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燃費試験の不正行為について会見する三菱自動車工業・相川哲郎元社長
三菱自、不正再発…執拗追求の国交省、カタログ燃費「乖離問題」放置への批判封殺
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16752.html
2016.09.28 文=河村靖史/ジャーナリスト Business Journal
「常軌を逸する事態といわざるを得ない」(国土交通省)――。
三菱自動車工業の燃費不正問題で、同社が燃費データを改ざんするなどの不正が発覚した後、正しい燃費を測定するための試験でも不正を行っていたことが明らかになった。国交省は同社の姿勢に怒りを露わにし、再発防止策の見直しを求める。ただ、重箱の隅をつつくような国交省の姿勢に対し冷めた見方も広がっている。
三菱自は燃費を実際よりよく見せるため、不正な方法で燃費データを取得したり、データ自体を改ざんしていたことが発覚したことから、現行販売している9車種について燃費データの再測定を4月から開始し、再測定結果を6月17日に公表した。それによると、不正な方法による測定と再測定の結果についてプラス・マイナス3%前後で「誤差の範囲内」と説明、燃費データの修正やユーザへの損害賠償に応じない方針を示していた。
一方で、国交省は三菱車の燃費データを独自に測定したが、それによると、このうち8車種がカタログに記載された諸元値(カタログ燃費)よりも悪い結果となった。国交省の試験値とカタログ燃費の差は最大8.8%、平均ではカタログ燃費を4.2%下回っていた。このため、国交省では、これら8車種の販売を停止して燃費データを再申請するよう三菱自に指示した。
これを受けて三菱自の益子修会長兼社長は8月30日の会見で、「今回の件では法令違反ではないと認識している」と発言し、国交省の怒りに火をつけた。
■国交省、強引な主張の背景
新型車の型式指定を申請する際、燃費を算出するため、惰行法と呼ばれる方法で走行抵抗値を測定することが定められている。三菱自の燃費不正事件では、この走行抵抗値を測定するのに高速惰行法と呼ばれる独自の不正なやり方で取得していた。
不正発覚後の再測定では、法令に定められた惰行法で走行抵抗値を取得して国交省に提出したが、国交省が問題視しているのは、この算出方法だ。走行抵抗値のデータは、実走行で取得することから風や外気温などの影響を受け、データにはバラツキが出る。このため、走行抵抗値は複数回の試験を行って平均値を取ることになっている。
国交省によると、自動車技術総合機構が4月28日に三菱自の性能実験部に対して、走行抵抗値の測定は5回程度実施し、もっとも高い数値と低い数値を除いた3回分の平均値とするよう求めた。これに対して三菱自では、多いものでは30回以上実施して、このなかから良い結果を3つ抽出してから平均値を出していた。
益子氏は「法令には(走行抵抗値をとるため、テストする)回数の規定はない」としており、法令違反ではないとの認識を示した。三菱自と資本提携の締結で合意している日産自動車から三菱自の開発部門トップに派遣された山下光彦副社長も、「データ取得のためのテストを何回やるかの明確な規定はない」と説明する。
これに対して国交省は、明確に測定回数を定めているわけではないとしても、三菱自が良好な結果が出るまで測定を繰り返したことが「法令の趣旨に反し、不正かつ極めて不適切」と、やや強引とも取れる主張を展開。
三菱自を批判する後ろ暗さを隠すように国交省は9月2日、東京都港区にある三菱自本社と開発部門のある同社の名古屋製作所(愛知県岡崎市)へ立ち入り検査に入り、益子氏や開発部門トップなどから再測定の経緯について聴取。そして、立ち入り検査の結果、「三菱自が再測定結果をかさ上げし、カタログ燃費に近付けようとした意図が疑われる。燃費不正問題が明らかになった後の再測定で、こうした行為は常軌を逸する事態といわざるを得ない」と強く批判した。
9月15日には益子氏を呼んで「現場での法令遵守意識の欠如と、経営陣のチェックが欠如している」として、厳重注意するとともに再発防止策の見直しを指示した。三菱自は、販売停止している8車種について燃費データの修正を申請、当初9月中旬にも販売再開できることを想定していたが、再発防止策の見直しを国交省に報告した後に遅れる見通しとなった。
■カタログ燃費問題
三菱自としては長年にわたって不正に手を染めてきた手前、国交省の理不尽とも思える批判に反論することもできないのが現状だ。
ただ、今回の国交省の指摘については業界の一部から、「カタログ燃費を良くするため、法令に沿ったやり方で走行抵抗データの測定を繰り返すのは当然だし、測定は平均値とすることだけで、測定する回数が法令に定められていないのも事実」と、三菱自を擁護する声もある。そもそも現在のカタログ燃費が実際の燃費と大きく乖離しているのは周知の事実で、「それが数%違うだけで、今さら何が問題なのか」との意見もある。
国交省が定めている現在の燃費測定方法では、エアコンをオフにして測定するなど、実際の走行方法とまったく異なることから「参考にもならない」と感じている一般ユーザがほとんど。
「走行方法などにもよるが、多くのモデルが実際の燃費とカタログ燃費が10%以上乖離している状況は、不当表示で消費者をだましていることと同じ。この制度をつくってきた国土交通省こそ罰せられるべきではないか」(自動車ジャーナリスト)
カタログ燃費値との差がわずか4%でも、それを盾に「三菱自は不正の温床」とばかりに執拗なまでに追及する国交省。しかし、カタログ燃費と実走行での燃費が乖離している現状を放置してきた問題に波及すれば、批判の矢面に立たされるのは国交省であり、振り上げた拳の行き場に困る事態になりかねない。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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