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欧州で根強い人気があるSUVキャシュカイ(photo via Nissan Europe)
EU離脱で英国から外国企業が逃げ出し英企業は買い叩かれる! 日産も補償を要求
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161004-00112038-hbolz-int
HARBOR BUSINESS Online 10月4日(火)9時10分配信
9月30日付けのスペインの経済紙『Expansión』によれば、日産はBrexitの影響で英国での投資を遅らせることになったという。更に同紙は、カルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)が、英国政府に対して<日産のビジネスがBrexitの影響で損害を被ることがないことの補償を求めた>とも報じている。英国で生産された同社の車がヨーロッパ大陸に輸出するのに課税の対象になった場合は、それで被る被害に対して英国政府にその補償金を支払うことを要望したものだ。
また、同日のスペイン紙『ABC』も、ゴーン社長が次のように述べたことを報じている。「キャシュカイ(※日産のSUVデュアリスの欧州名)スポーツタイプを新しく生産せねばならないが、Brexitの影響で、それをどこで生産するべきか、疑問をもっている」、「数か月以内にその投資をせねばならない」、「Brexitの結果がどのようになるのか最後まで待つことも、英国政府がEUと合意するまで待つことも出来ない」、「何かマイナス要因が発生した場合に、その補償の約束を政府から望んでいる」。
◆最大の懸念はEUによる「輸入関税」
ゴーン社長が懸念しているのはEUから離脱した英国からヨーロッパ大陸市場に車を輸出する際に、EUは輸入関税をかけるのではないか、或いは英国の生産業者に対して特別税を課して来るのではないかという疑問である。
日産は英国のサンダーランドに工場を持っており、7000人の従業員と関連企業に2万人が働いている。そして、同社で生産する車の大半がヨーロッパ大陸向けであるという。日産は、スペインにも工場を持っており、そこでは年間で270万台が生産されている。一方の英国は150万台の生産だという。(参照「ABC」)
このような事情から、日産はキャシュカイの生産への投資は遅らせるとしながらも、来年早々には、どこで生産するか決めるとしているのだ。
『ABC』によれば、トヨタも同じように不安を抱いているという。
◆英国から逃げ出す企業
英国紙『The Guardian』と提携しているスペイン電子紙『el diario』は、9月5日付で日本政府が英国政府に15ページから成る厳しい警告書簡を送ったことを報じている。同紙が指摘しているのは、<ヨーロッパに進出している日本企業が強く望んでいることは、英国とEUの交渉がどのような展開になるか全く分からないでいる>ということだ。また、この書簡の中で日本政府は<英国がどのようにEUと交渉すべきかということを言っているのではない、日本企業を守る為に言及している>としている。英国では日本企業が<14万人を雇用している>と同紙は指摘した。また、<英国政府はこの警告内容に応えてられるだけの準備は殆ど用意していない>、と述べ、<この書簡が公にされたことに英国政府はショックを受けている>と報じた。メイ首相が望んでいたのは安倍首相が先日の国連総会を利用して、その時にメイ首相に直接伝えることを望んでいたという。
もともとEU残留派だったメイ首相はEUとの交渉をどのように進めて行くべきか、その構想はまだ具体的に明確にされていない。しかし、EU離脱派の閣僚の間では、メイ首相が考えを明確に表明しないことに苛立ちを表明していることもすでに公になっている。離脱派の閣僚の間では、EUとの繋がりは完全に断つという姿勢でいると言われている。
それを懸念してか、英国の格安航空イージージェット航空は本社を英国からヨーロッパ大陸に移転を既に実行に移している。英国の自然派化粧品メーカーで1400人の従業員を抱えるラッシュ社も本社をドイツに移すことを既に実行中である。金融業界ではHSBCは<5000人の従業員の内、1000人をパリに移す>ことを検討している。JPモルガンは<16000人から4000人を他のヨーロッパの都市に配置替えする>予定であるという。(参照『El Confidencial』)
またBrexitの影響によるポンドの暴落を利用して外国企業が英国企業の買収にも始動が始まっている。ソフトバンクが半導体のメーカーARMを買収したこともそのひとつだ。この買収を見て、BBCのロリー・セラン・ジョンズ記者は<英国がグローバル・ハイテク企業の構築の希望が消滅することに悲しみを覚える>と述べている。米国のAMCシアターズは英国のオデオン・シネマズを買収した。南アのスタインホフは英国の小売チェーンパウンドランドを買収。メイ首相は英国資本の企業が姿を消して行くのを皮肉にも「英国労働者にとっては良いニュースだ。また英国経済にとっても同様だ」と述べて、「これで、EU離脱も上手く行くようになる」と指摘している。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
ハーバー・ビジネス・オンライン
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