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飲食店や金融機関で「おすすめ」「おまかせ」を聞くのは損?店側の「カモ」になる危険も
http://biz-journal.jp/2016/10/post_16914.html
2016.10.17 文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト Business Journal
私たち消費者は、モノやサービスを選ぶときに「なるべく最良の選択をしたい」と思っている。というか、絶対に損はしたくない。もっというと、「ほかの連中が損をしても、自分だけは得をしたい」と願う、非常に率直な生き物だ。
しかし、最良の選択にはなかなか手間がかかる。選ぶべき商品の情報をあまねく集め、性能を比較検討し、支払う価格に見合うかを吟味するのは、正直面倒くさい。
それで、つい売り手に聞いてしまうのだ。「おすすめはどれですか?」と。消費者行動の意思決定がどうなされるかを説明する「行動経済学」には、こんな言葉がある。「情報過多」あるいは「選択肢過多」だ。
選択肢が増えれば増えるほど、本来は自分に合うものを選べるはずなのだが、逆に消費者は、「選択をしない」という判断をしてしまう傾向があるのだという。
50色ものTシャツが揃い、「あなたにぴったりの色を選んでください」と言われると、「うわ、面倒くさい。時間がかかりそうだし、今日は買わなくていいや」と思ってしまわないだろうか。この裏には、「複雑な思考プロセスをなるべく回避したい」という意識が働いている。
そこで、我々を楽にしてくれる魔法の言葉がこれだ。「おすすめはどれですか?」。
ちょっと高そうなレストランに入り、料理名が複雑なメニューを見たとき、つい、このキーワードを使ってしまうことは多い。賢明な方ならすぐおわかりだと思うが、このときの「おすすめ」は、消費者にとってのおすすめとは限らない。
もし、筆者がそのレストランの店主なら、こんなものからチョイスするだろう。たとえば、原価が安くて利益率が高いもの、旬の素材で安く大量に仕入れてしまったもの、そろそろ使い切りたい素材のもの……。
つまり、お店側に売りたい事情のあるメニューが「おすすめ」に変わるわけだ。無論、シェフの腕前を200%発揮した渾身の一皿が出てくる可能性もあるにはある(おそらく、その料理をつくるための材料もたっぷりある)。
しかしながら、売り手側にメリットが少ないものをあえておすすめする理由はないだろう。
家電量販店でも、ついおすすめを聞きたくなるが、これも「あぁ、この商品を売りたいんだな。手数料がたっぷりもらえるのかな、それとも販売ノルマがあるのかな?」と考えてしまう。
つまり、おすすめを聞くのは、もっとも賢い選択肢とはいえない可能性がある。素直に財布を開く前に、隣にある商品の値段や機能について質問してみると、ベターな選択ができるかもしれないのだ。
「おすすめ」は、あくまで自分の選択の一材料として聞くのが、正しい使い方だろう。
■金融機関で「おすすめは?」はNGワード!
レストランのメニューや家電ならともかく、ややこしいのは、金融機関の担当者にこの「おすすめ」を聞いてしまうことだ。ここには、2つの落とし穴がある。
ひとつは、前述したように「誰にメリットがあるおすすめか」ということ。もうひとつは、「相手は、自分が販売できないものはおすすめしない」ということだ。
たとえば、保険ショップに行って「預金よりもお金が増えそうな方法はないですか」と相談すれば、相手がおすすめしてくれるのは、もれなく保険商品だろう。「住宅ローンの繰り上げ返済に回せば、もっと得ですよ」とは絶対に言わない。
銀行に行って相談しても、「うちよりB銀行さんが扱っている投資信託のほうが、手数料が安くていいんですよ」とは口が裂けても言わない。
金融広報中央委員会がまとめた「行動経済学の金融教育への応用の重要性」(平成24年3月)には、こんな一説がある(以下、引用)。
「行動経済学では、消費者が意思決定を行う際に生ずる、規則性のある判断の偏り(バイアス)を『行動バイアス』と呼ぶことが多い。最近の研究によれば、行動バイアスは、下記の四つの条件が揃うと発生しやすくなることが判明している。
(1)意思決定に複雑な情報処理を伴う場合
(2)意思決定にリスクや不確実性が伴う場合
(3)意思決定の結果が現在と将来の利益の双方に影響を及ぼす場合
(4)意思決定により何らかの見返りが期待できる場合
消費者が貯蓄・投資など金融取引を行う際の意思決定環境は、まさに上記4条件全てに合致しやすい傾向がみられ、金融行動と行動バイアスの間に密接な関係があることがわかる」
つまり、こと金融取引を行う時の選択は、消費者側に難しい選択を迫るということだ。
金融商品の複雑な仕組みを理解し、しかもリスク商品の場合は「損をするかもしれない」という不確実性を覚悟し、しかし、できれば大きな利益を得るような選択をしたいと願う。まさに、多くの場合はここで思考停止し、「おすすめは?」となる。
相手も商売なので、儲かる商品を売りたいし、販売ノルマもある。支店の売り上げも大事だ。しかし、自分の知識では選択できないような複雑な金融商品は、おおむね手数料が高く、中途解約しにくいものもある。理解できないものは選ばないという勇気も必要だろう。
■「おすすめ」より怖い「おまかせ」とは?
また、もうひとつの魔法の言葉「おまかせ」もある。
近年人気の、証券会社の「ラップ口座」なるものだ。300万円や500万円の投資資金を、証券会社などにおまかせで運用してもらうというもので、投資先は主に投資信託になる。もともとは富裕層向けサービスだったが、最近では若年層を意識した「10万円から」という低額のラップ口座も登場している。
しかし、このラップ口座、とにかくマネーの専門家には評判が悪い。その大きな理由が「金融機関に払う手数料が高い」というものだ。おまかせなので投資家は運用商品を選べず、金融機関の儲けになるような手数料が高いファンドが入っていても文句はいえない。しかし、これは当然なのだ。なぜなら、「おまかせ」なのだから。「自分で選択せず、人に面倒を見てもらおう」と思うなら、お金を払うしかない。それも言い値で。
筆者自身はラップ口座で運用はしないが、その仕組みを理解し、「自分で選択をしたくないから、少々高くても手間賃を払ってもいい」と理解した上で選ぶなら、それも立派な選択だろう。ただ、結果的に儲かるかどうかは、証券会社の担当者も保証はしてくれない。
「『おすすめ』と『おまかせ』を選ぶのは、賢いお金の使い方とは限らない」と覚えておこう。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
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