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ドイツ銀行は難局を乗り切ることができるのか。市場に楽観論が漂い出したことに筆者は警告を発する(写真:ロイター/アフロ)
日米の「割高な株価」が維持できなくなる時
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161013-00140178-toyo-bus_all
10月13日(木)10時0分配信 江守 哲 東洋経済オンライン
12日の日経平均株価は下落、前日比184円安の1万6840円で取引を終えた。一方、同日のNY市場ではダウは1万8144ドル(前日比15ドル上昇)と小幅反発して終了、為替は1ドル104円台への円安が進んだ。一時のような円高懸念が和らいでいることもあり、ここへ来て日本の株式市場では強気な声が聞かれ始めるようになった。
■それでも日本株には強気になれない
日本銀行がETF(上場投資信託)購入枠の増額を決めて以降、筆者の日本株に対する興味は大いに薄れたのだが、いまだに高値圏で推移しているということは、高値でも買う投資家が少なからず存在するということだ。筆者は、これらの「投資家」(おそらく主体は日銀と年金だろうが)に「敬意」を表するものの、今後の日本株の動向については、一歩も二歩も引いて見ていきたいと考えている。
一方で、「株価の調整は必至」と発言する市場関係者も少なくない。理由はそれぞれだが、つまるところドイツ銀行を中心とする欧州の金融機関の問題と、米国大統領選挙に絞られるとみてよいだろう。
まずは前者から検証してみよう。ドイツ銀行にしても、不良債権に苦しむイタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行にしても、普通に考えれば看過できない状況であることに変わりない。低迷する株価水準(特に後者はわずか1株0.17ユーロ=約20円)を見ればわかる通り、何かが起きれば持たない。株価に織り込まれたというのかもしれないが、今の時点で「何も起きていないから問題ない」とするのは、全くの素人の発想である。
すでに問題は起きているのだが、問題が深刻化してからでは「時すでに遅し」である。ドイツ銀行については、筆者は米国の考え方一つだと思う。住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売に絡んで、米司法省は140億ドル(約1.5兆円)もの制裁金支払いをドイツ銀行に求めている。
■マーケットはドイツ銀行問題でどう動くのか
すでにドイツ銀行側がこの金額の減額交渉に動いていると報じられているが、減額に成功したとしても、金額がゼロになることはない。経営への影響は必至だ。
一方で、ドイツ銀行の市場での資金調達コスト上昇・高止まりは避けられない。あの名門銀行が、欧州主要21行の中で、最も高くなっているというのだから驚きである。不良債権に苦しむイタリアやギリシャなどの銀行を上回っていることになり、ドイツ銀行が市場でどのような扱いになっているか、容易に理解できるだろう。
欧州では、ECB(欧州中央銀行)が中銀預金金利をマイナスに引き下げており、さらに大規模な資金供給を実施しているため、本来であれば銀行の短期市場での調達コストはゼロのはずだ。しかし、ドイツ銀行だけが例外的な存在になっているというのが実態である。
報道などによると、ドイツ銀行が資金調達の際に支払う追加金利のコストは、9カ月では0.02%、1年では0.06%だが、他の主要行はいずれもマイナス金利での調達が可能という。これは、借り入れの際に手数料を受け取れる状況にあることを意味する。ドイツ銀行がいかに厳しい状況に置かれているかがわかる。
■ドイツ銀行問題が「雲散霧消する」とは考えられず
このような状況になれば、調達コストの上昇が徐々に経営を圧迫し、ある時点で突然破たんするという、銀行破たんによくみられるパターンが想像できる。
ただ、ドイツ銀行がそのようなパターンに入りつつあるかはわからない。株価が崩落状態にあることを考えると、資本増強などのコストは相当上がり、その可能性は徐々に高まっていると考えるのが普通だ。10月27日の決算にも当然注目が集まる。
しかし、その一方で、破たんなどを前提に、金融危機が起きるとか、株価が暴落するなどと考えるのも早計である。あくまで結果が重要であり、その結果を見たうえで判断することが肝要である。ドイツ銀行がここまで追い込まれていることを考慮すれば、この問題、ひいては欧州の一部の金融機関の問題が、特に大きなことも起きず、終焉を迎えるなどとは全く考えられない。これが筆者のホンネだ。
■クリントン候補に勝たせたい「情報戦の落とし穴」
では米大統領選挙についてはどうだろうか。筆者は討論会を見て何かを判断することはないのだが、マスコミの論調を見る限り、民主党候補のクリントン氏を勝たせたいような報道が多いように思われる。そのほうが、市場の混乱は避けられるとでも考えているのだろう。
ただ最終的には投票結果を見るしかないのであり、今の時点であれこれ考えても仕方がない。ただし、わかりやすく言えば、トランプ氏が結果として大統領選に勝利すれば、株価は大きく調整しそうだということである。
■まさかのトランプ選出で、むしろドル高円安の可能性も
もっとも、トランプ氏が選出された場合に、翌年以降の金融市場がどのような状況になるかは別物で、わからない。トランプ氏が示している税制改革などを考慮すれば、むしろドル高になるようにも思われる。トランプ氏が2005年のように、還流資金の税制を大幅に引き下げるようであれば、ドル買い需要が高まり、それがドル高・円安を誘発するとの考えである。
そうなれば、日本にとっては円安になる可能性が高まり、むしろトランプ氏を歓迎すべきなのかもしれない。ただし、その場合にはドル高が米国企業を圧迫し、株価には逆風となろう。逆にクリントン氏はドル安を志向しているとの見方が多いようであり、クリントン氏が大統領に選出された場合には円高につながるリスクがある。これは、日本からすれば全く歓迎されないだろう。
こうして見てきたように「ドイツ銀行」と「米大統領選」という、市場の関心が高いこの二つの材料をとってみても、金融市場が安定的に推移するのは望みづらい。
今の市場は様々な背景や理由が複雑に絡み合っており、一つのロジックで明快にすべてを説明することが困難だ。それでも明白なことは、日米ともに株価が割高な状態にあることである。特に米国株は歴史的割高圏にあることは、「CAPEレシオ」(景気循環の影響を調整した株価の割高・割安を見ることができるとされる指標。25を超えると割高とされるが、米国のS&P500では25超で推移)などでも確認できる。
そのため、1929年の世界恐慌、2000年のITバブル崩壊、2007年以降のサブプライムローン問題深刻化のときのような大幅な株価調整になっても、驚いてはいけない。これらの客観データが株価調整の可能性を示している一方、米国がドイツ銀行に対してどのような対応をするかによっても、当面の結末は変わってきそうだ。
それにしても、現在の日米の株価水準はいつまで維持されるのだろうか。筆者が当面の「Xデー」とした今週末までに何かが起きるのか、残された時間はあまりないが、じっくりと市場動向を見ていきたいと考えている。
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