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9月12日、政府は成長戦略の新たな司令塔となる「未来投資会議」の初会合を開催した。かねて必要性が指摘されてきた構造改革を今度こそ推進できるか Photo:JIJI
今こそ日銀は「総括的な検証」で構造改革の必要性を強く問え
http://diamond.jp/articles/-/102515
2016年9月22日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
「えっ、マイナス金利ちゃうの?」。大阪で金融機関の営業担当者が企業へ貸出金利の交渉に行くと、そう言われるケースが多いという。
無理を承知で言っている面もあると思うが、日本銀行がマイナス金利政策を採用して以来、金融機関の利ざやは大阪に限らず一段と圧縮されている。大半の金融機関にとって最大の資金調達源は個人預金だが、事実上その調達金利をマイナスにはできないからだ。
日本の金融機関の貸出金利は、さらに深いマイナス金利政策を採る欧州よりも低い。例えば、スイスのマイナス金利政策はマイナス0.75%、スウェーデンはマイナス0.5%だが、10年固定住宅ローン金利は前者が1.3%前後、後者は3%もある。一方、日本のマイナス金利政策はマイナス0.1%だが、10年固定住宅ローン金利は大手行で0.6%前後だ。
欧州の長期住宅ローン金利が日本より高い理由として、第一に、金融機関同士の競争が激しくないという点が挙げられる。また、欧州では長期金利の基準となる10年物国債の利回りが、マイナス金利政策の深さに比べると下がっていない点も影響している。欧州各国の中央銀行は日銀ほど強烈に国債を購入していないからだ。
しかも、スウェーデン中銀の場合、2018年にマイナス金利政策をやめる可能性が高いという予想を発表しており、それが長期金利を上昇させ、金利曲線を立たせている。「マイナス金利は期間限定の政策」だと人々が思うと、投資や消費は誘発されやすい。
対照的に日銀は、「インフレ率が安定的に2%になるまでマイナス金利付き量的質的金融緩和策を続ける」「追加緩和はいくらでもできる」と主張してきた。市場はインフレ率が2%になるのはかなり先だと思っているため、同政策の長期化が予想され、資金需要はかえって刺激されにくいという構図が一時顕著となっていた。
前述のように、日本の貸出金利は世界屈指の超低金利だが、それでも消費や投資をさほど喚起できていない、より本質的な原因は潜在成長率の低下とそれに伴う将来不安の増大にあると考えられる。
9月2週目、日銀の黒田東彦総裁と中曽宏副総裁は相次いでそうした点に言及した。潜在成長率を高めて中立金利(緩和にも引き締めにもならない金利水準)を引き上げないと、日銀が市中の実質金利を押し下げても両者のギャップは大きく開かず、金融緩和効果は得にくいという見解だ。
中銀は潜在成長率を操作できない。マリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁も「ユーロ加盟国が構造改革を進めないと金融緩和効果は表れにくい」と、盛んに主張している。米ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁も9月12日、成長率を押し上げるには非金融政策面でのアプローチが必要との見解を示した。
もともと13年1月に政府と日銀が発表した共同声明の中で、政府はインフレ目標実現のために次のように約束していた。「革新的研究開発への集中投入、イノベーション基盤の強化、大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員し、経済構造の改革を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進する」「持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」。
9月21日、日銀は現在の政策に関する「総括的な検証」を発表するが、構造改革の必要性もそこで強くアピールすべきだと思われる。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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