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ECBドラギ総裁(左)と日銀黒田総裁(5月、仙台市で)。マイナス金利の限界について話していたのだろうか(写真:共同通信)
「低金利バブル」崩壊の足音が聞こえている 10月14日までに「Xデー」はやって来るのか
http://toyokeizai.net/articles/-/139115
2016年10月06日 江守 哲 :エモリキャピタルマネジメント代表取締役 東洋経済
市場がいよいよ煮詰まってきたようだ。これまで筆者は、「10月14日までが今年最大のヤマ場になる」と各所で解説してきた。そして、今週からいよいよ、その期間に突入した。これまで市場は、まさにどっちつかずの煮え切らない状況が続いてきたが、さすがにこのような状況は長くは続かないだろう。14日までに見られる市場の動きが、今年の象徴的なものになるのではないだろうか。
■「低金利バブル」崩壊がいよいよ現実に?
このように書くと「いったい、具体的に何が起きるのか?」、という興味が湧いてくるだろう。しかし、残念ながら、今後起きる事象をあらかじめ知ることは不可能である。
ただし、その可能性については、過去データから見出すことはできる。あくまで可能性である。その可能性としての事象が起きるには、筆者がいち早く名付けた「低金利バブル」崩壊のシナリオが現実のものになるかにある。
世界的な低金利が、投資家の資金を株式や債券、金などに移すよう促したことは、すでに本欄で解説したとおりである。現在の市場構造が出来上がった背景には、日米欧の中央銀行の緩和的な政策がある。
しかし、ここにきて少しずつ変化が見られ始めているようだ。これまで中銀が行ってきた量的緩和策が、目的を達成することなく、むしろ弊害だけが残る状況になっていることに、中銀は気づき始めている。いや、むしろ、かなり前から気づいていたに違いない。
おそらく、これまでの自らの政策を否定することができず、仕方なく継続してきた可能性さえあるだろう。しかし、さすがにここまで弊害が目立つようになると、これまでの量的緩和策をいかにして終わりに近づけるかを考え始めていてもおかしくない。
その兆候が、先の9月20・21日の日銀金融政策決定会合での新たな政策であり、欧州中央銀行(ECB)の関係筋による「テーパリング示唆」であろう。ECBについては、報道官が「ECB理事会は債券買い入れプログラムの毎月の買い入れ額の減額について討議していない」とし、市場の見方を否定した。
しかし、最近のドラギ総裁の発言などからも、量的緩和策の限界を背景に、これまでの政策の見直しが議論されていてもおかしくはない。また少なくとも「日銀が先んじて実質的なテーパリングを開始することになった」と少なくとも報道されたことも、ECBにとっては刺激になったのではないだろうか。
無論、日銀の黒田総裁も、先の決定会合で決めた政策は「テーパリングではない」と強弁している。しかし、すでに信頼を失った総裁の言葉を信じる市場関係者は皆無である。
■市場が勝手に金利の上昇を促す可能性
一方で、米連邦準備理事会(FRB)は株価動向をあまりに気にしすぎたことにより、利上げのタイミングを完全に逸した。このまま利上げすれば、市場にショックを与えるだけに終わるだろう。
つまり、FRBは政策の手足を自ら縛りつけた状態にある。こうなると、金融当局が金利を動かすのではなく、市場が勝手に金利の上昇を促す可能性もある。長期金利は下げ渋りから上昇に転じ始めているが、こうなると、次の利上げ機会をうかがうFRBは、指をくわえてみているしかなくなるだろう。
どういうことか。日欧の中銀によるテーパリング観測を背景に金利が上昇し、世界的な低金利バブルに終止符が打たれるシナリオが現実のものになり、中銀の政策に先んじて金利が動き出すわけである。これは中銀にとっても明らかに想定外のことである。
実際に市場金利が暴れだすと、中銀はコントロールできなくなる。市場がいま最も避けたいと考えているのが、その金利上昇である。もしリスクオフ的な動きになれば、真っ先に売られるのが株価だが、その勢いで投資してきた資産を売却して現金化を図る投資家も出てくるだろう。
そうなると、債券も売られ、金利が上昇し、結果的にリスクオフが進む過程でドル買いが入ることも十分に想定される。いわゆる「悪いドル高」である。こうなると、歯止めが利かなくなり、すべての資産が売られることになる。
■低迷するダウ公共株指数は何を意味するのか
また、筆者が注目しているのが、ダウ公共株指数である。これは、ダウ平均と呼ばれる工業株30種平均と並んで、古くから存在するサブ指数だが、現在のところ、ダウ平均や輸送株指数に比較して極端に弱い動きになっている。公共株指数はまれにダウ平均の先行指標になっていることもある。現状、公共株指数が頼りない動きになっている点には要注意である。
このように、きな臭い雰囲気になっている米国株の動きには細心の注意が必要である。マスコミや証券関係者が伝えるように、10月の米国株の過去の平均騰落率はダウ平均は0.5%、S&P500は0.8%、ナスダック指数は0.6%のそれぞれプラスのリターンであり、このデータだけを見る限りでは、確かに買い安心感がある。
しかし、4年に一度の大統領選がある年に限って言えば、10月の騰落率はそれぞれ0.8%、0.7%、2.1%のマイナスである。今年がどうなるかは別にして、過去データは実績である。
つまり、「事実」を知っておくことが重要である。単純に「10月の米国株の騰落率はプラス」というのは、一部の都合のよいデータをでしかない。資産における証券投資の割合が5割を超える米国で、金利が上昇して株安・債券安・ドル高になれば、個人消費が落ち込み、景気の悪化が進むことは自明である。
現在の米国株はレンジ内での推移になっているが、いずれ方向感が出てくるだろう。それは上昇か、それとも下落か。その答えは、1年間でもっとも米国株が下げやすい時期に相当する14日までには、遅くとも明らかになっているのではないかと考えている。
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