみれば、ドル安はあと6年程度継続し、2022年程度までこの傾向が続くと筆者はみる。ドル円も当然下落する。目先は105.50円が重要なポイントとみているが、これを超えるのも相当の力がいる。結局のところ、ドル円は戻り売りでしかない。今度99.50円を明確に下回れば、数年間は100円を回復することはないだろう。
もしかしたら、今後数カ月は円高に歯止めがかかった状態が続くかもしれない。だがそれはあくまで一時的な動きでしかないことを肝に銘じておくことである。しかも、政策面からは、ドル安を志向するクリントン氏が次期大統領になれば、円高はほぼ確定的になる。トランプ氏の政策の方が、円安になる可能性が残るだけに、米国がドル安を志向するのであれば、結果的にクリントン氏が大統領に選出される力が働くことになりそうである。
■停滞期に入った中国経済はいずれ問題視される
為替・通貨という点では、人民元の動きが懸念される状況にある。人民元は徐々に切り下がっているが、そうしないとやっていけない状況に追い込まれているということでもある。
外貨準備の減少傾向が顕著だが、人民元安の動きと見事に連動している。外貨準備の減少の背景には、貿易収支の悪化傾向もある。9月の中国の輸出が前年同月比10%も減少するなど、貿易収支は伸びを大きく欠いている。
中国を中心に新興国経済が台頭し始めた2001年以降の中国の貿易収支の動きを見ると、ここ数年の伸びから大きく鈍化しており、停滞期に入った可能性が見て取れる。
10月以降も貿易収支が減少するようだと、その傾向がさらに強まったとの認識が広がり、世界経済への懸念が高まる可能性がある。
そうなれば、外貨準備の減少傾向が強まり、中国政府はさらに元安を推し進める可能性がある。一方で、その補てんとして米国債の売却を進めることも想定される。
■ドル高を避けたい米国の「秘策」とは?
実は、中国の8月時点の米国債の保有残高は1兆1900億ドルとなり、前月から337億ドル減少している。減少幅は2013年以来最大で、保有残高も2012年11月以来の「低水準」である。外貨獲得のルートが完全に閉ざされることはないが、このまま輸出減退が続けば、米国債の売却を推し進めることになり、その結果、米国の長期金利が上昇することはあり得るシナリオだ。
そうなれば、ドル高圧力が掛かることになるが、米国サイドはこれ以上のドル高は避けたいと考えている。何かしらの手段を使って、これを沈静化させることを考えているはずである。その一つが原油価格である。
昨年8月の「チャイナショック」以降、中国はこれまで市場の懸念材料のひとつだったが、最近は比較的材料視されることは少なかった。しかし、今回の輸出減少で再び中国リスクを懸念する声が上がり始めている。
中国と米国の関係でいえば、原油相場の動きはきわめて重要である。7〜9月期の中国のGDP成長率は前年同期比6.7%増だった。リーマンショックの影響が出た2009年1〜3月期以来、7年ぶりの低い伸び率にとどまった。
■中国経済には原油高は大きな痛手
しかし、3期連続で同じ成長率になっていることは不自然であり、これを真に受ける向きはむしろ少数派であろう。それはともかく、中国経済にとって痛手となるのが原油高である。
市場では、久方ぶりに卸売物価がプラスになったことを好感しているようだが、原油高がより明確になれば、むしろ中国経済には痛手となる。その原油価格は一見、OPECの非公式会合での減産合意で上昇したかのようにみえる。だが、実際には誰が動かしているのだろうか。またFRBが利上げ先送りを続けているのは、単純に株価維持だけではないだろう。現在の市場において、「ドル安・原油高」への動きが、今後何をもたらすのかを理解しておくことが肝要である。
ここまでの説明を上手くリンクさせて考えることができれば、今の市場を違った角度から見ることができるだろう。それは、表層的な市場のコンセンサスとは真逆の見方になる。結局のところ、米国が原油価格の方向性を決めることができるようになったことが、きわめて大きいといえる。
これによって、今後の市場の枠組みが大きく変わりつつある点は極めて大きな歴史的変化である。これが、ひいては世界の枠組みの変化につながることはいうまでもない。
今回の本欄がややわかりづらい内容になっていることは承知しているが、これまでの記述には今後の市場動向あるいは世界の枠組みを再考する上で、きわめて重要なヒントがちりばめられている。これらのポイントをリンクさせ、さらに広げて考えることができれば、今後の市場動向を理解することが容易になるはずである。
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