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限界近づく「CAPEレシオ」 イエレンも恐れる株バブル崩壊の根拠とは?=吉田繁治
2016年10月2日 ニュース
昨年くらいから、イエレン議長とIMFのラガルド専務理事は、ともに「ダウで$1万8000はバブルである」と見ています。これは両者のテレビ対談で明確に述べられていることです。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)
※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年9月14日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初は特にお得です!
「ダウ1万8000ドルはバブルだ」イエレンとラガルドに共通認識
「復活」した米国株式市場
サブプライム・ローン危機の直前の、米国ダウ(大手工業株30種)の高値は$1万4000でした(07年7月)。リーマン危機の後、2009年3月には$6469へと、$7531(54%)も下落しました。
格言に言われ、本当にその通りになることが多い「半値・八掛け・二割引き=0.5×0.8×0.8=32%)」なら、$4500付近にまで下がるところでした。
(注)日経平均で3万9800円だった1989年末からの日本の株価バブルの崩壊はほぼ70%であり、半値・八掛け・二割引きでした
米国株の暴落は、3度の量的緩和(金額は約400兆円)によって、押しとどめられ、現在、リーマン危機前の高値を$4000も超えた$1万8066(16.09.13)にまで上がっています。
【関連】グリーンスパン元FRB議長とロスチャイルド「極めて悲観的な見通し」で一致
米国の量的緩和、本当の目的
景気対策と言いつつFRBが行った3度の量的緩和の目的は、2007年の高値から54%下落した株価を上げることでした。株価を上げて、債務超過になっていた金融機関の自己資本の回復を図ったのです。
(注)米国の金融機関の自己資本は、合計で200兆円程度です
イエレン議長に「バブル」の認識
しかし昨年くらいから、イエレン議長とIMFのラガルド専務理事は、ともに「ダウで$1万8000はバブルである」と見ています。両者のTV対談で明確に述べられています。当方も量的緩和とゼロ金利政策により、バブル的に上がっている株価と見ています。
シラーP/Eレシオ(CAPEレシオ)26.4倍
変動の大きな単年度のPERではなく、過去10年の企業の純益を元にした、S&P500のシラーP/Eレシオ(現在の株価÷インフレ調整後の過去10年の1株当たり純益の移動平均)では、26.4倍という高値圏です(16年9月13日)。
(注)シラーP/Eレシオは、CAPEレシオとも言います
このシラーP/Eレシオの25倍越えは、過去135年で3回でした。いすれも、その後に暴落しています。
(1)1929年の大恐慌の直前(シラーP/Eレシオ:30倍)。その後1933年の5倍にまで下落。
(2)2回目は2000年3月までのIT株バブル。利益がまだないITべンチャーの株が、ドット・コムの社名だけで高騰したため、シラーP/Eレシオでは45倍という高値でした。市場は、企業利益を3倍大きく見ていたのです。2000年4月から23倍に下げています。
(3)2007年のサブプライム・ローンバブルの時期、シラーPEレシオは27倍でした。2009年3月には15倍にまで下げました。
4回目の25倍超が現在です。平均(Mean)は16.7倍、59%高い水準です。
イエレン議長が、この株価をバブルと見ていることの意味は、「崩壊の恐れ」を感じているということです。
このため株価の現在以上の上昇を牽制(けんせい)する目的で、「利上げの可能性」を言い続ける。歴史的に妥当な15倍への急落が起これば、リーマン危機の再来になるからです。
Next: 現在の日本株のシラーP/Eレシオはほぼ30倍?危険な領域に
限界近づく「CAPEレシオ」 イエレンも恐れる株バブル崩壊の根拠とは?=吉田繁治
2016年10月2日 ニュース
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現在の日本株のシラーP/Eレシオはほぼ30倍
日本株に対するシラーP/Eレシオは作られていませんが、ニッセイ基礎研究所の試算では、日経平均1万4000円のとき、ほぼ25倍です。本稿執筆時の株価は1万6614円ですから、ほぼ30倍になっている危険な価格です。
ここまで上がっている原因は、政府のPKO(Price Keeping Operation:株価維持政策)による買いです。米国株が暴落した場合、日本株も暴落を後追いします。日本株の売買の70%は、海外からの売買だからです。
金融資産に占める株式の割合が大きい米国
米国株の時価総額は$20兆(2000兆円)付近であり、日本のほぼ4倍です(本当は3倍が妥当な線)。上がっている2016年5月末は、NYSE(ニューヨーク証券取引所が$19兆、ナスダックが$7兆で、合計が$26兆(2600兆円)で、同時期の日本(東証)の500兆円の5倍以上です。
米国株が半分に下がると、株主資産(60%は金融機関とファンドの資産)に、1300兆円の損失が生じます。これはリーマン危機のときの不良債券と同じ「金融危機」をもたらします。自己資本が合計で200兆円しかない米国の金融機関が、同時に、債務超過に陥るからです。これが、FRBのイエレンとIMFのラガードがもっとも恐れていることです。
(1)日銀の、異次元緩和からの出口政策では、長期金利の上昇が、国債の発行不全をもたらします。
(2)FRBの出口政策でのもっとも大きな懸念は、リーマン危機前の高値をダウで$4000も超えている株価の崩落と、上がっている住宅価格の下落です。
住宅もサブプライム危機前のバブル価格に近づく
米国の主要20都市の住宅価格(S&P/ケース・シラー住宅価格指数)は、2006年6月に205をつけました(2000年1月=100)。リーマン危機後、140へと32%下がりましたが、2012年以降は、住宅金融の超緩和(FRBによるMBSの買い上げ)を主因に上昇に転じ、2016年5月は180です。現在は、前年比5%で上がり続けています。
金融緩和の要因で上がる、世界の株価と大都市部の不動産は、同時に「ゼロ金利バブル」の状態にあるとみています。ただし、バブルの渦中で「バブルだ、いずれ暴落する」と言えば、株価が上がると利益が大きくなる証券会社から、オオカミ少年とされるでしょう。
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http://www.mag2.com/p/money/23668/2?l=tnz04c614d
「10月暴落説」私はこう見る〜相場歴55年の観点から思うこと=山崎和邦
2016年9月29日 ニュース
日刊ゲンダイが、10月の暴落を予感させる悪材料を紹介している。1つ1つの材料は事実ではある。ではいつ起こるのか?本稿では巷の弱気論、強気論も踏まえて検証を試みる。(山崎和邦)
※本記事は、有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付)*相場を読み解く【号外・山崎動画】も配信』2016年9月25日号の一部抜粋です。バックナンバー含め今月分すべて無料の定期購読はこちらからどうぞ。
強気と弱気が交錯する株式相場、1つのメドは14,864円に?
10月暴落説の背景
先週号のメルマガ「(1)当面の市況 その1」で、裁定商内の買い残がリーマショック以来の低レベルとなり、売り残玉と買い残玉が、98年アジア金融危機以来18年ぶりに逆転した旨を述べ、投資家心理の冷え込みについて触れた。
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それと同じことを根拠として、『日刊ゲンダイ』が、10月の暴落を予感させる悪材料を紹介している。
中身は何のことはない。前述の18年ぶりの逆転現象と、これも本稿が何度も述べてきた「1円違いのダブルボトム」つまり2月の14,866円と6月の14,865円、この「1円違いのダブルボトム」を取り上げ、これをもって、2月、6月、10月と4カ月周期で株価暴落がやってくるという周期説を展開している。
市場は過去を記憶して動くと本稿で何回も述べたが、その伝によれば、1929年「魔の木曜日」も10月であり、1987年「ブラックマンデー」も10月下旬であった。
また『日刊ゲンダイ』では、4カ月周期説の他に、以下についても述べている。これはもっともであり、本稿でも述べたことがある。
それは、ドルベースで見る限り、日経平均はかなり高いところに来ている、ということだ。ドルがこの半年で約20%下落したから、ドルベースで見た日経平均は約20%上の段階になる。つまり2万円近くの感覚だ。
NYダウは年初から7.7%上昇したが、ドルベースで見た日経平均は8%を超える上昇となっている。 9月下旬は日米ともに金融政策決定会合を控えているので動きにくい。海外投資家は11月のヘッジファンド決算に備えて「45日ルール」に従って10月に売る――
以上が『日刊ゲンダイ』が大々的に報じている10月暴落説の内容である。
1つ1つは事実ではある。ではいつか?
1987年10月 ブッラクマンデー時の推移
1987年10月 ブッラクマンデー時の推移
米雇用統計が発表される10月7日、または、イエレン議長の発言が予想される14日あたりであろうか。 2月と6月を考えると、14,864円が1つのメドにはなる。日刊ゲンダイを待つまでもない、日本市場は海外要因で崩壊する危険性は常に持っている。
Next: 一方の日本株底入れ説をどう見るか?「19,000円まで上昇」強気論も
一方の日本株底入れ説をどう見るか?「19,000円まで上昇」強気論も
SMBC日興証券株式会社 株式調査部 チーフテクニカル・アナリストの吉野豊氏は、専らチャート面からこう言う。
4月の高値17,572円を抜くと新たな上昇波動入りが確認され、年末までに19,000円あたりまで上昇する可能性がある、とする。
この言い方は、本稿が言うところの「昨年6月が大天井だった」ということを認めていることになる。中間反騰だとは言っていないが、中間反騰だということを是認した上での言い分である。テクニカル上はそうなると言う。果たしてそうだろうか。
本稿では既述したとおり、テクニカル上は、ブレグジット前の値に対してその後の下げ幅を足した17,700円前後に注目している。所謂「中抜きの倍返し」がせいぜいであり、これが4月高値とのダブルトップを形成するという見方である。
米国株はどうなるか?
昨年12月に続く2回目の米利上げの時期について、見方が錯綜している。
NYダウの18000ドル水準は分岐点に
NYダウの18000ドル水準は分岐点に
NYダウは7月20日の18622ドル、8月15日の18668ドル、これを以てWトップ形成の可能性もある。
Next: 野村證券の米国株高予想をどう見るか?
野村證券の米国株高予想をどう見るか?
色々な人が様々言う中で、野村證券は「次回利上げは本年12月で、来年については6月に1回だけ」と予想している。
もともと今年9月の利上げの可能性は低かった。 NY株価よりも米国株式全体を表すS&P500指数は7月から8月にかけて史上最高値で推移していた。NYダウも市場最高値近辺で持ち合ってきた。しかし最近では、金融政策の動向に対して神経質な展開になっている。
“万年強気の野村證券”では、米国株は来年以降は業績拡大を支えにして上昇すると述べている。本稿で何度も言う通り、大手証券は社員が投資信託を売って歩く。そのために、常に見通しは明るくなければならない。と言っても、まんざらデタラメを言っているわけはなく、それは、それなりの根拠を探してきて述べているのは事実である。
そこで、その根拠となる数字については100%信用してよいであろうが、これを組み立ててつくる相場観については必ずしも信用しない、というのが筆者の昔からのスタンスである。
誰が何を述べようとも自由であり、信じようと信じまいと自由である。ここが市場の面白いところでもあり、難しいところでもあると言えよう。
【関連】野村證券、我が心の故郷〜「年末日経1万9000円」予測に想うこと=山崎和邦
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山崎和邦(やまざきかずくに)
山崎和邦
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。
大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3〜5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)、近著3刷重版「賢者の投資、愚者の投資」(日本実業出版)等。
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2016年9月29日ニュース
米大統領選の第1回テレビ討論会は、大差でクリントン候補の勝利に。しかし、トランプ陣営はあと2回の討論会で挽回を図り、市場混乱による起死回生を狙う可能性があります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年9月28日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
大統領の椅子をあきらないトランプ「次の一手」で市場大混乱?
起死回生のジョーカー
相場にも政治リスクが多くのしかかる季節となりました。その第1弾が、27日に行われた米大統領選挙候補者によるテレビ討論会でした。
1億人の米国人がみると言われる注目の第1回は、ヒラリー・クリントン氏が無難にこなし、CNNの世論調査では62対27の大差でクリントン候補の勝利、と評価しました。「トランプ・リスク」を意識していた市場はひとまず安心したようです。
しかし、市場における政治リスクはこれで終わったわけではありません。
まず、今回準備不足で劣勢であったトランプ陣営は、あと2回の討論会で挽回を図るでしょうし、起死回生の策を市場混乱の形で仕掛けてくる可能性があります。もっとも、何もきっかけがなければ市場を揺さぶることもできませんが、不幸にして「材料」が少なくとも3つあります。
【関連】「死刑判決」を受けたドイツ銀行。1.4兆円では済まない絶望の訴訟リスト
第1のカード「ドイツ銀行」〜米司法当局を動かしたのは何者か?
まず第1に、ドイツ銀行の揺さぶりです。
ドイツ銀行は米司法当局から、不動産担保証券(MBS)の不正販売を問われ、140億ドル(1兆4千億円)の支払いを求められています。
この巨額な負担が同銀行の経営を圧迫しますが、ドイツのメルケル首相は同行への支援を拒否したと報じられています。このため、米国市場でも同行の株価は7%あまり低下しました。
それにとどまらず、このあおりを受けて、26日の米国ではバンカメ株が2.8%、JPモルガン株が2.2%下落するなど、銀行株全般が売られました。
ウォール街とのつながりが指摘されるクリントン候補の揺さぶりには格好の材料で、米司法当局を動かした力、メルケル首相に働きかけた勢力が取りざたされています。
ドイツ銀の株価は10.6ユーロ台まで下げ、過去最安値となっています。当事者は否定していますが、同行には資本増強が必要との見方が出始めています。
欧州を揺さぶり、金融界に打撃を与えることは、トランプ陣営にはうまみがあります。
Next: 第2のカード「中国ショック」〜市場混乱の裏にちらつく米国の影
第2のカード「中国ショック」〜市場混乱の裏にちらつく米国の影
第2は中国です。
中国の人民元は10月からSDRの構成通貨に加えられます。これを機に、中国当局は、IMFや米国からの要請、圧力もあり、資本規制、為替管理を緩め、より開放された市場にしなければなりません。
これを先取りするように、人民元相場はじり安となっています。
そして先週あたりから、香港の人民元預金が急減しています。恐らく、本土に資金が逆流しているものと思われます。
香港での人民元預金は、14年末に1兆元ありましたが、この7月には6671億元にまで減少しています。その中で、香港銀行間取引金利(HIBOR)の金利が急騰しました。
HIBORは通常中国の預金金利見合いで、1.5%前後でしたが、先週19日には23.68%をつけるなど、急騰しています。預金の急速な流出で、香港の銀行が資金をとりあさったためと考えられます。
香港ハンセン指数 週足(SBI証券提供)
上海総合指数 週足(SBI証券提供)
昨年夏も今年初めも、中国での市場混乱の裏に、米国の影がちらついています。中国当局が動きにくいこの時期に、米国資本が揺さぶりをかけてくる可能性は否定できません。
Next: 第3のカード「原油相場」〜OPEC減産合意だけでは安心できない?
第3のカード「原油相場」〜OPEC減産合意だけでは安心できない?
そして第3が原油相場です。
原油需給は明らかに供給過剰で、OPEC、非OPECともに増産を続けています。多くの産油国が過去最高水準の生産をしているところで、増産凍結を決めても、すでにある供給過剰は解消できません。
それでも、IEA(国際エネルギー機関)などは、増産凍結の可能性や、需給改善を期待させるメッセージを発し、価格を支えてきました。
このIEAなどは米国の石油メジャーの息のかかった組織で、石油業界寄りのバイアスがかかるとともに、政治ともつながりがあります。
これまでも彼らと政治がリンクして原油価格を大きく動かし、操作してきました。時にロシアの経済力をそぐためといった政治要因によっても動きます。
現在、アルジェリアで国際エネルギー・フォーラムが開催されています。そしてその合間にOPECメンバーなどで生産量の調整が論議されています。
市場を混乱させたい筋にすれば、50ドルくらいまで価格を吊り上げておいて、「凍結合意に至らず」とすれば、原油相場を崩すことができます。在庫統計に手を加えることも容易です。
※編注:28日のWTI原油先物は、国際エネルギー・フォーラムで原油減産が大筋で合意されたとの報道により大幅反発。一方で、実際の需給改善効果は小さいとする見方も出ている。
OPECは28日の非公式会合で、加盟国の生産量の上限を日量3250万バレルに制限する協定を結んだと米メディアなどが報じた。会合は無風に終わるとの思惑から原油の売り持ち高を積み増していた投資家らが、損失覚悟の買いを入れたことで相場上昇が加速。11月物は一時は47.45ドルと期近物として8日以来ほぼ3週ぶりの高値を付けた。
ただ、市場では「OPECの生産制限は現状の生産枠とほぼ同水準で、需給改善にはつながらない」(オッペンハイマーのファデル・ゲート氏)との指摘があった。
出典:NY商品、原油が反発 「OPEC生産調整で合意」と伝わる、金は続落 – 日本経済新聞
WTI原油先物 日足(SBI証券提供)
大きな下げ余地
米国の株価も債券相場も、かなり高値圏にあり、頭が重くなっているだけに、何らかのショックをきっかけに、大きく下げる余地が大きくなっています。
これと米大統領選挙のヤマ場とが重なるだけに、これからしばらくは、政治サイドからの相場かく乱に注意が必要となります。
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