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電通の「過労自殺」議論で、抜け落ちていること(nikkei BPnet)
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/533.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 19 日 12:33:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

電通の「過労自殺」議論で、抜け落ちていること
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161019-35264565-bpnet-life
nikkei BPnet 10月19日(水)9時47分配信


■違法な長時間労働にだけ目を奪われがち

 報道によると、大手広告会社の電通に勤務していた20代の女性が、長時間労働などにより、昨年11月にうつ病となり、12月に「過労自殺」をしました。今年の9月に、労災認定がされました。うつ病発症前(昨年10月9日〜11月7日)の1か月の残業時間(時間外労働)は、約105時間と認定されたようです。

 10月14日には、厚生労働省東京労働局の職員らが、違法な長時間労働が常態化していた疑いがあるとみて、電通の本社を立ち入り調査しました。その後、地方支社や主要子会社もまた、その対象となっています。

 今回、あらためて「過労死」や「過労自殺」(過労自死)について考えてみます。

 月の残業がピークで100時間を超えていたとされる労働時間については、有識者が新聞やテレビ、ネット上でコメントを寄せています。現在、政府が「働き方改革」などで、長時間労働の是正について議論をしていることにともない、多数の識者が労働時間の規制について発言も繰り返ししています。

 したがって、この記事では、長時間労働についてふれることは避けます。むしろ、「過労死」や「過労自殺」について議論をしながら、なぜか、誰もが取り上げないことについて考えます。

■歯止めがかからない職場のあり方こそ問題

 私が、「過労死」や「過労自殺」について問題視するべき、とかねがね思っているのは、その「前段階」です。たとえば、今回のケースでいえば、入社1年目でこれほどの量の残業をさせていることへの、同じ部署の社員からの意見などはなかったのか、ということです。

 もっといえば、職場で「まともな議論があるのか否か」、「市民感覚の良識が働いているのか、否か」です。それらの議論や良識がないがゆえに、歯止めやブレーキがかかることなく、問題が問題として放置されると思えてならないのです。

 いじめやパワハラ、セクハラ、退職強要、退職脅迫、あるいは、不当とも思える配置転換や人事評価などが大企業から中小企業にいたるまで多発しているのは、この歯止めがかからない職場のあり方に、大きな原因があるように思います。

 たとえば、人事評価に納得がいかないときに、上司らと話し合いすらできない職場が多数ではないでしょうか。上司の指示・命令は「絶対」とされ、そのほとんどに従わざるを得えないのではないでしょうか。それらの中には、明らかに問題があるものも少なくないでしょう。

 ところが、部下はそのことが堂々と言えないし、そんな場や機会すらないのです。亡くなったこの女性社員がツイッターでつぶやく内容は、20代前半の会社員のものとしてみると、私には理解できないものも少なからずありました。

 おそらく、職場で上司などにきちんと意見がいえない、あるいは、いえるような工夫や空気がないがゆえに、このようなつぶやきになっていたのではないか、と思います。

■「過労死」や「過労自殺」の引き金になる「前段階」

 電通に限らず、日本の多くの企業の職場では、上意下達の思想や企業文化が強すぎるのです。そこには、「まともな感覚」や「市民感覚の良識」が見事なまでにないのです。

 部下が上司に何かをいえば、「協調性がない」「反抗的」と言われがちです。人事評価や人事異動などで復讐をする上司は、実に多いのです。

 私は会社員の頃、お世辞にも優秀とはいえない上司(40代後半・部長)の、仕事のすべての指示に納得がいきませんでした。皆の前で、「本当に(この仕事の)経験者なのでしょうか?」と何度も言ったことがあります。上司は、興奮して怒っていました。

 同じ部署のほかの社員は、素人に近いこの上司に従い、残業を月に60〜70時間もしているのです。もっと多い月もありました。私は、そんな仕事を放棄していました。努力のかいがあり、ほかの部署へ追い出しを受けました。私は会社から追い出しを受けても生きていくことができると思っていたから、強気に出ることができたのです。実際のところ、このような社員はほとんどいないのです。

 「過労死」や「過労自殺」は、この歯止めや良識がきかない職場の、クライマックスでみられるものに思えてならないのです。言い換えると、「過労死」や「過労自殺」の引き金になる「前段階」は、ほとんどの職場にあります。

■過剰労働で、重い脳障害を患った、超エリート社員

 ほかの「過労死」や「過労自殺」、「長時間労働」で、私が強く印象に残っているケースが2つあります。

 1つは、10年前の2006年、人事労務の雑誌で、ある弁護士の講演を取材したときに知ったものです。その弁護士はほかの弁護士らとともに、1990年代半ばから、三菱重工業の長崎研究所で起きた労働事件(実質的には、「過労死事件」)を扱っていたのです。

 長崎研究所室長の男性社員が、1990年代の半ばに、脳に重い障害を負ったのです。その原因は、「過重労働が原因」として、三菱重工業に謝罪と損害賠償を求めていた労災事件でした。最終的に、三菱重工はこれに応じ、和解合意が成立したのです。

 弁護士から話を聞くほどに、上司たちは、この社員に激しいいじめをしていたように私には思えたのです。男性社員は、学歴・職歴とも超トップレベルでした。すさまじいほどにエリートなのです。

 上司からの指示などで、仕事の量は膨れあがり、残業が増え続けます。休日出勤も増えます。私の受け止め方では、上司はこのエリート社員がつぶれるように、あえて過剰な労働をさせていたのではないか、と感じたほどです。つまりは、嫉妬心やねたみなどです。

 男性社員とその妻の闘いにより、ついに会社は非を認め、上司らも形式上の謝罪をしたのです。私は当時、30代後半で、取材者としてビギナーの域を出ていなかったこともあり、弁護士の話の最中、涙が出そうになりました。この夫婦と弁護士らへの敬意とふるえるような感動で、冷静ではいられなくなったのです。

■「不当な行為」を「正当な行為」にすり替え部下を潰す上司

 上司が、「不当な行為」を「正当な行為」にすり替え、優秀な部下をいかに潰すのかがよくわかる事例でした。「過剰労働で、重い脳障害を患った」のは「結果」であり、その前段階では、「一流企業」とは呼べないようなことが起きていたのです。世間がうらやむ一流企業でありながら、なぜ、こういうことがなくならないのでしょうか。

 弁護士の話を聞く限りでは、周囲の一部の社員は、いじめが行われていたことを知っていた可能性があるようでした。「良識をもった社員」がいたとしても、それが働かない文化や風土、空気、世論などがあるように私には思えてならなかったのです。

 本来、「過労死」や「過労自殺」の議論は、この「前段階」にこそ、目を向けるべきなのではないでしょうか。残業時間の上限は法律で規制するようにやがてなるのでしょうが、法である以上、必ず、抜け道がつくられるはずです。

 政府・与党(一部の野党を含む)、経済界などはその抜け道をつくるために着々と手を打っています。政府の「働き方改革」の参加メンバーの発言を見聞きすると、その抜け道をつくるためのパイオニアや、旗振り役をしていると思える人もいます。本人がその蛮行に気がついていない、と感じられる人もいます。

 残業時間の上限を法律で規制するようになったところで、「前段階」のところをしらみつぶしにして正していかない限り、形を変えて同じことが繰り返されていくはずです。

■会社はスレイブ・ドライバー(奴隷使い)

 印象に強く残るもう1つのケースは、2013年に取材をした過労死遺族である、馬渕郁子さんです。今回の記事を書く数日前にも、3年ぶりに馬渕さんとお会いし、取材で話をうかがうことができました。

 馬渕さんの夫・カンラスさんは、61歳だった1988年7月、心臓発作(虚血性心疾患)により、突然亡くなりました。外資系海事会社の日本支社で、鑑定人(サーベイヤー)として働いていました。

 港に停泊する船に泊まり込み、船荷、船体、海上火災などの鑑定業務を厳密に行い、鑑定報告書をつくります。船に事故があれば、深夜であろうと休日であろうと、現場に向かっていました。

 オフィスで報告者が書き終わらないときは、自宅で夜半までタイプをたたいていたのです。死亡する前の15年間は、自宅で馬淵さんが手伝うほどでした。カンラスさんは、「この報告書を提出しないと、給料が出ない」と話していました。

 語学に堪能で、鑑定や報告書作成などに慣れていました。社内では、その代わりになる人が見つからないために、仕事が押し寄せていたのです。支社には社員が50人ほどいましたが、労働組合がありません。 

■歯止めやブレーキが一切働かない職場

 上司である部長からは休日、家にまで電話があり、仕事の指示がなされました。カンラスさんは休日を返上し、現地に向かいます。仕事のスキルが高いがゆえに、次々とこなしますが、より一層に仕事が増えていくのです。休日になると、上司からまた、家に電話が入り、出社し、遅くまで仕事をする日々のこの繰り返しだったのです。

 カンラスさんは「会社はスレイブ・ドライバー(奴隷使い)だ」と馬渕さんには漏らしていました。亡くなる2カ月前には、「もう、辞めたい」と口にしていたのです。

 このあたりのいきさつや状況は、次の2冊を読むと、くわしくわかります。私には、カンラスさんの上司やその上にいる人、そして見て見ぬふりの周囲の社員は、結果として「殺人に近い行為」をしていると思えるのです。それでいながら、何喰わぬ顔でその後も生きているのかと想像すると、私はそこが許せないのです。

 このような職場には、少なくとも、良識を保つための歯止めやブレーキが一切、働いていないのです。

『日本は幸福(しあわせ)か--過労死・残された50人の妻たちの手記』(全国過労死を考える家族の会編 教育史料出版会)

『枯葉によせて』(馬渕郁子 著・教育史料出版会)

 死にいたったその日、千葉県君津市の港での仕事を終えて、家に帰ろうとしていたのです。電車に乗り、JR秋葉原駅に着いて、最終の山手線に乗り換えようとしたとき、心臓発作に襲われました。駅の通路で倒れるようにしゃがみこんでいたのです。

■「過労死」や「過労自殺」で泣き寝入りする遺族たち

 カンラスさんの死は1990年3月末、過労死に認定されました。都内では初めての認定(中央労働基準監督署)であり、全国では2人目です。馬渕さんは、夫が死にいたったいきさつを調べていくうちに、カンラスさんが3人分のサーベイヤーの仕事をしていたことを知りました。会社のリクルート係は、そのことを隠していたようです。

 馬淵さんは業務上の死であることを立証するために、夫の同僚らに証言を依頼したのですが、難航しました。同僚には、馬淵さんが書いた報告書にサインをしてもらうことを求めたものの、すぐには承諾をしなかったのです。

 馬渕さんが3年前の取材で話していた言葉で、私が深く考え込んだのが次にあげたものです。

「こういう死を許してはいけない。会社はあれほどまでに酷使し、いざ死んでしまうと、業務上の死とは認めない。それは、あまりにも不合理……」

「会社って、組織って本当に冷酷……。会社員が自己保身的になり、会社の上の人たちは社内のことを必死に隠そうとする。これは、世界の国々で見られること。だけど、日本ほどひどい国は少ないと思う」

 過労死遺族への支援を長年してきた馬渕さんによると、この30年弱の間に、家族が「過労死」や「過労自殺」となりながらも、闘うことを諦め、泣き寝入りをした遺族が多数いるのです。一部の企業が「生活保障金」などといった名目で、一定のお金を遺族に支払い、死に至った経緯などを封印したケースもあるのです。

■上司の間違った考えや判断が過労死を招く

 今回、取り上げた電通に勤務していた20代の女性、そして三菱重工業の長崎研究所や馬渕さんの夫・カンラスさんの置かれていた状況は、それぞれ異なります。業界や業種、職種、労働環境、さらに年齢、性別、キャリアなどが違いますから、一概に比較はできないものの、重なるものもあります。

 特に後者の2人はよく似ています。ともに職場で欠かせぬ存在であり、エースに近い働きをしています。インテリで、ひたむきで、誠実そのもので、仕事に常に全力投球でした。その姿は、涙がこみあげてくるほどなのです。それでありながら、上司などの間違った考えや判断により、大きな障害を受けたり、死に至ったりした可能性があることは否定しがたいと思えるのです。

 長時間労働が大きな問題であることはあえて論じるまでもないことですが、その前段階で、職場で良識が働いていたとは到底思えないのです。前述の2冊を読み、遺族らの声を取材の場で聞くと、そのように確信します。私などは怒りのあまり、次のページになかなか読み進むことができないのです。

 今回、馬渕さんと数年ぶりに再会し、2人の娘さんのことも聞きました。ともに立派に成長し、幸福な家庭を築いているようです。しかし、馬渕さんをはじめ、この娘さんたちにも心の傷は残ったままであり、決して消えるものではないように私には思えました。

■「なぜ、死にいたったのか」という検証こそ必要

 過労死は、最終的には病死であったとしても、その前段階では、殺人に近いことが行われている疑いがあります。そして、それを覆い隠す人たちがいます。組織的に封印する会社もあります。

 遺族は、ここに許せぬ思いがあるのです。愛する家族を利用するだけ利用し、死に至れば、徹底して軽く扱い、存在すらなかったことにしようとします。人間としての尊厳を隅々まで踏みにじられたことに、全身からの憤りを感じているのです。

 過労死であれ、過労自殺であれ、なぜ、死にいたったのか、という検証は、徹底して行われるべきではないでしょうか。労働時間のみがその人を殺すのではなく、上司をはじめ、会社員こそが死においやるのだと私は考えています。

 会社という、あの無機質な建物ではなく、そこで働く人こそ、狂気を秘めているのです。

(文/吉田典史)
 

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コメント
 
1. 2016年10月19日 13:06:42 : R0LxjIRplA : OnvgoDyWq5A[138]
訴訟したら、10億は取れるぞ。

2. 2016年10月19日 13:20:52 : WJ13IqRulo : HqFzgVmgS4s[4]
日本社会の欠点が現れている。

組織中心、個人が意見を言わない、大人しすぎる、逆らわない、陰湿ないじめ等等。

戦時中の万歳自爆、特攻隊など典型例だろう。

この国は、リーダーがよほどしっかりしないと、悪い方、悪い方へと進んでいく。


3. 2016年10月24日 15:39:19 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-7725]
2016年10月24日(月)
電通 過労死・自殺 1991年・2013年も
繰り返す悲劇
政府、長時間労働規制怠る

 広告代理店最大手の電通(東京都港区)で、昨年12月に入社1年目の高橋まつりさん=当時(24)=が長時間労働のすえに過労自殺しました。電通では、明らかになっているだけでも、1991年、2013年に過労死・過労自殺が起こっています。なぜ、悲劇が繰り返されるのか。長時間労働の実効ある規制を怠ってきた政府の責任が厳しく問われます。
共産党 2000年に最高裁判決受け追及

 労災申請した遺族らの資料によれば、高橋さんは東京大学卒業後、15年4月に入社、10月に本採用となり、12月25日に亡くなりました。主な業務は、インターネット広告のデータを確認・分析し、改善点などを提案・実行するというもの。これを1週間単位で繰り返し、常に時間に追われます。6月から自動車火災保険の担当となり、10月から証券会社の担当も加わりました。

 電通の労働時間の記録は、労働者の自己申告です。残業時間を取り決めた「三六協定」は月70時間に対し、高橋さんの残業時間は10月69・9時間、11月69・5時間、12月69・8時間とギリギリに収められていました。

 しかし、労災申請にあたって、会社への入退館記録によって集計したところ、うつ病が発病したと推測される日の直前1カ月で130時間を超える残業をしていました。遺族は、三田労働基準監督署から月100時間以上の残業を認定したと説明を受けています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-24/2016102401_07_0.jpg
(写真)電通本社=東京都内
パワハラも

 上司からは「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「会議中に眠そうな顔をするのは管理ができていない」「今の業務量でつらいのはキャパ(許容量)がなさすぎる」などのパワハラ発言を繰り返されていました。

 会社は今年3月ごろから労災申請の資料提出などに協力するようになり、現在、遺族に謝罪し、再発防止の措置を取り始めています。労働基準監督署が電通とその子会社に立ち入り検査を行っています。

 こうした悲劇が繰り返されるのは、政府が実効ある長時間労働規制を怠ってきたからです。

 入社2年目の大嶋一郎さん=当時(24)=が91年8月に過労自殺し、00年3月の最高裁判決で初めて企業責任を認めました。
過少な申告

 過労自殺に至る構造は、今回の高橋さんと瓜二つです。残業時間は自己申告とされて、サービス残業によって過少申告されており、警備員の巡回記録で長時間労働が明らかにされました。上司が靴の中にビールを注いで飲ますパワハラがありました。

 日本共産党は、98年3月に大森猛衆院議員が追及。00年4月11日に不破哲三委員長(当時)が衆院本会議の代表質問で、志位和夫書記局長(当時)が24日の衆院予算委員会で、電通過労自殺訴訟をとりあげ、長時間労働の規制とサービス残業の一掃を求めました。

 森喜朗首相(当時)は、不破氏に「時間外労働の限度基準を順守させること等により、長時間労働の抑制やサービス残業の解消につとめる」と答えました。

 98年の労働大臣告示では残業時間の限度は月45時間とされています。ところが、労働基準法には、残業時間を青天井に許す抜け穴が温存されたままです。
「残業代ゼロ制度」など狙う安倍政権
労働時間の上限規制こそ

 厚生労働省は大臣告示で残業時間を月45時間までとしていますが、労働基準法に基づいて残業時間を取り決める「三六協定」で、「特別条項」を結べば、際限なく残業時間を延長できます。このため、厚労省の基準は企業によって無視されています。

 一方で、日本共産党の論戦が実って、2001年に厚労省がサービス残業防止のため、企業に労働時間の適正な把握を求める「4・6通達」が出され、是正が大きくすすみました。高橋まつりさんの過労自殺について、1991年の過労自殺事件よりも迅速に、電通の責任が認定された背景になっています。

 このサービス残業是正の通達を葬り去ろうと動きだしたのが、安倍晋三政権です。「過労死促進法案」「残業代ゼロ制度」と呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」の導入や裁量労働制の拡大を行おうとしています。

 高度プロフェッショナル制度は、一定年収以上の労働者の労働時間規制を適用除外にするというものです。裁量労働制は、どんなに働いても、あらかじめ決められた時間だけ働いたことに見なす制度で、企画業務型裁量労働制を「管理・評価を行う業務」や営業に広げようとしています。

 高橋さんのような業務に適用され、ますます過労が続発するおそれがあります。

 これに対して、日本共産党、民進党、生活の党(現・自由党)、社民党の野党4党は4月19日、長時間労働規制法案を国会に提出しました。内容は、労働時間の延長の上限規制、勤務間インターバル規制の導入、裁量労働制の要件の厳格化―などです。

 過労自殺・過労死の悲劇を繰り返さないため、「1日8時間労働」を大原則に、労働時間に上限を設ける規制が、焦点になっています。
電通・過労自殺 高橋さんSNSで訴え
職場では言い出せず

 電通で過労自殺した高橋さんは、インターネット上のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や友人とのやりとりでは、長時間労働の苦しさを訴えていました。しかし、「局会」「部会」と呼ばれる宴会の幹事まで仕事の一環とされ、パワハラ発言がまん延する職場にその声は届きませんでした。

 電通に対しては、過労死・過労自殺への警鐘が鳴らされ続けていました。

 新聞、放送、出版、広告などメディア関連の労働組合が集まる日本マスコミ文化情報労組会議では、15年10月の会議で13年の30代男性の過労死事件について報告があり、広告業界がネット広告の拡大で労働強化を起こしており、「経営はギリギリの人員しか認めず、非正規雇用を増やしている」と告発していました。広告労働者は「高橋さんは、ネットでの訴えを職場では言いだせず、被害を止められなかった」と悔しさをにじませました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-24/2016102401_07_0.html


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