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[経営の視点]スズキを動かしたもの AIと連携欠かせぬ時代 編集委員 中山淳史
人工知能(AI)に関連した企業買収や投資が増えている。トヨタ自動車はAI分野への投資が膨らむこともあって今年度の研究開発(R&D)費が初めて1兆円を超える。
日産自動車もR&D投資は過去最高だ。だが、世界を見渡せば、積極的な企業はいくつもある。例えば、米国のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムだ。最近はこれらを総称して「GAFA」と呼ぶが、4社はいずれもR&D投資が1兆円を大きく超え、研究領域も自動車などあらゆる産業とAIの融合に及ぶ。
「小粒でもぴりりと辛い」と言われたスズキがトヨタに提携を願い出たのもR&Dレベルの大競争が背景にあるはずだ。研究開発費が1兆円を超す企業は日本ではほぼトヨタだけだ。同社にはマツダなども連携に加わっており、R&D投資の「1兆円クラブ」といったくくりが株式市場で浮上する可能性もある。
日本の国や企業は小さくなった。国内総生産(GDP)をみれば1990年代半ば以降の20年で世界に占める割合は約6%と3分の1に縮んだ。日本と都道府県の関係でいえば、スズキが本社を置く静岡県の規模(第2次産業分)だ。
ではその規模で巨大なIT(情報技術)企業をいくつも抱える米国に勝てるか。野村総合研究所の谷川史郎理事長は「全体に網を張らず、得意分野を絞って集中投資すべきだ」と話す。
「スモール」か、「ビッグ」か。企業はそんな選択を迫られている可能性がある。経済規模だけではない。AI時代はビッグデータをどれだけ握れるかが競争力につながる。データ収集はそもそも人口の多い米国が有利との見方もある。
「ならば日本はスモールデータで勝負したらいい」と話す経営者もいる。日本の工場やインフラは海外企業より運用ミスがなく効率的だ。ビッグデータを取るまでもないとの指摘だ。
ただし、海外で操業する日本企業の工場が増え、自動車産業では自動運転の開発競争が熱を帯びてきた。地図の精度を左右するビッグデータはやはり日本企業に不可欠な存在だろう。
ではスモールな日本企業がビッグなデータや世界市場を相手にするにはどうするか。海外の政府や企業との連携だろう。例えば欧州だ。欧州は存在感を増す米IT企業に監視を強める一方、日本の政府や企業に連携を求めて秋波を送る。
大詰めの日EU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)交渉がそうだ。争点は農産物や自動車関税だといわれるが、交渉関係者は「最も期待が高いのは自動運転などIoT(モノのインターネット)での規格標準化協力だ」と言う。
米国はデファクトスタンダード(事実上の標準)づくりがうまい。ならば日EUはデジュールスタンダード(公的標準)を広げる。そんな提案らしい。
自動車を取り巻く再編は90年代後半の「400万台クラブ」の時より広い業種に及ぶ。欧州、新興国企業とも技術や資本で提携することが増える可能性もある。日本にとっては何より産業界が「ビッグ」でいられるかどうかをかけた背水の戦いになるだろう。
[日経新聞10月17日朝刊P.5]
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