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ドイツ銀行の不振はいったん後退した。だが昨夏の下落をズバリ的中させた筆者が日本株の下落予想を変えないのはなぜか(写真:ロイター/アフロ)
残念ながら相場は「下落方向」に向かっている
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161002-00138526-toyo-bus_all
10月2日(日)6時0分配信 馬渕 治好 東洋経済オンライン 馬渕 治好
前々回の9月4日(日)付けの当コラム「日本株『上昇後に下落』の展開を見込むわけ」では、日経平均株価は目先上昇しようが、9月20日頃から下落基調に転じ、11月頃には1万6000円前後に下押しするだろう、と述べた。
■残念ながら、相場はやはり下落方向に向かっている
その後、前回の9月18日(日)付のコラム「11月安値1万5000円を覚悟する4つの要因」では、見解を下方修正し、日経平均は目先の上昇がないまま下落基調に入ったと懸念され、「下落相場の発射台が低くなったため、11月の日経平均の安値は、1万5000円前後を想定せざるを得ない」と予想した。 そう考える理由は、再々度繰り返しても読者の方が煩わしいと思うので、詳しくは前回のコラムをご覧いただきたいが、1)米国株の高PER(株価収益率)の調整、2)国内企業の7〜9月期決算内容の織り込み、3)日銀の金融政策が手詰まりとの認識、4)政治面からの米ドル安・円高のリスクを、要因として挙げた。
流れとしては、国内株価は、残念ながら見込んだ方向の下落相場に、じわじわと向かっているようだ。
「流れとしては」と述べたのは、最近は一つの方向に株価が下落し続ける展開ではなく、何度か株価が上振れする局面もあったからだ。結果として、大きく日経平均が乱高下する展開となり、投資家の方々も、目が回るような思いをなさったことだろう。
この間、ときどき株価が上昇した「三つの要因」
前回コラム以降の2週間に、国内株価が「時折上振れした要因」としては、主に三つ挙げられる。
■日銀、米大統領選、OPECが上昇を「後押し」した
ひとつ目は、9月20〜21の日銀の金融政策決定会合で、マイナス金利の深掘りが行なわれなかったことだ。マイナス金利は、銀行が日銀に設けている当座預金に支払い金利を課せられるため、銀行の収益を圧迫する要因だと指摘されていた。
経済全般については、銀行が「金利を取られるよりましだ」として、低い金利で貸し出しに回せば、本来は景気刺激効果が出そうなものである。ところが、もともと景気の回復力が弱く、企業も家計も資金を銀行から追加で借りる必要が薄いため、銀行の貸出金利引き下げは過去の融資の借り換えを招くばかりで、景気浮揚効果は限定的なうえ、やはり銀行の収益は圧迫されてしまう。
したがって、金融政策決定会合前には、銀行株の先行きに対する警戒感が強かった。しかし、マイナス金利の深掘がなかったため、懸念された悪い政策が打ち出されなかったとして銀行株か買い戻された。このため国内株価指数全般も押し上げられたが、「日本株高=円安」の過去の相関関係に着目した短期筋が、円売りを行ない円安が進んだため、銀行株以外の輸出株にも買いが広がり、さらに日経平均が上昇する展開となった。
しかし、日銀の決定は、銀行株についての懸念材料が出なかった、というだけであって、何か良い材料が出たわけではない。このため、まず米ドル円相場が先んじて反落し、続いて翌営業日以降、銀行株指数は下落基調をたどって、国内株全般の圧迫要因となっている。
二つ目は、9月26日の米大統領候補の第1回テレビ討論で、クリントン候補の優勢が伝えられたことだ。これは二つの意味で好感された。ひとつは、トランプ候補が当選するという「トランプリスク」が後退したと解釈されたこと。もう1つは、両候補とも、このテレビ討論では、米ドル高をけん制する発言を行わず、為替相場が円安気味に推移したことだ。このテレビ討論の様子が報じられたのは、日本時間で9月27日の株式取引中であったが、日経平均株価は、この日のザラ場安値からザラ場高値まで、一時は400円近い戻りを見せることとなった。
三つ目は、OPEC(石油輸出国機構)の非公式会合では、減産合意が決裂すると予想されていた。ところが9月28日に、予想外に減産に向けての合意が成り、11月に開催されるOPEC定例総会で、具体的な減産幅を正式に協議する運びとなった。このため米国市場では、エネルギー株中心に株価が上昇し、翌29日の東京市場でも、市況関連株の株価が上昇を見せた。
ただ、この2点目、3点目の好材料も、それぞれ、クリントン候補の支持率上昇幅が限定的であった、また、OPECが定例総会で本当に最終的な合意を決定できるのかについて、懐疑的な見方も浮上した、といったことにより、早くも息切れしつつあるように感じられる。
■欧州銀行の経営不安が浮上してきた
こうした好材料があった一方で、悪材料として、欧州銀行の経営不安が浮上している。これは別に新味のある話ではなく、たとえばすでに2月から、ドイツ銀行が過去に発行した劣後債の利払いができないのではないか、との噂が飛んだりしていた(ドイツ銀行が、一部の債券の早期償還を打ち出し、資金繰り不安を払しょくしたため、騒ぎはいったん収まっていた)。
ドイツ銀行のみならず、欧州銀行全般について経営不安説が出がちなのは、ECB(欧州中央銀行)がマイナス金利政策の「先輩」であって、銀行の収益環境が圧迫されていることにある(ということは、「後輩」は? )。とは言っても、ドイツ銀行が今にも倒れるように騒ぐのは行き過ぎだろう。
足元の悪材料としては、ドイツ銀行が米司法省から、過去の住宅ローン担保証券の販売行為が不適切だったとして、140億ドルの課徴金の支払いを求められていることが挙げられる。
これにより同行は、BIS(国際決済銀行)で定められた自己資本比率の基準値を割り込む可能性があるが、メルケル首相は、ドイツ政府が米国に対し、140億ドルの「値切り交渉」を行なうことはない旨を発言した。とはいっても、資本不足(別に債務超過になるわけではない)になれば、増資すればよい話だ。また金曜日には、米政府が課徴金を54億ドル程度に減額するとの観測報道が伝わった。
もしドイツ銀行が、今回課徴金の減額があっても、今後も赤字を垂れ流し、資本不足となった場合、同行の増資に応じる投資家が見つからない、あるいは過度な経営不安説が横行して資金繰りに応じる向きが枯渇する、などのリスクはある。
また、ドイツ銀行以外の欧州個別行が、経営破たんする恐れも否定できない。とは言っても、金融システム全体を揺るがすような事態は、各国政府やEU(欧州連合)、ECBが放置しないだろうし、対応策は、2010〜2012年の欧州財政懸念時(当時は、欧州諸国債を保有する金融機関に対する不安でもあった)に、整備されている。
■企業決算は不振、11月上旬にかけ国内株価は下押しへ
欧州の個別銀行株に投資しているならともかく、日米等の株式市況全般については、欧州の銀行不安説により、心理的に株価が下振れする局面があっても、長期的な株価のトレンドを揺るがすには至るまい。
実際ドイツ銀行株は、9月29日(木)の米国市場(同行は、米国でも上場している)から翌30日(金)の欧州市場ザラ場にかけて下落し、初めて10ユーロ割れ(安値9.90ユーロ)となったが、その後は前述の課徴金減額の報道もあって大きく反発し、11ユーロ台を回復した。このため、欧米株式市況全般も、木曜日の大幅安の後、金曜日は反発して週を終えている。
今週は米国で雇用統計をはじめとする9月分の経済統計の発表が始まり、8月分の統計が総じて軟調であったところから、持ち直しを示すものと見込まれている。
一方、国内で発表される、2月決算企業の四半期決算については、足元の消費の軟調さを反映して、冴えないものが多いと懸念される。今週は、こうした様々な好悪双方の材料を飲み込みつつ、繰り返しになるが、国内株価は11月上旬に向けての下落基調をたどると予想する。この流れの中で、今週の日経平均の予想レンジを、1万5900〜1万6700円とする。
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