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崖っぷちの東京電力、生き残りをかけた「改革」の先に待ち受けるもの 廃炉費用2兆円がのしかかる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49901
2016.10.08 歳川 隆雄ジャーナリスト 「インサイドライン」編集長 現代ビジネス
■イチエフの処理費用をどう捻出するか
東京電力ホールディングスの経営改革や福島第一原子力発電所事故処理に絡む費用負担について議論する経済産業省の有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会」(通称「東電委員会」。委員長・伊藤邦雄一橋大学特任教授)の第1回会合が、10月5日午前、同省内で開かれた。
「1F(イチエフ)」とは、もちろん東電福島第一原発を指す。
福島1Fの事故の賠償、汚染処理・廃炉にかかる費用が膨大になることが確実なことから、翌日の新聞各紙には、「費用膨張 救い求める東電――国民負担の可能性」(朝日新聞)、「消費者負担 拡大に懸念――東電改革 廃炉支援」(産経新聞)、「東電支援 国民負担拡大も――廃炉・事故処理費 上限見えず」(東京新聞)といった見出しがおどった。
しかし、肝心の東京電力自身の改革には、報道の力点が置かれていなかった。
東京電力の廣瀬直己社長〔PHOTO〕gettyimages
もちろん、当の「東電委員会」が福島1Fの処理費用について国民負担を求める方針を示したことで上述のような見出し記事になるのは理解できる。
だがしかし、「東電委員会」の冠冒頭に「東京電力改革」と記されているのだから、もう少しその点について深掘りがあっても良かった。
ただ、各紙の見出しと本記を精読すると、『日本経済新聞』のそれは肯けるものだった。同紙5日付夕刊の速報には、「東電社長『再編含め改革』――有識者懇で強調」の見出しを掲げ、翌日朝刊では小見出しながら「東電改革、異業種を含む再編」と報じ、この「東電委員会」が東京電力の組織再編を視野に入れた議論を進めて行くことを示唆していたのはさすがであった。
というのは、同委員会にオブザーバーで出席した廣瀬社長が「今まで以上の再編を含む改革を実行したい」と述べていることでも分かるように、廃炉費用が2兆円超と膨大な金額となる福島1Fを本体から切り離すにしても、本体そのものの存続を賭けた自己改革なくして東電は生き残れないからだ。
■東電が画策する生き残り戦略
さらに言えば、この「東電委員会」立ち上げに先駆けて資源エネルギー庁(日下部聡長官)では、官房総合政策課と電力・ガス事業部が中心となって「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を発足させている。
この政策小委員会は、やはり冠冒頭に「電力システム改革」と謳っているが、実際には東電生き残りのためのサバイバル策を企画・立案することが主たるミッションである。
「9電力」という言葉がある。東京電力以下、北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の大手電力9社を意味する(旧国営の沖縄電力を含まない)。
その中では東電HDが他社に先駆けて4月に分社化に踏み切り、傘下に「火力発電」「送配電」「小売り」の3つの事業子会社を置く新体制がスタートした。
その象徴が東電と中電が昨年4月に双方50%出資で設立したJERA(資本金9.6億円。垣見祐二社長)であり、同社は既存の燃料事業統合、既存海外発電事業統合と火力発電所統合を視野に入れている。年末には世界最大のLNG(液化天然ガス)バイヤーになるが、それも業務の効率を考えてのことである。
何が言いたいのか? と言われそうだ。要は、経済産業省=資源エネルギー庁が目指しているのは東京電力再編の先に9電力再編を想定しているということである。
電力小売りの全面自由化で他電力との競争が激烈化する中でソフトバンクまでが参入してきた現在、東電が生き残るためには「送配電」というアドバンテージに固執するのではなく、自社の解体・再編まで突き進まなければ国際競争市場で立ち行かない。
そのトリガーとなるのが「東電委員会」で進められる論議である。
幸いにも、同委員会11人メンバーには、経済界の改革志向の論客である小林喜光経済同友会代表幹事、川村隆日立製作所名誉会長、さらに識者からは船橋洋一日本再建イニシアティブ理事長、冨山和彦経営共創基盤CEOらが名前を連ねている。
国による福島1F廃炉支援策はもとより、東電再建に向けたドラスティックな計画を策定してほしいものだ。その前提となるのが、10月16日実施の新潟県知事選で東電柏崎刈羽原発再稼働派の自民党公認、森民夫前長岡市長が勝利することである。
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