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円安期待なき日銀新スキームの矛盾と限界 為替必要なら対応=財務官  利下や豪ドル安が経済支援 TPP承認の可能性5割以下
http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/514.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 9 月 22 日 21:14:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:
円安期待なき日銀新スキームの矛盾と限界

佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
[東京 22日] - 日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催された21日の主要通貨の動きを見ると、円が独歩高となり、2番目に強かった豪ドルに対しても0.4%程度上昇した。一方、米ドルは英ポンドと並んで最弱通貨となった。

ドル円相場は日銀金融政策発表後には一時102.79円まで上昇したが、その後、黒田東彦日銀総裁が記者会見を始めたころから反落基調に入り、米ニューヨーク(NY)時間午前中には100円台半ばまで下落。そして、NY時間午後にFOMCが政策金利据え置きを発表した後、米長期金利低下に沿う形でドルが徐々に弱含み、本稿執筆中の日本時間22日午前6時現在、8月26日以来となる100.30円程度まで下落している。

最初にマーケットの反応が比較的小さかったFOMCの結果から見ると、政策金利は大方の予想通り据え置かれたが、声明文には「フェデラルファンド(FF)金利を引き上げる根拠は強まった(the case for an increase in the federal funds rate has strengthened)」との文言が加えられたほか、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁の3人が利上げを主張して決定に反対した。

こうした点は予想よりタカ派的であり、米長期金利も声明文発表直後には上昇したが、結局上昇は続かず反落した。注目された2016年中のFOMCメンバーの予想政策金利、いわゆるドットは、3人が年内の利上げなし、10人が1回の利上げを予想した。この結果はほぼ想定通りであり、当社は引き続き12月の利上げを予想している。

<総括検証と政策枠組み強化「同時実施」の違和感>

それより12時間以上前に行われていた日銀の金融政策決定会合では、「総括的な検証」を踏まえて、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために「政策枠組みを強化する」策が決まった。

この結果を受けて、東京市場では長期金利が上昇。また、マイナス金利の深掘りがなかったことから、銀行・生保株が大きく上昇し、日経平均株価を押し上げた。為替市場も一時円安となった。

もっとも、前述の通り、その後円高基調へと反転し、ドル円相場はNY時間朝方には21日の上昇分を全て帳消しにした。結果的に円が買い戻され、1日を通して見れば独歩高となったのは、市場参加者が日銀の金融緩和政策に限界を感じ始めたからだと考えられる。

まず、総括検証の対象は、5日と8日に黒田総裁と中曽宏副総裁がそれぞれ講演ですでに明らかにしていたように、「2%のインフレ率が実現できていない要因」と「マイナス金利政策の効果と影響」だ。

「2%のインフレ率が実現できていない要因」としては、予想物価上昇率の期待形成メカニズムが、現実の物価上昇率の影響を受けるバックワード・ルッキング(適合的)であることが示された。

もう1つの総括検証の対象である「マイナス金利政策の効果と影響」については、マイナス金利と国債買い入れの組み合わせはイールドカーブに対して強い影響を与えるが、長期金利の低下には悪影響もあることが示された。

21日の発表がここまでで終わっていて、これらを踏まえ、政策枠組みの強化策を次回会合で発表する、ということであれば、さほど違和感もなかったかもしれない。また、追加緩和策に期待も残ったのかもしれない。

もっとも、日銀は「フォワード・ルッキングな期待形成」を強める手段として、「オーバーシュート型コミットメント」を導入した。これは、従来の「2%の物価安定の目標を安定的に持続するために必要な時点まで現状の金融緩和政策を続ける」というメッセージから、「物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価安定の目標を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」というメッセージへの変更のようだ。つまり、「2%の物価安定の目標を超えるまで」という点がポイントらしい。

とはいえ、今まで行ってきた3次元の緩和政策では、人々の予想物価上昇率の期待形成メカニズムをバックワード・ルッキングからフォワード・ルッキングに変えられなかったと認めている。特に新たな緩和策を導入せずに、なぜ人々の予想物価上昇率の期待形成メカニズムがフォワード・ルッキングに変わるのだろうか。「2%に届かせる」と言っても信じてもらえないのに、やっていることも変えずに「2%を超えるまで」と言い換えても誰も信じないだろう。

<イールドカーブ・コントロールの矛盾>

もう1つの政策枠組み強化策として、日銀は「イールドカーブ・コントロール」を導入した。内容としては、日銀当座預金のうち政策金利残高に課す金利(短期金利)をマイナス0.1%に維持する一方、10年物国債金利(長期金利)がおおむね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う、というものだ。

まず、そもそも、このイールドカーブ・コントロール政策は何のために行うのだろうか。仮に、これが2%のインフレ率実現に向けて適切なイールドカーブを形成するため、ということであれば、なぜ現状程度のイールドカーブの形状が適切と言えるのかについて説明がない。日銀は10年物国債金利をゼロにアンカーさせることに重点を置いているようにも見えるが、なぜ10年物国債金利のゼロ%が適切なのだろうか。

恐らくイールドカーブ・コントロール政策導入の理由は、「イールドカーブがフラット化し過ぎることを避けるため」だろう。そうだとすれば、これは明確に金融緩和政策ではないと言える。

イールドカーブがおおむね現状程度の水準から大きく変動することを防止するために、日銀は、金利が上昇した場合などには、例えば10年金利、20年金利を対象にした指値オペを金額無制限で実施する用意があるとしている。ここで、矛盾を感じるのが、無制限でオペを実施するとしながら、国債の買い入れ額は、おおむね現状程度のペース(年80兆円増)としている点だ。イールドカーブの形状を維持するために無制限に売買するのであれば、年間の買い入れ額は約束できないのではないか。

仮にイールドカーブに強い上昇圧力がかかるとすれば、日銀が購入しなければならない国債は従来以上となり、これまでもくすぶっていた国債購入の限界到達が早まることはないのか。

一方、イールドカーブに強い低下圧力がかかるとすれば、日銀は国債を売却することになるが、これは量的緩和の段階的縮小(テーパリング)の模索どころか、明白な縮小になり、これまでの量的緩和政策の効果を否定することにならないか。

イールドカーブ・コントロール政策と量的緩和政策は矛盾しているように見える。そして、そもそも、中央銀行は本当に長期金利をコントロールできるのだろうか。

<さらなる実質金利低下と円安進行は期待薄>

最後に言い添えれば、日銀は今回の決定で「政策枠組みを強化する」というが、何を強化する政策なのかが分かりにくい。少なくとも「追加緩和」だったとは言えそうにない。

そして、その結果、市場には金融緩和政策の限界論が強まる可能性が高いと考えられる。その場合、もっとも分かりやすいマーケットへのインプリケーションは円高だろう。

すでに日銀は事実上、量的緩和政策の効果を半ば否定し、長期金利が低下し過ぎることを警戒して金利を固定し始めた(予想物価上昇率の期待形成メカニズムを根本的に変えるのは難しいことが露呈した)。こうなると、日銀の金融政策が急速な円安を発生させることは、期待できなくなってきたようにも思える。

また、マイナス金利の深掘りを避け、10年国債金利をゼロ%にアンカーすることとし、イールドカーブも現状程度を維持することを目指すという政策の採用は、金融機関収益に配慮する側面が強いとも言えそうだ。よって、マイナス金利深掘りのハードルは引き続き高いとも言える。

つまり、日本の名目金利は、しばらくここから大きく低下することはなさそうだ。そうだとすれば、日本の実質金利の動きは期待インフレ率に委ねられることになる。21日に決定した政策で日本の実質金利を低下させる方向に働きかけたのは、文言を多少修正したオーバーシュート型コミットメントだけだ。この観点から見ても、日本の実質金利に低下圧力がかかり、円安方向への影響が出てくるのは難しそうだ。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tohru-sasaki-idJPKCN11S05L

為替は神経質な動き、必要なら対応=財務官

[東京 22日 ロイター] - 財務省と金融庁、日銀は22日午後、3者による会合を開催した。出席した浅川雅嗣財務官によると、日銀側から21日の金融政策決定会合で導入したイールドカーブ(利回り曲線)の形状を政策運営の目安とする、新たな金融緩和の枠組みについて説明があったという。

財務官によると、為替市場が、前日からきょうにかけての日米中銀の決定を受けて「若干神経質な動きとなっているのを憂慮」しており、夕刻以降の「欧米市場の動向を、いつも以上に注視する」構え。「仮に投機的な動きが続くなら、必要な対応を取らざるを得ない」と、為替介入も辞さない姿勢を示した。

もっとも「市場は日米中銀の決定内容を消化し切れておらず、もう少し様子を見たい」とも付け加えた。

金融緩和の目安を従来の「量」から「金利」に大きく転換した日銀の新たな枠組みについては「高く評価している」、「非常に現実的な政策」と指摘した。物価目標が2%を上回るまで大規模緩和を進める姿勢を従来以上に明記した点も高く評価した。
http://jp.reuters.com/article/boj-mof-fsa-meeting-idJPKCN11S0E5



利下げや豪ドル安が経済を支援=ロウ中銀新総裁

[シドニー 22日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ新総裁は22日、議会の経済委員会に出席し、今年に入って実施した2回の利下げ、豪ドル安、コモディティー価格の落ち着きが経済を支援しているとし、楽観的な見解を示した。

ロウ氏が総裁として公式の場に出るのは初めて。

ロウ総裁は「金融政策の緩和が雇用と経済活動を下支え」しており、持続可能な成長と中期的なインフレ目標の見通しの改善につながっていると指摘した。

インフレ率は当面は低水準で推移するとした上で、労働市場の状況改善に伴い徐々に上昇していくとの見通しを示した。

また、「経済は全般的に、ここ100年以上で最大規模となった鉱業投資ブームの衰退に順調に適応している」と述べた。

オーストラリアの第2・四半期の実質国内総生産(GDP)は季節調整済みで前年比は3.3%増と、伸びが4年ぶりの大きさとなった。また8月の雇用統計によると、失業率は3年ぶりの低水準となった。

先物市場が織り込む、クリスマスまでに追加利下げが行われる確率は24%と、今週初めの30%超から低下。豪ドルAUD=の対米ドル相場はロウ総裁の発言を受けて一時、1豪ドル=0.7650米ドルと、ザラ場で9月9日以来の高値を付けた。

オーストラリア準備銀の総裁は年2回、議会の委員会に出席し、経済および金融政策に関する質疑に応じる。
http://jp.reuters.com/article/australia-economy-rba-idJPKCN11S07G


TPP法案、米議会で承認される可能性は50%に満たず=副大統領

[21日 ロイター] - バイデン米副大統領は21日、環太平洋連携協定(TPP)法案について、来年1月に新政権が発足する前に米議会で承認される可能性は「50%に満たない」との考えを示した。

米シンクタンク、外交問題評議会(CFR)の講演で述べた。

バイデン副大統領は、11月8日の米大統領選後の「レームダック」議会が、TPP法案承認の「唯一の機会」となると指摘。承認される可能性は「50%に満たないと考えているが、可能性は確かにある。承認はあり得る」と述べた。

共和党のマコネル上院院内総務が、上院が年内にTPP法案の採決を行うことはないと述べたほか、共和党のライアン下院議長は承認に十分な支持が広がっていないとの見方を示している。
http://jp.reuters.com/article/usa-trade-biden-idJPKCN11S08M  

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