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トヨタの4代目プリウス(「Wikipedia」より/Turbo-myu-z)
トヨタの新型プリウスPHV、満充電に14時間…それでも人類の目指すべき方向性に一致
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16739.html
2016.09.26 文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表 Business Journal
■新型プリウスPHVは充電できるハイブリッド車
「充電しないと走れないハイブリッド車(HV)はいらない」
あるドイツ車のディーラーを訪れた客が、こう言ったという。販売員がPHV(プラグイン・ハイブリッド車)を勧めた時の反応だ。そのドイツメーカーのPHVのカタログを見ると、ガレージに停められたPHVに充電用のケーブルがつながれており、その先には壁に取り付けられた決して小さくはないコンセントの箱がある。この客はどうやらこうしたカタログ写真やインターネット上での紹介写真などを見て、「このHVは充電しないと走れない」と誤解したらしい。実際には充電の必要はなく、駆動用電池の電気が空でも走れる。
PHVに対する誤解はまだ続く。PHVを購入したら急速充電器を自宅に備えなければならないと思っている人もいる。そんな必要はないのだが、この誤解はEVの導入期にもあった(注1)。EVも自宅に急速充電器を設置せずとも充電は可能だ。
PHVは、まだ知られていない。販売には原点に還った情報発信が必要のようだ。そうした折に、トヨタ自動車からPHVが発表され、メディアを対象とした試乗会(サーキット)が開催された。サーキットでもしっかり走れる運動性能を持っていた。
しかし、問題は充電である。そこで、発売は今冬に持ち越されるが、PHVに対する誤解を払拭すべく、早くも情報戦を開始したということだろう。
■プリウスPHVの充電はどうするのか
誤解の多いPHVの充電だが、そもそも「自動車が充電できる」という考え方が誤解の元だ。「自動車はガソリンで走るものだ」と考える人たちは、まだ多い。
世界初の量産ハイブリッド車であるトヨタのプリウスは、京都で開かれた気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)に合わせたかのように、1997年の12月に発売された。電動車に対する誤解は、このクルマから始まった。
初代プリウスが発売になると、「自動車がモーターで走れるわけがない」「音がしなかったら危なくてしょうがない」「走っている最中にエンジンが止まるのは危ない」「バッテリーの電気がなくなったら走れない」「充電はどうするのだ」といった誤解が満ち溢れ、そうした問い合わせにトヨタは右往左往した。
ようやくHVが定着したところに、今度は「充電できるハイブリッド車」としての新型プリウスPHVの登場である。混乱、誤解があっても仕方ない。
誤解の大本は充電だ。とくに「PHVには充電器の設置が絶対に必要だ」という誤解が渦巻いている。そうした充電に関する誤解を払拭する意味だろうか。新型プリウスPHVでは、一般家庭の100Vのコンセントでも充電できる。
■100V、6A、14時間
新型プリウスPHVは、100Vのコンセントから6Aという少ない電流で充電できる。特別な工事をせずに、玄関の外壁に取り付けられたコンセントに車載のケーブルを接続すれば、新型プリウスPHVの充電は可能だ。ただし、60kmのEV走行を可能にする電気を充電するには、満充電までに14時間必要だ。
EVあるいは他のPHVでは、200 Vで充電するケースがほとんどである。家の配電盤(ブレーカーが入っているケース)まで200Vが来ているので、そこから電線をひいて専用のコンセントを取り付ければ充電できるが、専門の業者に頼まなければならない。また、コンセントもEV、PHV専用のものでなければならず、少々面倒である。
新型プリウスPHVは、その点、面倒がない。しかも、充電電流は6Aと比較的少ない。ちなみに6Aというと、電気コタツ、電子レンジ、アイロンといった家電で使う電気である。30A契約の家庭では、5分の1の電流なので、他の家電を使いながら充電しても、ブレーカーが落ちて停電する心配はあまりない。
しかし、14時間はかかりすぎる。通勤に間に合わないという人には、200Vを勧める。2時間20分で満充電できる。さらに急速充電という手もある。充電の使い分けには、少しばかり慣れが必要だろう。
■ライフスタイル変更型か、従来型か
次世代車には、生活習慣の変更を求めるタイプと、従来からの生活習慣のまま使えるタイプの2種類がある。
クリーン・ディーゼル車やHVは後者だ。これまでの自動車生活のままに、ガソリンスタンド(GS)で給油すれば走れる。また山間地等、GS過疎地も増えたとはいえ、GSの普及は進んでいる。これらの生活習慣持続型の次世代車であれば、心配なく使えるので、普及に支障はない。ただし、ディーゼル車は環境負荷が少ないとはいい切れず、エネルギー安全保障を危うくするのはHVと同様である。
一方、EVや燃料電池車(FCV)は生活習慣に変更を求める。とくに充電が絶対に必要なEVには、ライフスタイルの大幅な変更が求められる。ただし、EVの環境負荷は大変に少なく、エネルギー安全保障上も有益である。
果たして私たちは現在のライフスタイルのまま、地球温暖化や石油エネルギー問題に対応できるのか。強い拘束力を持つパリ協定では、今世紀後半の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにするという方向性が採択された。これは、大幅なライフスタイルの変更を求めたものではないだろうか。
そうした意味で、従来の生活習慣のまま使うこともでき、充電という新しい習慣を手に入れれば、さらにCO2を削減できるというPHVは、EVよりも普及は捗るかもしれないが、パリ協定がめざす新しい世界の在り方に向かう途上の自動車であるといえるだろう。
(文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表)
※注1:日本EVクラブが主催する「最新EV・PHEV試乗&セミナー」における「Q&Aコーナー」での質問から。
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