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経済の低迷、これがここ数年の日本の最大の特徴だ。低迷により、国内総生産(GDP)は20年以上にわたりほぼ同じ水準にとどまっている。国民の生活はどうかといえば、はっきりとした低下の意識はない。
失われた20年の日本、人々に「恐れ」がないのはなぜか―中国メディア
http://www.recordchina.co.jp/a152376.html
2016年10月14日(金) 7時50分
経済の低迷、これがここ数年の日本の最大の特徴だ。低迷により、国内総生産(GDP)は20年以上にわたりほぼ同じ水準にとどまっている。国民の生活はどうかといえば、はっきりとした低下の意識はない。賃金は下がったが、物価もより速いペースで下がっており、働くペースは大分ゆっくりになった。低迷状態が当たり前になった今、生活レベルさえ保証されれば、発展ペースの低下は恐れるに足りない。こうしたわけで一般的な日本人は現在の低迷状況に恐れに気持ちを抱かないのだ。新華網が伝えた。(文:陳言・日本企業<中国>研究院執行院長)
▽レート上昇と大量生産
日本円のレートは過去40年間に約3倍上昇した。これは輸入商品価格が以前の半分から3分の1に値下がりしたのと同じことだ。輸入商品が増えると、国内商品は価格を引き下げざるを得なくなる。農産品は価格引き下げが難しいが、工業製品は生産効率を高め、技術革新を通じて大量生産を実現し、価格を引き下げることが可能なので、日本では工業製品の価格が引き下げられた。過去20数年間、賃金は上昇していないが、感覚としては物価は低下を続けている。デフレには弊害があるが、人々の生活は保障される。
ここ数年、中国の企業や個人が海外投資を大規模に行い、20年前の日本と似た状況にみえる。人民元レートは安定し、安定の中で一定の上昇をみており、日本の経験を参考にすれば、経済が少しくらい低迷しても国民の生活の質は保証できるといえる。中国と日本は人口も国土面積も異なり、日本のやり方をそっくり真似するわけにはいかないが、日本は今後の中国経済を考える時に一つの参考例となることは確かだ。
▽みんなに仕事と社会保障がある
企業数社に旧知の友をたずねたところ、今や彼らは企業の中核となり、取締役になった人も少なくなかった。顔を合わせると別の友人のことをたずねずにはいられない。みな働き盛りで、かなりの社会的地位にあるという。
30年来の友人や彼らが勤める企業は、失われた20年の間にも脱落(失業)することはほとんどなかった。日本企業は終身雇用制を採用するところが多く、経済が低迷しても社員を解雇しない。社員は長期にわたり、企業とともに歩むことができる。米国のように景気が少し悪くなると真っ先に社員を解雇するようであれば、日本社会は安定した中間層を保つことが非常に難しくなる。
日本はここ数年、確かに低迷しているが、リストラを行う企業は少数派で、失業率はそれほど高くない。2011年に東日本大震災が発生すると、インフラプロジェクトや公共工事が大幅に増加し、建築分野では労働力不足の状態が続いている。
日本社会をながめると、多くの人は過去20年間に賃金がほとんど上昇していないが、みんなに仕事があり、健康保険や年金などの整った社会保障もある。社会保障は人口高齢化が進行すると維持が難しいが、それでも今はまだ維持されている。仕事があれば、病気になっても高齢になっても保障がある。こうしたメカニズムにより日本の中産階級の規模は維持され、中産階級から脱落する状況は日本では稀なケースだ。
▽数字からみたここ数年の中産階級
中産階級の線引きについて、日本には固定的な概念がない。筆者は、安定した仕事と住宅をもつ人々が中産階級だと考える。
不動産価格はバブル経済崩壊後、大幅に値下がりした。東京で働く40代の雑誌副編集長は職場の近くでマンションを買った。毎月のローン返済の圧力は小さくなく、都心部にあるため、価格は年収の約7倍だ。だがこの数字を今の北京や上海の人が聞いたら、うらやましく思うことは間違いない。
経済が低迷する今、特に不動産バブルが崩壊した後の今、住宅は中産階級の仲間入りするためのハードルではなくなった。大勢の中産階級が住宅ローンの負担の重さに耐えかねて中産階級から脱落してきたが、若い人には中産階級の仲間入りするチャンスがより多く与えられるようになった。そうしたわけで日本の中産階級はここ数年、著しく減少したということはない。
こんなデータがある。日本の内閣府が1958年に行った第1回国民生活に関する世論調査では、生活水準についての質問で「上流階級」と答えた人は0.2%、「下層階級」と答えた人は17.0%だった。約60年前に、日本社会では自分を中産階級とみなす人が80%以上いたということになる。当時の日本は決して豊かではなく、中産階級といっても今日の視点でみれば「ニセ中産階級」ではあるが。
14年に内閣府が発表した最新の調査結果では、自分が「下層下級」であると答えた人、また「わからない」と答えた人は5.6%で、「上流階級」とした人は1.2%だった。失われた20年余りの間にも、日本社会では中産階級の規模が縮小しなかったことがわかる。
その原因を考えると、表面的には、レートの大幅な上昇を受けて、日本人は比較的低価格で世界各国から提供された物質文化を享受することが可能であり、日本国内の生産力は大幅に低下しなかった。こうして商品の絶対的な豊富さとより安い価格を享受することができたということがある。社会の深層レベルを考えると、企業が採用する終身雇用制度、社会から与えられる各種の社会保障により、中産階級が現在の社会的地位から下層階級に低下することはなかなかあり得ない。また多くの若者が仕事がなかったり、家が買えなかったりして、中産階級に仲間入りできないという状況は考えにくいということがある。
若い人々が順調に、ごく自然に中産階級になる道が保証されれば、経済が少しくらい低迷しても、実際には大きな問題にならないのだといえる。(提供/人民網日本語版・編集KS)
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