http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/320.html
Tweet |
中国のGDP成長率より高い民間債務の伸び
(大前研一)
【日本】日銀、長短金利操作付き量的・質的金融緩和
日銀は9月21日に開いた金融政策決定会合で、長短金利を誘導目標とする新たな金融緩和の枠組みを導入することを決定しました。異次元緩和の導入から3年が経過し、日銀は金融政策の総括的な検証を実施。物価2%の実現のためには大胆な枠組みの変更が必要と判断したもので、今後必要な場合にはマイナス金利の深堀なども実施する考えを示しました。
日銀黒田総裁はほとんど自信をなくし、量から今度は金利、イールドカーブということを言っていますが、同時に彼はインフレ期待というものを作り出したいとも言っています。それにより、将来物が高くなるということで、今早めに買っておこうという行動になるだろうと言うのです。
これは100年前の考え方で、大丈夫かと不安になります。世界でも例のないような領域に踏み込んでしまい、10年国債のイールドを0%にするなどと言っていますが、今まで何一つコントロールできなかったのに、このような難しい政策を本当にコントロールできるのでしょうか。疑問符がたくさん付くところです。
その前にアベノミクスがなぜうまくいかないのかを考えるべきです。要するに、低欲望社会というものに対して、何か物が欲しいと思う気持ちを作らなくてはならないわけです。このやり方では日本の場合には全くうまくいかないので、その考えの深堀が足りないのです。
政策だけは焦ってインフレ期待を高めたいなどと言っていますが、少なくとも明日、明後日、来年の方が物価高になるなら今のうちに買わなくてはならないような、そこまで欲しいものが実際あるのでしょうか。インフレ期待などというものを政策議論に持ち出す黒田総裁は古色蒼然で、信じられないほど感覚がずれていることにがっかりしました。
インフレ期待を高めたいと言っていますが、そんなものはあるわけがないのです。供給はものすごく旺盛なので、供給が止まればまた物価は高くなるかもしれませんが、インフレ期待などという言葉を持ち出した黒田総裁はもう八方塞がりなのだということが改めてよくわかりました。
【中国】民間債務急増 GDP成長率より高い債務の伸び
日経新聞は22日、「中国の民間債務急増に警鐘」と題する記事を掲載しました。これは、BIS、国際決済銀行の発表した四半期報告で、「債務の伸びがGDP成長率より異様に高い」と指摘したことや、IMFも8月の年次審査報告で「早急に企業債務の問題に取り組むべき」と促したと紹介しています。中国政府も昨年12月、サプライサイド改革を打ち出し、過剰債務の削減に乗り出しているものの、実効性は上がっていない現状としています。
日米中のクレジット・GDPギャップの推移から、民間部門向けの信用の対GDP比が長期トレンドからどのぐらい乖離しているかがわかります。中国の場合には乖離の度合いがどんどん大きくなってきています。一方アメリカは逆で、マイナスになっています。日本はほとんどGDPと同じで、GDPが伸びていないので、債務の方も伸びていないということが示されています。
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/wp-content/uploads/2016/10/161012_1.jpg
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/wp-content/uploads/2016/10/161012_2.jpg
民間債務の対GDP比率を見ると、三国のうち日本は最も悪かったのですが、中国がそれを抜いて、現在GDPの200%になっています。かなりの債務を抱え込んでしまっていることがわかります。やはり中国の過剰債務問題は深刻で、また、需要が減った時に国有企業が供給できなくなり赤字化し、赤字を隠すようなことが起きるのです。
国有企業がリストラをすると、共産党政権は自分の子飼いの企業を削って行かねばならず、鉄鋼会社だけでも100社もある中国では、どこの地域から削減するかという問題が難しいのです。やはり国策企業の改革は、そう簡単ではないのです。中国の場合にはこれが政治的に非常に難しい点だと言えます。
【租税回避地問題】パナマ文書に次ぐバハマ文書の影響は!?
タックスヘイブンとして知られるカリブ海のバハマに設立された企業の役員に、欧州委員会のネーリー・クルス元副委員長の名前が登録されていたことが明らかになりました。クルス氏は、2004年から10年にかけて、欧州委員会で競争政策を担当し、その後デジタル戦略担当の副委員長に就任。アメリカ誌フォーブスの、世界で最も影響力のある女性100人にも選ばれました。
事務的なミスによって名前が出たのではないかと言っていますが、以前問題になったパナマ文書に続き、今回はバハマと言うわけです。相当な量の情報が出てきて、今また世界がびっくりしているところです。パナマ文書に登場するタックスヘイブンは、英領バージン諸島が最も多く、パナマ地震もありましたが、その次がバハマでした。そこへバハマ文書というものが出てきてしまったわけです。これによってまた驚くことが出てくる状況となっています。
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/wp-content/uploads/2016/10/161012_3.jpg
パナマ文書では、プーチン氏は2400億円を単なる友人の音楽家が持っていたということでしたが、結局決着はしていません。様々な名前が出てきましたが、キャメロン元イギリス首相にとっても若干のマイナスとなりました。ただ、納めなければならなかった税金は300ドルほどで、大した事はありませんでした。しかし、今回のバハマ文書によって、また再び地震に揺れるかもしれないというわけです。
講師紹介
ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
10月2日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら
その他の記事を読む
揺れる世界経済の米欧中リスク(大前研一)
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20161012-2/
米雇用統計、暖冬の影響はハリケーン上回る SF連銀調査
8日にサウスカロライナ州へ上陸した大型ハリケーン「マシュー」の被害はまだ評価の段階だ(写真はサウスカロライナ州マクレランビル)
By ERIC MORATH
2016 年 10 月 12 日 16:38 JST
ハリケーンや暴風雪は被害地に壊滅的な影響を与える恐れがあるが、全米レベルの経済指標にもっと大幅なゆがみをもたらすのは暖冬かもしれない。
サンフランシスコ地区連銀のリサーチアドバイザー、ダニエル・ウィルソン氏は「大型の嵐のほとんどは局所的にかなり大きな影響を与えるが、全国のはかりで見ると針はそれほど動かない」と指摘。「そのため、地理的に隔絶された大型の嵐よりも、全米に広がる暖冬などの異常気象の方が国全体の雇用への影響は大きくなり得る」という。
ウィルソン氏とキャサリン・ファンデルリスト氏が共同執筆した、気象の雇用統計への影響に関する新たな論文は、大型ハリケーン「マシュー」について具体的判断は示していない。8日にサウスカロライナ州へ上陸したマシューの暴風や洪水の被害はまだ評価の段階にある。他のエコノミストらも、ハリケーン「アンドリュー」や「サンディ」といった大型の自然災害でさえ国家経済への影響は比較的小さかったと指摘している。
論文によると、先の暖冬は5月の雇用統計に市場を動かすほどの影響を及ぼした。
米労働省が発表した5月の雇用統計では、非農業部門就業者数の伸びが急減速し、エコノミストらを驚かせた。その結果、ドルは下落し、米国債利回りは今年最低近い水準に低下した。米連邦準備制度理事会(FRB)が雇用統計発表の10日後に開いた会合で利上げを見送った理由は雇用統計の弱かったためだと多くのエコノミストが指摘した。
サンフランシスコ連銀の論文は、天候(特に季節外れの暖冬)が予想外の数字となった主な原因だと主張している。天候の影響を調整すると、5月の雇用の伸びは労働省発表の2万4000人ではなく、16万2000人だという。天候調整後の数字は、雇用創出がやや減速しつつも安定していた5月以前の水準に近い。
ウィルソン氏らは、暖冬で2月と3月の雇用が押し上げられたと指摘している。労働省によると、この2カ月は雇用がそれぞれ23万3000人、18万6000人増加した。論文によれば、これらの月は天候の影響で本来よりも雇用が10万人程度上積みされたという。
論文は「5月の雇用はある種のダブルパンチを受けたようだ」とし、「5月の経済活動が例年にない寒さで抑制された上、2月と3月の暖かさで本来なら5月に増えるはずだった雇用がいくらか前倒された」としている。
労働省は、年末商戦前に小売業の雇用が急増したり、冬場に建設業の雇用が減速したりするなど、見込まれるパターンを考慮して雇用統計に季節調整を加える。だが、暖冬やハリケーンといった不規則な要因は考慮されない。
雇用統計に天候調整を加えているのはサンフランシスコ連銀だけではない。ブルッキングス研究所も同様の調整を行い、天候の影響で9月の雇用の伸びは1万4000人下振れしたとの見方を示している。
サンフランシスコ連銀の手法は、各地の気象観測と国レベルの雇用統計を基にしており、それらをまとめて全米に与えた影響を測っている。
論文によれば、特に冬と春の平均気温が高い場合、降雨や降雪といった他の天気よりも雇用への影響は大きい。そして気温変動の影響は長続きするという。春の期間は気温(カ氏)が約12度上昇すると、その月の雇用の伸びは0.14ポイント上向くが、そうした雇用の改善は次の3カ月間で相殺されると論文は指摘している。
降雨や降雪の影響は気温変動の3分の1にも満たないが、複数の天気事象が重なると重大な影響をもたらす可能性がある。これが2015年2月に起きた。
この月の初め、北東部のニューイングランド地方で記録的な大雪が降り、月末にかけて中部大西洋地域も大雪に見舞われ、中西部や東部の大半が寒波に包まれた。降雪だけでも雇用は約2万6000人押し下げられた。この月は他の気象変数を合わせて雇用創出が8万人程度少なくなったという。
関連記事
2016年の市場に起こった逆転現象
9月の米雇用統計、エコノミストはこうみる
「捏造説」招いた米雇用統計、実態どこまで把握?
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiq9_S9idXPAhUnjFQKHcREDywQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10019558976659973568804582369421540110602&usg=AFQjCNGH-JqdwPBsqjLm83erGaAv6tX8mA
米消費者金融保護局に違憲判断、存続は容認
控訴裁は消費者金融保護局の構造は違憲との判断を下した
By BRENT KENDALL AND YUKA HAYASHI
2016 年 10 月 12 日 12:46 JST
【ワシントン】米コロンビア特別区控訴裁判所は11日、トップに権限が集中している消費者金融保護局(CFPB)の構造は違憲であり、CFPBが住宅ローン販売会社PHHに対し不動産取引法違反で多額の罰金を科した措置は無効との判断を下した。
今回の判決は、2010年制定のドッド・フランク法(金融規制改革法)に基づいて新設され、11年に正式稼働したCFPBにとって大きな打撃となる。CFPB局長は大統領に対する説明責任が十分ではないため憲法が定める三権分立に違反している、というのが判決の主旨。
控訴裁は CFPBの存続は認めたものの、大統領の裁量でCFPB局長を解任したり、局長の行動を監視・指示したりする権限を付与するよう命じた。
こうした変更がなされれば、局としての方針が米政府の影響を受けやすくなるCFPBは、従来よりも政治色が強まる恐れがある。例えば次期大統領は、CFPBのリチャード・コードレイ局長を2018年の任期終了前に解任することが容易になる。
控訴裁はまた、CFPBのPHHに対する行政措置には法的に重大な誤りがあったと指摘。コードレイ局長が不動産取引法を独自に解釈し、それを遡及適用したことで適正手続きの原則に違反したと述べた。
CFPBは現在、局長に権限が集中しており、大統領が局長を解任できるのは正当な理由がある場合に限られる。
控訴裁のブレット・カバナフ判事は判決文で、CFPBの構造は、相互監視機能を果たす委員や理事を有する従来の独立機関の構造と「かけ離れている」とし、議会はCFPB局長に対し、立法府、行政府(大統領を除く)、司法府のどの長よりも大きな権限を与えたと指摘した。カバナフ判事はブッシュ前大統領が任命した。
また、CFPBは「米国の企業、消費者、経済全体に対して強大な権限を有している」ため、こうした抑制と均衡の問題は特に重大だと述べた。
CFPBの報道官は、今回の判決は「われわれの任務に影響を与えるものではない」と述べた。CFPBは最終的に最高裁に上訴する可能性がある。
PHHの弁護人セオドア・オルソン氏は判決を評価し、議会が三権分立に違反する形でCFPBを創設したことが明らかになったと述べた。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiGiNXXj9XPAhVriFQKHdQ0D30QFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10019558976659973568804582369093838894280&usg=AFQjCNGgQBBzpNouo2PzMigMXsrp5uUD1g
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民114掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。