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イエレンも注目する失業率と株価の関係〜何がNYダウを下支えしている?
2016年10月6日株式情報
証券市場では「NYダウ」の動向を見る際、マクロ指標である「失業率」が重要視されています。本稿では「長期国債(10年物)」と合わせて3指標の動きを比較します。(『投資の視点』若林利明)
筆者プロフィール:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。現在は創価女子短期大学非常勤講師、NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」(近代セールス社)など。
グラフで読み解く NY株式市場と失業率、米10年債の気になる関係
株式市場と失業率…マクロ経済回復時の中期指標として有効
証券市場ではNYダウの動向を見る際、マクロ指標である失業率が重要視されています。しかし、1980年から2016年の過去36年間に遡って両者の関係を見ても、一定ゾーンで上下動する失業率、そして基本的に右肩上がりで推移するNYダウを比較するには限界があります。
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労働関係の学者でもあるイエレン連銀議長は、雇用関係の指標を常に注目していると言われておりますが、失業率に関してはおそらく中期3年から5年ぐらいのサイクルで見ていると思われます。一般的に失業率5%前後の水準は、米国では改善余地が限られ、ほぼ完全雇用に近い数字ともいわれております。過去の実績からすれば、現在の水準4.9%はほぼそれに達している値なのです。
「失業率」と「NYダウ」そして直近NY市場の動きに大きく影響を与えているとされる金利指標である「長期国債(10年物)」の動きを比較しました。2012年3月から直近までの3指標の動きです。
※失業率とNYダウは基本的に逆相関の動きを示します。指標を見やすいものにする為、失業率を逆数にして再計算し、NYダウとの相関が見やすいように作図しました。10年国債の動きを含めて、これら3つの数値を2012年3月を1として、その後6か月ごとの変化を2016年6月まで連続して表示しております。
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参考のために失業率・NYダウ・10年国債の3つを指標化する前の「実数値」を、スタート地点・中間・最終地点で示します。
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なお、NYダウ、失業率の一般的認識のパターン(逆相関関係)は、次のようになっております。
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Next: 典型的な金融相場。何がNYダウを下支えしているのか?
米国金利の振れが世界の株式市場を左右する
〜連銀の金利裁定、そこからの実勢金利、10年物国債の動きに注目
2014年3月以降は、失業率とNYダウの動きが異なります。失業率はさらに改善されてゆくのですが、NYダウはそれに反応しておりません。もっとも株式市場は景気予測の先行指標として位置づけられておりますので、この時点で5%近辺の失業率を読み込んでしまっているとも考えられます。市場は株価に影響力のある次のものを探し始めます。
ここでは、金利の注目度がこれまで以上に高まります。景気の好転は、失業率の改善と同時に金利の上昇にも繋がるというのが一般的な理解です。現在の連銀の引き上げ論議の背景には、その認識があります。公定歩合の動きは10年物国債等の動きを通じて住宅着工(住宅ローン金利)、企業の設備投資動向に影響を与えるので、経済先行きの見方の反映ともいえるのです。
直近の経済指標の動きが明確に好転していると判断がつかないことが、金利引き上げ判断に踏み切れない理由です。ところが、金融市場、とりわけ株式市場では、引き上げ論議をネガティブなものとして捉えます。引き上げ話により株価が下落するのです。低金利状態が恒常化することにより市場に資金が入りやすくなり、株式市場の活況が続くとしているのです。
金利引き上げを催促する経済の好調より、株式市場に流入する目先の資金の行方に関心があるのです。典型的な金融相場です。
継続していた金融相場
2015年12月公定歩合が0.75%から1.00%になりました。しかし、この影響を受けると思われていた10年国債は、グラフに示されたような動きです。それだけの長期資金需要がないことになります。
結果として、株式市場は低金利下における潤沢な投資資金を背景にした金融相場が継続していたことになります。必然的に、もし将来的に公定歩合が引き上げられれば、その後の10年物国債の金利がどのような動きを示すかが注目点です。先に示したグラフからは、短絡的ですが、この10年物国債の金利水準がNYダウを下支えしているようにも見えます。
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http://www.mag2.com/p/money/23882/2
「大幅高の特異日つき」10月経済カレンダー
〜週末:中国製造業PMI、人民元がIMFのSDR組み入れ、新月
1日(土):中国・国慶節(〜7日)、
3日(月):日銀短観、ノーベル医学生理学賞発表、米ISM製造業景況感、変化日、ヒジュラ暦新年、中国休場(〜7日)
4日(火):マネタリーベース、投資の日、上げの特異日、米大統領選副大統領候補テレビ討論会、ノーベル物理学賞
5日(水):ノーベル化学賞発表、米ADP雇用レポート、貿易収支、ISM非製造業景況感
6日(木):G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
7日(金):景気動向指数、米雇用統計、IMF・世銀総会(ワシントン、〜9日)、ノーベル平和賞発表
10日(月):体育の日で休場、コロンブスデーでNY為替休場、ノーベル経済学賞
11日(火):変化日、大幅高の特異日
14日(金):大幅高の特異日
16日(日):満月、上げの特異日
17日(月):AEA核融合エネルギー会議(京都〜22日)
19日(水):文部科学省が「スポーツ・文化・ワールドフォーラム」開催、米大統領選テレビ会議
20日(木):ECB理事会・記者会見、EU首脳会議(〜21日)、上げの特異日
21日(金):変化日
27日(木):変化日
28日(金):大幅高の特異日
30日(日):EUがサマータイム終了
31日(月):日銀金融政策決定会合(〜1日)、展望リポート、新月
良い週末を…。
http://www.mag2.com/p/money/23583/2
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