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日銀新枠組みは「リフレ派の敗北」、黒田氏再任難しく−中原伸
日高正裕、野原良明
2016年10月3日 06:00 JST 更新日時 2016年10月3日 12:15 JST
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イールドカーブを国家管理の下に置くのは戦時下と同じ発想−中原氏
総裁任期は政府と国会が決めること−衆院予算委で黒田氏答弁
安倍晋三首相と長年にわたりパイプを持つ元日本銀行審議委員の中原伸之氏は、マネーの量から金利に操作目標を変更した新たな金融政策について、マイナス金利政策の失敗を上塗りするもので、日銀内のリフレ派の敗北を意味すると述べた。その上で、黒田東彦総裁の再任は事実上難しくなったとの見方を示した。
中原氏は9月30日のインタビューで、日銀が同21日の金融政策決定会合で導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和について、反対方向にも漕げる「逆櫓」がついていて、金融緩和の拡大なのか縮小なのか方向感が分からないため、為替相場も株価も不安定になり、デフレからの脱却が遠のくと述べた。2000年8月のゼロ金利解除、06年3月の量的緩和解除に続き、日銀にとって「3回目の失敗になる」可能性を指摘した。
中原氏は1月に導入したマイナス金利政策は社会全体に影響を与え、結果は惨憺(さんたん)たるものだったと指摘。日銀はその撤回を避け失敗を打ち消すために新たな枠組みを打ち出したとの見方を示した。その上で「イールドカーブを国家管理の下に置こうとするなど、戦時中の統制経済と同じ発想であり、ばかげている」と述べた。
さらに「レジームを量から金利に変えたということ自体、日銀内でリフレ派が敗れたということだ」と分析、リフレ派の岩田規久男副総裁、原田泰、桜井真両審議委員が反対しなかったことに疑問を呈した。
再任説
日銀の金融政策はアベノミクスの「第1の矢」の役割を担ってきた。金融市場には2018年4月に任期が切れる黒田総裁の再任説もあるが、中原氏は「かなり難しくなったのではないか」とみる。その理由として、マイナス金利の「失敗」や、アベノミクスの柱の一つである「第1の矢」を早々と「総括」したことを挙げた。
菅義偉官房長官は3日の記者会見で、黒田総裁の再任について「ずいぶん先の話だ」として、中原氏の発言についてコメントを控えた。黒田総裁は同日、衆院予算委員会で再任を含めて自身の任期をどう考えるか問われ、「任期についてはよく認識している」と述べた上で、再任されるかどうかは「あくまで政府と国会が決めることだ」と述べた。
中原氏は「日銀が独立性を盾に量的緩和レジームから離脱し、安倍政権が掲げる3本の矢の中で先駆けて総括を行った」ことを疑問視、「日銀は第2の矢である財政政策や、第3の矢である成長戦略にも総括を迫っているのか」と述べた。安倍政権からみると、異次元緩和は12年12月の総選挙で大勝し民意を受けて勝ち取った政策だったのに、たったの3年で葬り去られたことになるとの見方を示した。
「強力な金融緩和」と黒田総裁
日銀は9月の会合で、長短金利操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と、物価上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」を柱とする枠組みを導入した。黒田総裁は会合後の記者会見で「政策の枠組みをさらに強化した」と言明、「2%の物価目標の実現に向けて、従来よりも一段と強力な金融緩和を推進していく」と説明した。
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黒田総裁は9月29日の全国証券大会のあいさつでも「イールドカーブ・コントロールを中心とする新しい枠組みでは、従来の枠組みに比べて情勢に応じてより柔軟に対応することが可能」と述べ、「結果として政策の持続性も高まるものと考えている」と語った。
外的要因
中原氏は、新枠組みの弱点として外的要因の変化に弱いことを挙げる。海外でショックが起きて長期金利のマイナス幅が拡大したとき、ターゲットの0%まで引き上げれば金融引き締めになって円高要因になると指摘。マネタリーベースの増加ペースを年間80兆円から70兆円、60兆円と縮小していけば「間違いなく円高を加速するだろう」と語る。
中原氏は東亜燃料工業(現東燃ゼネラル石油)の元社長。1998年から2002年まで日銀審議委員を務めた。量的緩和の導入を早くから主張し、01年3月に日銀が同政策を導入する端緒を開いた。安倍首相の父である故晋太郎氏の代からの後援者で、現在も首相の私的なアドバイザーを務める。6月のインタビューでは、日銀は長期国債の年間買い入れ増加ペースを80兆円から100兆円に拡大すべきだとの考えを示した。
複雑骨折
中原氏は「そもそも、なぜ真珠湾攻撃のように突如マイナス金利を導入したのかが不可解だ」と話す。大きなレジームチェンジを金融機関など影響を受ける業界の意見も聞かず、たった1回の審議で決め、結果的に円高、株安が進行したと指摘。金融機関の体力を弱めただけでなく、預金者の不安も駆り立てたとみる。
中原氏は新たな枠組みについて、ETFの買い増しやTOPIXの比率引き上げなど、銀行株安に対処するプルーデンス(信用秩序維持)政策としては理解できるが、長期金利が下がり過ぎたのはマイナス金利が原因であり、その「尻拭い」だという。「安定的に2%を超えるまで」というコミットメントも何ら目新しいものではなく、金融政策はますます分かりにくく複雑骨折してきたと指摘する。
安倍首相は国会で「黒田総裁を信頼している」と繰り返している。しかし、中原氏は「マイナス金利が躓(つまず)きの石になり、ひょっとしたら総裁解任権を柱とする日銀法改正があるかもしれない。そうなれば再任の話など吹っ飛んでしまう」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-02/OEBPQ36S975D01
日銀新枠組み、第2次世界大戦前後の米金融当局の戦術を実質採用
Rich Miller
2016年10月3日 11:45 JST
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研究では単なる利回り目標だけでは物価上昇圧力の促進に至らず
財政面のてこ入れを伴うことで初めて持続的なインフレ高進に
イールドカーブ(利回り曲線)の操作に金融政策の軸足を移した日本銀行は、米金融当局が第2次世界大戦中から1950年代初頭にかけて活用したのと同様の戦術を実質的に採用したことになる。ただ、当時の米国の経験に照らすと、こうした戦術単独ではデフレ克服に不十分かもしれない。
大戦前後の歴史を研究したエコノミストによれば、50年余り前に米国の物価上昇のペースを最終的に加速させることになったのは、政府支出の増大とそれに伴う予想インフレ率の上昇だった。
いったんインフレが加速すると、長期金利を特定の水準に維持する米連邦準備制度の戦術は利回り上昇への歯止めとして機能しなくなり、金融当局は51年に米財務省との間で金利上限維持策の終了を宣言するアコード(共同声明文)を発表することになった。
アイケングリーン教授
アイケングリーン教授 Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
45−51年の米金融・財政政策について共同で論文をまとめた米カリフォルニア大学バークリー校のバリー・アイケングリーン教授は、インフレ期待が抑制されている場合、単に利回りを目標とするだけでは必ずしも物価上昇の圧力を促すことにならないと指摘。だが、人々が既にインフレ加速を予想しているなら、こうした措置が物価上昇を促進するのに役立つ可能性がある。
このような結論は、10年国債利回りをゼロ%程度とするイールドカーブ誘導の新たな金融緩和策を導入した黒田東彦総裁をはじめとする日銀当局者にとって、ありがたくないものだろう。
日銀の新たな枠組みのもう一つの柱は、2%のインフレ目標を安定的に超えるまで緩和を続けることを約束することで、予想インフレ率を押し上げる「オーバーシュート型コミットメント」だ。過去数十年にわたるデフレ傾向で定着した家計や企業の低インフレ期待を転換させるのは容易ではない。
米金融当局が、先の大戦中とその直後に長期債利回りの上限を2.5%に保ったのはインフレそれ自体とは無関係で、政府の借り入れコストを抑制し、戦争遂行を支えるのが目的だった。
戦争中は物価統制で抑えられていたインフレ率は、戦後に急上昇して47年には19.7%に達した。しかし、米経済が翌年にはリセッション(景気後退)に陥って大恐慌時代に米国を苦しめたデフレに逆戻りし、このインフレ高進は短命に終わった。
物価上昇圧力が経済の一段と恒常的な特性になりつつあると米国民が納得したのは、50−53年の朝鮮戦争で財政赤字が膨らんだのが背景だった。財政面の浪費は、財政黒字とデフレという第1次大戦後の状況からの決別と受け止められた。アイケングリーン教授はピーター・ガーバー氏と共同執筆した論文で当時について、このようにして「一般の人々の間でインフレ懸念が高まった」としている。
連邦準備制度の歴史の著書がある米カーネギー・メロン大学のアラン・メルツァー教授は、財政赤字の大幅拡大が日本のインフレ押し上げに寄与するだろうと指摘。実際、それは朝鮮戦争で歳出が膨らんだ米国で起きたことだったのだ。
原題:BOJ Deploys U.S. World War II Tactics That Failed to Spur Prices(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-02/OEBPQ36S975D01
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