当方は三菱グループに対し好意的な記事を書いてきたし、三菱自動車についても応援する方向で投稿してきたが、三菱自動車は前回の経営危機の時も同じだったが、自動車業界のブラックホールとなっており、いくら資金を投入したところで経営再建することはできないのである。 確か2004年の経営危機の際に、三菱グループがダイムラーから買い戻す際に、金額にして約5,100億円もの支援をしたと聞いている。(註 物的支援を含むので、金額からすれば、それよりも少ない。) それが効果を出してきたのが2014年頃からであったが、2016年に燃費何とか問題でこんなことになり、日本国内における軽自動車の生産を停止する事態に追い込まれた。これについて、ゴーンが仕掛けたものだと言う説があるが、これは本当だろう。 ゴーンが仕掛けた三菱自動車買収劇だが、これは失敗に終わるだろう。先ほど書いたように、三菱自動車はブラックホールであり、いくら支援してもお金が消えてしまうのである。日産ゴーンは、三菱自動車に2,370億円を出すという。ところが三菱自動車2017年2月期の決算は、実に2,700億円もの巨額の赤字になるとの予測が出ている。つまり、日産自動車の支援も「焼け石に水」なのである。 日産自動車は、今回の2,370億円の出資だけに留めると言っているが、そんなものではすまないのは確実だ。そうでなくても、支配しているフランス・ルノーに毎年毎年、多額の配当金を送金しなくてはならない。ルノー・日産アライアンスは、他にもボロボロの赤字企業、ルノー・サムソン自動車や、ロシア連邦のアフトワズを支援しなくてはならないのである。 特に深刻なのが、ロシア連邦のアフトワズで、年に1,400億円もの赤字を計上している。ソ連崩壊後、ロシア連邦の自動車メーカーは輸入車の流入に苦しめられており、ラーダ(アフトワズ)もモスクヴィッチ(AZLK)も経営危機に追いやられていた。モスクヴィッチが倒産して、ロシア連邦のプーチン大統領は、各国の自動車メーカーに支援を要請した。それにルノーのゴーンが乗ったのである。 ゴーン(この場合はルノーの会長の立場です。)は、アフトワズに出資し、経営再建に協力することとなった。それでルノーの支援の下で新型車を開発、投入した。しかし輸入車優位の市場を覆すことができず、それに西側諸国の経済制裁が加わったことにより、ロシア国民の財布の紐が固くなった。早い話、アフトワズの設備稼働率が低迷しており、つくればつくるほど赤字が累積する深刻な経営状態になっているのである。 ソ連の時代なら、輸入車を入らないようにできたが、今の時代はできない。プーチン大統領が新型車を試乗して国民に購買を進めても、国民は動かない。そこで輸出も検討されたが、費用がかかりすぎることから話は進展しない。そうしているうちに赤字は溜まる。ロシア連邦政府も、ルノーとフランス政府のバラバラな動きに不満を示している。(註 支援する企業と、制裁する政府と。) ゴーンは、都合が悪くなると、日産に支援させる。ルノーが植民地支配しているからな。アメリカが日本にやっていることと何ら変わらない。 ルノー・日産アライアンスは、グループ内に爆弾企業をいくつも抱え、とてもじゃないけど三菱自動車の支援を行なえる経営体力を持っていない。それなのに、いい顔をして三菱自動車に2,370億円を出資した。三菱自動車の赤字は、これを遥かに上回っている。日本国内の深刻な経営環境は、改善されるとは思わない。既に日本国内は、トヨタグループが完全に制圧している。殆どの国民が、自動車選びに際してトヨタグループしか対象にしない事実。これをどう受け止めるのか。ゴーンは、このような厳しい現状を全然認識できていない。そりゃそうだ、月のうち1週間くらいしか日本にいないんだからな。 日本国内の日産ディーラーは、どんどん販売チャネルを失い、併売車種ばかりで他社の「草刈場」になっているではないか。トヨタをはじめとする他社は、日産の市場を喰って伸びてきた。日本国内の自動車市場は、今や縮小する一方。自社を伸ばすには、他社に食い込むしかない。それで勝っているのがトヨタである。 トヨタのシエンタやポルテのような車種が他社にあるか ? 一人勝ちじゃないか。日産で売れているのは、辛うじてセレナがあるくらいだ。三菱にいたっては、ベスト30にも入っていない。そんな状況で、いくらゴーンが三菱自動車を支援したところで、金を捨てるも同然だ。 もう今からゴーンは、三菱支援の失敗を認めて、年俸を放棄しておくことだな。
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