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雑感、中央銀行バブルの終焉
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2016年10月01日 在野のアナリスト
米司法省による独銀のモーゲージ担保証券(MBS)び不正に関する制裁金、140億$から54億$へと減額される、との観測が伝わり、市場には安心感が広がりました。その前にはアジアの大手ヘッジファンドが5000万$を独銀から引き上げた、などの話も伝わっていますが、独銀の問題は今後も、時折ふって湧いたように話がでては沈静化し、ということをくり返すでしょう。その方が市場の値動きがでて、儲かると考える短期スジも多いからです。
実際には、独銀は見せ金を積むしか市場を安心させる術はありません。300億$以上あった株価の時価総額は、すでに170億$近くまでおちこみましたが、ここまで落ちこむと破綻したときに独銀に資産をもっていると、損失を受け入れるよう迫られるかもしれない。それを嫌って資金の引き上げが起こってしまう。見せ金を積む、ということは破綻しても分配する資金があるから、引き上げさせないようにする、ということでもあります。独銀の規模からすると、1000億$は軽く越える規模の見せ金が必要かもしれない。それを準備できるのはIMFか、ECBしかないでしょう。しかし両者とも、今はギリシャや欧州諸国の財務問題に手がかかっており、独銀まで手が回らない。独政府がそれを為せば、財務不安に直結するかもしれない。今はその責任の押しつけ合い、がはじまっているところなのでしょう。
日本とて対岸の火事ではありません。自己資本が7兆円と少ししかない日銀が、300兆円以上の資産を抱えている。それが損失をだしつづけると、いずれ日銀の経営に疑問符がつきます。日銀の場合、資金の調達手法は限られますが、正直もしそんな事態になれば、円の信任が傷つき、円安、債券安、株安の強烈な波が襲い掛かってくることになるでしょう。
そんな日銀が10月から、いよいよ量的緩和の縮小をはじめます。市場では予想通りの動きとして、冷静なうけとめですが、これは単なる国債買取を残存10年から25年のものを2000億円から1900億円に、残存25年超を1200億円から1100億円に減額する、というだけでは済みません。今までの規模から減額すると、それが引き締め効果となり、その他の市場がゆがみ始めます。今、国債の市場も日銀の存在感が大きくなり過ぎ、日々の取引が細っています。そんな中、日銀がいなくなったからといって、市場に投資家や金融機関がもどってくるか? というと懐疑的でしょう。国債市場が元にもどるまで、時間も必要です。その時間を待ってくれるか? 実は世界経済が安寧であることも前提となってくるのです。
つまり独銀不安、という最悪のタイミングで日銀は引き締めに転じた。世界は独銀の破綻により資金が消失する恐れに怯えている中、日銀まで引き締めだしたため、世界は不安が助長される恐れもあります。むしろ日欧の引き締め観測から、独銀などの欧州銀行の不安が再燃された、といえるのかもしれません。米司法省の動きもそうですが、世界は最悪のタイミングで最悪なことを始めた。ただしそれは、これから世界が弱含むことが確実なので、今のうちに自分たちのやるべきことをやり、手段を確保しておこう、という我意のぶつかり合いが、不幸な未来へ向けて世界を突き落とそす根源、なのかもしれません。
日本では『リーマンショック』と呼ばれる事象も、世界的には『金融危機』としか呼ばれません。ただし、今度そうした事態になると『中央銀行危機』という形で呼ばれるかもしれません。金融危機では中央銀行がアンカーとなり、金融機関に資金を無理やり積むことで市場を安定させました。しかし今回は、その資金を積むべき中央銀行が、すでに大量の国債を抱えた状態で、身動きがとれません。金融危機が波及し、中央銀行まで危機に陥るとき…それは大恐慌というレベルで済むのか、世界経済が一旦崩壊するほどのインパクトをもつのでしょう。そんな中、IMFは特別引き出し権(SDR)の構成通貨に、人民元が採用されました。金融政策も不安定な通貨が、これでお墨付きをえる。世界経済は皮肉と矛盾の中で不安定化するのでしょう。残念ながらここから年度の後半、不幸な未来を予感させるような出来事ばかり、ということでもあります。不正、不安、不幸、すべてに共通する『不』という字は、膨らんだ花が垂れる象形といいます。中央銀行バブルがはじけだし始めた世界、最後に咲いた徒花は、中央銀行に膨らんだ国債というものですら価値をなくす、という意味になってくるのかもしれませんね。
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