http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/573.html
Tweet |
Koraysa / shutterstock.com
「悪性インフレ」に備えるたったひとつの方法[日本の不動産最前線 第6回]
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161020-00013954-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 10月20日(木)8時0分配信
財務省は17日、「国の債務管理の在り方に関する懇談会」において、日本の国債金利が1%上昇すると、民間金融機関などの含み損はGDPの13.5%に上るとの試算を公表した。
日銀が金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」の導入を決めてから1か月が経過。政策の軸足がマネタリーベース(資金供給量)から金利へ移ったことに関し失望感を露わにする市場関係者も多い。はたして思惑どおりに金利はコントロールできるのか。物価目標の達成は、できるのだろうか。
日銀の政策が奏功し、アベノミクスが成功裏に終わり、良性のインフレで日本経済が本格的に回復軌道に乗った場合の不動産市場は比較的想像しやすい。一方で逆に悪性のインフレとなってしまったケースにおける不動産市場についてはなかなかイメージしづらいものだ。
今回は、前述した成長シナリオではなく、悪性のインフレ、簡単に言えば、物価が上昇しマネーの価値が下がる現象を伴う景気後退期におけるインフレ、すなわち「スタグフレーション」のケースについて、頭の体操として、インフレレベルや金利動向に伴う不動産市場への影響を考えてみたい。
リーマン・ショックの後、「国内・海外ともに経済・政治的に何が起きてもおかしくはない」と、突発的な事態に備える投資家が、実物資産である「金(ゴールド)」を保有する動きを見せた。
金は輸入品でありドルと連動するゆえ、80年代バブル期の円建て金価格はインフレ率に比例して上昇することはなかったが、2000年代前半には1,000円/グラム程度だった金価格は、2013年4月に5,339円の高値をつけたあと、現在4,700円台で推移している(16年10月17日時点、 田中貴金属・税込小売価格)。
これは「有事の金」として、円などの通貨から金へと資金が向かう逃避的・リスクヘッジ的な動きだが、こうした状況では、不動産にも実物資産としての期待が集まる。
一般論として、デフレ時には現金が強く、インフレ時には金や不動産など実物資産の価値が高まる。マネーという、それ自体では価値のない金融資産の信認が落ち、また各種要因から資源価格や食料の価格が上昇する状況下では、実物資産である不動産価格も相対的に上昇するとされる。
しかし、経済成長を伴わないスタグフレーションの下では、不動産は下落する。資源インフレやそれに伴う物価高により、たとえば収益物件の場合、修繕費などのコストが上昇うえ、入居者の生活コストが圧迫されることなどにより家賃に下落圧力がかかる。給与所得者の生活は苦しくなり、消費は減り、企業業績は悪化し、賃貸物件の賃料にも売買物件の価格にも下落圧力が働く。
こうなると収益物件でもマイホームにおいても、賃料収入の減少や所得の低下による住宅ローン破綻が懸念されよう。
■金利上昇による影響は?
さらに「金利上昇」を伴う場合には、ストレートに不動産価格の下落圧力となる。これは言うまでもなく、同支払額で払えるローン額が減少するためで、収益物件・マイホームともに、取得者の購入能力は低下する。変動金利で住宅ローンを借りている個人や収益物件のオーナーの破綻懸念も強まる。
1997年のアジア通貨危機時の韓国では、ウォン安、金利上昇といった深刻な景気悪化で不動産を手放す向きが急増、在庫物件が増加し不動産価格は大幅に下落した。
さらに、世界的な金融・経済クラッシュや地政学リスクがより顕在化するなどして危機的・突発的な事態が起きた場合には、不動産市場ではマイホームは売れず、賃料は下落傾向を示すことから収益物件の価格も下落。物価高の中で景気後退が加速していく。
円はもちろん、ドルやユーロなど先進国通貨の信認が揺らぐ事態にまで陥った場合には、実物資産である不動産の価格は相対的に上昇する。ただし、すべての物件が上昇することにはならないだろう。
歴史を振り返れば、経済・金融クラッシュのあとには不動産を持つ者が財を成した。一部経済評論家には「これから悪性のインフレが来る。今のうちに借金をして不動産を買っておけ」という極論もある。たしかにハイパーインフレともなれば、300円の牛丼が3,000円になるといったイメージでマネーの価値が下落、不動産の価値は相対的に上がる一方、負債である住宅ローンは実質的に、3,000万円の借金が300万円というように小さくなる。
ところで一般に使われている「ハイパーインフレ」という概念の定義はやや曖昧であることには注意したい。ハイパーインフレの本来の定義は、米経済学者のフィリップ・ケーガンによれば月率50%(年率1万3,000%)だが、ここでは「非常に高いインフレ状態」という意味で用いる。
こうした高いレベルでの悪性インフレが訪れた場合、持ち家・賃貸とも不動産は既に大幅余剰状態にあるため、これらがすべて価値を維持できることには到底ならないだろう。一方で、東京都心の一部や郊外・地方でもニーズの強い一部立地では、こうした異常とも言える事態の下で価格が数倍になる可能性もあろう。
いずれにせよこれから、マイホームでも投資物件でも、ローンを利用して不動産を買う場合は、固定金利にしておくほうがいいだろう。インフレになれば金利は上昇、金利負担は膨らむゆえ、変動金利ではインフレヘッジにならない。固定資産税算定の基準となる「固定資産税評価額」も上昇し、負担は増えるばかりだろう。
それで現在の超低金利の恩恵を受けたいなら、いざというときには一括返済もしくは大幅な繰り上げ返済ができる場合に限られよう。
長嶋 修
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民114掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。