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都心のマンションよりバブルなのは地方の貸し家
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7977
2016年10月17日 塚崎公義 (久留米大学商学部教授) WEDGE Infinity
バブルというと、株価や地価が高騰し、ファンダメンタルズ(経済の実体)から説明がつかないような価格で取引されるようになる、というイメージですが、もしかすると、そうでないバブルもあるのかもしれません。現在、地方で進行中の貸家建設のような。今回は、価格の高騰しないバブルについて考えてみましょう。
■マンション価格の果てしない上昇は考えにくい
1980年代のバブルは、株価と地価でした。株価も地価も、「適正な価格」が把握しにくいので、果てしなく上昇する可能性があります。株価にはPERやPBRがありますが、当時は「21世紀は日本の時代なので、現在の収益等から適正株価を判断すべきではない」「土地が値上がりするのだから、土地を持っている企業の株は値上がりするのが当然だ」ということだったので、PERやPBRはあまり意識されなかったのです。
最近では、都心のマンション価格が高騰していて、バブルの匂いがしています。ただ、マンションのバブルが土地のバブルと異なるのは、適正価格が明確なことです。新築マンションの適正価格は用地取得費と建設費ですから、容易に算出できます。多少の上振れはあったとしても、果てしない上昇は考えにくいでしょう。
現に、都心のマンション価格は4割程度上昇したと言われていますが、すでに売れ行きが落ちているので、価格高騰を期待した買いが続くとも思われません。建築費が高騰したこともあり、新規供給も減っています。そう考えると、都心のマンションが仮にバブルで、それが崩壊したとしても、影響は限定的だということになります。
4割値上がりしたものが元に戻ったとしても、高値掴みした人が破産する可能性は小さいでしょう。仮に価格が暴落したとしても、遠からず戻るでしょう。価格が暴落すれば新規の建設が止まる一方で、都心のマンションには一定の需要があるからです。
■地方の貸家は、供給過剰が永続する可能性
最近、貸家の建設が増えています。相続税が増税されたことで土地を持っている高齢者が相続税対策に貸し家を建設していること、マイナス金利により銀行が貸出を一層積極化していること、の相乗効果であると思われます。
貸家は、値上がりしません。都心のマンションよりも、さらに価格が安定しています。従って、これを「バブル」と呼ぶべきか否か、迷うところですが、価値に比べて価格が高過ぎるという意味で、バブルと呼ぶべきだと考えています。
貸家の価値は、将来の家賃収入で決まります。将来の家賃収入が減る可能性が高く、建設費が回収できない可能性が高いのに、大量の貸家が建設され続けているとすれば、それはバブルでしょう。
日本は、人口が減って行きます。とくに地方の人口は減って行きます。さらに言えば、新規に貸し家に入居するのは若者なので、若者の比率が低く、新規入居者が少ない地域で新たに貸し家が建設されるのは大変危険なことです。
■皆が建てている間は問題が顕在化しないから問題が拡大する
貸家を建てる人は、周辺地域の現在の貸家の入居率を調べるでしょう。その際、平均を調べる人が多いと思われますが、本来は最近完成した物件の入居率を調べるべきです。昔から借家に住んでいる高齢者は、新築物件に引っ越して来たりしませんから、新築物件に新たに入居している若者のデータが重要なのです。
将来人口が減って行くことを考えて、入居率が下がっていくことを予想すべきなのですが、そこまで考えている人は少ないかもしれません。考えていたら、到底貸し家の建設など思いつかないはずですから(笑)。
それに加えて、今次局面での問題は、自分以外にも貸し家を建てる人が多数いる、ということです。すでに建設中の貸家、同時に着工した貸し家に加え、今後あらたに計画されて建設される貸し家もあるでしょう。こうした貸し家がすべて建ち終えた後の、新築物件数はどれくらいでしょうか? それに対して新規入居者数はどれくらいでしょうか?
貸家の建設には、時間がかかります。したがって、多くの人が相次いで貸家の建設を思い立った場合、思い立った時と建ちあがった時で、状況が一変している可能性があるのです。
■空室率上昇と家賃値下げ競争のダブルパンチに
空家率が高まると、入居者の奪い合いで家賃の引き下げ競争が起きるかもしれません。しかし、皆が一斉に値下げをしても、入居率が上がるわけではありません。牛丼の値下げ競争であれば、ラーメン屋から客を奪うことが出来るでしょうが、貸家の値下げ競争は、外から客を奪ってくることが出来ないので、深刻です。
さらに恐ろしいのは、値下げ競争が無限に続く可能性がある、ということです。建ててしまった以上、空き部屋にしておくよりは、安くても貸した方が得だからです。頭の体操ですが、極端な場合、ライバルが家賃2円で満室、自分は入居率ゼロという状況であれば、家賃を1円にして満室になった方が良いでしょう。相手も同じことを考えるので、御互いが家賃を1円にして入居率5割、ということになりかねないのです。
■インフレが来れば助かるかもしれないが、それなら別の投資をすべき
貸家のオーナーにとって、インフレの可能性は希望です。インフレになって、人々の給料も家賃水準も倍になったとすれば、空室率が5割でも採算はとれるからです。何と言っても、建設費用は現在の物価水準ですし、借金をしたとしてもインフレで借金が増えるわけではありませんから。
したがって、「私はインフレが来ると予想しているから、貸家の建設は合理的」と考える人もいるかも知れません。しかし、冷静に考えましょう。
インフレが来ると予想しているなら、貸家よりもインフレに強い資産があるでしょうから、そちらに投資してはいかがですか?
ちなみに筆者のお勧めは株とドルですが、リスク資産は嫌ですか? 貸家も立派なリスク資産ですが、そこは不問に付しましょう(笑)。そういう方には、物価連動国債をお勧めします。2017年2月から、小口販売も始まると聞いていますので、御検討下さい。
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