http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/459.html
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日本株は大幅高、日銀が追加緩和−金融株が急騰し円安で輸出も高い
赤間信行
2016年9月21日 07:58 JST 更新日時 2016年9月21日 14:25 JST
日銀の追加緩和で株高・円安、TOPIX上昇率は2カ月ぶり大きさ
マイナス金利深掘りなしで銀行・保険など金融セクターの上げ目立つ
21日午後の東京株式相場は大幅高。日本銀行はきょう開いた金融政策決定会合で追加緩和措置を決定。マイナス金利の深掘りは見送ったことから、これまで収益悪化への懸念から売り込まれてきた銀行や保険など金融セクターが急上昇。為替市場がドル高・円安方向に振れているため自動車など輸出関連も高い。
午後2時5分現在のTOPIXは前日比27.99ポイント(2.1%)高の1344.96、日経平均株価は245円26銭(1.5%)高の1万6737円41銭。東証1部の値上がり銘柄数は1617、値下がりは273。
日銀は、長短金利操作付きの量的・質的金融緩和の導入を決定した。2%物価目標の実現へこれを安定的に持続するために必要時点まで継続するとし、長短金利の操作を行うイールド・カーブ・コントロールを導入する。また、上場投資信託(ETF)の購入をめぐっては、2.7兆円はTOPIX連動型を対象にすることとした。
大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは、日銀の決定は「合格点」とし、「マイナス金利の深掘りに踏み込まなかった点は銀行や保険など金融セクターの買い材料」と指摘。長短金利をコントロールする政策導入もポジティブで、日経平均は1万7000円を目指すとの見方を示している。
午後の為替市場でドル・円が一時1ドル=102円79銭と、前日の日本株終値時点の101円85銭から円安に振れたことも株式市場の押し上げ要因。足元の円安方向の動きに支えられ輸送用機器や機械など輸出関連が買われている。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iA5znb0yS4bE/v2/-1x-1.png
東証1部33業種は全て上昇し、銀行、保険、海運、証券・商品先物取引、不動産、その他金融、輸送用機器が上昇率上位
売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループといったメガバンクや、第一生命保険、T&Dホールディングスなど保険株が急騰。トヨタ自動車、セブン&アイ・ホールディングス、花王、ホンダも高い。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-20/ODTQMI6TTDSJ01
銀行株急伸、日銀によるTOPIX型ETF買い入れ増期待で
9月21日、東京株式市場で、日銀の金融政策枠組み変更を受けて、業種別指数の銀行業が急伸。三菱UFJ、みずほ、三井住友株が大幅高となっている。都内の日銀本店前で6月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai/File Photo)
9月21日、東京株式市場で、日銀の金融政策枠組み変更を受けて、業種別指数の銀行業が急伸。三菱UFJ、みずほ、三井住友株が大幅高となっている。都内の日銀本店前で6月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai/File Photo)
[東京 21日 ロイター] - 東京株式市場で21日、業種別指数の銀行業.IBNKS.Tが急伸。三菱UFJ(8306.T)、みずほ(8411.T)、三井住友 (8316.T)株式が大幅高となっている。
日銀は20─21日開催の金融政策決定会合で、金融政策の枠組み変更を決定した。マイナス金利幅を0.1%に維持する一方、ETF(上場投信)の買い入れ方式を変更し、年間買い入れ額のうち、2.7兆円はTOPIX連動型を対象とすることを決めた。
マイナス金利の深掘りへの懸念が後退し、需給面でのインパクトを期待した銀行株買いが入っている。
http://jp.reuters.com/article/banks-hot-stock-idJPKCN11R0CX
保険株が急上昇、日銀措置を好感−長期国債の金利操作を決定
伊藤小巻
2016年9月21日 13:41 JST 更新日時 2016年9月21日 14:33 JST
第一生命は一時10.2%高、T&Dは16.5%高
20年、30年債への波及に懐疑的:東海東京の摩嶋氏
日本銀行の金融政策決定会合を受けて、第一生命保険やかんぽ生命保険、T&Dホールディングスなど生命保険株が急上昇している。10年物金利がおおむね0%程度で推移するよう長期国債を購入する措置を決定したため、長期金利が上昇。超低金利環境で運用収益の悪化や一部商品の売り止めなどを迫られてきた生保にとって長期金利の上昇はプラスと好感されている。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iA5znb0yS4bE/v2/-1x-1.png
第一生命株は一時、前日比146.5円(10.2%)高の1585円、かんぽ生命株は同115円(5.1%)高の2390円、T&Dホールディングス株は同202円(16.5%)高の1424円まで、それぞれ値を上げた。
日銀は金融政策決定会合で、新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定。10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう操作する「イールド・カーブ・コントロール」を導入した。これを受けて新発10年国債利回りは一時、半年ぶりにプラス圏に浮上した。
東海東京調査センターの摩嶋竜生アナリストは、保険株の上昇は長期金利の上昇を受けたものとしたが、保険会社のポートフォリオの中心を占める超長期国債利回りへの波及には懐疑的だ。同氏は、10年債の誘導目標がゼロ%程度にとどまっていることを挙げ、「利回りの残っている20年債や30年債に買いが入って、イールドカーブは寝てしまうだろう」と話す。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-21/ODSPPN6TTDS601
日銀:国債購入に新枠組みを導入、長短金利操作付きQQE
日高正裕、藤岡徹
2016年9月21日 13:47 JST 更新日時 2016年9月21日 14:06 JST
保有する長期国債の平均残存期間の定めは廃止
ETF購入額のうち2.7兆円はTOPIX連動型を対象に
日本銀行は金融政策決定会合で新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決めた。
主な内容は、1)長短金利の操作を行う「イールド・カーブ・コントロール」、2)消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」−−の導入。
短期金利は、当座預金の政策金利残高に従来通りマイナス0.1%を適用。長期金利については10年物国債金利がおおむね現状程度(0%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。買い入れ額はおおむね現状の年間約80兆円ペースをめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買い入れ対象は引き続き幅広い銘柄として、平均残存期間の定めは廃止する。
黒田日銀総裁
黒田日銀総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
また長短金利操作のための新型オペも導入する。日銀が指定する利回りによる国債買い入れ(指し値オペ)で、金利が上昇した場合などには10年金利や20年金利を対象とした指し値オペを実施する用意があるとしている。さらに固定金利の資金供給オペを行うことができる期間を従来の1年から10年に延長する。
オーバーシュート型コミットメントとしては、2%の物価安定の実現を目指し、これを安定的に実現するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的緩和を継続する。マネタリーベースは、イールド・カーブ・コントロールの下で短期的には変動し得るが、生鮮食品除く消費者物価の実績値の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとしている。
ETF2.7兆円はTOPIX連動に
年間約6兆円のETFと同900億円のJ−REITの買い入れ方針は維持する。ETFは年間買い入れ額5.7兆円のうち、3兆円は従来通り3指数連動型を対象に、残り2.7兆円はTOPIX連動型を対象に、いずれも銘柄ごとの時価総額におおむね比例するよう買い入れる。
今後の追加緩和手段については「イールド・カーブ・コントロール」の二つの要素である短期政策金利の引き下げと長期金利操作目標の引き下げを行うほか、量的・質的緩和以来実施してきた資産買い入れの拡大が考えられるという。状況に応じてマネタリーベースの拡大ペースの加速を手段とすることもあるとしている。
ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に7−12日に実施した調査で、今会合の追加緩和予想が23人(54%)と過半数に達していた。緩和予想の23人は手段(複数回答)としてマイナス金利拡大(14人、61%)と長期国債買い入れ増(13人、57%)を挙げたが、後者については持続可能性への懸念などから、7人がレンジ化の可能性を指摘していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-21/ODL22G6JIJUW01
日銀、金融政策の枠組み変更決定:識者はこうみる
[東京 21日 ロイター] - 日銀は20─21日の金融政策決定会合で、金融政策の総括的検証を踏まえ、当座預金の一部に付与している0.1%のマイナス金利を据え置く一方で、国債買い入れでイールドカーブ(利回り曲線)の形状を意識した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入する。
市場関係者のコメントは以下の通り。
一時的なリスクオン、日経平均1万7000円トライも
<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>
マイナス金利の深掘りが見送られた。また今回取り入れられたイールドカーブ・コントロールは、利回りの傾きをスティープ化させることを主眼に置いた内容。さらに2%の物価安定目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するとしている。いわばフォワードガイダンスの強化となる。イールドカーブを見ると、ほぼスティープ化したまま上昇シフトしている。これを受け、銀行・保険株が上昇し、全体相場をけん引している。
まずは一時的な反応として、ややリスクオン的なムードにもなっている。だが、今後、日銀のオペレーションが上手く機能するかどうかを含め、イールドカーブを本当にコントロールできるか見極めなければならない。
大きな波乱がなかったのは評価できるが、日本株はレンジの上限にも来ている。またFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ見送りとなれば、ドル安/円高方向にも振れやすい。もっとも、米国株が崩れなければ、日本株は引き続きしっかりとした動きが見込まれる。日銀のオペレーションに大きな混乱がなければ、日経平均は1万7000円を再度試しに行く可能性もある。
米利上げ見送りならドル100.50―103.50円レンジに
<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>
日銀決定会合の結果を受けて、ドル/円は102円半ばまで買い進まれた。
具体的に短期筋が何をはやしてここまでドル/円を買い上げたのか不明だが、タイミング的には、今回は追加緩和を見送る一方で、一拍ためて、今後の追加緩和に期待を残したことが奏功し、ドル買い/円売りになったのかもしれない。
きょう米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送ったと仮定して、今後しばらくのドル/円のレンジは100.50―103.50円とみている。103円台はかなり上値が重い印象だ。
オペの状況が流動的に
<岡三証券 債券シニアストラテジスト 鈴木誠氏>
2%の物価目標の達成に向けて、しばらくは金利を低位に抑えつける政策を続けることになるだろう。ただ、マイナス金利幅の深掘りがなかった分だけ、目先は金利が下がりづらくなっているようだ。
国債買い入れオペの状況が流動的になってくると思われる。日銀の意図が入ってくることで、長いゾーンの金利もコントロールしていくことが可能か注目される。
現状のイールドカーブの水準をできるだけ長期的に固定させて、金利を上昇させない作業をする一方で、極端には下げないことも行っていくのだろう。
「10年金利がゼロ%になるよう国債買い入れを行う」ということで、プラス水準を売る必要はない感じがする。10年金利はゼロ%近辺からマイナスゾーン中心で推移するのではないか。となれば、超長期ゾーンの金利は基本的に0.4%─0.5%程度になると思われるため、現状のイールドカーブの水準からなるべく上振れさせないようにするということだろう。
年内緩和の思惑残りドル/円上昇
<みずほ証券 チーフFXストラテジスト 鈴木健吾氏>
ドル/円の初期反応はドル売り/円買いとなった。10年金利がゼロ%になるよう国債を買い入れる方針などが示されたが、為替にとっては緩和とはとらえにくいと受け止めた向きが反応し、瞬間的に売られたのだろう。
ただ、そのほかにも、いろいろな工夫をこらす姿勢がにじんでいる。マイナス金利は温存され、展望リポートと同じタイミングで追加緩和が打ち出される可能性が残ったことなどがあらためて評価され、ドル買い/円安方向に反発したのだろう。
目先1カ月のレンジは100─105円とみている。これまで一方的な円買いが目立ったが、年内緩和の可能性が残ったことで、ポジション調整の円売りが誘発される可能性も出てきた。
実効性が問われる政策メニュー
<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>
今回の決定会合では、一定の効果があると検証したマネタリーベースの拡大でインフレ目標2%を出来るだけ早期に実現することがポイントだと考えられる。ただし、具体的な方法は明示されていない。
ドル/円相場は、今回の決定を緩和強化と受け止め、102円台への円安が進行したが、上昇幅は相対的に小幅に留まっている。日経平均は前日比で一時300円を超える上げ幅となった。ただ、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、基本的に利上げ見送りを想定しているため、足元の円安・株高の動きを弱めるものと考えられる。
JGBについては、イールドカーブ・コントロールを新たな枠組みの中心に据えた。しかし、人為的な金利形成には限界があり、スティープ化したカーブを見て、市場参加者や国民がインフレ期待を醸成させるかどうかは定かではない。
金融政策と金融市場の関係については、短期的な反応はともかく、金融市場が立脚する経済の構造的な変化を考慮すべきだろう。不安定さを増す市場の背景には、リーマンショック以降に日米欧が導入した量的緩和(QE)バブルが崩壊し始めたことがある。
このような環境の下で、市場が、政策の意図する方向に安定的に動くことは担保さ
れないうえ、金融政策にできることには限界があるとの認識は、市場のみならずG20等でも共有されている。
明日のFOMCの決定については、利上げであれば株売り、利上げ見送りでも実体経済の弱さが着目され、株売りとなる公算が大きい。
世界の金利形成の基準となる米国長期金利、そして世界経済のパイの縮小を反映して価格形成される原油相場は、再び低下、下落基調となることが見込まれる。
*内容を追加します。
http://jp.reuters.com/article/bojpolicy-interviews-idJPKCN11R0ER?sp=true
日銀、政策枠組みを大幅修正 マイナス金利・長期金利が操作対象
[東京 21日 ロイター] - 日銀は、20─21日の金融政策決定会合で、金融市場調節目標をこれまでのマネタリーベースから利回り曲線(イールドカーブ)に変更する金融政策の枠組みの大幅な修正を決定した。短期金利の操作対象となるマイナス金利幅は現行の0.1%を今回は維持する一方、新たに長期金利(10年国債金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。長期国債の買い入れは、保有額が年間80兆円程度増加する現行ペースをめどとする。
金融政策運営の枠組みの量から金利への変更に伴い、これまでのマネタリーベースを年間80兆円増加させる目標を撤回した。もっとも、目標とする物価が実績として2%を超えるまで「マネタリーベースの拡大方針を継続する」との新たなコミットメントを導入。「あと1年強でマネタリーベースの対名目GDP(国内総生産)比率は100%(約500兆円)を超える見込み」と明記した。
新たな枠組みは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で、金融市場調節目標は短期金利と長期金利が対象になる。短期金利については、今回はマイナス金利幅を現行の0.1%に維持したが、長期金利は「10年物国債金利がおおむね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う」。
国債買い入れ額は保有額が年間約80兆円増加する現行ペースをめどとするが、長期金利をゼロ%程度に維持する方針の下、買入額は変動する可能性がある。今後、必要な場合は、マイナス金利のさらなる深掘りとともに、 長期金利の操作目標を引き下げる追加緩和手段が軸になる。従来の資産買い入れやマネタリーベースの拡大も追加緩和手段として排除していない。
超短期金利を操作するため、新たな金融調節手段(オペレーション)の導入も決めた。具体的には、日銀が指定する利回りで国債を買い入れる指値オペのほか、固定金利による資金供給オペの期間を現行の1年から10年に大幅に拡大する。
*内容を追加イしました。
(伊藤純夫 竹本能文 編集:山川薫)
http://jp.reuters.com/article/boj-policy-idJPKCN11R0CC
情報BOX:経済・物価の現状と見通し=日銀
9月21日、わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。海外経済は緩やかな成長が続いているが、新興国を中心にいくぶん減速している。写真は日銀本店。7月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 21日 ロイター] - 1.わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。海外経済は緩やかな成長が続いているが、新興国を中心にいくぶん減速している。そうした下で、輸出は横ばい圏内の動きとなっている。
国内需要の面では、設備投資は企業収益が高水準で推移するなかで、緩やかな増加基調にある。個人消費は一部に弱めの動きも見られるが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移している。住宅投資は持ち直しを続けており、公共投資は下げ止まっている。
わが国の金融環境は、極めて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮)の前年比は、小幅のマイナスとなっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられるが、このところ弱含んでいる。
2.先行きのわが国経済を展望すると、しばらくの間、輸出・生産面で鈍さが残り、景気回復ペースの鈍化した状態が続くとみられる。その後は、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、海外勢が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかな増加に向かうことから、わが国経済は基調として緩やかに拡大していくと考えられる。
先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面小幅のマイナスないしゼロ%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。
3.リスク要因としては、英国の欧州連合(EU)離脱問題をめぐる不透明感が国際金融資本市場や世界経済に及ぼす影響に加え、中国をはじめとする新興国や資源国に関する不透明感、米国経済の動向や、その下での金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、金融セクターを含む欧州債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、地政学的リスクなどが挙げられる。
*カテゴリーを追加します。
(田巻一彦).
情報BOX:金融緩和のための新しい枠組み=日銀
9月21日、日銀は「量的・質的金融緩和」および「マイナス金利付量的・質的金融緩和」に関する総括的検証や経済・物価の現状と見通しを踏まえ、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策を強化するかたちで「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。写真は日銀本店。3月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 21日 ロイター] - 日銀が21日の金融政策決定会合で決定した金融緩和のための新しい枠組みの概要は以下の通り。
「量的・質的金融緩和」および「マイナス金利付量的・質的金融緩和」に関する総括的検証や経済・物価の現状と見通しを踏まえ、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策を強化するかたちで「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。
その内容は1)長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、2)消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価安定目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
1.金融市場調節方針(賛成7反対2)
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がおおむね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。買い入れ額については現状程度の買い入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買い入れ対象は引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止する。
2.長短金利操作のための新型オペレーション導入(賛成8反対1)
*日本銀行が指定する利回りによる国債買い入れ(指値オペ)
*固定金利の資金供給オペレーションができる期間を10年に延長(現在1年)
(2)資産買い入れ方針(賛成7反対2)
長期国債以外の資産買い入れについては
1.ETFおよびJ─REITについて保有残高がそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う
2.CP、社債等についてそれぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持
(3)オーバーシュート型コミットメント
2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。
マネタリーベース残高は、イールドカーブ・コントロールのもとで短期的に変動しうるが、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続する。この方針により、あと1年強でマネタリーベースの対名目GDP比率は100%(約500兆円)を超える見込みである(現在日本は約80%、米国・ユーロエリアは約20%)
今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の物価安定目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。
*新たな枠組み導入の考え方
(1)イールドカーブ・コントロール導入の背景
量的・質的金融緩和は主として実質金利低下の効果により、経済・物価の好転をもたらし、日本経済は物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなった。
この実質金利低下の効果を長短金利の操作により追求する「イールドカーブ・コントロール」を新たな枠組みの中心に据えることとした。
その手段としては日銀当座預金へのマイナス金利適用と長期国債買い入れの組み合わせが有効であることが明らかになった。これに加えて長短金利操作を円滑に行うための新しいオペレーション手段を導入することとした。
(2)予想物価上昇率引き上げのための方策
一方、2%の物価案手目標は実現できていない。これは、1)原油価格の下落などの外的要因によって実際の物価上昇率が低下し、2)これが、「適合的な期待形成」の要素が強い予想物価上昇率の下押しに作用したことが主因と考えられる。
この状況に対応するため、予想物価上昇率をより強力な方法で高めていくことが必要と判断した。
具体的には、1)「フォワード・ルッキングな期待形成」を強めるため、オーバーシュート型コミットメントを採用する。「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する」と約束することで、物価安定目標の実現に対する人々の信認を高めることが適当と判断した。
2)デフレマインド転換にはモメンタムが必要であり、「できるだけ早期に」2%を実現するとのコミットメントは堅持する。一方、「適合的な期待形成」の要素が強い予想物価上昇率を引き上げていくことには不確実性があり、時間がかかる可能性もある。こうした点を踏まえ、枠組みの中心にイールドカーブ・コントロールをすえることで、経済・物価・金融情勢に応じたより柔軟な対応を可能とし、政策の持続性を高めることが適当であると判断した。
(3)追加緩和手段
具体的な手段としては「イールドカーブ・コントロール」の2つの要素である1)短期政策金利の引き下げ、2)長期金利操作目標の引き下げ、を行うほか、3)資産買い入れの拡大が考えられる。状況に応じて、4)マネタリーベース拡大ペースの加速を手段とすることもある。
*内容を追加します。
(石田仁志)
情報BOX:ETFの銘柄別の買入限度にかかる見直し=日銀
[東京 21日 ロイター] - 日銀は、2016年9月20、21日の政策委員会・金融政策決定会合において、「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」の一部改正を決定した。これを受け、ETFの銘柄別買入限度を以下の通りに見直し、16年10月から実施する。
<見直し前>
銘柄別の買入限度は、3指数(TOPIX、日経225、JPX日経400)に連動するETFを対象に、銘柄ごとの時価総額に概ね比例するように設定。
<見直し後>
銘柄別の買入限度は、日銀による買い入れが以下の通りに行われるように設定。
1)年間買い入れ額5.7兆円のうち、3兆円については、従来通り、3指数に連動するETFを対象に、銘柄ごとの時価総額に概ね比例するように買い入れる。
2)残りの2.7兆円については、TOPXに連動するETFを対象に、銘柄ごとの時価総額に概ね比例するように買い入れる。
注)「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するための指数連動型上場投資信託受益権買入等に関する特則」(2016年3月15日決定)に基づくETFの買い入れ(年間約3000億円)については、銘柄別の買入額の設定に変更はない。
(田巻一彦)
情報BOX:「量的・質的金融緩和」効果の総括検証=日銀
9月21日、日銀は「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての「総括検証」を発表した。写真は日銀本店。1月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
9月21日、日銀は「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての「総括検証」を発表した。写真は日銀本店。1月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 21日 ロイター] - 日銀が21日発表した「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての「総括検証」の主な内容は以下の通り。
1.総括的検証
1)「量的・質的金融緩和」のメカニズム
予想物価上昇率の押し上げと名目金利の押し下げにより、実質金利が低下。金融環境が改善し、その結果、経済・物価の好転をもたらし、デフレではなくなった。
2)物価安定目標2%の実現を阻害した要因
原油価格下落、消費税率引き上げ、新興国経済の減速と国際金融市場の不安定な動き、その中で予想物価上昇率が横ばいから弱含みに転じたこと。
3)予想物価上昇率の期待形成メカニズム
2%の物価安定目標を実現するためには、予想物価上昇率をさらに引き上げる必要。実際の物価上昇率が当面低い水準で推移する中、引き上げには時間がかかる可能性。フォワードルッキングな期待形成の役割が重要。
マネタリーベースの拡大は人々の物価観に働きかけ、予想物価上昇率の押し上げに寄与した。一方、マネタリーベースと予想物価上昇率は長期的な関係を持つため、その長期的な増加へのコミットメントが重要。
4)マイナス金利と国債買入によるイールドカーブの押し下げ
マイナス金利と国債買入との組み合わせにより、短期金利のみならず長期金利も大きく押し下げた。イールドカーブ全般に影響を与える上で、この組み合わせが有効であることが明らかになった。
5)イールドカーブ引き下げの効果と影響
これまでのところ、マイナス金利の下で金融環境は一段と緩和的になっている。もっとも貸出金利低下は金融機関の利ザヤを縮小させることで実現、さらなる金利低下に伴う貸出金利への波及については、金融機関のか貸出運営方針にも依存する。
イールドカーブの形状の影響で留意する点は以下の通り。
1.経済への影響は中短期ゾーンの効果が相対的に大きい
2.超長期社債の発行など新しい動きが生じ、この関係は変化する可能性
3.イールドカーブの過度な低下・フラット化は、金融機能の持続性に不安感をもたらし、マインド面を通じ経済活動に悪影響及ぼす可能性
2.示唆される政策の方向性
1)予想物価上昇率をさらに引き上げる必要があるが、不確実性があり、時間がかかる可能性があることを踏まえ、フォワードルッキングな期待形成を強める手段を導入する比兆。持続性・柔軟性のあるスキームが必要。
2)マネタリーベースは、長期的な増加にコミットすることが重要。
3)マイナス金利と国債買入を適切に組み合わせることにより、イールドカーブ全般に影響を与えることができる。
4)イールドカーブの適切な形成を促すに当たっては、@貸出・社債金利への波及A経済への影響B金融機能への影響など、経済・物価・金融情勢を踏まえて判断。
(中川泉 編集:橋本俊樹)
http://jp.reuters.com/article/boj-qqereview-idJPKCN11R0G2?sp=true
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