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会社を辞めた40代課長3000人「転職のリアルな現状」 〜行く先で待ち受けるもの
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161015-00000005-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 10月15日(土)7時47分配信
数字の上ではバブル期を超えたといわれる転職市場の活況は今も続いています。ただ、1990年代以降、時代とともに転職市場の内容は徐々に変質しています。2016年も終わりに近づいた現在、40代課長職の転職の中身はどうなっているのか? 転職コンサルタントとして、日々、転職活動の方々からお聞きしている内容をもとに、その実態をご紹介します。
■40代課長3139人に聞いた退職理由、4つの傾向
「自分自身の能力や時間を膨大に注ぎ込んできた会社を、なぜ辞めるのか?」
多様な業界で活躍してこられた方々から転職のご相談を受ける際に、最初にお聞きするのがこの質問です。「キャリアアップをしたいから」「もっと違う可能性を見つけたいから」「これまでの能力を生かせる会社に行きたい」など、ほとんどの場合、前向きで力強い回答が返ってきます。
ただ、転職という重大な局面をサポートするためには、それだけでは抽象的すぎるので、「なぜキャリアアップしたいと考えるようになったのか? きっかけとなった出来事はありますか?」という質問で深掘りしていくと、徐々にリアルな本音のご意見を伺うことができます。アンケート調査とは違い、双方向でコミュニケーションできるため、彼らが会社を去った真の理由をつかみ得る最大のポイントとなっています。
そうしたインタビューを積み重ねてきた結果を、特に40代の課長クラス3139人のインタビュー結果に絞って、いくつかのパターンに分類してみました。実際には、一人ひとりの仕事のヒストリーがあり、退職理由もそれぞれに違うのですが、ここでは共通点を洗い出し傾向として分類します。
1.評価不満型 〜降格・人事異動、評価への怒りが原動力に
「社長直下で営業推進の責任者として5年間、大プロジェクトの評価制度の再構築ができた矢先で、関西支社の営業マネジャーに異動、2年で本社に戻るはずがなかなか後任がいないと言われてずるずる3年目に入ってしまった。そろそろ帰りたいがまったく動きがないので転職を検討している」(43歳・産業機械商社・東京)
「新規事業の自社プロダクトのプロジェクトマネジメントを任されていたが、当初の期限より前に突然、結果が出ないという理由ではずされた。営業課長の仕事が嫌ではないが、理不尽な対応に悔しさというか、会社の意思決定を信じられなくなった」(41歳・SIer・神奈川)
退職理由で最も多いのが、この「評価不満型」です。複数回答での集計では全体の62.8%をこの理由が占めています。
役職定年を含む降格や、望まない人事異動、あるいは納得できない人事考課など、ある日突然、「自分はこれだけやってきたのに、なぜ会社は評価してくれないのか?」という事態が起こる。何度かのみ込もうとしても、どうしても自己評価とのズレが解消しなかった瞬間、静かな怒りが会社を去る決断に火をつけるというケースです。会社と自分の評価のズレは20代の頃から何度も経験し、そのたびにのみ込んで収めてきたはずなのですが、心の沸点を超えた瞬間に収めきれなくなり、アクションが始まります。
会社側から見ると、個人のパフォーマンス評価以外に、若手の登用による活性化や幹部人材の選別、適正な人材代謝など、組織強化のための複合的な判断をしなければいけないという事情もあるので、この評価ギャップは収めようがなく、強い慰留もないままに退職が決定的になっていきます。
2.環境変化型 〜倒産・業績悪化、M&A、経営者の交代
「20年やってきて骨をうずめるつもりで働いていた会社ですが、顧客志向の変化とカジュアル化、低価格化の流れで、会社の業績悪化が止まらず、希望退職制度があるうちにと思い、やむなく退職を決めました」(42歳・百貨店・東京)
「外資系企業の傘下に入ったことで経営方針が一転し、私個人としてはこれまでの顧客に心苦しい対応を迫られることが増えた。合理的な経営は理解できるが自分にはどうしても合わないので、これまでの競合も含めて行き先を探しています」(44歳・建築設計・施工会社・大阪)
景況感がいいといわれている昨今の環境下でも、業種や企業によっては、静かな地殻変動が続いており、会社を取り巻く環境が変わって転職を考えることになる人は意外に多いのが実態です。インタビューの最初は「人間関係に少し悩んでいて……」という人の本音を探っていくと、このパターンだったということもよくあります。全体の中で42.3%の方々がこの退職理由に該当しています。
倒産や業績悪化、M&A(合併・買収)などは、課長クラスとはいえ、ー従業員としてはどうしようもない不可避の事態であり、それがゆえに「今回初めて転職する」というビギナー比率も高くなります。早期退職制度で退職金積み増しなどがあり、転職先を決めずに会社を辞めてしまう方も多いのですが、40代の転職活動は長期化することも多く、結果として離職期間が長引き、さらに転職活動が不利になることも多いので、できれば、在職中に行き先を見つけておくことをおすすめしています。
3.プライベート型 〜親の介護、疾病・メンタル
「父親が倒れて入院したのをきっかけに母親が認知症に。地元に兄弟もおらず、長男である自分が会社を辞めて故郷の実家で世話をすることになった」(47歳・金融コンサルタント・東京)
「課長になったころから次の出世レースに勝ち残るために、会社からのプレッシャーを背負い込んで頑張りすぎました。結果的に心身ともに疲れ果てて、うつ病になり休職することに。会社は休職扱いとしてくれましたが、さすがに申し訳なく、昨年自主退職しました」(40歳・求人系広告代理店・愛知)
40代・課長職で退職する方の14.6%が、このプライベート型に相当する理由です。社内での評価も、人間関係も、業績的にも順調に見えて、ある日突然、自分や家族を襲う「病」という壁。人間であるがゆえに避けられないことですが、ご本人としては非常に不本意で、不完全燃焼感も高い辞め方といえると思います。
会社によっては、長期休職扱いとしてサポートしたり、場合によっては時短勤務や地元近くの拠点への異動などを配慮してくれたり、それによって退職を免れたケースもあるようですが、「いつ終わるのか先が見えない」という理由で自発的に会社を去られる方も多くおられます。会社が制度的に支援してくれる状況があるのであれば、それを行使することはご本人の権利なので、いつか恩返しするつもりで、遠慮せずにその機会を利用することをおすすめしています。
4.自己変革覚醒型 〜起業、ベンチャー転職、U/Iターン
「前職の部下が立ち上げたベンチャーの理念や目標に衝撃を受けるほど共感した。手伝ってほしいと頼まれた瞬間にこれだと思い、管理部門は任せろと受けました。年収は3割以上も下がりましたが、後悔はしていません」(43歳・ビジネス向けITサービス・東京)
「45歳の時に子どもが生まれたことがきっかけで、将来のことを考えたら、あと15年で実質定年になる会社勤めより、昔からやってみたかったビジネスで起業するチャレンジを選択しました。まずはその業界の基礎知識を身に付けるために期間限定の契約社員でもいいから最長2年間は丁稚(でっち)奉公してみたい」(47歳・総合商社→飲食ビジネス志向・福岡)
「業界全体が徐々に沈滞している中で、ここでキャリアチェンジする潮時かと思いました。どうせならUターンで、故郷で農業再生の仕事に取り組みたいと考えています」(43歳・家電部品メーカー・神奈川)
もうひとつの退職パターンが、この自己変革覚醒型です。全体の中では7.2%と少ないケースですが、何らかのきっかけで、以前からやりたかった夢や、自分本来の生き方を探求して、まったく新しいチャレンジをしたいと行動を起こす方々です。
「自分で自分の人生を決める」という主体性が高いぶん、モチベーションも満足度も非常に高いのですが、経験のない領域に飛び込むリスクもきわめて高い選択です。だからこそ、一時的な衝動で決断するのではなく、周到な準備や戦略がないと大きな傷を負うので注意が必要です。
■「不満の裏返し」を意思決定の基準にしない
会社を辞めた理由がどうであれ、その決断を後悔しない結果につなげていくために重要な共通点がいくつかあります。退職の理由には、どうしても不可避な理由を除けば、やはり何らかの現状不満が隠れていることが多くなります。
「次の一手」を選択する際に、前職での不満を打ち消すことを目的に、不満の原因となった要素と正反対の因子を選択の基準にしてしまうと、結果的にうまくいかなくなる傾向があるようです。
たとえば「評価への不満」がきっかけで会社を辞めた方が「実力を評価してもらえること」を目的に転職した場合に、実際にはノウハウを欲しがっていただけだったり(ノウハウを吐き出した瞬間に評価が下がる)、入社後に組織風土や価値観の違いに気づくなどして、再び転職を迫られるというケースです。不満を解消することが唯一の目的となってしまって、他の重要な因子をチェックする気持ちが薄れてしまうことが原因のようです。
今後、会社を辞めるかもしれない方には、そのような事態を回避するためにも、「前職を辞めた/辞める理由」とは全く切り離して、自分が主体的なモチベーションを長く保ち続けられるために重要な要素を洗い出し、重み付けをして、意思決定の基準にしていただくことをおすすめします。
40代での転職には、まだまだ残り20年という長い仕事人生が待っています。400万社を超える企業の中のたった1社を辞めたことよりも、自分の人生を自分のものと実感しながら、気分よく働き続けられることが何よりも重要です。
「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は10月21日の予定です。 連載は3人が交代で担当します。 *黒田真行 ミドル世代専門転職コンサルタント *森本千賀子 エグゼクティブ専門の転職エージェント *波戸内啓介 リクルートエグゼクティブエージェント社長
黒田 真行(くろだ・まさゆき)ルーセントドアーズ代表取締役「ミドル世代の方々のキャリアの可能性を最大化する」をテーマに、日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営している。1989年、関西大学法学部卒業、リクルート入社。1988年より転職メディアの制作・編集・事業企画に携わる。2006年〜2013年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。13年リクルートドクターズキャリア取締役などを経て、2014年ルーセントドアーズを設立。35歳以上の転職支援サービス「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/
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