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「マンション契約率」がじわじわと落ち込み続けている
小宮一慶:マンション契約率にみる「不動産ミニバブル」崩壊の兆し
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161007-38294543-bpnet-ind
nikkei BPnet 10月7日(金)10時38分配信
最近、不動産市況の基調が変わりつつあると感じます。2013年4月にアベノミクスがスタートして以来、土地やマンションなどの不動産価格が上昇し続けてきました。理由は後ほど述べますが、私は、これは「不動産ミニバブル」ではないかと考えています。
一方、価格に反してマンションの契約率は14年以降、減少が続いています。賃貸マンションやアパートの空室率が上昇しているという話もあります。つまり、これらは一部供給過剰となりつつあるのではないかと思うのです。
私が最も危惧しているのは、供給過剰による不動産ミニバブルの崩壊です。景況感に明るさが見えない中、どこかで不動産価格が落ち始めますと、バブル崩壊のきっかけになりかねません。
これから不動産市場にどんなことが起こりうるのか。今回は、その現状と先行きについて考えます。
■14年以降低下しつつある「マンション契約率」
私が最近気になっているのは、「マンション契約率」がじわじわと落ち込み続けていることです。この指標は、不動産経済研究所が発表する、首都圏と近畿圏の新築分譲マンションの契約率です。一般的には、70%が「いい」と「悪い」の境目だと言われています。
最近の推移を見ますと、「首都圏」は6月以降、70%を割る水準が続いています。これには、都内のマンションなどの値段が上がって一般のビジネスマンでは手が出せなくなったということもありますが、それ以外にも懸念材料はあります。
さらには、16年上期の首都圏のマンション販売は、前年同期比19.8%減という24年ぶりの低水準と報道されていますし、賃貸マンションやアパートの空室率も15年以降、上昇しています。
前回コラム「手詰まり感強い日銀『総括検証』 黒田総裁は最前線に取り残された司令官か」でも触れましたが、今年に入ってから、円高の影響で企業業績が悪化してきており、同時に景況感も落ち込みつつあります。
もし、ここで不動産価格が下落し始めたら、小さくないショックが訪れる可能性があるのではないかと私は考えています。
■中国富裕層が首都圏の不動産を一斉に売り始める恐れも
私が一番恐れていることは、中国の富裕層が投機・投資目的で購入した日本の不動産を一斉に売却してしまうことです。中国の富裕層は、投機・投資のために東京都心の高級マンションを「爆買い」しています。北海道でも不動産を多く買っているという話も地元の方から聞きました。
中国は今、経済成長率が低下しつつあるうえに政治的な不安もありますから、富裕層は中国国内ではなく、ニューヨークや東京などの世界主要都市のマンションを買い漁っているのです。これは、首都圏の不動産価格が上昇した一因でもあるでしょう。
特に東京は、彼らの注目を集めています。多くの中国人が、「2020年の東京五輪までは不動産価格が上がり続けるだろう」と考えているからです。しかし、人口減少のスピードが速まる中、そんな保証はどこにもありません。個人消費も落ち込む一方です。このままでは2020年を迎える前に景気が悪化し、不動産価格が下がり始める可能性だって十分にあります。
もし、それが現実となれば、中国の富裕層は東京の不動産を一斉に売り出すことも考えられます。彼らは投機・投資のために買っているわけですので、下がると思えば2020年まで保有する必要はありませんからね。
すると、マンション市況だけでなく、不動産全般の市況が一気に崩れる可能性あります。
■相続税・贈与税の税制改正によって、賃貸アパートの需要が増えた
今後の不動産価格に不安がある要因は、これだけではありません。
最近、賃貸住宅が非常に増えています。近ごろ、アパートがたくさん建ち始めている光景を目にすることが多いと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは相続税対策のためにアパートを建設する人が増えているからです。
2015年1月に相続税と贈与税の税制が改正され、課税対象が大幅に広がりました。例えば、子ども2人が相続する場合、これまでは7000万円までの資産が非課税でしたが、税制改正後は4200万円を超えると課税されるようになったのです。
財務省の試算では、これによって対象となる資産を持つ人の数が、4%から6%程度まで拡大したということです。地価の高いところで少し不動産を保有していれば、結構課税対象となる可能性があります。
そこで、相続税の節税の有効な手段の一つとして、「賃貸アパートの運用」があります。なぜ賃貸アパートかといいますと、アパートなどは土地と違って原価償却費を費用(損金)として計上し、その分の価値を下げることができるのです。
減価償却とは、建物や機械といった長期間にわたって使う資産を購入したとき、購入年度に全額を費用として計上するのではなく、その資産を利用可能年数で分割して、毎年その分だけ費用として計上していくという考え方です。少しややこしいですが、「減価償却で価値を下げた分だけ節税になる」と考えてください。
■異次元緩和も不動産価格上昇の原因となっている
また、「賃貸によりキャッシュフローが将来にわたりある程度安定して得られる」と考える人が多く、マンションやアパートの購入、建設は人気を集めているのです。
それを裏付けるかのように、賃貸マンションの建設や管理を手掛ける大東建託の業績が、大幅に向上しています。16年3月期の経常利益は前期比10.1%増の1055億円となり、次の17年3月期も同比5.2%増の1110億円まで伸びるとの見通しです。
しかし、先にも触れましたが、アパートが供給過剰になれば、投資した不動産が思ったほどのキャッシュフローを生まなくなるリスクがあります。先にも述べたように、マンションやアパートの空室率が上昇していますからね。そうなると、アパートをローンで購入、建設した人は、想定した賃料が入らず、ローンの返済すらままならなくなる可能性もあるのです。
不動産価格が上がったもう一つの要因として、日銀が実施している異次元緩和も挙げられます。量的金融緩和策によって生じた余剰資金が、不動産業の貸し出しに向けられているのです。
■融資先がなくて苦しむ地方の金融機関
金融機関は、マイナス金利の状況では国債を運用しても利益は上げられません。むしろ、長期債を買っても満期まで保有すると損をする状況です。しかも融資先は少ないし、企業業績が落ちているから株で運用するのも怖い。そうなると、余剰資金は不動産融資に向かいます。
特に資金需要の乏しい地方の金融機関では、融資先が少ないことが深刻な問題になっています。中には、本来は実質的には「個人向け融資」とするべき、個人保有の不動産管理会社を法人とみなして「企業向け融資」にすり替えてしまう問題があるという報道もありました。
私自身も銀行員として経験した、80年代後半のバブル期と重なる話があります。現在は、融資をする際は基本的に「不動産の担保価値の7割までに抑える」というルールがあります。先のバブル期には不動産価値の120%まで融資をしていた銀行もありましたが、それらの多くが不良債権の山になったという苦い経験があるからです。
ところが最近、一部のノンバンクでは「不動産価値の100%で融資する」というローン商品を出して、大手銀行から顧客を奪っているというニュースがありました。やはり少しバブル気味の感じがします。
■長期的な視点で、不動産のミニバブルには注意が必要
このように、中国の富裕層の「爆買い」、や異次元緩和という複数の要因が絡み合い、不動産価格が上昇したというわけです。また、ゼロ金利の影響で、現状は比較的利回りが取れる「REIT(不動産投資信託)」に多額のお金が流れ込んでいることもあります。
こうした不動産価格の上昇は、ある意味、ミニバブルだと私は考えています。しかし、マンション契約率や賃貸住宅の供給過剰を考えると、将来は決して明るくありません。ましてや、日本はこの先急激に人口が減少します。成長率も高くはありません。
このままの状況が続けば、下手をすれば、一部の銀行と個人の不動産投資家は痛手を被る可能性があります。まだまだ大きな時限爆弾にはなりませんが、中長期的には注意が必要だと私は考えています。
(構成=森脇早絵)
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